PoserとかVueとかGarageBandとかLogic Expressとか新しいJamPackとか

 前にここで書いた趣味の3DCGムービー制作、ようやくact 3が完成。これで、トータル6分45秒……って、短っ(笑)。
 今回はちょいエロ入ってきたんで、こっちにはリンク貼りませんが、近々本家サイトにアップしますんで、18歳以上で興味のある方は覗いてみてください。
 で、今回のムービーで今までと違うのは、BGMであります。前回まではGarageBandを使っておりましたが、今回はLogic Expressを使用。
 何が一番違うかというと、Logic ExpressだとQuickTimeムービーを読み込めるので、映像と音のシンクロが容易になったこと。
 iMovieで映像の編集が終わったら、低解像度のQuickTimeムービーで書き出し、それをLogic Expressで読み込む。すると、Logic Expressにムービーのトラックが出来る。ムービー・トラックとオーディオ・トラックはリンクしているので、ムービーのカーソルを音を入れたいタイミングのフレームに動かして、そのまま任意のオーディオ・トラックにリージョンを作り、ロケーターの位置にノートを打ち込めば良いわけです。
 で、これがかなり楽。
 前にBGMをGarageBandで作っていた時は、iMovieで映像のアバウトなタイミングを、ストップウォッチや電卓で調べておき、それを元にGarageBandでアバウトな長さのBGMを、モチーフごとのブツ切り状態で作る。そうやって素材が揃ったら、iTunes経由でiMovieにインポートして、二つあるオーディオトラックに交互に配置して、タイミング修正とかフェードアウトやトリムをしていく……って手順だったわけです。
 しかし、いかんせんGarageBand上ではアバウトな作業しかできず、いざiMovie上で映像と合わせてみると、ちょっと早すぎたり遅すぎたりといった不満が出て、再度GarageBandに戻ってBPM変えたりして調整……ってな作業の繰り返しで、これがけっこう面倒くさかった。
 これがLogic Expressを使うようになってからは、BGM制作はムービーとシンクロさせながら作って一発で完了、それをバウンスしたものを、やはりiTunes経由でiMovieに取り込み、そのままオーディオトラックにペッタリ貼り付ければ、もう完了です。微調整の必要や、再度Logic Expressに戻る必要は、いっさいなし。
 という具合で、今回は映像と音のシンクロも、前2回に比べると、ずっとバッチリ合わせられました。しかも、ずっと簡単に。
 Logic Express様々であります。
 ……ってなことを書こうと思ってたんですよ。
 でもね、つい昨日だったか、新しく出たiLife ’06に入っている、新しいGarageBand 3の詳細を見たら、うわ、今度のGarageBandには「iMovieプロジェクトのためのスコア機能」ってのが付いてるじゃん(笑)。ってことは、GarageBand 3なら、前述のような映像にシンクロした音を作ることが、Logic Express同様にラクチンみたい。なんでぇ(笑)。
 ただ、GarageBand 3に新たに加わった機能は、このiMovie絡みやPodcastやiChat絡みのものばかりで、音楽制作的には、あまり変化はなさそう。エフェクター周りに手が入っているようだけど、テンポチェンジとかはないみたいだし。
 あと、拡張ループ&音源のJamPackシリーズから、最初に出ていたJamPack 1が消えて、新たに一つ加わっているところを見ると、別売だったJamPack 1が最初からバンドルされているのかも知れませんね。
 ンで、私的にはGarageBandのバージョンアップよりも、ずっと嬉しいニュースが、この新しく出たJamPack 5 World Musicってヤツ! 「うひょ〜、待ってました!」ってカンジ!
 実は民族楽器系では、best serviceのEthno World 3というヤツを買ったんですけど、マルチ・インストゥルメントを扱えないGarageBandで使うには重くてねぇ。もっぱらLogic Express専用でしか使っていなかった。
 あと、AMGのExpansionPack for GarageBand & Logic 7ってヤツ。これに、バグパイプやユーリアンパイプやマンドリンやフィドルが入っていて、これはGarageBandでも軽いので良く使っているけど。
 というわけで、このJamPack 5 World Music、まだApple Storeでも「6週間後発送」という状態だけど、うふふ、もう絶対に買っちゃうもんね(笑)。サントゥールとバラライカとティン・ホイッスルが楽しみ。
 でも、12GBだって……。JamPackシリーズの音源やループを、外付けHDで使う方法がイマイチ不明なので、とりあえず内蔵HDのお掃除をして、空きを作らんといかんなぁ……。

アレクサンドル・プトゥシコ+α

 前にここで紹介した『イリヤ・ムウロメツ 豪勇イリア・巨竜と魔王征服』以来、すっかりアレクサンドル・プトゥシコの映画のトリコになってしまい、ロシア盤DVDをせっせか購入したので、まとめてご紹介。

sadko
『虹の世界のサトコ』(1952)
 サトコといっても、日本人のオンナノコじゃありません。ヒゲの生えたアンチャンです。
 竪琴と歌の名手サトコが、海の王の娘の力を借りて、幸福を求めて商人として世界を旅する……ってなお話なんですが、タイトルを知るのみで内容を知らなかったウチの相棒は、てっきり「サトコというオンナノコが夢の世界で冒険する話」だと思っていたそうな(笑)。まあ私も、タイトルだけ見たときには「『ノンちゃん雲にのる』みたいな話かしらん?」と思いましたが(笑)。
 内容は、とにかくファンタスティック。スケール的には『イリヤ…』ほどではないけれど、それでも宮殿のセットとかは豪奢だし、町の遠景なんかは、『イリヤ…』同様の舞台美術的な様式美と映画的なリアリズムの混淆といった趣で、実に魅力的。旅のヤマ場の一つであるインドのシーンなんか、エキゾチックな魅力満点です。
 もう一つ、海底にある海の王の宮殿のシーンも良い。これはどっちかというと舞台美術っぽい作りなんですが、巨大なハリボテの魚と小さい人間のスケール感とか、ブルーを基調に原色を散りばめたキラキラしい美術とか、とってもロマンチック。で、そっから脱出するときは、タツノオトシゴに乗ってくの。う〜ん、ファンタジー。
 あと、特撮映画的な楽しさでは、何といってもインドの人面鳥がダントツ。鳥の身体に美女の顔という、迦陵頻伽かガルーダみたいなクリーチャーなんですが、出来も良く実にファンタスティック。
 とまあ、こういう具合に、レイ・ハリーハウゼンやカレル・ゼマン系の、レトロなファンタスティック映画好きだったら、見て損はないですぞ。実に楽しくてオススメ。
『サトコ』というと、リムスキー・コルサコフの同名オペラが有名ですが、映画の劇判もこれを基にしているらしいです。とはいえ、私はそっちは良くは判らないんですが、とりあえず前述の人面鳥が歌う歌(これを聴くと、みんな眠ってしまうのだ)が、同オペラで有名な「インドの歌」でした。

