投稿者「Gengoroh Tagame」のアーカイブ

“Achilles”

Achilles_scene
“Achilles” (1996) Barry Purves
 私の好きなアニメーション作家で、バリー・パーヴスというイギリス人がいます。
 リアル系の人形アニメーションで、初めて見たのは『ネクスト』(1989)という作品でした。シェイクスピアをネタにした5分の短編なんですが、人形の表情も含めたアニメーションの精緻さと、古典趣味に基づく豪華絢爛な美術、そして、舞台劇風の様式美に満ちた演出が、もう何から何までツボだったので、びっくり仰天&驚喜乱舞したもんです。
 そして、次に見たのが『スクリーン・プレイ』(1993)。中世日本を舞台に、タカコとナオキという若い男女の悲恋を歌舞伎風に描いた、11分の短編。これまた演出の様式美が素晴らしくって、更にグラン・ギニョール的な残酷趣味も加味されていて、再びすっかり虜になりました。
 以来、「もっと作品を見たい、見たい、見たい!」と切望していたんですが、なかなかその機会に恵まれませんでした。特に、何年か前に出たアート・アニメーション系のムックで、この人のフィルモグラフィーが載っていて、その中に”Achilles”という作品名を見つけたときには、こりゃもう間違いなくギリシャ神話やホメロスネタだろうと、もう見たくて見たくてたまらなくなったもんです。
 で、つい先日のこと。ちょっとしたきっかけで、この”Achilles”が、実はゲイ・アニメーションだと知りました。
 もう驚いたのなんのって! だって、良く知らないまま、想像だけで恋い焦がれていた映画の内容が、よりによってゲイものだったなんて……もう、「丘の上の王子様の正体はアルバート様だった!」みたいなもんで(笑)。
 そうと知ったからには、これはもう何としてでも見なければ! ……と決意して調べていたら、割とすんなりアメリカ盤DVDを見つけることができました。
Achilles
 DVDのメインは、Neil HunterとTom Hunsingerという監督の、”Boyfriends”(1996)というゲイ映画なんですけど、そのオマケとして”Achilles”が収録されています。もう、とりあえず”Boyfriends”は放っておいて、届いたその日に”Achilles”を鑑賞。
 内容は、もうそのものズバリのイーリアスネタで、トロイア戦争を背景に、アキレウスとパトロクロスの同性愛関係を描いたもの。
 アキレウスとパトロクロスは、大理石か石膏っぽいイメージの白いフィギュアで、アキレウスはヒゲモジャのマッチョ、パトロクロスはアポロン型美青年という造形になっています。その他のモブは、テラコッタっぽい赤茶のフィギュアで、シークエンスに合わせて、ギリシャ悲劇風の仮面や動物の頭の形の兜などをかぶっている。
 これらの人形が、いかにもバリー・パーヴスらしい舞台劇風の様式的な演出で、アキレウスの誕生からヘレネー誘拐などのトロイア戦争のあらましを語り、その随所に絡めて、アキレウスとパトロクロスの同性愛関係のもつれが描かれます。
 ナレーションは、イギリスの名優デレク・ジャコビ。ゲイ的には、フランシス・ベーコンを演じた『愛の悪魔』が忘れがたいですね。
 ゲイ映画としての内容は、アキレウスとパトロクロスの間の、まだホモセクシュアルを無自覚の、ホモソーシャル的なリレーションシップに、ホモセクシュアル的な欲求が絡んでくることによって、その関係性に軋みが生じる、という構造になっています。
 次の段、ちょいと実例を挙げての解説になるので、ネタバレがお嫌な方は飛ばしてください。
 アキレウスとパトロクロスは、最初は子供がじゃれるように、無邪気に湯船で戯れたりしているんですが、二人の間に愛情や肉欲が目覚めていくに従い、次第に関係性がぎこちなくなっていきます。
 例えば、二人は戯れあいの延長として性行為に及びそうになるんですが、アキレウスは寸前で拒否してしまう。そんな二人でも、仮面をつけてパリスとヘレネーを演じることによって、愛を交わすことも性交もできるようになる。しかし、行為の最中に仮面が外れてしまうと、やはりそれ以上は続かない。この演出は、ヘテロセクシュアル的な価値体系から脱却できずに、自己の性的指向を受容できずにいるホモセクシュアルの姿を、端的かつ象徴的に描いていて秀逸でした。
 やがてアキレウスは、パトロクロスの眼前でブリュセイスを犯す、つまり、アキレウスが己はヘテロセクシュアルであると、自分自身にもパトロクロスに対しても証明しようとする。しかしこの強姦劇も、その目的は達しえない、つまり、アキレウスは女性相手の性交を貫徹できずに終わってしまう。
 興味深いのは、この場面では上述した要素と並行して、ブリュセイスを演じているのも、実は仮面をつけた男性であるという仕掛けがあることです。つまり、モノガタリ上ではヘテロセクシュアル的な行為なんですが、その更に外枠、つまりモノガタリの外側から見れば、それが男性同士によって演じられるヘテロセクシュアルのパロディという、実にゲイ的なものになる。
 こういった、同一の事象であるにも関わらず、それを捉える視点の位置によって、その意味性が逆転するという面白さは、人形アニメーションによる舞台劇という、その構造自体に二重の虚構性が含まれている、バリー・パーヴスの作風ならではの効果ですね。
 さて、話を戻しますと、こうしてブリュセイスはアガメムノンの手に渡ってしまい、屈辱に打ちひしがれたアキレウスに、パトロクロスが手を差し出す。しかしアキレウスは、相変わらずそれを拒否して、孤独とコンプレックスを癒すために酒に溺れていく。
 酔ったアキレウスは、自慰をして、逞しい男たちが現れる淫夢に襲われ、自分を心配して訪れたパトロクロスに襲いかかる。パトロクロスは、強姦者のようにのしかかり、泣きながら自分を打擲するアキレウスに、優しく口づけをする。こうして二人は、ようやく性交に至ります。
 こういった具合で、セクシュアリティの目覚めによるアイデンティティの揺らぎとか、自己自認を拒むことを原因としたゲイのホモフォビアなど、ゲイ映画として見ても、テーマがしっかりとしていて硬派な味わいです。加えてこれらは、私自身が自作でよく取り扱うテーマでもあるので、親近感もわいてくる。
 たったの11分という短編なのに、これだけの内容の濃さで、しかも、人形アニメーションとしてもハイ・クオリティで、ゲイ映画としても秀逸。これは、かなり凄い作品ですぞ。
 エロティック作品としても、もちろんハードコア的な直截さはありませんが、ギリシャ彫刻的なセクシーな造形の人形たちが、まるで生きているようように互いの身体に触れあい、睦みあう姿は、必要十分なエロティシズムに溢れています。
 DVDは、字幕こそないものの、ありがたいことにリージョン・フリーですので、興味のある方はぜひどうぞ。激オススメ。米amazonで検索する場合は、”Achilles”だとヒットしないので、”Boyfriends”で探すのが吉。
 あと、バリー・パーヴスのオフィシャル・サイトのギャラリー・ページにも、スチル写真がありますので、そちらもどうぞ。
“Boyfriends (+ Achilles)” DVD (amazon.com)
 あと、前述の『ネクスト』と『スクリーン・プレイ』は、それぞれ日本版DVDも出ています。
 『ネクスト』はこちら、『スクリーン・プレイ』はこちら
 ついでにもう一つ、バリー・パーヴスがヴェルディのオペラ『リゴレット』を人形アニメーションに仕立てたものがこちら

