つれづれ

 昨日『ケレル』のことをブログに書いたら、何だか無性に見たくなったので、久々に鑑賞。
 う〜ん、何回見ても、やっぱりヨーワカラン映画だ(笑)。
 ワカラナイのに、でもムチャクチャ好きだってのは、この映画以外にもいろいろあるけれど、これっていったい何なんだろう?
 因みに『ケレル』って、表層的なストーリー自体は、別に難解でも何でもない。何がどーしてどーなった的な類のことは、見ていて全く混乱しないし。でも、何故そうなったかということになると、ここでちょいとヤヤコシクなってきて、更にナレーションやテロップで劇中に挿入されるテキストが、混乱に拍車をかける。
 で、そのうち、常に画面を満たしている夕刻の光までもが、私の理解を阻む黄金色の靄のように感じられて、結局、その映像美とまどろむようなテンポに身を委ねながら、描き出される男性の肉体と暴力と殺人の魅力に、ぼーっと浸っていれば、それでいいのかなぁ……なんて気分になってしまう。
 そう考えると、自分はこの映画を、まるで「詩」を味わうように好きなのかも。
 で、見終わってから数時間以上経った今でも、頭の中で、映画に使われている「♪あ〜ああああ〜」っつー男声コーラスが回っております。
 好きな曲だけど、ここまで回るといいかげん鬱陶しいから、そろそろ消えて欲しいんだけどな(笑)。

 さて、暴力と殺人つながりで、最近それ系で、ちょっと面白いゲイ・エロティック・アーティストと、ファン・メールを貰ったのをきっかけに知り合いになったので、ご紹介します。
 Mavado Charonという、フランス人のアーティスト。
Mavado_Charon
 サイトはこちら
 日本で言ったら「ガロ」系みたいな、かなりアングラ臭のするドローイングを描くアーティストで、図版は彼から貰ったニュー・イヤー・カード。彼には申し訳ないんだけど、このブログにアップするには支障のある部分には修正を入れてあります。
 ただ、これでもこのカードの図版は、彼の作品の中ではぜんぜん大人しいほうで、メインの作風は、何というか、さながら『マッドマックス』の世界に服装倒錯を加味して、それがセクシュアルな悪夢になったような地獄絵図……なんだけど、それが同時にユートピアでもある世界を描く、といった感じでしょうか。
 というわけで、見る人を甚だしく選ぶ作風ではありますが、その作品は極めてパワフルなので、マッチする人にはタマラナイ魅力だと思います。かつてGrease Tankのサイトで見られたような、暴力と死と汚穢とセックスが結びついたタイプの作品に抵抗がない方でしたら、激オススメなのでお試しあれ。
 因みに、サイトにも載っている、Charon自身の創作に対するオピニオン、”Drawing is like wrestling : nobody gets really hurt…”ってのも、私自身のフィロソフィーとも合致していて、気に入っています。