【追記】日本盤DVD出ました。

虹の世界のサトコ [DVD] 虹の世界のサトコ [DVD]
価格:¥ 4,935(税込)
発売日:2006-10-25

tsarsaltan
『サルタン王物語』(1966)
 これは、三人姉妹の末娘が玉の輿に乗って王の后になるのだが、姉たちの企みで生まれた王子共々樽に詰められて海に流され、不思議な魔法の島に漂着し……という内容で、元になっているのはプーシキンの叙事詩だそうな。
 で、これまた実にファンタスティックでして。『サトコ』では海の王の娘が力を貸しましたが、今回その役回りをするのは白鳥の化身のお姫様。このお姫様の登場シーンは、流石はボリショイ・バレエのお膝元って感じで、そのロマンチックさに乙女心(オカマ心だろ)が擽られます。お話的には、童話や民話のお約束の「繰り返し」と「予定調和」なので、退屈な人には退屈だろうけれど、逆にそれ系が好きなら大満足。
 特撮シーンに詩情が豊かなのも特筆モンでして、特に魔法の島を守る巨人騎士の軍団の登場シーンは、ちょっとコクトー映画を思い出させるような美しさです。あと、パペットっぽい楽しさもあり、王が癇癪を起こすと、玉座の飾りの獅子がビックリして逃げ出しちゃうシーンが大ウケ。もう一つ、魔法の島で歌を歌いながら黄金のドングリの殻を割るリスってのが出てくるんですが、アニマトロニクスちっくなリアルなリスで、声はチップマンクス系の早マワシのキーキー声で、可愛い可愛い(笑)。そうそう、サルタン王の戦争相手である、「腹踊り」にしか見えない愉快なモンスター軍団も必見。
『イリヤ…』も『サトコ』も、あちこちにユーモラスな描写が散りばめられてましたが(この二つだと『イリヤ…』の方が比較的シリアス寄り)、『サルタン…』では更にその比重はアップ。クスクス笑いながら楽しく見られる、ファンタスティックなおとぎ話映画。
『サトコ』同様に、この『サルタン…』もリムスキー・コルサコフのオペラがありますが、前述のリスの歌が、やはり同オペラ中の一曲でした。
 一つ残念なのが、DVD自体に多少問題アリなところ。まず、これは冒頭部分だけなんですが、テレシネのミスか、アスペクト比が変な部分がある。もう一つ、日本語字幕入りなんですが、タイミングが前後にズレていて役に立たない。戦争シーンなのに、「お粥がヌルい」みたいな字幕が出る(笑)。私は途中であきらめて、英語字幕に切り替えました。

【追記】日本盤DVD出ました(前述のミスが直っているかどうかは未確認)。

サルタン王物語 [DVD] サルタン王物語 [DVD]
価格:¥ 4,935(税込)
発売日:2006-12-22

ruslanludmila
『ルスランとリュドミーラ』(1972)
 これまたプーシキンが原作で、今度はグリンカのオペラで有名なお話。
 異民族からキエフを守った勇者ルスランは、大公のリュドミーラの婿に選ばれるが、婚礼の晩、リュドミーラは魔法使いチェルノモールに攫われてしまう。大公は怒ってルスランを追放、ルスランは妻の行方を捜し、同時に婿にはなれなかった他の求婚者たちもリュドミーラの捜索に出て……という内容。
 これはもうね、はっきり言って最高でした。プトゥシコ作品の集大成なんじゃないかと思うくらい。『イリヤ…』『サトコ』『サルタン…』で見られた諸々の魅力が、全てパワーアップして一つの映画の中に集結してる感じ。
 特に美術に関しては、プトゥシコ作品全般で私をえらく惹きつける、古典的な力強さや優美さと、どこかキッチュな味わいがミックスされた美しさが、もう爆発って感じでした。チェルノモールの宮殿のシーンなんか、見てるだけでも満足。ここいらへん、何となくプトゥシコって感覚がゲイっぽい……と思うのは、私の気のせいだろうか(笑)。
 特撮的には、ルスランが武具を授かる、荒野の「あたま」が良かった。要するに巨人の生首なんですが(笑)、だだっぴろい中に巨大な「あたま」がゴロンとしてるってゆー、ヴィジュアルのインパクトがすごい。で、喋ると「あたま」に住み着いていた鳥が飛んでったりして、思わず「アルゴナスの石像」かと(笑)。もう一つ、宮殿を地下で支えている鎖に繋がれた巨人たちがいまして、これがなかなかのマッチョで、しかも半裸なもんだから、私の中のヨコシマな部分も擽ってくれたし(笑)。
 お話的にも、他の作品と比べると多少複雑で、実際に長尺でもあります。DVDも二枚組だし、何しろルスランがチェルノモールを倒してリュドミーラを救出したところで、まだお話の半分。後半のヤマ場は、キエフに攻め込む異民族との大合戦。『イリヤ…』みたいにドラゴンこそ出てきませんが、軍勢のスケールはでかいし、生首が豪快にポンポン飛ぶし(笑)、映画のクライマックスとしても大満足。
 というわけで、これはマジで傑作!

【追記】日本盤DVD出ました。

ルスランとリュドミラ [DVD] ルスランとリュドミラ [DVD]
価格:¥ 6,090(税込)
発売日:2007-05-25

scarletsail
『深紅の帆』(1961)
 これはどうやら日本では未公開らしいんですが、アレクサンドル・グリーンの同名小説の映画化。
 純朴な村娘アソールは、幼い頃老人から聞いた「いつか赤い帆の帆船に乗った王子様が、お前を迎えにきて、幸せにしてくれる」という話を、村人からは変わり者だと馬鹿にされながらも、ずっと信じ続けている。一方、船乗りに憧れている金持ちの家の少年アーサーは、父親への反発から家を出て船乗りになり、そして……という話。
『イリヤ…』『サトコ』『サルタン…』『ルスラン…』とは異なり、民話系の話ではないんですが、ある意味での「おとぎ話」という点では共通しており、これは大人のおとぎ話。信じること、夢見ることの大事さを語り、実に幸福な気持になれます。もっとも原作のグリーンは、そういった作風ゆえに、生前は文壇から黙殺、死後もスターリン時代に抹殺という憂き目を辿ってしまったらしいですが。
 という具合で、これはいわゆるファンタスティック映画的な派手さや、スペクタクルな見せ場はないんですが、それでもしみじみと良いファンタジー映画です。
 そんな中で特筆したいのは、主人公アソールの愛らしさ。それもそのはず、演じるのはグリゴーリ・コージンツェフ監督のロシア版『ハムレット』でオフィーリア役の、アナスタシヤ・ベルチンスカヤで、しかもこれがデビュー作。オフィーリアも良かったけど、本作でのベルチンスカヤ嬢は、もう本当に輝くばかりの溌剌とした初々しさ。この魅力あって、大人のおとぎ話もなおさら引き立ちます。素晴らしい。