夏の予定、追加

Akta_nety
 8月6日〜12日、新宿のコミュニティセンターaktaと、上野のコミュニティスペースNETYで同時開催される、『ぼくたちの未来展(akta)』と『台東区男色春画展(NETY)』に、それぞれ作品を出展します。
『ぼくたちの未来展』には、ぷれいす東京発行の小冊子『Living Together LETTERS』に収録された一文をモチーフにした、描きおろしの非エロ絵1点を出します。
『台東区男色春画展』には、先日のフランスでの個展用に制作した連作『七つの大罪』から、「怠惰 Acedia」と「淫欲 Luxuria」の2点(本邦初公開)を出品します。
 どちらも入場無料ですので、ぜひお立ち寄りを!

夏の予定、いろいろ

 7月と8月、私が関っているイベントが幾つかありますので、まとめてご紹介。

Bannerkqff
7/20(金)〜24(火)「関西 Queer Film Festival
 私が自主制作している3DCGアニメーション"Desert Dungeon (act 1 ~ 9)"が、
映画祭初日の7/20(金)、オープニング・プログラム<タイヘン×ヘンタイ>(19:30〜)で上映されます。
 初公開パートも含まれていますし、でっかい画面で見られる貴重なチャンスですので、ぜひご覧くださいませ。

Tagamemanga
8/9(木)「トークセッション・田亀マンガとゲイシーン
 7/15(日)〜8/31(火)の期間、ジュンク堂書店新宿店で開催される「パレード応援ブックフェア」の一環として、8/9(木)にジュンク堂書店新宿店・8F喫茶室にて、トークショーに出演します。トークのお相手は、ドラァグ・クイーンのエスムラルダさん
 入場料1000円(ドリンク付き)、定員30名、電話予約可。トークの後は、サイン会の時間もあるそうです。
 皆様、お誘い合わせのうえ、お出でくださいませ。

Tpp2007
8/11(土)「第六回東京プライドパレード
 代々木公園イベント広場で開催される「東京プライドパレード(旧・東京レスビアン&ゲイ・パレード)」、今年も公式缶バッジのイラストで参加させていただきました。
 グッズの売り上げは、貴重な運営資金。ささやかな応援の気持ちを込めて、ぜひお一つ……と言わず、じゃかすか買ってくださいな。

