“Il Gladiatore di Roma”

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“Il Gladiatore di Roma” (1962) Mario Costa

 ゴードン・スコット主演のソード&サンダル映画DVD、イタリア盤。英題”Gladiator of Rome”。
 イタリア語での鑑賞だったので、物語の細部は判りませんが、どうやらカラカラ帝時代のローマで、とある裕福な一族が、濡れ衣を着せられるか難癖を付けられるかして、家人は殺され、使用人は奴隷に売り払われてしまう。で、軍役か何かで家を離れていて助かった息子と、彼と愛し合っている使用人の娘、その娘を守る力持ちの使用人という三人を軸に、仇敵を倒して家を再興する……ってな話みたいです。

 ゴードン・スコットは怪力の使用人の役。いちおう主役にクレジットされていて出番も多く、奴隷にされて連行されている途中に、溺れている貴族を助けたために、後になって幸いに繋がるといった、まんま『ベン・ハー』みたいなエピソードやら、宿場の娘とのラブ・ストーリーとか、脱走に失敗して殺されかけたところを、剣闘士にスカウトされるとかいった、ドラマティックなエピソードも用意されています。
 ただ、いかんせん役回りが、「無実の罪で陥れられた者の復讐譚」の中で、「陥れられた者その人」ではなく「それを助ける助力者」という、モノガタリの中心軸から外れた存在なので、どうも映画全体の焦点も定まらない印象。
 それと並行して、助かった息子の帰還とか、捕らえられた恋人の救出劇なんかが描かれるんですが、これまたどうも印象が薄い。ひょっとすると、セリフをしっかり理解しながら見れば、また違う印象になるのかも知れませんが。
 あと、ゴードン・スコットは剣闘士にはなるものの、描かれるのは訓練所の光景ばかりで、剣闘士としてアレーナで闘うシーンがまったくない(とゆーか、そもそもアレーナ自体が一回も出てこない)のも、何だか肩すかしをくらった感じ。

 という感じで、映画そのものの出来は、ちょいとイマイチ感が拭いきれないんですが、ゴードン・スコットを愛でるという点のみにおいては、実はけっこういい感じです。
 まず、ありがたいことにヒゲ付きなんですな、スコット君。加えて、ローマものにしては珍しく、徹頭徹尾腰布一枚の上半身裸。服を着ているシーンが一度もないので、肉体美(まあ、スコット君だから、バルクはそれほどないんですが、ナチュラル・マッチョって感じで、個人的にはけっこう好きな体つきです)は最初から最後までタップリ拝めます。元ターザン役者の、本領発揮ってトコでしょうか。……違うか(笑)。
 それとね、責め場が二カ所あって、これがどちらも悪くない。
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 まず、最初に脱走に失敗して、一緒に捕まった主人の恋人共々、石壁に鎖で磔に。このシーン、鞭で引っぱたかれるのは娘だけっつーのは、私としてはかなり物足りなくはあるんですが、両手両脚喉元を太鎖で拘束されて、腋窩も露わな大の字の磔姿そのものがセクシーだってことと、二股になった焼き鏝で目を潰されそうになるってのが、かな〜り嗜虐心をそそられます。私、スコット君の顔が好きなもんですから、こーゆー姿でそーゆー演技をしているのを見るだけで、けっこう満足度大。
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 もう一カ所は、また脱走に失敗して、今度は主人の恋人と宿屋の娘まで一緒に、三人そろって石切場で磔にされて、火あぶりにされそうになるところ。スコット君だけ、セント・アンドリュース・クロス(X字刑架)に後ろ手縛りという、変則的なスタイルなんですが、後ろ手拘束は私の好物でもありますし、今回もまた首元にジャラジャラ巻き付いた鎖が、残酷味があってヨロシイ。まあここは、積んだ薪に火を点けられそうになるってくらいで、責めらしい責めはないんですが、でもまあそれなりに身を捩ったり、悶えたりして目を楽しませてくれます。
 そんなこんなで、「ヒゲの生えたゴードン・スコット好き」な方だったら、けっこうそこだけでも楽しめると思います。
 DVDはPAL、非スクィーズのシネスコ、レターボックス収録。音声はイタリア語のみ、字幕なし。特典等もなく、チャプターがあるだけ。画質は、ちょっとボケた感じはありますが、目に付く傷や退色などはなく、暗部のツブレや明部のトビも気にならず、おおむね良好。
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 アメリカ盤DVDは、前に紹介した “Warriors 50 Movie Pack” に収録されていますが、そっちの方は、トリミング版、フィルムはボケボケの傷だらけで、トビまくりツブレまくりのハイコン状態、色なんてほとんど残ってやしないっつー、とっても悲惨な画質です。マニアだったら、やっぱりこっちのイタリア盤を押さえておきたいところ。