 さて、ここまでがプトゥシコ作品ですが、この一連を購入するついでに、他に注文した関連作も二本ご紹介。

vassilisa
『麗しのヴァシリッサ』(1939)
 これはどうやら日本未公開らしいんで、タイトル表記はとりあえず英題 “Beautiful Vasilisa” から仮訳。白黒のロシア民話系ファンタスティック映画です。
 年頃の三人兄弟が、そろそろお嫁を貰おうと矢を射る(矢が届いた相手と結婚する)と、上の兄二人には怠け者のブスと食いしん坊のデブがやってきて、末っ子イワンのところにはカエルがやってくる。ところが、実はこのカエルは魔法をかけられたお姫様で、カエルの皮を脱ぐと美人(いや、実は個人的には、たいして美人じゃないと思うんだけど、設定上は……ね)のヴァシリッサになる。で、結婚したはいいけれど、ヴァシリッサはすぐに魔女バーバ・ヤーガに攫われてしまい、蛇の花嫁にされそうになり、イワンはそれを救いに旅立つ……という内容。
 お話的にはシンプルこのうえない民話モノですが、ファンタスティック映画的な楽しさはなかなか。特に怪獣系で、ヨロイを守る大グモや、三つ頭の大蛇との闘いが楽しい。特に後者は『イリヤ…』のドラゴンの元ネタっぽいですな。
 監督のアレクサンドル・ロウという人は、1930年代から70年代にかけて、どうやらこのテのファンタスティック映画をいろいろ撮った人らしいです。RUSICOのカタログにも何本か入ってますが、残念ながら日本語字幕が入っていないものが多い。イワン役の男優は、前述の『サトコ』のタイトルロールのセルゲイ・ストリャーロフ。特典で、その息子さんが語る父親の想い出話なんてのが入っています。

vassilybuslayev
『ヴァシリー・ブズラーエフ』(1982)
 これもどうやら日本未公開。主人公の名前=タイトルなので、そのままカナ表記。英題は “Vasili Buslayev” で、やはり民話系。
 主人公ヴァシリー・ブズラーエフは、身体ばっかり育った怪力の大男で、ノヴゴロドの街の暴れん坊。住民から苦情を聞かされ、ヴァシリーの母親は心痛の毎日。いつものように暴れたオシオキに納屋に閉じこめられたヴァシリーは、旅の者からロシアを荒らす異教徒の話を聞いて一発奮起、己の力を生かすために、仲間を募って異国に奴隷として連れて行かれたロシア人たちを助けに出かける……ってな内容。
 モンスターや特撮系の見せ場は、全くなし。スケール的にも、やはり80年代という制作年代に相応して、プトゥシコ作品と比べると、かなりこぢんまりとしています。少なくとも、物量に圧倒されるようなシーンはないです。
 ただ、絵的にエピック系や歴史モノの重厚感はあり、そっちはプトゥシコ作品よりずっとシリアスな雰囲気で、これはこれで見応えあり。また、これも制作年代を反映しているのか、民話や伝説の割りには、妙に雰囲気が重苦しい。闘いのシーンとかも、斧で刺し殺されるのを見せたり、縄で縊り殺されると口から血が滴ったりと、けっこうエグめ。
 カメラはなかなか美しく、風景の切り取り方の詩情や重厚感はなかなかのもの。どことなく、パゾリーニやヘルツォークなんかを思い出させます。で、そーゆー映像美を見せつつ、合戦シーンを風景のパンとSEで処理したり、筏で漂流している難民のシルエットと、主人公の顔のドアップの切り替えに、ヴォイス・オーバーして状況説明をしたり、はたまた合成とシンメトリカルな画面構成で神に宗教的な問いかけをしたり……などなど、表現主義的な面白さもあり、絵的には見どころ多し。
 ただ、それと話の内容に、いささか齟齬を感じるのも正直なところ。また、マトモにやれば優に3時間はかかりそうな話を、90分足らずに収めているので、説明不足や描写不足も多々あり、一つの作品としてどこかいびつな感じがする。
 でも、そんないびつさや全体の雰囲気の暗さに、個人的にはけっこう惹かれます。少なくとも、駄作ではない。監督のゲンナディ・ヴァシリーエフという人には、ちょっと興味あり。RUSICOのカタログにはもう一本あり、しかもそれは前出の『ヴァシリッサ』の監督アレクサンドル・ロウへのオマージュ作品らしく、興味津々ではあるんですが、残念ながらこれまた日本語字幕がなくてガッカリ。
 あと、主演のディミトリ・ゾロトゥキンという役者さん、かなり目力があって魅力的。ジャケ写だとミョーにヌメっとしてますが、本編ではもっとワイルドな感じ。チラっとしか見えないけど、けっこうマッチョっぽかったし(笑)。