Bannerindpanda_1
8/8(水)〜29(水)「3rd InDPanda international short film festival
 香港で開催される、国際短編映画祭"InDPanda"(「インディペンデント」と「パンダ」を引っかけたネーミングですな)の、<4 Enigmas Among Boyz>というプログラムで、拙作"Desert Dungeon (act 1 ~ 9)"が上映されます。8/14(火)と8/23(木)の二回。パンフレットを見ると、中国語題名は「沙漠土牢」となってます。……まんまですな(笑)。
 まあ、さすがにこれは、ぜひ来てくださいとは言いづらいですけど、もし機会がある方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。
 ちなみにこれはゲイ映画祭ではないので、上映される作品のジャンルも本数も半端じゃなく多いですが、ゲイ関係だと、私も去年イベントで上映した「巨根伝説・美しき謎」と「愛の処刑」が、<三島先生、これ貴方でしょ?>っつープログラムで上映されるらしくて、ビックリ(笑)。

『復讐無頼・狼たちの荒野』

Tepepa
『復讐無頼・狼たちの荒野』(1968)ジュリオ・ペトローニ
“Tepepa” (1968) Giulio Petroni
 前回からトーマス・ミリアン繋がりで、彼主演のマカロニ・ウェスタン映画のイタリア盤DVDのご紹介。
 20世紀初頭、メキシコ革命の渦中に、英国人医師ヘンリーがとある街にやってくる。街の監獄には革命派の英雄テペパが捕らえられており、明日にも銃殺刑に処せられようとしていた。処刑当日、ヘンリーはテペパを救出する。しかしそれは、テペパの命を助けるためではなく、ヘンリーの想い人だった女性がテペパに犯されて自殺した復讐として、自らの手でテペパを殺したいからだった。しかし、警察署長のカスコッロ大佐に追わているうちに、ヘンリーとテペパの間には、不思議な絆が生まれていく……ってなお話しです。
 メキシコ革命を背景にしているとはいえ、政治的なヤヤコシイことが描かれるわけではなく、あくまでも、圧制者としての官と自由を求めて闘う農民というシンプルな構図の中、三人の男たちの思惑や運命が交錯していく娯楽作。
 マカロニウェスタンには疎いので、良く判らないんですが、いわゆる「アウトローたちが見せる、胸の空くようなガンファイト!」みたいな要素は少な目な印象。それ系のハッタリやケレン味は、少ないほうなんじゃないだろうか。それよりも、革命に生きたテペパという男の半生を描いた歴史物、みたいな雰囲気があります。
 もっとも、このテペパが実在した人物なのか、それともフィクションなのかは、調べてもちょっと判りませんでした。名前からは、何となくエミリアーノ・サパタを連想しますね。ヴィジュアル的には、チェ・ゲバラっぽい感じもある。
 実在かフィクションかは横に置いても、このテペパのキャラクターは、大いに魅力的。痛快なアクション・ヒーロー的な面もあり、激動の時代に生きた悲劇の英雄的な面もあり、ひょうきんな面もあり。必ずしも善とは言えない部分や、人間的な弱さもある。加えて私は、テペパを演じるトーマス・ミリアンが好きなので(あと、ゲバラも大好き……っても、顔と雰囲気がですが)、なおさら魅了されちゃいました(笑)。
 また、医師のヘンリーも良くキャラクターが立っているし、他にも、テペパに救われながら後に裏切る仲間とか、まっすぐな瞳が印象的な少年とか、回想シーンで出てくる女性の美しさとか、登場人物は魅力的な面子揃い。ドラマも、それらのキャラクターの複雑な心情が絡み合って、グイグイ引っ張られる感じで、ラストはけっこう感動的でもある。
 音楽はエンニオ・モリコーネで、メイン・テーマはいかにもこの人らしい、凛々しくてちょいと泣きも入っている、メロディの立ったカッコイイ曲。ちょいとノスタルジックでトラッドな香りもあって、かなり好き。あと、映画のラストで流れる、情熱的な女性ヴォーカルによる “Al Messico che vorrei” っつー曲が、映画の後味とも相まって、えらいカッコイイです。近々、日本盤サントラCDが出るようなので、購入の予定。
 主演のトーマス・ミリアンは、こりゃもう文句なしに良くって、ひょっとしたら私が見た彼の出演作の中では、このテペパ役が一番好きかも。あんまりキャラクター的にツボだったので、その百面相ぶりを見ているだけでも満足できるくらい(笑)。
 医師のヘンリー役は、ジョン・スタイナー。フィルモグラフィーを調べたら、『悪魔のホロコースト』と『炎の戦士ストライカー』は見たことあるはずなんだけど、正直ちっとも覚えてない(笑)。この映画では、いかにも線の細いインテリで、しかもちょっと歪んだ部分もあるというキャラクターに、上手くハマっている感じで好印象。
 敵役のカスコッロ大佐に、オーソン・ウェルズ。大物のはずですが、今回の演技は憎々しさにもカリスマ性にも欠けていて、悪役としての魅力があまりない。不明瞭にモゴモゴ喋る、ただのデブって感じで、正直イマイチです。
 DVDは紙のアウターケース入りで、トップの図版がそれですが、あたしゃこれより、中身のジャケの方が好み。スクイーズのシネスコで、画質は佳良。
 音声は、伊語ドルビー5.1chと、伊語モノラルと、英語モノラルの三種類。英語音声が入っているのは嬉しいんだけど、残念ながらインターナショナル版の尺が本国版より短いのか、あちこち英語音声が欠けているところがある。で、そーゆーときに自動的に伊語音声に切り替わって英語字幕が出る……なんてサービスもなく、いきなり無音になっちゃうもんだから、最初はビックリしました(笑)。
 DVDと一緒にサントラCDもついていて、本来なら喜ぶべきところではありますが、前述したように国内盤CDが出るので、あまりありがたみなし。しかも、このオマケCDの収録曲数は10曲なのに対して、国内盤は18曲だし。
Tepepa_whip 最後に、責め場情報。半裸の男が牛追い鞭で打たれるフロッギングのシーンあり。
 実は、この映画のポスターとかには、必ずこの鞭打ちの絵が入っているので、あたしゃてっきりトーマス・ミリアンがやられるのかと思って、ワクワクしてたんですけど、実際に映画を見たら、鞭打たれるのは別の男でした(笑)。
 とはいえ、こっちの被虐者もタイプ的にはOKなので、これはこれで良し。シーンとしては短いですが、けっこう痛そうだし、迫力もあります。
【追記】日本盤DVD出ました!

