ちょっと宣伝。単行本発売されました。

tensyu-cover-t_2 え〜、基本的にお仕事関係は抜きのつもりだった当ブログですが、せっかく単行本が発売になったので、ちょっと宣伝いたします。
『天守に棲む鬼/軍次 田亀源五郎短編集』です。国内で発売される単行本としては、10冊目ですね。短編集は98年の『獲物』以来なので、何と7年振りということになります。

 今回の本は、光彩書房さんから出ていたアンソロに描いていた全作品を一冊にまとめたものなので、私の単行本としては、比較的ソフトめの仕上がりになっていると思います。とはいえ、ソフトとは言ってもね、作者が作者なんで、あくまでも「それなりにソフト」なだけかも知れない(笑)。
 この一連の作品は、当時けっこう自分で楽しみながら、いろいろ試していたようなところがあるんで、こうして一冊に纏まってみると、何だか幕の内弁当的な盛り沢山さになったような気がします。時代物あり、現代物あり、紅毛物あり(お前は明治時代の人間か)、ラブあり、鬼畜あり、私としては稀少なアホエロまで(笑)。
 本文の加筆は、同時収録の短編の一つのラスト2ページ。アンソロ掲載時とはエンディングが変わっており、これは読後感が少し変わっているかも。あとは、ベタの塗り忘れとか、トーンの張り間違いとか、そこいらへんは自分で気が付いたところをチョコチョコ修正入れました。メイキング裏話も、小さなフォントでぎっしり入っています(笑)。
 ご覧の通り、前回の『PRIDE』と違って、今回は表紙がリアル系。反面、描き下ろしのカラー口絵は、「萌え絵」に挑戦……って「どこがじゃ!」って言われそうだけど(笑)。
 昨日はジープロに行って、先行予約特典の「抽選で当たるサイン本30冊」に、サインを入れて参りました。当たった方、お手元に届いたら可愛がってくださいね。外れちゃった方は、本当にゴメンナサイ。でも、わざわざ予約してご購入くださって、本当にありがたく思っております。

 で、帰りがけにレンタルビデオ屋さんに寄って、『レーシング・ストライプス』を借りて、メシ喰いながら鑑賞。
 実はここんところ、毎晩『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーBOX』を見ていて、ちょっと心身共に疲れ切っていたもんだから……いや、面白いんですよ、ファスビンダー。でもね、観賞後のダメージがデカい作品が多くって(笑)。『自由の代償』なんてね、私は再見だから覚悟も出来てたけど、何も知らずに一緒に見ていた相棒は、「何てイヤなラストなんだ!」と憮然としてましたもん(笑)。と、かく言う私も、初見の『13回の新月のある年に』は、「スッゲ〜!」と思いつつも、見終わったらグッタリ、ドンヨリ(笑)。……ってな日々の後だったもんだから、『レーシング・ストライプス』は、何だかえらく楽しく見られちゃいました。
 ただ、『ベイブ』と比較しちゃうと、ちとキビシイんですが……っつーか、『ベイブ』が名作すぎるんだよな、きっと。まあ、比較する必要はないんだけど、話の骨子やキャラ配置に、これだけ共通点が多いとねぇ、イヤでも比べたくはなっちゃいますわ。
 で、『ベイブ』が「動物ファンタジー」として、「動物には動物の、人間の知らない世界がある」というニュアンスを盛り込みつつ、動物をメインにしながら人間とも上手く絡ませて、静かな感動を与える作品だったのに対して、『レーシング…』はどうしても、「擬人化された動物ドラマ」の域に留まっているので、『ウォーターシップダウンのうさぎたち』とか『楽しい川辺』とかを愛好する私とは、ちょっとテイストのずれがありました。
 あと、ドラマが基本的に「青春ドラマ」だから、『ベイブ』みたいな「けなげさ」はないし、人間ドラマと動物ドラマの比重がフィフティ・フィフティになっているのも、個人的には残念ポイント。出てくる人間が多すぎて、どうしてもフォーカスが散ってしまっている感もあるし、話の無理さ加減も、ちょっとギリギリかなぁ。
 反面、全体の何ともアメリカ〜ンなノリとか、かなり派手派手しい演出とかは、ま、これはこれでオッケーかな。詩情とか、印象的な静かな見せ場とかはなかったけど、下ネタを含むくだらないギャグは、けっこうケロケロ笑えたし(笑)。