『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』

goliath
『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』(1959)カルロ・カンポガリアニ
“La terreur des Barbares” (1959) Carlo Campogalliani
 先日、ここで「これはレグ・パークでもアラン・スティールでもなくって、スティーヴ・リーヴス主演の『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』だぁ〜ッ!」とジャケにダウトを出しましたが、せっかくだからちゃんとした『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』(伊語原題 “Il Terrore dei barbari”、英題 “Goliath and the Barbarians”)の輸入DVDもご紹介しませう。
 フランス盤です。これは中身もちゃんと同映画なんですが、う〜ん、ジャケは先日のダウト盤の方が良いかも(笑)。
 映画の内容は、ヘラクレスものやマチステものとは違い、神話やファンタジー風味はなく、ゲルマン民族の大移動で、6世紀中頃にランゴバルド族に侵略されたイタリアを舞台にした歴史物。
 とはいえ本格史劇ではもちろんなく、立ち上がって侵略者に対抗したヒーローを描く、アクション・アドベンチャーです。で、そのヒーローのエミリアーノ役がスティーヴ・リーヴスで、その勇猛さから伝説の巨人ゴライアスと呼ばれる……ってのがタイトルの由来。でもさぁ、ゴライアスってゴリアテのことでしょ? 伝説だとダビデにパチンコで殺されちゃうわけで、あんまり縁起のいい呼び名じゃないような気もするんだけど(笑)。
 まあともかく、リーヴスはそんなこんなで大暴れ、敵将の娘で小悪魔系のチェロ・アロンゾとのロマンスもあり、戦闘シーンもセクシーダンスもある。大作感のない小粒ではあるものの、娯楽に徹した作りが小気味良く、さほどツッコミどころも度を超したチープさもない、手堅くまとまった佳品です。
 リーヴスのコスチュームが、時代背景と関係なく毛皮の腰布一丁とゆーサービス具合だとか、音楽が個人的にご贔屓の、ラウンジ&エキゾチカ系の名人レス・バクスターだってのも、個人的な好きポイント。
 しかし、何といっても一番なのは、責め場の良さなんですな(笑)。リーヴスの責め場の中では、この映画のそれが一番なのはもちろんのこと、ソード&サンダル映画全体の中でもトップクラスかも(笑)。
 とゆーわけで、今回はキャプチャ画像付き責め場解説(笑)。
 まず、最初はコレ。
goliath_scene1
 とっ捕まって横木に縛られたリーヴスを、蛮族の将軍がナイフでいたぶる。
 で、次はコレ。
goliath_scene2
 判りづらいけれど、リーヴスの首枷は、背後から綱引きよろしく、数人の男たちに引っ張られている。で、背後の板からは槍の穂先が何本も突き出していて、そのままジリジリ引きずられいくと、背中にブッスリ刺さってしまうという仕掛け。
 そして、最後はコレ。
goliath_scene3
 お馴染みの(笑)馬裂きです。縄で縛られた両腕を、左右から二頭の馬に引っ張られている。
 この一連の責め場を、尺もけっこう長くタップリと見せて、リーヴスもしっかり熱演してくれるもんだから、このテのが好きな人間には、もうタマランワイなわけです(笑)。
 オマケに、こんな感じの筋肉美の見せ場もしっかり用意されてます。
goliath_scene4
 まあ、そんなこんなで私はこの映画を、個人的にひたすら愛しているわけでゴザイマス(笑)。
 どのくらい愛しているかというと、コレくらい愛している(笑)。
desktop
 初公開、私のパソコンのデスクトップ画像(笑)。サイン入りスチル写真の画像を、個人的な趣味でセピアにしてます。
 因みに、もう一台のパソコンも、壁紙をリーヴスにしておりまして、そっちは『ヘラクレスの逆襲』のスチル写真だったりするのだ(笑)。
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 DVDはフランス盤なのでPAL。画質は、キャプチャを見ての通り、なかなか佳良。暗かったり色調が偏っているのは、これが夜のシーンのせい。若干ボケた感じはありますが、退色や傷はほぼ問題なし。画面はノートリミングのワイドで、スクィーズなしのレターボックス収録。音声は仏語のみ、字幕なし。
 アメリカ盤DVDは出ていない様子ですが、VHS版だったら、Steeve Reeves International Society のサイト(www.stevereeves.com)で販売しております。私はここで何度か買い物をしており、”STEVE REEVES His Legacy in Films” という写真満載のオンデマンド本とか、”Steve Reeves The Man The Legend” というドキュメンタリーDVDとか、かなりお気に入りではありますが、通信販売は at your own risk だというのはお忘れなく。

Giovanni Cianfriglia追補

 前回、私がラブになった(笑)Giovanni Cianfriglia君、せっかくなので”Hercules The Avenger”からのキャプチャ画像をアップしてみませう。ポップアップ・ウィンドウでデカくなりますんで、興味のある方はクリックしてください。
 これが、「地味め」「奥目気味」「平仲明信を男前にしたみたい(筆者独断)」な顔。
giovanni_face_2
 これが「マッチョだけどバルクはさほどない」「でも、何となくエッチ(筆者独断)」な身体。
giovanni_body
 ついでに、レグ・パークとのタイマンレスリング対決も。
giovanni_scene
 以上。……って、何て無意味な記事だ(笑)。ま、たまにはいいでしょ、こんなのも。
 因みに私、前回で名前を「ジョヴァンニ・シャンフリーリア」と表記しましたが、goo映画だと「チアンフリグリア」となってますね。う〜ん、カナ表記って難しい。

“Hercules The Avenger” + “Hercules And The Black Pirates”