復讐無頼~狼たちの荒野 スペシャル・エディション [DVD] 復讐無頼~狼たちの荒野 スペシャル・エディション [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2009-10-02

“Beatrice Cenci”


“Beatrice Cenci” (1969) Lucio Fulci
 ルチオ・フルチ監督の日本未公開映画、フランス盤DVD。

 映画の内容は、16世紀のイタリアで実際にあった事件。美少女ベアトリーチェ・チェンチは、暴君で知られる父親フランチェスコから監禁・凌辱され続け、ついに義母や兄や恋人と共謀して父親を殺害する。しかし、それが発覚。チェンチ家を取りつぶして財産を没収したい教皇庁の思惑も絡み、チェンチ一族は酷たらしい拷問の末、全員斬首されてしまう……っつー、神も仏もない話(でも実話)です。
 ルチオ・フルチって、グロくて汚いだけのホラーを撮る監督というイメージで、実はあんまりいいイメージがなかったんですが、この映画を見たら、少しイメージが変わりました。
 冒頭の移動撮影による、当時処刑場だったサンタンジェロ城周辺の描写、細かなカット割りと極端なクローズアップやパンフォーカスによる、処刑人がベアトリーチェを連行しにくるシーンの緊張感、フランチェスコ・チェンチが男を犬に喰い殺させるシーンの、激しく揺れる手持ちカメラの迫力……などなど、画面に驚くほど力がある。ちょっとビックリです。
 気になって調べてみたら、この”Beatrice Cenci”は、フルチにとって意欲作だったらしいですな。でも観客の反応はブーイングで、評価もされずに落ち込んじゃったらしい。画面のあちこちから、この映画にかける意気込みのようなものは、ひしひしと伝わってくるので、何だか気の毒な気がします。

 ただまあ、諸手を挙げて絶賛というわけでもなく、例えば前述のパンフォーカスが多用されるんですが、厳密にはパンフォーカスではなくって、画面の左右をそれぞれマスク分けしたもの(こういう技法って、何て言うんでしょ?)。だから、マスクの境目にまたがったオブジェクトは、左右でいきなりフォーカスが変わっちゃうので(例えば、人の顔と胸にはピントが合ってるのに、肩だけボケる、みたいな感じになる)、かなり不自然さが気になる。凝っているわりには、感覚が雑。
 あと、過去と現在と時制をカットバックしながらモノガタリが進行していくスタイルなんですが、ちょっと捌ききれていなくて混乱している印象もあり。ただ、これはイタリア語の鑑賞だったので、私が内容を把握しきれていないだけかも知れません。でも、ベアトリーチェの置かれた状況の悲惨さとか、殺人にいたるまで追いつめられていく様子とかは、正直あんまり伝わってこなかったなぁ。

 しかし、映画全体に漂っている「しょせん人の世なんて醜くて汚いんだよ」とでも言わんばかりの、何とも言えない不潔感と厭世観は良かった。これだけでも、前述した不満点を凌駕する価値ありです。
 前述した、犬に人を食い殺させるとか、あるいは拷問シーンなんかに、そういったエグ味があるのは、まあ当然と言えば当然なんですが、この映画の場合、そういったもの以外のちょっとしたシーンでも、ほぼまんべんなく同じグロテスクな雰囲気がある。
 例えば食事のシーンでは、他者の肉を喰らう「欲」としての食欲が露悪的に強調されているような感じだし、裁判官(かな?)が話し合っているシーンとかでも、変に密閉感のある暗い部屋で、しかも汗がだらだら流れてたり。男女共にヌードシーンも多々あるんですが、これまた裸体の美しさなんて微塵もなく、あえて醜悪に撮っている感じ。…まぁこれに関しては、私はヘンタイなので、そういった醜悪な裸体でも、「う、これはけっこうエロいぞ」なんて、別種の美を感じますけど(笑)。
 中でも特に気に入ったのは、被虐者が無惨な拷問を受けている横で、それを大した興味もなさそうに眺めながら、鶏の脚か何かをムシャムシャ食っているヤツがいるあたり。この発想の悪趣味さと凶悪さは、かなりポイント高いです。
 まあ、そんなこんなで、汚穢の美学みたいなものが全体に漂っていて、そういうのが好きな人だったら、けっこうツボな内容だと思いますよ。

