『プリンセス・オブ・ペルシャ エステル記』

dvd_OneNightWithTheKing
『プリンセス・オブ・ペルシャ エステル記』(2006)マイケル・O・サイベル
“One Night with the King” (2006) Michael O. Sajbel
(日本盤DVDで鑑賞→amazon.co.jp

 2006年製作のアメリカ映画。タイトル通り旧約聖書のエステル記を題材に、そこにアレンジを加えて《ヒストリカル・ロマンス+宮中陰謀劇》に仕上げた、なかなか楽しめる娯楽エピック史劇。
 主人公のエステル役にティファニー・デュポン、お相手のクセルクセス1世役はルーク・ゴス。共演にジョン・リス=デイヴィス、ジョン・ノーブル、他にもオマー・シャリフや、ほとんどカメオみたいな感じですけどピーター・オトゥールまで出てきます。

 紀元前5世紀頃、ペルシャ王アハシュエロス(クセルクセス1世)は臣下の企みにより王妃を追放してしまう。そして領内から美しい娘を集め、その中から新しい妃を選ぶことになるが、その中にバビロン捕囚の後も同国内に留まっていたユダヤ人の娘ハダサがいた。
 叔父のアドバイスにより、名前をバビロニア風のエステルと改めたハダサは、アハシュエロス王と出会い互いに恋に落ちる。やがてエステルは晴れて王妃に選ばれるが、宮廷内では密かに王の地位を狙う重臣や、ユダヤ人に恨みを持ち根絶しようと企む者たちによる陰謀が渦巻いていた。
 また最初は愛し合い信頼し合っていた王とエステルも、ふとした行き違いからその仲が冷えてしまう。そんな中、ついにユダヤ人のジェノサイド計画が動き始め、エステルは自分の生死を賭けた重大な選択を迫られるのだが……といった内容。

 こういったDVDスルーの聖書モノ映画って、原典や教えに忠実であらんとするが故に、単なる絵解きでしかなかったり、テンポがチンタラしていて信者以外は門前払いみたいなものが少なくないんですが、これは色々アレンジを加えてドラマチックに仕上げてあり、けっこうハラハラドキドキ楽しめました。
 映像的には主にインド(ジョードプル)でロケをしていて、まあ「古代ペルシャ帝国なのに、なんか……ムガール調?」みたいな感じはあるんですが(笑)、実在する宮殿等を使った存在感やスケール感が、全体的にはプラスに働いている印象。反面、それ以外の拡がりを出すCGとかは、ちょっとショボいですが。
 ひょっとして衣装や美術に、ボリウッド映画のスタッフが入っているのか、そういったあたりにインド映画みたいなゴージャスさがあるのも佳良。物語のベースの一つにロマンス劇があるんですが、これまたインド映画的なオーセンティック&ロマンティックな雰囲気があって佳良。
 スペクタクル性としては、特に合戦シーンとかがあるわけではないですが、前述したようなゴージャス感やロマンティック感によって、《ハレ》系のスペクタクル味があるのも、個人的には嬉しいところ。こういった感覚って、わりと昨今のハリウッド系では見られないものなので。
 ストーリーとしては、陰謀渦巻くハラハラ系とヒロインの心情の寄り添うロマンティック系の並行進行。
 勢力分布が複雑だったり説明不足もあったりして、ちょっと判りにくい部分もあるんですが、各々のエピソードを上手くエモーショナルに見せてくれるので、見ていてけっこう盛り上がります。キャラが良く立っているのも佳良。

 まぁ、あんまり期待しすぎるとアレだとは思いますが、聖書史劇系の退屈さとは無縁ですし、あちこち楽しい見所もあるので、史劇好きやヒストリカル・ロマンス好きなら、充分楽しめるのではないかと。
 特に、ヒストリカル・ロマンス好きにはオススメしたい一本。
 予告編。

 挿入歌を使ったクリップ(MAD動画?)。映画の雰囲気は、こっちの方が掴みやすいかも(ただしロマンス劇としてはネタバレありなので注意)。

 ……ね? そこはかとなくインド映画っぽくない?(笑)