今日からパリのArtMenParisギャラリーで、企画展 "Marins & Soldats" がスタート。水兵と兵士というテーマで、ドローイングや写真が展示されます。
展示品の幾つかは、この間見せて貰いましたが、上のDM(クリックするとデカくなります)にも使われている作家のドローイングは、ちょいとコクトー風でなかなか魅力的でした。写真も、野郎野郎したヴィンテージものとか、特にヌードとかではないのに、でも男の色気があってセクシーだったり。あと確か、パトリックが撮った、無名時代のジャン=クロード・ヴァン・ダムが、水夫に扮しているポートレイトなんてのも展示されるはずです。
で、それに混じって、先日ここで書いた、「ドラゴンと闘う聖ゲオルギウスのイメージで、HIV/AIDSドラゴンと闘うキャプテン・ベアーの姿を、浮世絵調で」っつー私の新作も展示販売されます。抗HIV/AIDSキャンペーンの一環なので、収益の3分の1は寄付。
私自身は見に行けないのが残念なんですが、どなたか機会のある方がいらっしゃいましたら、お立ち寄り下さると嬉しいです。
「ちょっと宣伝」カテゴリーアーカイブ
インタビューとか
All Aboutにインタビュー記事が掲載されました。
・ラブカル系Junchanの「かるなび」
インタビュアーはJunchan。彼自身でも書いていますが、元バディの編集部ということで、過去にもあちこちで顔を会わす機会はあり、そのたびに挨拶とかはしていたんだけど、長い時間顔を付き合わせて喋ったのは、今回が初めて。以前から、何となく「真面目そうな人だな〜」なんて思っていましたが、ゆっくりお話ししてみると、やはり物事に真っ直ぐ向き合うタイプの方という印象でした。
記事の方は、ちょいとヨイショされちゃって恥ずかしい気もするんですが、よろしかったら上のリンク先でお読み下さいませ。
そうそう、記事の前振りでJunchanに「デザイナーのW&LT(ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク)を彷彿とさせ……」と書かれたんですが、これ、ちょっと前にも児雷也画伯から同じこと言われました。その時には誰だか判らなかったのでググってみたんだけど、う〜ん、私の外見って、こんなに怪しいかしらん……。(参照)
でも、ちょっと前にも三軒茶屋でホームレスに間違えられたり、新宿では警察官に職質&身体検査されたり、先日の渡仏の際にも、成田空港でチェックインカウンターの日本人女性スタッフに、何故か英語で話しかけられたりしたんで、おそらく自分で認識している以上にウサンクサイ外見なんでしょうね、きっと。まぁ、怪しい人は好きなので、正直けっこう嬉しいんだけどさ(笑)。
しかし、実家に帰った際に、母の買い物に付き合って車の助手席に乗っていたら、後日近所で「○○さんの奥さんが、助手席に変な男を乗せてドライブしてた」なんて噂が立っちゃって、これはさすがに気の毒でした。因みにそれ以来母は、私と一緒に外出する際はデパートの店員とかに、聞かれてもいないのに自分から「これ、こんなですけど(どんなだよ)私の息子ですから!」と説明するようになりました(笑)。
画集 “The Art of Gengoroh Tagame”、タコシェさんで取り扱い開始
先月、フランスのH&Oから出版された私の画集、"The Art of Gengoroh Tagame" ですが、中野の書店タコシェさんで輸入販売していただけることになりました。
本のサイズは、横21cm×縦26cm(A4の縦が少し短くなった大きさ)、フルカラー48ページ、ソフトカバー。英文と仏文による解説付き。タコシェさんでの販売価格は2,940円。
収録作品は、2000年〜2005年に制作した作品の中から、フランス側のスタッフがセレクトしたもの。画風や描法で「マンガ・スタイル」「ウェスタン・スタイル」「オリエンタル・スタイル」の三章構成になっています。マンガ・スタイルは文字通りマンガ風、ウェスタンはPainterによるデジタル油彩画風、オリエンタルは浮世絵風の絵が、それぞれ収録されています。
中野のタコシェさんの店頭でも、インターネットのオンラインショップでも、どちらでも販売しています。
店舗の場所など、タコシェさんのホームページはこちら。
通販など、タコシェ・オンラインショップの「田亀源五郎ページ」はこちら。
思ったより早く、日本でも入手できるようになったので、実に嬉しい限りです。
欲しいという方、どうぞご購入はお早めに!