 ベアトリーチェ役のアドリエンヌ・ラルッサは、小さな顔に細い顎と大きな目玉に、なんだか神経症的な魅力がある、なかなかの美人です。ホラーやサスペンス映えしそうなお顔。ただ、悲劇のヒロインとして感情移入するには、いまいち清純さや悲劇性には欠けるかも。
 暴君フランチェスコ・チェンチ役のジョルジュ・ウィルソンは、これは秀逸。恰幅のいい身体に、目つきに凄みがある髭面で、好色や強欲でギラギラしている悪漢としての、説得力も魅力もある。ヒゲ熊オヤジ好きには、全裸水浴びシーンのオマケ付き(笑)。
 ベアトリーチェの恋人オリンポ役は、トーマス・ミリアン。この人、私けっこう好きでしてねぇ。基本的な顔立ちはハンサムなんだけど、ギラギラして薄汚れているのが似合う系だし、しかも映画ごとに、例えば『情け無用のジャンゴ』の被虐エロスとか、『走れ、男、走れ』のヘナチョコな可愛さとか、違った魅力を見せてくれる。あと、脱ぎっぷりや責められっぷりもいい(笑)。『情け無用のジャンゴ』の腰布一丁磔責めは、マイ・フェイバリットの一つだし、『走れ、男、走れ』でも、風車の羽に縛り付けられてグルグル回されたり、両手吊りで縛られて脱がされちゃったりしてます(笑)。今回はヒゲなしなのが残念だったけど、でもしっかり脱ぎ場と責め場はあり。……白状すると、私がこのDVDを買った最大の目当てって、このトーマス・ミリアンの拷問シーンだったんですけどね(笑)。

 DVDはフランス盤。ジャケ写からも感じが判ると思いますが、デジパックの外箱入りで、ルチオ・フルチの映画とは思えない高級感(笑)。音声は伊語と仏語、字幕は仏語のみ。スクイーズ収録のワイド。画質は佳良。特典映像で、フルチのドキュメンタリーやインタビューのオマケが、合わせて一時間少々。
 なかなか見応えのある映画なので、日本盤がでて欲しいけど、まあ望み薄でしょうなぁ。どうせなら、『マルペルチュイ』『怪奇な恋の物語』と併せて、「ヨーロッパ・カルト・ホラーBOX」とか銘打って出してくれると嬉しいんだけど(笑)。

 最後に、責め場情報。前述したように、トーマス・ミリアンの拷問シーンあり。
 まずは、拷問柱を背にしてバンザイ縛りで、引き延ばし責め。ロングありアップあり、被虐者の熱演に腕の関節部分に血筋が浮く等の効果もあって、単純な責めながら見応えあり。
 お次は、車輪縛りで焼き鏝責め。これまた、じっくりたっぷり見せてくれます。更に嬉しいのは、引き延ばし責めでは下半身着衣だったけど、焼き鏝責めでは服や下着ではなく、性器のみを布で覆ったスタイルになっているところ。片方の腰が丸ごと裸なのが、何ともエロティック。
 まあ、具体的にどんな感じかは、下の画像をご覧あれ。こんな感じで、マッチョ好きには物足りないでしょうけど、拷問シーンそのものの出来映えは、かなり良いですぞ。

関西クィア映画祭で”Desert Dungeon”上映

Bannerkqff
 前にここここで書いた、趣味でシコシコ自主制作している3DCGアニメーション "Desert Dungeon" が、7月20日から24日まで大阪で開催される関西クィア映画祭で、上映されることになりました。
 日時は7月20日(金)19:30から、同映画祭のオープニング・プログラム「タイヘン×ヘンタイ」の中で上映されます。チケットや場所等の詳細は、関西クィア映画祭の公式サイトをご覧ください。前売りは6/10(日)から発売開始だそうです。

 この "Desert Dungeon"、昨年11月にも渋谷のアップリンク・ファクトリーにて、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』刊行記念イベントの一環として上映されました。そのときのバージョンは、act 1から6までの合計約20分でしたが、今回の関西クィア映画祭では、それに未発表分も含めた act 7から9までを追加した、約30分バージョンでの上映になります。
 基本的にひたすら趣味で制作して、自分のサイトで公開してきたシリーズですが、容量の問題から小さいサイズでの公開でしたし、しかもサーバ負荷の問題から、過去のactは順次公開終了せざるをえない状況。こうしてパブリックな場での上映機会をいただけるのは、本当に嬉しい限り。お招きくださった同映画祭スタッフの方には、感謝感激であります。
 で、この作品、実は現在もう一つ、海外のインディペンデント映画祭からもお誘いを受けております。まだ調整中でどうなるか判りませんが、これも実現してほしいもの。