hercules_avenger
“Hercules The Avenger(La Sfida Dei Giganti)” (1965) Maurizio Lucidi + “Hercules And The Black Pirates (Sansone Contro Il Corsaro Nero)” (1964) Luigi Capuano
 米盤輸入DVDのご紹介。例によってソード&サンダルものです(笑)。
 レグ・パーク主演のヘラクレスものと、アラン・スティール主演の変わり種ヘラクレスものの、2 in 1ディスクなんですが、内容に触れる前に、まずこのジャケからダウト!
 このジャケはレグ・パークでもアラン・スティールでもなくって、スティーヴ・リーヴス主演の『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』”Goliath And The Barbarians (Il Terrore Dei Barbari)” (1959)のポスター・ヴィジュアルだぁ〜ッ!
 とゆーわけで、このヒゲマッチョはリーヴスで、抱きついている女人は同映画のヒロイン、チェロ・アロンソです。どっちもこのDVDには、出てこないからねっ! ……まったく、いい加減な仕事してるなぁ(笑)。
 さて、ではまず”Hercules The Avenger”から。
 これは、ミスター・ユニバース・コンテストでスティーヴ・リーヴスのライバルで、アーノルド・シュワルツェネッガーの憧れのヒーローでもあった、レグ・パークの最後の映画出演作。
 とはいえ、実はその内容は、見せ場のほとんどは彼主演の旧作『アトランティス征服』”Hercules And The Captive Women (Ercole Alla Conquista Di Atlantide)” (1961)と『ヘラクレス 魔界の死闘』”Hercules In The Haunted World (Ercole Al Centro Della Terra)” (1961)の名場面をツギハギして、それに幾つか新しい場面を足して、全く別の話に仕上げた、というもの。そんなわけで、ちょっと「……インチキ(ぼそっ)」と言いたくなるタイプの作品ではあるんですが(笑)、まあそれを気にしなければけっこう楽しめる内容です。
 物語は、とある国の女王が、求婚者たちに言い寄られて悩んでおり、一方ヘラクレスの家では、彼の息子がライオン狩りの最中に大怪我を負ってしまう。ヘラクレスは神託を受け、息子の命を救うために大地の奥底に降りていくが、その途中で無人島に置き去りにされそうになったり、ドラゴンと闘ったり、煮えたぎる沼の上を綱渡りしたり、空飛ぶミイラに引っ掻かれたり(笑)と、さまざまな艱難辛苦を受ける。
 その頃、件の女王は、助けを求めてヘラクレスの留守宅を訪れ、その帰途でヘラクレスに似た男に会う。実はこの男は、大地の女神ガイアの息子アンタイウスで、ヘラクレスの不在時を狙って彼の後釜になろうとしていた。女王は、この偽ヘラクレスと共に国へ帰り、彼の助力で求婚者たちを追い出すが、偽ヘラクレスはそのまま宮殿に居座ってしまう。やがて、苦難の果てに無事息子の命を救って家に戻ったヘラクレスは、ある国で自分の偽物が暴虐をふるっていると知る。再び神託を受けたヘラクレスは、偽物を滅ぼすために立ち上がる……ってな内容です。
 でまあ、こういった中でのスペクタクルな見せ場、例えばヘラクレスの地底世界での冒険の数々とか、クライマックスの火山の噴火と都市の崩壊とかが、全て旧作の流用なわけです。本作オリジナルの部分では、こういったスペクタキュラーな見せ場は全くない。唯一それっぽいのは、偽ヘラクレス対ヘラクレスのシーンなんですが、これもギャラリーなしのタイマン勝負だしねぇ(笑)。まあ、肉弾戦としての魅力はあるけど(偽ヘラクレスは母である大地から足を離さない限り無敵である、なんていう神話伝説好きには嬉しい擽りもあります)、スペクタクル・アドベンチャーを見たいのなら、素直にオリジナルの二本を見とけって感じでしょうか。
 とはいえ、ツギハギのわりには上手く工夫されていて、話としては決して悪くない。あと、流用元の旧作は、『ヘラクレス 魔界の死闘』のホラー風味が加わった幻想性といい(監督は後にホラーの巨匠となるマリオ・バーヴァ)、『アトランティス征服』のスケール感や都市の崩壊の大迫力といい、どちらも良い出来映えなので、たとえ流用とはいえども、スペクタクル・シーンの見応えは充分あります。考えようによっては、これ一本で二本分美味しい……と言えなくもないし(笑)。
 ただし、いわゆる責め場は皆無。筋肉美は堪能できるし、艱難辛苦で苦しむとかはありますが、捕まって縛られたり、拷問されたりは一切なし。あ、野郎じゃなくても良ければ、ブロンド美女の髪吊りがあるけど(笑)。
 しかし、実は個人的に捨てがたいのが、偽ヘラクレスことアンタイウス役のジョヴァンニ・シャンフリーリア(Giovanni Cianfriglia)。
 マッチョではありますがバルクはさほどなく、身体のデカいレグ・パークと比べるとかなり細く見えるんですが、なんだかエッチな身体でねぇ(笑)。ゴードン・スコットやリチャード・ハリソンに少しウェイト足して、筋肉のキレも良くしたような体系……と言えばイメージが伝わるかな? 無理か(笑)。
 あと、顔。ブサイクではないものの華はあまりなく、奥目気味の地味〜な顔なんですが、これが私的にはかなりイケちゃうタイプなのだ。どことなく、ボクサーの平仲明信をもうちょっと男前にした感じで、顔としてはレグ・パークよりも断然好き(笑)。
 調べてみると、この人、このテのソード&サンダル映画ではけっこうクレジットされているんですが、他作品では正直印象に残っていません。もともとスタントやボディ・ダブルの方らしく、スティーヴ・リーヴスの代役もやっていたらしい。後にはケン・ウッドと名前を変えて、マカロニ・ウェスタンにも出ていたようなので、そっち系に詳しい方ならご存じかも。
 私的には、このジョヴァンニ君を見れるだけでも、充分オッケーな作品でゴザイマス。もう、ラブよ、ラブ(笑)。
 収録は、シネスコのレターボックスでスクイーズ。画質は、多少ボケたり滲んだりしている感があったり、フィルムの傷が目立つシーンもありますが、退色は気にならない範囲だし、米盤としては佳良な方。中の上クラスってとこでしょうか。独盤や仏盤の高画質に慣れちゃうと、正直かなり劣る感はありますが、日本で普通に売られているマイナーどころの旧作とかでも、これ以下の画質のときもあるし。字幕はなし。リージョンコードはフリー。両面ディスクです。
 因みに、元ネタの『ヘラクレス 魔界の死闘』は米盤が、『アトランティス征服』は仏盤があり、これがどちらも、メジャーのソフトそこのけの高画質&ハイクオリティ。前述のようにどちらも良作(あ、こーゆーのが好きな物好きにとっては、ですよ、あくまでも)ですから、興味のある方はお試しあれ。ご参考までに、ジャケ写を載っけときます。
hercules_hauntedhercules_atlantis
 左が『魔界の死闘』米盤、右が『アトランティス征服』仏盤。
 あ、もちろん『アトランティス征服』はPAL盤。音声も字幕も伊語と仏語のみ、英語はありません。
 さて、余談ですが、前述のジョヴァンニ君、実は以前ここで紹介した”Kino Kolossal” (2000)というソード&サンダル映画の歴史を綴ったドキュメンタリーでも、すっかりオジイチャンになって(とはいえ、えらくマッチョなオジイチャンですが)出演しています。
 で、当時の仕事仲間のミンモ・パルマーラ(先日紹介した『ロード島の要塞』の他にも、リーヴスの『ヘラクレス』のイフィトゥス役や『大城砦』のアイアース役で印象に残ってます。やはり後には、ディック・パーマーという名前でマカロニ・ウェスタンに出ているらしい)と一緒に、当時の裏話を語ったり、二人で剣戟やガン・アクションを再現してくれたり。
 このドキュメンタリー、言葉が判ればホント面白そうなんだけどなぁ……悔しい(笑)。
 もひとつ余談ですが、Reg Parkの表記が「レグ」か「レジ」かが悩みの種。
 最初に見たときはすんなり「レグ」と読んだんですが、こういった映画にリアルタイムで親しんでいた世代の友人が「レジ」と呼んでいたことと、何かの予告編(アメリカ版)でハッキリ「レジ」と発音していたので、一度は「レジ」でファイナルアンサーかとも思ったんですが、今度は前述の”Kino Kolossal”で、イタリア語の発言の中で「レグ」と発音していて、またグラグラ。
 しかし、彼は確かイギリス人だよなぁ……だが、allcinema ONLINEだと「レグ」だなぁ……でも、Reginaldの略だから、やっぱ「レジ」かなぁ……(笑)。
 では、続いて”Hercules And The Black Pirates”。
 え〜、ぶっちゃけた話、これはいわゆるソード&サンダルものじゃありません。フツーの海賊映画……ってか、それとも違うか。主人公は海賊じゃなくて、海賊と闘う政府側の人間だから。
 まあ、ハッキリ言って、かなり「安い」です。冒頭の海戦シーンとか、他の映画の流用だってのが見え見えで、炎上する帆船の映像とかに、スティールのアップ画像をオーバーラップさせて、戦闘に「参加」させてるあたり、ちょっと切なくなるし(笑)。もちろん本編に入っても、アクションはせいぜい甲板で斬り合いするか、小舟で帆船に乗り込むかくらいで、軍艦同士の海戦なんてスペクタクルは微塵もありません。
 舞台は、スペイン統治下のカリブ海かどっか。そこに何故かヘラクレスがいるわけですが、マチステものとかにあるみたいな、異世界にマッチョが召還されるパターンですらなくって、フツーに「いる」んですな。海賊退治に功績があった将官たちに、提督が名前を尋ねるシーンがあるんですが、他が皆「何たらメンドーサです」「ホセ何たらです」なんて、いかにもスパニッシュな名前を答えていくのに、スティールだけ唐突に「ヘラクレスです」だもん(笑)。まあ、エルキュール・ポワロみたいに、ファースト・ネームが「ハーキュリーズ」なだけかも知れないけど、そこんとこのツッコミも何もない(笑)。
 でまあ、提督の娘との身分違いの恋があったり(このヘラクレス君は、漁師の息子だそうな)、実は裏で海賊と通じている裏切り者の高官がいたり、少女が悪人に誘拐されちゃったり、話的にはお約束のテンコモリ。意外性はカケラもないので、安心して(笑)ゆっくりまったり観られます。劇判がいかにもスペイン風な、フラメンコか闘牛みたいな陽気なノリなのも、更にまったり感に拍車をかけます(笑)。
 主演のスティール君は、ヒゲなし&チュニックでも腰布でもないってのは、個人的な趣味から言えば「下げ」要素ではありますが、それでもマッスル・ムービー的には、それなりに工夫あり。
 まず、しょっぱなから宮廷の宴会で、力自慢の軽業師相手に上半身裸でレスリング。海賊との乱闘シーンでは、次第にシャツが破れていき、最後には上半身裸に。で、海賊にとっ捕まった後、泳いで逃げだすんですが、岸辺に着いたときには、ズボンも脱げていて下着一枚になってる(笑)。まあ、ズボンはすぐまたはきますが、上半身は何故かす〜っと裸のまま。で、めでたしめでたしのラストシーンだけ、革のベストみたいのを着るんですが、これがまたミョ〜に胸ぐりが深いベストで、何だかフェチ系ショップで売っている、ラバーのタンクトップみたいなシルエットなの(笑)。
 ……ってな具合で、このテの映画の見せ所としては、けっこうツボは押さえている……かな? まあ少なくとも、ボディビル男優は脱いでナンボというのは、制作者も心得ているようで(笑)。アクション・シーン全般が、剣戟よりも殴り合いメインなのも、いかにもマッスル・ムービー的でご愛敬。
 責め場としては、まあ捕まったヘラクレスが、海水が浸水してくる船倉に、鎖で縛られて放置されるくらい。まあ、鞭打ちとかに比べるとヌルい責め場だし、拘束自体もアッサリ抜け出してしまうんですが、そこから脱出までは、それなりに引っ張って見せてくれる。あと、この拘束が両手を頭上にあげる形で、黒いワキ毛がモジャモジャしてるのが見えるのが、個人的にはプラス・ポイント(笑)。
 ですが、実は個人的な最大の収穫は、別にありまして。
 前述した、軽業師とのレスリング場面。この相手のマッチョ軽業師が、何と、”Hercules The Avenger”の偽ヘラクレスこと、ジョヴァンニ・シャンフリーリア君なのだよ! ヒャッホ〜、すっげー得した気分(笑)。まあ、アップはほとんどないし、すぐに退場しちゃうんだけど、上半身裸だしヒゲもあるしね、嬉しい嬉しい(笑)。
 というわけで、このDVD、私的には「ジョヴァンニ・シャンフリーリア・パック」ということで、もう強引に「アタリ」判定(笑)。
 収録は、4:3のテレビサイズ。画質はかなりボケていて、”Hercules The Avenger”よりもだいぶ劣りますが、それでも何とか色は残っています。あ、でも最後のロールだけ退色していて、画面が急に赤くなっちゃうけど(笑)。まあ画質的には下の上ってトコでしょうか。
“Hercules The Avenger + Hercules And The Black Pirate” DVD (amazon.com)