ちょっと宣伝、単行本「田亀源五郎[禁断]作品集」発売です
ず〜っと出したかった待望の作品集が、ポット出版から発売されました。
今まで諸般の事情で単行本化できずにいた、私の作品の中でもコアでディープなテイストの中短編マンガを収録。収録作は、古くは1992年の『さぶ』掲載作から、新しいところで2004年の『Super SM-Z』掲載作までを含む、「闘技場〜アリーナ」「瓜盗人」「KRANKE」「猛き血潮 中里和馬の場合」「猛き血潮 坂田彦造の場合」「NIGHTMARE」「ZENITH」「だるま憲兵」「衣川異聞」の全九編。
もし、私に作家性というものがあるとすれば、この本はかなり色濃くそれが出ていると思います。そういう意味では、読み手を選ぶタイプの本かも知れません。そのぶん、お好きな方ならば深く愛していただけるような、そんな本になったと思います。
そういう思い入れの深い本なので、造本や装丁にも凝ってみました。カバーを付けるかわりに、クラフト紙にスミ文字のみという、シンプルな外函入りです。でも、本体を出すとこんな感じに。
ポットさんの御協力を得て、私自身、長く手元に置いておきたい本を作ることができました。読者の方にも、数は少なくとも末永く愛していただければ本望です。
amazon.co.jpで購入
個展とか渡仏準備とか
3月2日から、フランスのパリで個展をします。
海外での作品の展示は、1996年にニューヨークでの企画展に、2004年にフランスのリールとアヴィニョンでの企画展に、それぞれ依頼されて作品を提供したことはありますが、自分一人の個展というのは初めてです。
とはいえ、これは急に決まったとことじゃなく、実は去年から動いていた予定。
きっかけは、去年の春。
五年間かけたマンガ『君よ知るや南の獄』の連載を終え、雑誌「ジーメン」の企画編集スタッフからも退陣しました。で、次に何をしようかと考え、久々に個展でもやりたいな〜、なんて思い、じゃあ場所のあたりをつけなきゃ……なんてときに、一通のEメールがきました。
差出人は、パリのギャラリーのオーナーだというオリヴィエ・セリ氏。内容は「ウチで個展をやらないか?」というオファーでした。何とまあグッドタイミング、渡りに舟って感じ。で、何度かやりとりをして、決定したのが初夏の頃。
ただ、この「やりとり」ってのが問題でして。私はフランス語はサッパリだし、英会話だってトラベル・イングリッシュ・レベル。当然のことながら、電話できちんとコミュニケーションをとれる自信なんかありません。でも、テキストなら辞書っつー強〜い味方がいるから、「打ち合わせや問い合わせはメールでしてね」と言っているのに、このオリビエ氏、せっかちなのか何なのか、すぐに電話をかけてくる(笑)。
まぁ、私も電話を受けちゃった以上、何とか英会話を心掛けるんですが、じきにギブアップ。で、私が「そういう細かいことは、メールでコンタクトしてくれ!」とキレると、オリヴィエ、その時は「ソーリー、ソーリー」とか言うくせに、しばらくするとまた性懲りもなく電話してくる(笑)。去年の大晦日、家に友人を招いて年越しパーティーの真っ最中にまで、電話がかかってきた(笑)。欧米人って、年末年始はさほど特別な日じゃないのかしらん。