 で、お話しをいただいたときに「予告編とかはありますか?」とのお問い合わせがありまして、そんなものはなかったんですけど、せっかくだからいい機会なので作ってみました。

 例によってiMovieで制作したもの。YouTubeの規制に引っかからないよう、念のためにマスクをかけました。BGMは、前に作った "Memnon" という自作曲を、尺に合わせてエディット。

 そんなこんなで皆様、よろしかったらぜひご来場くださいませ。
 あ、それと映画祭ではボランティア・スタッフの募集もしているそうです。
 どんなイベントでも、人手不足や資金難はつきもの。更にこーゆーイベントって、スタッフとして参加すると、お客さん視点とはまた違った楽しさがあるものです。興味のある方は、尻込みしていないで、じゃんじゃんお手伝いしちゃいましょう。

『怪奇な恋の物語』


『怪奇な恋の物語』(1969)エリオ・ペトリ
“Un tranquillo posto di campagna” (1969) Elio Petri

 先日、雑誌で「フランコ・ネロとヴァネッサ・レッドグレーヴが去年結婚した」という記事を読んで、相棒と二人で「え〜っ、なんで今になって?」とビックリしてしまいました。
 だって、この二人が付き合ってたのって、1967年の『キャメロット』で共演したとき。その頃に同棲して、間に子供もできたけど、けっきょく結婚はしなかった。それが30年後に、あらためて結婚したってんだから、まあビックリもしますわなぁ。でもまあ、二人とも好きな俳優さんなので、何となく嬉しい気もします。
 で、そんなこんなでビックリしていたら、久々に見たくなったのが、二人が共演した、この『怪奇な恋の物語』という映画。
 私が、フランコ・ネロの何が好きかっていうと、ぶっちゃけ「顔」です(笑)。
 周囲に言わせると、私はメンクイなんだそうですが(……まあ、否定はしません)、でも、いわゆるツルッとした二枚目ってのはあまり好きじゃない。王子様系とかサワヤカ系には、全く興味なし。メンクイなんだけど、「ちょいワイルド系入ってます」とか、「ハンサムだけど薄汚れてます」とか、「顔は整ってるんだけどギラギラしてる」とか、そんなタイプが好きなんですな。フランコ・ネロは、そこいらへんのツボをモロに押される(笑)。

 で、この『怪奇な恋の物語』なんですが、実はこれは私にとって、長いこと「見たいのに、すっごく見たいのに、それでも見る機会がなかった」幻の映画でした。何でそんなに見たかったのかというと、その昔、芳賀書店から出ていたシネアルバムという本のせいでして。
 このシネアルバムってのは、いわばスターの写真集&フィルモグラフィーみたいなシリーズなんですけど、その、フランコ・ネロ編に載っていたこの映画のスチル写真が、彼が「フルフェイスのヒゲ&パンツ一丁で、椅子に縛られている」とこと、「首にギプスをして車椅子に乗っている」とこと、「ナイフを突きつけられている」とこだったんですな。
 これが男子中学生の股間を直撃しちゃいまして(笑)。覚えたての劣情が刺激されまくり、「死ぬまでにゼッタイに見たい映画リスト」のトップに入っちゃった(笑)。
 上の画像は、そのスチルとは違うんですけど、同じシーンの撮影風景です。……ね、筋肉とかはあんまりないけど、ヒゲモジャ&体毛ボワボワ&ボンデージで、私の描く絵みたいでしょ(笑)。
 でも、なかなか見る機会がなくて、それから20年後くらいに、ようやく覚えたてのインターネット通販で、アメリカ版VHSビデオを発見。大喜びしてそれを注文購入し、念願叶ってようやく見られた……ってないきさつががあります。

 映画の内容は、前衛芸術家が田舎の屋敷をアトリエに借りると、それが幽霊屋敷で、現実と幻想が交錯していく……ってなサスペンス・ミステリー。
 現代的な(あ、当時における、ね)アヴァンギャルド・アートと、古色蒼然としたゴシック・ロマンっつー、いっけん相反するような要素が絡み合い、独特な雰囲気を醸しだしているのが面白い。制作年代を反映して、ちょいとサイケなムードがあるのもいい感じ。音楽も、これまた現代音楽的な前衛系と、スキャットを使ったサイケ・ムードが混在しててステキ。後年、サントラCDを見つけて購入したんですが、その時になって初めて、エンニオ・モリコーネだったと知った(笑)。
 で、目当てのスチル写真のシーンですが、「いつ出てくるんだろ〜?」とワクワクして見ていたら、映画の冒頭、十分足らずのところで、もう「パンツ一丁ボンデージ」は出てきてしまって、ちょいと拍子抜け(笑)。メイン・ディッシュのつもりが、アペタイザーだった、みたいな(笑)。
 でもまあ、そんな下半身絡みは抜きにしても、印象的で好きなタイプの映画です。今回、改めて調べてみたら、イタリア盤DVDが出ているのを発見したので、買おうかどうか思案中。
 ホントはね、日本盤が出てくれりゃ一番いいんだけど、こういうカルトというにはイマイチ地味な、マイナー系のヨーロッパ映画って、なかなかそういう可能性も少ないし……ね。