ちょっと宣伝。単行本発売されました。

tensyu-cover-t_2 え〜、基本的にお仕事関係は抜きのつもりだった当ブログですが、せっかく単行本が発売になったので、ちょっと宣伝いたします。
『天守に棲む鬼/軍次 田亀源五郎短編集』です。国内で発売される単行本としては、10冊目ですね。短編集は98年の『獲物』以来なので、何と7年振りということになります。

 今回の本は、光彩書房さんから出ていたアンソロに描いていた全作品を一冊にまとめたものなので、私の単行本としては、比較的ソフトめの仕上がりになっていると思います。とはいえ、ソフトとは言ってもね、作者が作者なんで、あくまでも「それなりにソフト」なだけかも知れない(笑)。
 この一連の作品は、当時けっこう自分で楽しみながら、いろいろ試していたようなところがあるんで、こうして一冊に纏まってみると、何だか幕の内弁当的な盛り沢山さになったような気がします。時代物あり、現代物あり、紅毛物あり(お前は明治時代の人間か)、ラブあり、鬼畜あり、私としては稀少なアホエロまで(笑)。
 本文の加筆は、同時収録の短編の一つのラスト2ページ。アンソロ掲載時とはエンディングが変わっており、これは読後感が少し変わっているかも。あとは、ベタの塗り忘れとか、トーンの張り間違いとか、そこいらへんは自分で気が付いたところをチョコチョコ修正入れました。メイキング裏話も、小さなフォントでぎっしり入っています(笑)。
 ご覧の通り、前回の『PRIDE』と違って、今回は表紙がリアル系。反面、描き下ろしのカラー口絵は、「萌え絵」に挑戦……って「どこがじゃ!」って言われそうだけど(笑)。
 昨日はジープロに行って、先行予約特典の「抽選で当たるサイン本30冊」に、サインを入れて参りました。当たった方、お手元に届いたら可愛がってくださいね。外れちゃった方は、本当にゴメンナサイ。でも、わざわざ予約してご購入くださって、本当にありがたく思っております。