で、またこのオリヴィエの英語が、実にフランス語風の発音。加えて、喋るスピードはけっこう速いもんだから、あたしゃいっつも「パードン?」の繰り返し(笑)。あと、英語がフランス語風に化けるだけではなく、たまに、思いっきりフランス語そのものが混じったりもする。まあ、同じスペルの単語がフランス語の発音に化けるってのは、その気持も判らなくもないですが、英語で喋ってるのに、いきなり「エスタンプ・ド・ジャポネ」とか言ってくるんじゃね〜よッ(笑)! 一瞬ポカ〜ンとしてしまったが、浮世絵のことを言っているんだと、理解できた自分を褒めてあげたい(笑)。
で、個展にあわせて、私も今月末からちょいとフランスへ行く予定。
フランスは、まだ学生時代に一度行ったきりの、およそ20年振りの訪問なので、ちょいと緊張しています。
個展の開催期間は、丸々2ヶ月間とけっこう長めなんですが、流石にそんな長く滞在するわけではなく、オープニングの数日前に現地入りして、準備やら何やらをしつつ、パリでの滞在は一週間程度を予定しています。
先日、どこから情報が伝わったのか、ここで書いたアニエス・ジアールから、「パリに来るんだって? 嬉しい、サイン会には絶対行くわ!」ってなメールが来ました。これを読んで、私はビックリ。サイン会って、何のこと? 不思議に思ってオリヴィエに問い合わたら、いつの間にか、パリの書店でサイン会をすることになっていた(笑)。
まぁ、現状で判っている予定はそんなもんですが、せっかくの機会だし、差し迫った仕事の予定があるわけでもないので、用事が終わったら、ついでにどっかでブラブラ遊んでこよう、なんて画策中です。こーゆーのが、フリーランス商売のメリット(笑)。
そして現在、パリ行きの準備中。
といっても、パスポートの有効期間はまだあるし、エア・チケットも手配済みなので、旅行自体の準備は何もありません。
今やっているのは、個展用のオリジナル新作絵の制作。最初は、せっかくの個展なので、久々にアナログでデカめの絵を描きたいとか考えていたんですが、いろいろあって、最終的にはギャラリーからの依頼で、毛筆画+デジタル彩色のテーマのある連作ということになりました。
で、そのギャラリーが注文してきたテーマっつーのが、キリスト教の「七つの大罪」。
最初はちょっと戸惑いました。だいいち私の作品は、ぜ〜んぶ大罪の一つである「淫欲」まみれなわけだし(笑)。あと、こーゆーテーマ連作というのは、ある程度の共通フォーマットも持たせないと様にならない以上、二つか三つはネタを出すのが苦しいものもあり、今回もその例外ではなさそうだし。
でもまあ、いざ描き始めると、あれこれ悩むのもまた楽し、ってな具合で、わりとスイスイ筆が進んでくれました。二つほど、なかなか上手くまとまらないネタがあり、ちょいと苦戦しましたが、それも先ほど無事終了。
ってなわけで、これがその「七つの大罪」用の、資料用に引っ張り出してきた本と、サムネール・スケッチと、下絵の一部分。
これで下絵が全部完成したので、明日から本描きに入れます。……が、さっき見たら、毛筆画用の筆がもうボロボロだったので、明日、街に出て買ってこなきゃ。
仏リベラシオン紙に書評とイラスト掲載
先日、サイト宛に「自分はフランスの新聞 "Liberation" の記者で、今度あなたのフランス語版『闘技場〜アリーナ』のレビューを書きたいんだが、誌面にあなたのサイトにある "Parasite" って絵を使いたい。印刷用の高解像度データを送ってくれないか?」という英文メールを貰いました。
で、はて「リベラシオン」って、どっかで聞いたような……とか考えて、思い出してビックリ。リベラシオン紙って、有名なフランスの左派系新聞じゃないっスか! しかも、確か創刊時にはサルトルが関わっていたんじゃなかったっけ?