 あ、しまった、ヴァネッサ・レッドグレーヴについて何も書いてねぇや(笑)。
 とりあえず『肉体の悪魔』と『ジュリア』と『ダロウェイ夫人』の日本盤DVDの発売を祈願。
 あ、ついでに『トロイアの女』も。なんでついでかっつーと、この映画ではヴァネッサ・レッドグレーヴよりも、キャサリン・ヘップバーンとイレーネ・パパスの方がスゴかったから(笑)。

「ソドムとゴモラ」サントラ

「ソドムとゴモラ (Sodoma e Gomorra)」サントラ
Sodoma_e_gomorra_cd

 ロバート・アルドリッチ&セルジオ・レオーネ監督による、米伊合作大スペクタクル映画のサントラCD。
 音楽はミクロス・ローザ。サントラCDは既発のものがありましたが、今回のこれは、ミクロス・ローザ生誕100周年記念と銘打った二枚組。過去のアルバムには未収録だった曲はドバドバあるわ、未発表テイクも入っているわで、前に出ていたCDは持っていたけど、やっぱ買い直しちゃいました。
 っつーのも私、このスコアが大好きでして。大作スペクタクル映画の劇判のお手本のような、壮大、重厚、ロマン、エキゾ、全てがテンコモリの、実に堂々たる音楽。概して私は、史劇のサントラは大好きなんですが、なかでもこの「ソドムとゴモラ」と、同じくミクロス・ローザの「ベン・ハー」、そしてエルマー・バーンスタインの「十戒」が、お気に入り三大巨頭。

 そんなわけだから、もうこの映画のサントラ買うのは何度目かな。最初に買ったのは、まだガキの頃。「ベン・ハー」のシングル盤で、そのB面が「ソドムとゴモラ」の序曲で、A面よりB面の方を良く聴いていました。それから、確か高校生くらいのときだったと思うけど、「すみや」というレコード屋さんが、LPでサントラを復刻発売してくれまして、もういそいそと買いに行ったもんです。ちなみに同じ復刻シリーズで、「サテリコン」のサントラも発売されて、これも大喜びで買った(笑)。で、五〜十年前くらいに、輸入盤で前述のCDを見つけて購入、そして今回の二枚組。
 因みに、ありがたいことに、前述の「ベン・ハー」のサントラも、二枚組CDが出ていて、それを持っている。が、残念なことに「十戒」は、一枚もののCDしか持ってない。昔、アナログ盤で出た二枚組LPを持っているんだけど、一枚もののCDには未収録の曲とかがあるんだよなぁ。一枚もののCDも既に廃盤らしく、amazonのマーケット・プレイスでトンデモナイ値段が付いているくらいなんだから、二枚組のヤツを復刻して欲しいもんです。
 そんなこんなで、今回出た「ソドムとゴモラ」二枚組、まぁ、聞き覚えのない曲が出てくるわ出てくるわ。DIGITMOVIESのサイトを見ると、早くも在庫稀少とのことなので、欲しい方はお早めに。

 あとついでに、映画のDVDも出てくれりゃいいんですけどね。「ベン・ハー」とか「十戒」とかはコレクター盤が発売されているし、「聖衣」や「ディミトリアスと闘士」や「キング・オブ・キングス」や「偉大な生涯の物語」や「天地創造」とかも正規盤で出ているし、「サムソンとデリラ」や「クオ・ヴァディス」はパブリック・ドメイン盤で出てるんだけど、「ソドムとゴモラ」はないんだよな〜。ドイツ盤を見つけたんで、とりあえず買ったけど、やっぱ字幕付きが欲しい。
 ま、映画としてはさほど評価は高くない作品ではありますが、セットやモブのスケール感や、回転する車に縛り付けられての火あぶりのシーンだけでも、私としては満足の映画です(笑)。美人もいっぱい出てくるしね。

 そういや、ちょっと前にテレビ映画らしき「ソドムとゴモラ」ってDVDが出たんですが、リチャード・ハリスが主演のヤツ。これ、見たら原題が “Abraham” で、よーするにアブラハムの伝記映画みたいなもんで、ロトやらソドムとゴモラの滅亡なんてのは、ほんの脇筋、ちょっとしか出てこないっつー、サギ邦題系でした(笑)。
 でもまあ、ソドムとゴモラのエピソードや、スペクタクルを期待して見ると「何じゃこりゃ」ではありますが、サギ邦題だとわきまえて見る分には、聖書やら歴史やらに興味がある人だったら、地味ながらもそれなりに面白く見られる内容でした。同じテレビものでも、紅海が割れるシーンの余りのショボさに腰砕けになった、ベン・キングズレー主演の「十戒」よりゃ、よっぽどマトモかな(笑)。
「ソドムとゴモラ(Sodoma e Gomorra)」(amazon.co.jp)

