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『キングダム・オブ・ヘブン』追補

 前回「あと、最初の方に出てきたゲルマン人風の大男、良さそうじゃんと思ってツバつけといたら、あっという間に死んじまうし、港でバリアンを案内する男も、いいカンジと思ってたら、それっきりもう出てこないし……ううう(泣)」と書いた男優さん、どっかで見たことあるような……と、ずっと思ってたんですけど、ようやく判明。
 最初のゲルマン人は、ヴェルナー・ヘルツォークの『神に選ばれし無敵の男』で、主役の怪力男を演じていた、ヨウコ・アホラですな。NHKの深夜とかにたまにやっている「ストロンゲスト・マン・コンテスト」のチャンピョンだった人で、確か役者としては素人だったはず。
 で、もう一方の港の男は、たぶんTVムービー『レジェンド・オブ・サンダー』の前編で、スコットランド女王メアリーと恋に落ちるボスウェル役を演ってた、ケヴィン・マクキッド。(あたしゃ見てないんですが『トレインスポッティング』とかにも出てるんですな、この方)
 いやぁ、どっちも見ながら「なかなかいいなぁ」と惚れ惚れした人たちだから、あはは、嬉しくも儚い再会だったってわけだ(笑)。
 とゆーわけで、私同様にこの二人が気になった方(いるのか、そんな人)は、前述の二作をご覧あれ。どっちもメイン・キャストだし、役柄もオイシイし……あと、ヌードもあるし(笑)。
 因みに『神に選ばれし無敵の男』は、個人的には問答無用の傑作。ナチスのホロコースト絡みの重いテーマながら、詩情と神秘性があり、悲劇ではありながら陰鬱ではなく、物語的には娯楽性もある。
 唯一の欠点は、音楽がヘルツォーク組のフローリアン・フリッケではないことだけど、まあ故人だからいたしかたなし。
 もう一つの『レジェンド・オブ・サンダー』は、英国史もので、いささかこぢんまりとしつつも、目立った欠点も破綻もない、肩の凝らない娯楽作。
 ただ、前編のメアリー女王とボスウェルを軸にした、エピック&ロマンチックな雰囲気と、後編のジェームズ1世になってからの、野心陰謀欲望コンプレックス渦巻き、感情移入できるキャラクターなんて一人もいやしないっつー、ひたすらドロドロ世界のギャップがスゴイんだよね(笑)。ケヴィン・マクキッドが出るのは、前編だけ。
 あ、でも後編も、フツーにお話しとしても面白いし、ガイ・フォークス役のマイケル・ファスビンダーという役者が、なかなかいい男だったし(しかも拷問シーンもあるし)、あと、男色家のジェームズ1世(『フル・モンティ』とかのロバート・カーライル)が、家臣にホモセクハラしたりする(露骨な描写はないですけどね、確かノンケの臣下の頼みを聞くことと引き替えに、フェラを強要するんだったかな?)シーンなんつーのもあるし、レンタルで見る分には損はないと思いますよ。
 以上、どーでもいいよーな追補でした(笑)。