ひぃ、なぜそんな新聞に私のマンガの紹介が……ひょっとして、フランスには同姓同名……じゃなくって、同じ名前のゲイ向けのフリーペーパーかなんかがあるんじゃない? そーいや手塚治虫の『W3』に、田舎のオバチャンたちが、舟木一夫ならぬ舟本一夫ショーってのに騙されて、ドサまわりの無名歌手にキャーキャー言うシーンがあったような……とか、いらんことまで思い出しちまったりして(笑)。
でもまあ、一般の新聞だろうがゲイ雑誌だろうが、マンガを紹介してくれるのはありがたいんで、「いいけどちゃんとコピーを一部送ってね」と返信したわけです。サイトにアップしている "Parasite" はラフ画だったから、着色して完成したバージョンと二点送って、「好きな方を使っていいよ」とも書き添えました。
で、数日前、フランスから大きな紙封筒が届きました。開けてみたら、新聞が入ってた。見覚えのあるロゴ。やっぱり、あのリベラシオン紙。2007年1月25日号。うむむむ、半信半疑だったから、けっこうビックリ(笑)。
で、例の記事はどこじゃらほいと探して、見つけて更にビックリ。
うん、確かにフランスのH&Oから出ている "Arena" のレビューらしき記事と、私が送った完成版の "Parasite" が載っているんですが……あたしゃてっきり、絵の一部だけを使うとかだと思ってたんですが、ノートリミングの無修正で、しかもけっこうデカデカと載っている。(左上の画像参照。クリックするとデカくなります)
あの……この絵、チンチンもキンタマもモロ出しで、包皮のシワから血管までクッキリ描いているんですけど……オマケにアヌスもこじ開けられていて、直腸の内側の肉ヒダまで描いているんですけど……。
日本の新聞だと、私の本の書評が載ることすら考えられないのに、書評はおろか、この絵がフルカラーでデカデカと掲載されるとは……。う〜ん、ここ数年フランスとのご縁が多くて、何かとリベラルな国だなぁとは思っていたけど、ここまでリベラルだったとは。想像を上回る自由さに、正直ビックリです。
いいなぁフランス。もう二十年も日本の法律や出版社の自主規制のおかげで、絵画における性器の露出やら表現のタブーやら、創作上の制約のアレコレに悩まされてきた身なので、なんだかフランスに移住したくなってきた(笑)。
まあ、例によってテキストの方はフランス語なんでチンプンカンプンなんですが、大見出しはどうやら「とってもスゴいSM」とゆーことらしい(笑)。え〜、小見出しは「全ての男が凌辱されるX指定マンガ」ってこと(笑)?
本文は、どうやらあらすじを紹介しているらしい部分以外は全く判らないんですが、「マルキ・ド・サドのジュスチーヌのように」ってのだけは判って、何か嬉しい(笑)。前に、やはりフランスのアート誌に、これまたH&Oから出た "Gunji" のレビューが載った際、文中にマルセル・プルーストやロマン・ロランの名前を見つけて、「いったい何がどーゆー文脈で、こんな名前が出てくるの?」と、目が点になってしまったことがありますが、マルキ・ド・サドなら納得です(笑)。
ま、サドの小説そのものは、あたしゃジュスチーヌが主役の『美徳の不幸』より、姉のジュリエットが主役の『悪徳の栄え』の方が好きなんですけど(笑)。同作に出てくる食人鬼ミンスキーと、『ソドムの百二十日』に出てくるブランジ公爵と強蔵エルキュールのカップルが、私が十三歳の頃のアイドル兼オナペットでした(笑)。
因みにこの号のリベラシオン紙は、書評がBD(バンド・デシネ=マンガのこと)スペシャルらしく、十ページに渡ってマンガ単行本が二十冊ほど紹介されています。日本のマンガを集中してレビューしてあるページもあって、丸尾末広さん、近藤聡乃さん、福山庸治さん、阿部慎一さん、水木しげるさんの、仏語版単行本が紹介されています。
私のマンガは、それとは別の、ゲイ・マンガ(もしくはゲイ・テイストなマンガ)コーナーでの紹介。ここに掲載されている作家で私が知っていたのは、Ralf Konig だけでしたが、Lepage という作家さんの "Muchacho" というマンガは、ちょっと絵がステキなので気になります。amazonかどっかで、探してみようかな。
で、このゲイ・マンガ・コーナーが、マンガ・スペシャルのトップ記事なもんですから、う〜ん、つくづくリベラルな新聞。……あ、そもそも紙名からして「リベラシオン」だっけ(笑)。