 で、帰りがけにレンタルビデオ屋さんに寄って、『レーシング・ストライプス』を借りて、メシ喰いながら鑑賞。
 実はここんところ、毎晩『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーBOX』を見ていて、ちょっと心身共に疲れ切っていたもんだから……いや、面白いんですよ、ファスビンダー。でもね、観賞後のダメージがデカい作品が多くって(笑)。『自由の代償』なんてね、私は再見だから覚悟も出来てたけど、何も知らずに一緒に見ていた相棒は、「何てイヤなラストなんだ!」と憮然としてましたもん(笑)。と、かく言う私も、初見の『13回の新月のある年に』は、「スッゲ〜!」と思いつつも、見終わったらグッタリ、ドンヨリ(笑)。……ってな日々の後だったもんだから、『レーシング・ストライプス』は、何だかえらく楽しく見られちゃいました。
 ただ、『ベイブ』と比較しちゃうと、ちとキビシイんですが……っつーか、『ベイブ』が名作すぎるんだよな、きっと。まあ、比較する必要はないんだけど、話の骨子やキャラ配置に、これだけ共通点が多いとねぇ、イヤでも比べたくはなっちゃいますわ。
 で、『ベイブ』が「動物ファンタジー」として、「動物には動物の、人間の知らない世界がある」というニュアンスを盛り込みつつ、動物をメインにしながら人間とも上手く絡ませて、静かな感動を与える作品だったのに対して、『レーシング…』はどうしても、「擬人化された動物ドラマ」の域に留まっているので、『ウォーターシップダウンのうさぎたち』とか『楽しい川辺』とかを愛好する私とは、ちょっとテイストのずれがありました。
 あと、ドラマが基本的に「青春ドラマ」だから、『ベイブ』みたいな「けなげさ」はないし、人間ドラマと動物ドラマの比重がフィフティ・フィフティになっているのも、個人的には残念ポイント。出てくる人間が多すぎて、どうしてもフォーカスが散ってしまっている感もあるし、話の無理さ加減も、ちょっとギリギリかなぁ。
 反面、全体の何ともアメリカ〜ンなノリとか、かなり派手派手しい演出とかは、ま、これはこれでオッケーかな。詩情とか、印象的な静かな見せ場とかはなかったけど、下ネタを含むくだらないギャグは、けっこうケロケロ笑えたし(笑)。

今日(21日)から新宿にて直道さんの個展開催

 11月21日(月)から30日(水)まで、『ジーメン』『薔薇族』などゲイ雑誌で活躍中の画家・直道(奥津直道)さんの個展が、新宿コミュニティセンターaktaで開催されます。
 直道さんの描く、和の伝統を感じさせつつ、様式美と現実感が心地よく併存している男絵は、個人的に大好きなので、見に行くのが楽しみです。ファンの方はもちろん、アート好きの方、興味のある方、お近くまで御用の方、などなど、よろしかったらぜひお出かけあれ。
 直道さんの絵は、Rainbow Artsのサイトのサイトで見られます。
 会場であるaktaの場所は、こちらを参照。

GarageBandとかLogic Expressとか趣味の音楽サイトとか自主制作盤とか

 前にここで「GarageBandにハマってしまい、今度はLogicにアップグレードしたくなってきた」な〜んて書いたんですが、ははは、実はその後けっこうすぐにガマンしきれなくなり、Logicの廉価版Logic Express 7を買ってしまいました(笑)。
 で、心配だったCPUパワーの方なんですが、いやぁ全く問題なし。Mac mini 1.42GHz+メモリ1GBで、サクサク動いとります。つーか、かえってGarageBandの方が重いくらい。
 いや、重いというと、ちょっと語弊があるかな。操作感に差があるというわけではないので。
 ただ、GarageBandでソフトウェア音源トラックをどんどん増やしていくと、そのうち「もうこれ以上は増やせないわよっ!」なんてメッセージが出て怒られちゃうんですが、そんなファイルをLogic Expressで開いたら、読み込みもトラック追加も全く無問題だったりするんですな。
 まあ、Logic Expressでも、重たいエフェクトとかをばんばんかけちゃうと、処理的にトラブルも出てくるんでしょうが、私の場合は、ビットクラッシャーだのディストーションだのアンプシミュレーターだのといった、歪ませ系エフェクトはあんまり使わないせいか、今んところ特にトラブルはないです。
 ただまあ、これは趣味の問題なんだけど、Logic Expressの黒っぽい作業画面って、なんだか本格的っぽくて、GarageBandのキャンディポップなGUIに比べると、ちょっと「楽しさ」に欠ける(笑)。
 でも、Logic Expressにして、BPMや拍子を曲の途中で変えられるようになったし(GrageBandではできなかった)、トランスポーズだのベロシティの調整だの編集機能は豊富だし(豊富すぎてなかなか全体を把握できないくらい)、もちろんデフォルトのエフェクターは豊富だし、そのかけ方もトラックの途中で自在に変えられるし(GrageBandではこれもできなかったんだよなぁ)、音源も増えたし(しかもGarageBandのそれもそのまま使えるし)、何よりミックス作業が細かいところまでいじれて楽しいし……ってな具合で、基本的には大満足です。
 そんなこんなで最近は、GarageBandで曲を6〜8割方作って、それをそのままLogic Expressに読み込んで、音色の調整だのトラックの追加だのといった細かな作業をして、Logic Express上でミックスダウン……ってなやり方がデフォルトになりました。
 ……で、気がついたら出来上がった曲が、述べ4時間以上溜まっていまして。
 その……ついつい血迷って、それ専用の音楽サイトまで立ち上げてしまいましたとさ(笑)。
 更には、自主制作盤まで作っちゃって、イェ〜イ、インディーズ・デビュー(笑)。
 試聴ファイルから自主制作盤の販売まで、あれこれ取りそろえておりますんで、「こいつ、どんな音楽やってんだ」と興味のおありになる方は、どうぞ遊びに来てやってくださいまし。
 あ、本業のネタとはまったく関係なしなんで、エロだの変態だのはございませんで、えらい健全(笑)。しかも自分の中のドロドロは、仕事でけっこう出きってしまっているらしく、音楽の方は、何つーかその……えらい「メルヒェンな人(笑)」になっちゃってます(メンヘルじゃないわよ)。
 特に自主制作盤の方は、いろいろ作った曲の中から、ある程度共通するニュアンスのものを選んだんで、かなりソフトな感触に。ひょっとしたら「癒し系」かも(笑)。
 新サイトに行くには、どうぞ下のバナーをクリックしてください。
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『海賊の王者』