『キングダム・オブ・ヘブン』

『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)リドリー・スコット
“Kingdom of Heaven” (2005) Ridley Scott
 いやあ、素晴らしい!
 この映画で描かれている様々なもの、例えば、衝突する異文化とそこに生まれる軋轢、それらの解決に必要な相互理解、人類が普遍的に抱えつつ、しかし未だに解決できずにいる「平和」という命題、などなど、まさに今の時代にしか作られ得ず、同時に今の時代だからこそ作られなければいけない、そういうタイプの作品。
 仮に、歴史を知る意義の一つに、その歴史から現代に生きる我々が何かを学ぶということがあるとすれば、この映画は間違いなくそれを達成しています。(念のために、この映画が史実的に正しいと言っているわけではなく、この映画の作り手が、そういったスタンスで、歴史を基にした「フィクション」を作り上げることに成功している、という意味)
 あと、自らの魂に恥じない生き方をするといった点に、個人的に大いに感動しちゃったんですけど、ここいらへんは文章にすると「酔ってま〜す」系の、こっぱずかしくてクサいものになりそうなんで、自粛(笑)。
 まあ、多少の瑕瑾はあります。
 最も大きな問題は、上映時間に対して、エピソードやメッセージを詰め込みすぎていて、全体的に駆け足の感が否めないこと。特に前半の飛ばしっぷりは、こちらの感情が置いてきぼりにされてしまう感じ。そのせいもあって、物語がエルサレムに入ってからは、そこで繰り広げられるパワーゲームが余りにも面白すぎるせいもあり、中盤、主人公周りのエピソードが、物語的な魅力としては色褪せてしまうような印象もありました。ただ、クライマックスからエンディングにかけて、しっかりそれらが絡み合って、全体を盛り上げてくれたんで、最終的にはオッケー。
 また、ちょっとしたセリフに込められたニュアンスや、それが意味するところを正しく読み解くためには、歴史やカソリックやイスラムに関する知識が、それなりに必要とされる様子。おそらく私も、全て理解できたとは思えないので、そこいらへんはDVDになってから、じっくり再見するのが楽しみ。
 ただ、そういった欠点も、各役者の発する存在感と、圧倒的な映像の表現力で、結果的には帳消しだという印象。
 特に、描かれているものが、キャラクターにしろ民族という問題にしろ宗教という要素にしろ、それらを見る視点が、かなり引いた俯瞰的なものなのであり、同時に多様性を持ちあわせているという点は、個人的に大いに魅力的。娯楽大作の枠組みの中で、こういったことをこれだけきちんとやり遂たのは、これは拍手喝采もん。
 映像に関しては、セットや衣装の見事さはもちろんのこと、その油彩画的な陰影の深い、重みのある美しさは絶品です。ここいらへんは、同じ監督の撮った史劇同士で比較しても、『グラディエーター』や『1492 コロンブス』を凌駕している感じ。
 全体的には、エンタテイメントとしては重かったり、判りにくかったりする部分もありますが、かといって決してワケワカンナイとか退屈だということはなく、アクション・スペクタクル・シーンだけ取り出しても、充分以上にオツリが来る見応えですから、オススメの逸品です。
 役者も好演。
 主演のオーランド・ブルームは、『ロード・オブ・ザ・リング』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『トロイ』などと比較すると、ぐっと「大人っぽく」なりましたね。キレイカワイイ王子様に、ちょっと渋みもプラスされた感じ。鑑賞直後は、正直いささか線が細いという印象もあったんですが、あとからつらつら反芻していると、この映画の主人公のような、社会的な立場や肉体的な強さではなく、魂の純粋さが鍵となる「英雄ならざる英雄」像には、案外このくらいで正解なのかも……なんて気もしてきます。主人公として物語全体を牽引していく力は、ちょっと弱い部分がありますが、基本的に群像劇であるこの映画の場合は、それほどマイナスな印象はなく「少し惜しい」程度。
 周囲を固める役者さんは、いずれも大いに魅力的で、中でもエルサレム王役のエドワード・ノートンと、サラディン役のハッサン・マスード(シリアの役者さんだそうですが、こういった役にちゃんとそういう人を持ってくるあたりも、大いに好印象です)の二人は素晴らしい。他も色々と魅力的なキャラクター揃いなんですが、ここが諸刃の剣でもあり、魅力的ゆえに「もっと見たい」感が強くなるのに、前述の時間不足もあって描き込み不足となり、結果としてはちょいと物足りなさが残ってしまうのが残念。
 個人的にご贔屓のブレンダン・グリーソンは(タイプなんです)、う〜ん、『トロイ』に引き続き、また悪役かぁ(笑)。まぁ、魅力的な悪役ではあったけど、カワイイ笑顔を見られなかったのが残念。次の『ハリー・ポッター』では、どんな役なんだろう。ハグリッドみたいなタイプの役だったら嬉しいんだけどな(笑)。
 あと、最初の方に出てきたゲルマン人風の大男、良さそうじゃんと思ってツバつけといたら、あっという間に死んじまうし、港でバリアンを案内する男も、いいカンジと思ってたら、それっきりもう出てこないし……ううう(泣)。