さて、こーなると次に目指すは「ル・モンド」と「フィガロ」ね! ……って、ないない(笑)。
ちょっと宣伝、レディコミ初挑戦
え〜、初めてレディースコミック誌でマンガ描きました。ぶんか社さんの『月刊 ほんとうに怖い童話』という雑誌です。
とはいえ、実はレディコミ誌で描くのは全くの初めてとゆーわけではなく、以前某社から出たレディコミ誌でイラストは描いたことがあります。ただこの時は、お話しがきたときは「わ〜い、初レディコミ!」と喜んだものの、具体的な依頼内容を聞いたら、レディコミの中のホモコーナー(笑)みたいなヤツだったので、カックンきちゃったんだけど(笑)。
今回は違います。イラストじゃなくてマンガだし、内容もゲイものじゃありません。う〜む、お仕事でゲイもの以外のマンガを描いたのは初めてだ。
で、お話しが決まってネームをきりながら、一瞬「ひょっとして、過去に自分が描いた全てのマンガの、女性が出てくるコマ数の合計よりも、今回のマンガでは女性のコマが多いんじゃないか?」なんて思ったんだけど、よく考えたら、『バディ』で連載している「外道の家」で、お嬢様やらブスやらババァやら女性キャラをバンバン描いてるから、流石にそんなことはなかった(笑)。
とはいえ、既に発売されている雑誌に載った予告カットを見た、大学時代からの友人でマンガ家仲間でもあるHちゃんから、「Yっくん(私の大学時代のあだな)の描いた女性キャラ見るの、すっごい久しぶり!」なんてメールを、貰っちゃったりもしましたが(笑)。
あと、別の人からは、こんなことも聞かれました。
「田亀さん、レディコミ描くの?」
うん。
「女同士の話?」
ううん、男女もの。
「え、じゃあSM?」
ううん、SMはなし。
「え……じゃ、何描くの?」
……ごもっともな反応でゴザイマス(笑)。確かに客観的に考えれば、私のマンガから同性愛とSMを取ったら、何が残るのかって感じではありますわな(笑)。
でも、私の趣味嗜好を良く知る友人や、古くから付き合いのある連中からは、「これこれこーゆー雑誌にマンガ描くんだよ」と言ったら、「あ、向いてる向いてる」とか「得意そうだよね、そういうの」とも言われました。じっさい私自身、かなり自分の趣味嗜好を出せる世界だったので、描いててすっごく楽しかったし。
専業作家になってから13年間、兼業時代も含めれば25年間、マンガでもイラストでも、ゲイものだけにこだわってやってきたけれど、それも自分の中で一段落ついた感があるので、これからはこうやって少しずつ、自分の「できること」や「やりたいこと」を拡げていければいいですね。
編集者の方々、何かございましたらジャンルを問わず、ぜひお声をお掛けくださいませ。
そんなこんなで、レディースコミックは初めて、ゲイものじゃないのも初めて、主人公が女性なのも初めて、一度に42ページの読み切りを描いたのも初めて……という具合に、色んな意味で初めて尽くし。
1月24日(来週の水曜日)発売の、『ほんとうに怖い童話』3月号掲載です。普通に本屋さんやコンビニで売ってますので、よろしかったらぜひお読みくださいませ。
で、アンケートなど出していただけると、更に嬉しいです(笑)。
タコシェさんで『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』原画展開催
今週末12月23日(土)から来年1月10日(水)まで、中野の書店タコシェさんの店内で、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』関連の原画が展示されます。
展示作家は、林月光(石原豪人)をメインに、木村べん、児夢(GYM)、遠山実、倉本彪など。展示作品はタコシェの中山さんが、どうせならば先月のアップリンクでのイベントと、できるだけ重複しないようにと選んでくださったので、原画の公開は今回が初めてという作品も多いです。
中でも注目していただきたいのは、林月光(石原豪人)の作品で、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』への収録候補としてご遺族からお借りしたものの、ページ数の関係で涙をのんで収録を断念した作品も、今回の展示には含まれています。ファンは必見!