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『海賊の王者』(1961)プリモ・ツェリオ&アンドレ・ド・トス
“Morgan il pirata” (1961) Primo Zeglio & Andre de Toth
 我が愛しのスティーヴ・リーヴス様の海賊映画。そのイタリア盤DVDのご紹介です。因みに英題は “Morgan, the Pirate”。
 イタリア語はさっぱり判らないけど、幸いこれは英語版を見たことがあるし、Goo映画にあらすじ紹介もあるので、内容解説も何とかなりそう(笑)。
 17世紀末、スペイン領パナマ。ヘンリー・モーガン(スティーヴ・リーヴス)は奴隷市場で鞭打たれていたところを、通りがかりの令嬢イネス(ヴァレリー・ラグランジェ)に救われる。しかし、モーガンはイネスの高慢さに反発、何やかんやあって、今度はガレー船の漕ぎ手にされてしまう。が、反乱を起こして船を乗っ取り、海賊として名乗りをあげる。それから海賊モーガンは、他の海賊の捕虜になっていた令嬢イネスを救い出したり、英国の対スペイン戦に協力したり、船を沈められて死んだかと思ったり……などなど、まあ波瀾万丈、恋あり戦いあり女装あり(笑)の、古式ゆかしき痛快冒険活劇モノです。
 監督は二人とも良く知らなかったので調べてみたら、あら、アンドレ・ド・トスって、ヴィンセント・プライス主演のリメイク版『肉の蝋人形』(1953)を撮った人だったのね。(因みにこの『肉の蝋人形』、今年また『蝋人形の館』としてリメイクされましたね。パリス・ヒルトンが出演してるとか、変な方で話題になってたけど)フィルモグラフィーを見る限りでは、西部劇とか冒険モノとか史劇とか戦争モノとか、アクション系の痛快娯楽作を撮った職人監督さんなのかな。プリモ・ツェリオの方も、海賊映画や史劇などの娯楽作を撮った人らしいけど、残念ながら未見のものばかり。
 で、本作ですが、とにかく話がテンポ良くパカパカ進むので、肩の凝らない娯楽作として充分以上に楽しい。戦闘シーンなんかけっこう迫力あるし、セットやモブも貧乏くさくないし、美術や衣装も難点なし。まあ、意外性とか飛び抜けた個性とかはないけど、予定調和的な楽しさはバッチリです。
 意外だったのは、画面構成のスケール感。実は前に見たときは、もっとこぢんまりしたTV映画っぽい画面づくりだったような記憶があったんですが、どうやらそれは、その時のビデオが4:3の画面用に左右がトリミングされていたせいらしい。今回のDVDはノートリミングのシネスコ版なんですが、これで見ると拡がりも奥行きもたっぷりある、実に堂々たる画面構成です。海岸のシーンなんかで、近景で人がゴチャゴチャ動いていて、遠景の青い海には帆船が浮かんでる……ってな構図は、やっぱワクワクさせられますな。パナマの街なんかも、安手の映画にありがちな「狭さ」を感じさせない。そんなこんなで、全体的にかなりいい感じ。
 で、気になって調べてみたら、うわ、撮影のトニーノ・デリ・コリって、ピエル・パオロ・パゾリーニの諸作(『アッカトーネ』『奇跡の丘』『豚小屋』『デカメロン』『カンタベリー物語』『ソドムの市』などなど)や、フェデリコ・フェリーニの『ジンジャーとフレッド』『インテルビスタ』、セルジオ・レオーネの『ウエスタン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、ジャン=ジャック・アノーの『薔薇の名前』、最近ではロマン・ポランスキーの『赤い航路』とかロベルト・ベニーニの『ライフ・イズ・ビューティフル』なんかを手掛けている、いわゆる巨匠ってお方じゃないですか! ひゃ〜、ちっとも知らんかった(笑)。
 因みに音楽のフランコ・マンニーノという人も、調べてみたらルキノ・ヴィスコンティの『ルードウィヒ/神々の黄昏』『家族の肖像』『イノセント』なんてのがヒットしてビックリ(笑)。
 主演のスティーヴ・リーヴスは、ヒゲ好きの私としては、ヒゲをたくわえてるシーンは全体の3分の1以下ってのは寂しいし(ヒゲなしのリーヴスって、ハンサムではあるけれど、いまいち個性やオーラには欠ける気が)、ヘラクレスものみたいな終始半裸or諸肌脱ぎってこともないんで、そこいらは残念ではありますが(笑)、それでもいおう奴隷のシーンとか決闘シーンとかで「脱ぎ場」は用意されてます。
 で、この決闘シーン、シャツを脱いだリーヴスの身体にびびって、相手は脱ぎかけたシャツをまた着ちゃうのだ(笑)。あと、最初はちゃんとサーベルで闘っているのに、それが折れちゃって、結局はいつもの半裸レスリングになったり(笑)。
 ヒロインのヴァレリー・ラグランジェは、まあ美しくはありますが、いまいち印象が薄い。さほど清楚というわけでもなく、かといってセクシーなわけでもなく、何となく中途半端なんですな。インパクト的には、恋敵のチェロ・アロンゾの方が上。でも、この人っていつも「エキゾチックでちょっと鉄火肌のオネエチャン」役だよなぁ(笑)。んでもって、必ずダンス・シーンがあるの(笑)。今回もしっかり、夜の海辺で焚き火に照らされながら、エキゾなカリビアン・ダンスを踊ります。
 イタリア盤なので、当然PAL。で、ちょっと良く判らないのが、ジャケには4:3フォーマットと記載されていて、たしかにS-VHS接続で見ると、4:3スクイーズなしのレターボックスなんですが、コンポーネント接続のプログレッシヴ再生で見ると、なぜか16:9スクイーズのレターボックスになる。こんな現象の出るディスク、初めてだ(笑)。
 画質は極めて良好。多少の退色はあるけれど、まあこの程度だったら、メジャーどころのクラシック作品と比較しても遜色がないと言えそう。試しにキャプチャ画像をアップしてみました。こちら。参考までに、米版VHSとも比較。このVHSも、このテのソフトとしては、画質はかなり上等の部類ではあるんですが、やはりディテールの再現性や発色といった点では、今回のDVDの方が段違いに上。あと、こうして比較してみると、トリミングによる構図の狂いというのが、かなり大きく影響を及ぼすというのがお判りいただけるかと。
 音声は伊語のみ、伊語字幕付き。特典は当時のスチル写真を集めたフォト・ギャラリー。あと、なんだかテキストによる解説らしきものが幾つかありましたが、なんせ伊語だから何のことやら(笑)。
 では、恒例の責め場紹介。
 まず冒頭、奴隷市場にて、鎖をブンまわして暴れる上半身裸のリーヴスを、数人がかりでおさえこみ、そのまま裸の胸と腹を何発か鞭打ち。あとは、罪人として木の檻に入れられて馬車で運ばれたり、暗い船倉に半裸で鎖に繋がれたり……なんてシーンもあります。リーヴス以外では、太った半裸のヒゲオヤジが馬裂きの刑にされるシーンもあり。
 まあ、どれも比較的アッサリしているんで、ちょい食い足りないかな(笑)。

明日から『Rainbow Arts 6th Exhibition 2005』開催

 明日から新宿スペースゼロにて、セクシュアル・マイノリティのアーティスト有志による展覧会『Rainbow Arts 6th Exhibition 2005』が開催されます。(案内をくださったKenya様、直道様、uzu様、ありがとうございました)
 フライヤーから解説を引用させていだだくと「Rainbow Artsは、様々なセクシャリティの作家によるアート作品の展示を行うグループです。絵画・イラスト・写真・映像・コスチューム・立体など、クラシックからコンテンポラリーなものまで、多岐のジャンルに渡って自由に表現または発表しています」とのこと。
 会期は明日の8/21から8/28まで8日間ありますので、セクシュアリティを問わずアート好きの方、興味のある方、お近くに御用のある方など、ぜひお立ち寄りになっては? ゲイ雑誌でお馴染みの作家さんたちも、大勢参加されていますよ。
 もっと詳しい情報は公式サイトへ。