 音楽のハリー・グレッグソン=ウィリアムズも良い仕事してます。キャラクターのモチーフなどのクラシカルな要素と、民族音楽的なコラージュのような要素が、上手い具合に絡み合って、画面とも上手く合った聴き応えのあるものになっています。『シュレック』のときのスコアも好きだったし、今度の『ナルニア』の音楽もこの人らしいので、これは楽しみがますます増えた感じです。
 あ、でも主要人物の葬儀シーンで、『ハンニバル』の劇中オペラの音楽を流用するのは、ちょっとやめて欲しかった(笑)。パトリック・キャシディが『ハンニバル』用に書いた、この”Vide cor meum”という曲、個人的には大好きなんですが、やっぱり『ハンニバル』のイメージが強すぎて(エンドクレジットでも使われてたし)、好きな分なおさら違和感も大だったなぁ。
 あと、個人的に大喜びしたのは、テーマ曲を歌っていたのが、大大大好きなナターシャ・アトラスだったということ。何の予備知識もなかったんで、エンドクレジットで彼女の歌声が聞こえてきた瞬間、椅子の中で声を出さずに「キャ〜」と喜びで身悶えしちまいました(笑)。
 この人は、確かアラブとスペインの血を引く在英の女性歌手でして、その昔はTrancegrobal Undergroundというエスノ・トランス系のユニットの歌姫として名高く、1995年の最初のソロアルバム”Diaspora”以降、何枚も単独のアルバムやゲスト参加したアルバムが出ています。もしこの映画で彼女の歌に惚れた方がおられましたら、ぜひ他のアルバムも聴いてくださいまし。
 クラブ系やグルーヴ感の強いのがお好みなら”Diaspora”、伝統寄りがお好みなら”Halim”、ポップ寄りがお好みなら”Gedida”か”Ayeshteni”か”Something Dangerous”、アンビエント寄りがお好みならNatacha Atlas & Mark Eagleton Project名義の”Foretold in the Language Of Dreams”なんかをどうぞ。
 ちょっと蛇足になりますが、こういう内容の映画だと、当然のごとく字幕の情報量では限界があり、正直なところ、私が判ったところだけでも、幾つか残念な取りこぼしがありました。
 というわけで、気になったところをかいつまんで幾つか。
 一番残念だったのは「サラディン」という表記ですね。映画の中では「サラディン」という英語風ではない「サラーフ・アッディーン」というアラブ風の発音になっていって、こういった配慮は異文化を表現するときの謙虚さとして、映画の内容とも合致している好姿勢なのですが、そういう配慮は翻訳では生かされていませんでしたね。
 それと、これはもう翻訳の限界なんですけど、「アッサラーム・アレイクム」の使い方がありまして、これは直訳すると「あなたの上に平安あれ」という意味の、イスラム社会で日常的に使われる挨拶です。で、それの返事は「アレイク・ムッサラーム(ワアレイクム・アッサラーム)」(あなたの上に平安あれ)と返すわけです。
 で、この映画の中では、この挨拶を英語とアラビア語でやりとりするシーンがある。片方がアラビア語で言い、それに英語で答えるシーンと、英語での語りかけに対して、アラビア語で返すシーンが両方。それも、それぞれ相手の言葉を使って。確かラスト近くに、サラディンとバリアン、バリアンとサラディンの部下(……名前忘れた)で交わされていたと記憶してるんですが、間違ってたらごめんなさい。最初のが、サラディンの英語にバリアンがアラビア語で返し、次のがバリアンのアラビア語にサラディンの部下が英語で返すんだったかな? う〜ん、ちょっと自信なし。
 で、この「平安」とはpeaceなわけです。May peace on you……だったかどうか、正確には覚えてませんけど、異文化の衝突という場において、それでも互いを尊重しあい、互いの平和を願い合うという、この映画のテーマの根幹に関わることが、この「『あなたにPeaceあれ』という意味の挨拶を、それぞれ相手の言葉でやりとりする」という、たったそれだけの行為に凝縮されているわけで、ここいらへんは私的にはかなりグッとくる感動ポイントでした。
 ついでにもう一つ、中盤に井戸を掘るバリアンに、王女シビラが「エルサレムを作ろうとしているみたいね」(だったかな?)とか話しかけるシーンがあるんですが、字幕にはなかったけど、セリフではただのエルサレムではなく、New Jerusalemと言ってるんですな。クリスチャンにとってのNew Jerusalemという言葉の意味と、”Kingdom of Heaven”という映画のタイトルからしても、シビラがバリアンの本質、その目指すところに、知ってか知らずか迫っている好セリフだ、なんて印象深く思ったり。
 もしこれからご覧になられる方がおられましたら、そういう要素に気を配りながら、ちょっと注意して聞いてみてください。きっと他にもいろいろと、面白い発見があると思います。
 いっそ、謎解き本とか攻略本とか出ればいいのに(笑)。
 あ、責め場は特になし(笑)。捕虜の王様を裸にして、ロバに乗せて引き回しの晒し者にするくらい。
 リドリー・スコットって、グロテスク美学はけっこう持ちあわせているのに(今回も幾つかあって、ニヤニヤさせられました)、悪趣味な部分があるわりには、変態性に欠けるんだよなぁ(笑)。