あと、この展示と並行して、木村べんさんが生前に刊行された自費出版画集『TAN-PAN-BODY』も、ポストカードセットのオマケ付きで、店内にて販売中。
クリスマスから年末年始、サブカルの聖地詣でも兼ねて、ぜひ足をお運びになっては?
詳しくはこちら。
“L’IMAGINAIRE EROTIQUE AU JAPON”
去年取材を受けたフランスの女性ジャーナリスト、アニエス・ジアール (Agnes Giard) が、彼女が書いた本 "L’IMAGINAIRE EROTIQUE AU JAPON" (Albin Michel/ ISBN 2-226-16676-9 / 35,00 EURO) を送ってくれました。
お会いしたときには「今年の暮れに出る予定」と言っていたのに、いっこうに音沙汰がなかったもので、はてどうしたんだろうと思っていましたが、約一年遅れで発売されたってわけですな。まあ、私も『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』が大幅に遅れてしまった前科があるので、人のことは言えません(笑)。
実に立派な本で、造本はセミ・ハードカバー(っつーのかな?)、サイズはB5程度ある大判、本文は330ページ以上で、厚味も3センチくらいあります。例によって、フランス語はさっぱりわややなので、残念ながら読むことはできませんが、全ページフルカラーで、テキストも図版もタップリ。
日本のエロティック文化全般を論じた本らしく、収録されているアーティストは、表紙を飾る山本タカトさんを始め、横尾忠則さん、村上隆さん、会田誠さん、林良文さん、佐伯俊男さん、吉田光彦さん、室井亜砂二さん、丸尾末広さん、駕籠新太郎さん、今泉ゴッホさん……などなど。
私の作品は、"LA CRISE DE LA MASCULINITE"(え〜、これは「男らしさの危機」って意味?)という章の扉を含め、5点ほど1ページ大で使っていただきました。また、嬉しいことに、"GENGOROH TAGAME ET LE FANTASME DU SURMALE" と題された、独立した一章もあり。
でも何よりも嬉しかったのは、この本には昔の浮世絵とかも載っていまして、「自分の作品が、尊敬する月岡芳年と同じ本に載っている!」ってこと。いやもう、クラクラするくらい嬉しいです、マジで。
あ、エロティック・アート以外にも、コスプレ・メイド・ヤマンバ・ラバー・全身タイツ・女王様・やおい・フィギュア・ドール・エロゲー……などなど、実に盛り沢山の内容です。
著者のアニエスとは、去年の四月に東京で会ったんですが、そのときの待ち合わせ場所が新宿二丁目の cocoro cafeでした。「待ち合わせにココロカフェを指定するガイジン? ナニモノだい、そりゃ?」と、驚いたもんです(笑)。
取材は通訳さんも同席で、日本語とフランス語と英語のチャンポンだったんですが、なにしろ私の英語なんてアヤシイコトコノウエナイので、果たしてちゃんと意志が通じていたか、実は今でもちょっと不安だったりする(笑)。本で内容を確認しようにも、フランス語だから読めないし(笑)。
で、そのときに私に関する質問の他にも、アニエスは「フンドシ大好き!」とのことで、褌についても根掘り葉掘り聞かれたんですが、本に載ってる "Les Fundoshi de Gengoroh" っつーコラムは、多分そのときの話が元なんだろうなぁ(笑)。私は文化人類学者でも服飾史の専門家でもないんで、あんまりヘンなコト書いてなきゃいいんだけど、ま、それとは別に "FUNDOSHI : LE DERNIER BASTON DE LA VIRLITE" という独立した一章もあるんで、多分大丈夫でしょう(笑)。
