最近のBGM

 ここんところは、「民謡要素の入ったクラシック」を、良く聴いております。
 まずは、ロシアもの。

Glazunov: Complete Orchestral Works Vol 4 / Krimets, Moscow アレクサンドル・グラズノフ「交響詩 ステンカ・ラージン、他」
クリメッツ/モスクワ交響楽団

 グラズノフは「四季」しか聴いたことなかったので購入。
 お目当ての「ステンカ・ラージン」は、てっきり同題の民謡を元にしているのかと思っていたら、いざ聴いてみたらそうじゃなくて、同じロシア民謡でも「ヴォルガの舟歌」が元でした。
 で、あのメロディが重厚にオーケストラで鳴り響くと、もうカッコイイのなんのって! もう一つのメロウでロマンティックな主題との対比も良いし、幕切れの盛り上がりもスゴい。いやぁ、すっかり気に入っちゃった(笑)。
 同時収録曲も、「スラヴの祝日」は民族味タップリで実に好み。「祝典の行列」「マズルカ」の優美さ、「幻想曲 暗闇から光明へ」のドラマティックさ、「ロシアの主題による行進曲」の清々しさ、いずれもなかなか。
 次は、アメリカ。

Roy Harris: Symphony No. 3; Symphony No. 4 'Folk Song Symphony' ロイ・ハリス「交響曲第四番 民謡交響曲、他」
オールソップ/コロラド交響楽団

 初めて聴く作曲家。近代アメリカで「民謡交響曲」というタイトルに惹かれて購入。
 交響曲と銘打ちながら八部構成だったりするので、どちかっつーと組曲っぽい味わい。「駅馬車」や「ジョニーが凱旋する時」といった、耳に馴染みのあるアメリカ民謡による主題が、オーケストラとコーラスで展開していきます。
 良く聴くと、けっこう複雑なことをやっているんですが、元となる民謡の味わいである、素朴な美しさは良く活かしているのが好感度大。ただ、繊細なオーケストレーションは魅力的なんですが、いささか品が良すぎる感じはあり、アーロン・コープランドのテンションとか、ウィリアム・グラント・スティルの情熱とか、そういった押しの魅力には、ちと欠けるのが残念。何となく、どっちつかずという感じで、ちょい退屈してしまう部分もあり。
 同時収録の「交響曲第三番」は、やはりフォークロリックな要素はあるんですが、それよりも現代的な和声の美しさとかの方が印象的。ゆったりとした導入部から、目まぐるしいけど優美な展開に移行していく面白さなどもあって、個人的にはこっちの方が好み。
 最後に、アイルランド。

An Irish Rhapsody: The Music of Bax, Moeran, Stanford, Harty ハミルトン・ハーティ、チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード、アーノルド・バックス、アーネスト・ジョン・モーラン「アイリッシュ・ラプソディ」
トムソン、ハンドリー/アルスター管弦楽団

 前に「名曲アルバム」で、スタンフォードの「アイルランド狂詩曲」からの抜粋を聴き、印象に残っていたので、ちゃんと聴いてみようと探して見つけたCD。
 スタンフォード、バックス、ハーティ、モーランという、アイルランド人およびアイルランドに傾倒したイギリス人の、四人の作曲家(後者二名は、このCDを買うまでは知りませんでしたが)の作品から、アイルランド民謡などの要素が強い作品を幾つか収録(抜粋も含む)した企画盤……というか、シャンドス・レーベルのサンプラー盤というか。スタンフォード以外は、いずれも初体験の作曲家。
 でまあ、これが実にヨロシイ。一曲目のハーティ「ロンドンデリー・エア」から、早くも郷愁を刺激されて涙腺ウルウル。ハーティは他にも、「アイルランド交響曲」から第二楽章と第三楽章を収録。スタンフォードは「アイルランド狂詩曲四番」と「交響曲第三番 アイリッシュ」から第二楽章。バックスは「妖精の丘に」と「ロスカーサ」。モーランは「山国に」を、それぞれ収録。
 まあ、どれもこれも、いかにもアイルランド民謡的な、郷愁を誘う旋律や雄大な展開に加え、バックスの視覚的なオーケストレーションの巧みさ、スタンフォードのテンコモリのドラマティック感、ハーティやモーランの素朴な美しさ……などなど、お楽しみどころが目白押し。映画音楽好きの方、ぜひお試しあれ。
 これで1000円しないんだから、我ながら入門盤としてはベストなチョイスだったわい、とホクホクです(笑)。