「闘将スパルタカス」「ヘラクレス 魔界の死闘」サントラ

「闘将スパルタカス (Il figlio di Spartacus)」サントラ
Il_figlio_si_spartacus_cd
 セルジオ・コルブッチ監督、スティーヴ・リーヴス主演の「闘将スパルタカス」のサントラCD。映画の内容については、前にここで紹介しました。
 音楽はピエロ・ピッチオーニ。復刻サントラで有名なDIGITMOVIESから出ている、ソード&サンダル映画サントラ集 “The Italian Peplum Original Soundtrack Anthology” シリーズ、第四弾。これで、このシリーズのリーヴス主演映画のサントラは二枚目。うふふ、この調子でもっと出してくれぃ(笑)。
 リフレインしながらじわじわと盛り上がっていくストリングスに、勇壮に吹き鳴らされるホーンが重なり、ティンパニがダダダダ〜ッと加わって盛り上がっていくテーマ曲は、スペクタクル系の壮大さと、西洋チャンバラ的軽快さが上手い具合にブレンドされていて、なかなかいい感じ。いかにもヒーロー映画といった趣が、気分を高めてくれます。
 スローテンポな曲や、宴会シーンの音楽などで顔を出す、民族楽器を使ったいかにも西洋史劇的なエキゾ風楽曲も、かなり魅力的です。反面、ウットリ系のスウィート成分や、ロマンティック成分は控えめ。
 ピクチャー・ディスクで、CD盤面には上半身裸のリーヴス様がデ〜ンと。8ページあるブックレットはフルカラーですが、おそらくほとんどはDVDからのキャプチャ画像っぽい。その他は、人着された当時の宣材スチル一点、公開当時のアメリカやイタリアのポスター画像、スペイン盤DVDのジャケなんかが載ってます。
「闘将スパルタカス」サントラ(amazon.co.jp)
 この “The Italian Peplum Original Soundtrack Anthology” シリーズ、前にここで第一弾の「ヘラクレス/ヘラクレスの逆襲」を紹介しましたが、第二弾でジュリアーノ・ジェンマ主演の「タイタンの逆襲 (Arrivano i titani)」、第三弾でジュゼッペ・ヴァリ主演の "Roma contro Roma (War of the zombies)" が既に発売されています。でも、私は映画を未見なのでスルー。
「ヘラクレス 魔界の死闘 (Ercole al centro della terra)」サントラ
Ercole_al_centro_della_cd
 マリオ・バーヴァ監督、レジ・パーク主演の「ヘラクレス 魔界の死闘」のサントラ。映画については、前にちょっとここで触れました。
 音楽はアルマンド・トロヴァヨーリ。以前、渋谷系とかが流行ったときに持て囃されましたが、このサントラはそーゆーヒップ系じゃないです。これもDIGITMOVIESからの復刻なんですが、”The Italian Peplum Original Soundtrack Anthology” シリーズではなく、バーヴァ監督映画のサントラ・シリーズの第五弾として発売されています。
 映画が「ソード&サンダル映画 meets ホラー映画」という変わり種なので、音の方もまさにそんな感じ。基本はホラー系で、不安感を煽る怪しい旋律、不協和音、パーカッション群の乱打、ストリングスのトレモロなどで、じわじわと不気味感を煽ってくるんですが、たまにホーンによるスペクタクル系の壮大&勇壮なモチーフや、木管やハープによるエレガントでロマンティックなモチーフが顔を出したりして、でもまたすぐにホラー系に戻る……ってな調子で、何とも不思議な感じ。
 幾度も顔を出す、低音のピアノやティンパニによるリフに、怪しい電子音やストリングスが重なり、ホーンが高らかに吹き鳴らされるメイン・モチーフは、不気味かっこよくて、けっこうクセになります。
 情緒的だったりエモーショナルだったりする要素は希薄ですが、現代音楽的な面白さがあり、雰囲気的にはジェリー・ゴールドスミスの「猿の惑星」のスコアとかに近い感じ。
 12ページのブックレットは、各国版ポスター、スチル写真などがたっぷり。う〜ん、やっぱりレジ・パークは、筋量たっぷりのいい身体してるなぁ(笑)。盤面もカラーのピクチャー・ディスク使用。
「ヘラクレス 魔界の死闘」サントラ(amazon.co.jp)

ちょっと宣伝、読み切りマンガ描きました

Byoubyou 5/18発売の「肉体派−筋肉系コミックアンソロジー (vol.5)」(オークラ出版)に、読み切りのショート・コミックを描きました。
 アンソロのお題が「制服・ユニフォーム」だったので、明治時代の軍服モノを描きました。左の二人がメインキャラです。
 8ページのショートなので、読み応えとかはアレですが、けっこうラブい話です。こーゆー話を描いたのは久しぶりかも。
 タイトルは『雪原渺々(せつげんびょうびょう)』。よろしかったら、お読み下さいませ。
amazon.co.jpで購入