それにしてもアニエス嬢、本当に褌がお好きだとみえて、掲載された私の作品も、彼女がセレクトしたんですが、ぜ〜んぶ褌もの(笑)。
で、取材の後に cocoro cafe の表で写真を撮られまして、そのときの写真が本の巻末のアペンディックスに使われているんですが、これがどーにも顔がマンマルでパンパンに膨れて見える。で、思わず相棒に「この写真、何かすっごく太って見えない?」と愚痴ったら、「だってお前は太ってるだろ?」とゆー、心ない返事が(笑)。
まあ、洋書なんで「買ってね」とは言いづらいですが、前述のようにとっても立派で、しかもキレイな本なので、知り合いに見せたら「この本、欲しい!」という人が、けっこう何人もいました。
とゆーことで、興味のある方やご購入を検討される方がいらっしゃいましたら、amazon.fr あたりで探してみてください。
画集”STRIPPED”に参加
ゲイ・アーティストの画集やメールヌード写真集を数多く出していて、ゲイ向けのワールド・トラベル・ガイド"Spartacus"の版元としても有名な、ドイツのゲイ向け出版社Bruno Gmunderが、創立二十五周年企画として、世界のゲイ・アーティストたちの作品を集めた"STRIPPED – The Illustrated Male"という画集を出版しました。
今年の春頃だったか、私のフランス語版"Gunji"を見た同画集の編集者の方から、メールでオファーをいただきまして、面白そうな企画だったので、作品を五点提供という形で参加しました。
で、昨日、謹呈本が到着。何だかえらく重い小包でビックリしたんですが、開けてみたら納得でした。
版型は、A5より少し横長といった感じでさほど大きくはないんですが、束がムチャクチャ分厚い。定規で測ったら(笑)3センチ5ミリくらいありました。表紙は角背のハードカバーで、マットPP貼りのカバー付き。本文用紙もしっかりしたツヤ紙で、全ページフルカラー。
すンげー頑丈でしっかりとした本で、これが何冊も入ってたんだから、そりゃ重いわけだわ。荷物を受け取ってくれた相棒は(因みに私はまだ寝てたのだ)、おかげで腰を痛めそうになりました(笑)。
ページ数は400ページ近くあり、総勢五十人以上のアーティストの作品が、一作家あたり四〜八点くらいずつ収録されています。因みに、どんな作品を何点提供するかは、基本的に作家が自由に決めることができました。ただ、点数に上限はありましたし、内容的なセンサーコードも皆無ではなかったですけどね。
流石に五十人以上もいると、初めて見る作家も少なくありません。作家名に併記されている出身国も、やはりアメリカが多いとはいえ、それでもイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、オーストリア、カナダ、オーストラリア……と種々様々。
物故している作家やヴィンテージものは含まれていないので、印象はさながら、世界の現役ゲイ・アーティスト目録といった感じ。じっさい、イラストレーターズ・ファイルなどと同様、巻末にはそれぞれの作家の連絡先も記載されています。
また、これだけ色んな国の作家さんたちが一堂に会しているのを見ると、「うんうん、やっぱ絵に国境はないよね〜」と、何とも楽しい気分になります。ビバ、絵描き!
ただ、残念だったのは、日本およびアジアの作家が、私一人だったこと。アジア系作家にまで拡げれば、中国系や日系らしき名前もあるんだけど、ちょっと淋しい。
作風は、ほんと様々。古典的でリアルな油絵あり、ニュー・ペインティング風あり、カートゥーン系あり、アメコミ風あり、日本のマンガやアニメの影響が伺われるHENTAI系もあり。私は、どうせなら目立ってやろうと、浮世絵風とかマンガの一ページとか、他の国の作家さんと作風がかぶらないような作品で参加。上手くいったような気もするけれど、ちょっと浮いているような気も(笑)。
具体的な収録作家は、知人だと、メールを貰ったのをきっかけに知り合ったPlayerや、以前私が紹介してジーメンに作品が載ったこともあるLoganなど。Loganとは掲載ページがお隣同志だったので、何だか知らない人ばっかのパーティー会場で、友人にばったり会ってホッとしたみたいな気分に(笑)。
他には、西洋絵画の伝統的リアリズムの系譜を受け継いでいる作家だと、Douglas Simonson、Beau、Steve Walker、Ross Watsonなんかが有名どころでしょうか。
コミックス系では、Patrick Fillionは本も沢山出している人気作家。
ボンデージ系のIra C. Smithの作品は、80年代のDrummer誌やシスコのセックス・クラブのポスターなんかで見て好きだったので、久々に見られたの嬉しい。
嬉しいといえば、私が個人的に大ファンで、かつてはFury 161というペンネームでも活躍していた、中国系フランス人のMarc Ming Chan。この人の硬質な鉛筆ドローイングは、スーパーリアル的に描き込んだものも、ざっとラフに描いたものも、どっちも本当にセクシーで素晴らしい。以前はサイトもあったんだけど、どうやら閉じちゃったらしく残念に思っていたので、嬉しい再会。
今回初めて知った作家だと、アメコミ調とリアリズムの混淆で描かれるファンタジックなマッチョ・ガイがかっこいいSean Platter、アメコミとウィリアム・ブレイクのミックスみたいな画風が面白いBrad Rader、暴力的なムードを漂わせるスキンズを描くSepp of Vienna、これまたアメコミ調でかっこいいマッチョを描くJJ Kirby、色鉛筆でボリス・バレジョーのゲイ・アダルト版みたいな絵を描くCraig Hamilton、フォービズムみたいなタッチで気持ちのいいポートレイトを描くTom Jones、古典的技法のリアル系の油絵でちょっとラフでダーティーな香りのする男たちを描くJames Huctwithなんかが、新たなお気に入りになりました。
作家ではないんですが、フラップでメッセージを書いているのが、Tom of Finland Foundationのプレジデントで、エロティック・アート・コンテストの主催(このコンテストには、以前に日本からも不破久友さんやKenyaさんといった方が応募して、それぞれ賞を貰っています)もしているDurk Dehnerでした。Tom of Finlandのパートナーだった人で、私は、TomのアトリエでもあったLAのご自宅にお邪魔したり、NYのレザーパーティでご一緒したことがあるので、何とも懐かしい気持に。
まあ、そんなこんなで、ゲイ・アート好きなら買って損はない、納得のヴォリュームの高品質画集。
版元のBruno Gmunderの本は、以前は東京の洋書屋で良く見掛けたので(何で以前かというと、ここんところ洋書はネットで買ってばっかりで、本屋巡りをあんまりしなくなっちゃったのだ)、この"STRIPPED"も上手くすると日本の店頭にも入ってくるかも。
以前だったらこういった本は、amazon.co.jpでも買えたんですが、既に.comでも.co.ukでも.deでも.frでも.caでも既に取り扱っているのに、何故か.co.jpでだけ扱われていない。何かルールが変わっちゃったんですかね? チンポの絵がいっぱい載ってるから? まったく、この文化的後進国め!
ISBNは3-86187-871-2、お値段は$29.95(amazon.comだと、34% OFFで$19.77)。
機会があったら、ぜひお手にとって見て欲しい逸品です。
“Stripped: The Illustrated Male” (amazon.com)