GarageBandとかMIDIキーボードとか

 買っちまいました、MIDIキーボード。
 お値段的にお手頃だった「M-Audio Keystation 49e」ってヤツ。
 ガキの頃、7歳までピアノは習っていたんですが(ブルグミューラーやツェルニーのアタマくらいまで……って言えば、ピアノを習ったことのある人だったらお判りかと)、鍵盤をいじるのはそれ以来なんで、何と34年のブランク(笑)。
 当然、指はぜんぜん動かない。にも関わらず、当時発表会で弾いた曲なんかは、最初の方だけなら身体が勝手に覚えていたりするんで、ビックリです(笑)。
 んでまあ、仕事の合間に息抜きを兼ねて、つらつら音楽なんぞを作ってみたりしてたら、いやぁ、楽しい楽しい。
 それにしても、ちょっとロック・ミュージシャンに憧れてた(笑)中学時代に、「ミュージック・ライフ」や「音楽専科」といった音楽雑誌に載ってた広告で、ミニ・モーグ(当時は「ムーグ」って言ってましたけど)だのポリ・モーグだのアープ・オデッセイだのメロトロンだの(プログレ小僧だったせいもあり、憧れはシンセ系に偏っております)を、値段の高さに仰天しつつ指をくわえて眺めていた頃からすると、パソコンについてたオマケのソフト+1万そこそこのキーボードで音楽制作を楽しめるなんて、うむむむ、まさに隔世の感。
 って、ババくさい感想だなぁ、我ながら(笑)。
 まあ、指は動かなくても、タイミング補正してくれるクォンタイズっつー強い味方もあるし(笑)、ミスタッチも後でエディター使って修正できるし(笑)、もう、書道で言うところの「ちょうちん」しまくりではあるものの、テキトーに音楽作っては遊んでいます。
 で、どんなジャンルかといいますと、これが日頃の雑食性が反映されたようなとりとめのなさでして。
 最初に出来たのは「スーダン歌謡風」だし、次は「スメタナ風」だし、この間なんて「ブラスがガンガン効いたカッコいいハウスを作ってみよう!」と意気込んでトライしたものの、出来上がったものはなぜか「いなたいドドンパ」にしか聞こえなかった(笑)。
 とゆーわけで、とっても楽しいんですが、困ったことに、今度はGarageBandからLogicにアップグレードしたくなってきちまいまして(笑)。
 いや、だってホラ、こーなると今度はソフトシンセとかさぁ、使ってみたくなっちゃって。それこそモーグやメロトロンのエミュレーター(……でいいのかな?)なんかもあるし。
 でもな〜、LogicだとMac miniじゃツラそうだしな〜。
 む〜ん、泥縄。ああ、困った(笑)。

ソード&サンダル映画ドイツ盤DVDボックス(2)

 以前ここで紹介した、ドイツe-m-s社のクラシック・ソード&サンダル映画DVDボックス、”Cinema Colossal”シリーズの”4 – Eros”が届いたので、一つ前の”3 – Saga”とまとめて、とりあえず一緒にご紹介。既に見たことがあるものに関してのみ、簡単な備考を併記しました。
 なお、ボックス一つに三作品(DVD三枚)収録というパターンは同じですが、3からそれと一緒に、「コレクターズ・カード」と銘打った葉書サイズのカードが、それぞれ6枚ずつ封入されています。
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“Cinema Colossal 3 – Saga”
1)カーク・ダグラス主演『ユリシーズ』”Die Fahrten Des Odesseus”(1954)
 伊語原題”Ulisse”、英題”Ullyses”。
 ディノ・デ・ラウレンティスとカルロ・ポンティという大物二人が、共同プロデュースでホメロスの『オデュッセイア』を映画化した大作。
 共演はシルヴァーナ・マンガーノ、ロッサナ・ポデスタ、アンソニー・クインなど。
 まあ、マッスル・ムービー的な見所はあまりなく、カーク・ダグラスの半裸と、レスリング・シーンくらいでしょうか。あと、サイレンのエピソードの際のボンデージ(笑)姿。
 でも、真っ当な意味での見所は、なかなか盛り沢山。宮殿や船のスケール感とか、ちょっと独特で美しい衣装とか、シルヴァーナ・マンガーノの美しさ(ペネロペとキルケーの一人二役というのが面白い)とロッサナ・ポデスタの可愛さ(ナウシカ役です)とか、一つ目巨人サイクロプスの特撮映画的な楽しさとか、キルケーのエピソードの夢幻的な雰囲気とか。ただ、スペクタクル的な見せ場や盛り上がりという点には、いささか欠ける感もあり。
 DVDは米盤や伊盤もあり。米盤の画質もそれほど悪くはないんですが、伊盤やこの独盤と比べると、やはり見劣りすることは否めませんな。
2)ロジャー・ムーア主演『サビーヌの掠奪』”Der Raub Der Sabinerinnen”(1961)
 伊語原題”Il Ratto Delle Sabine”、英題”Romulus And The Sabines”。
 後のジェームズ・ボンド役者主演による史劇。共演はミレーヌ・ドモンジョ。
3)カーク・モリス主演”Kampf Um Atlantis”(1965)
 伊語原題”Il Conquistatore Di Atlantide”、英題”Conqueror Of Atlantis”。
 ソード&サンダル+Sci-Fiもの。裏ジャケに載っている、怪しげなメカやらチューブやら、青い全身タイツ姿の怪人軍団なんかを見るだけで、B級好きなら血が騒ぐはず(笑)。
 米盤DVDは、Something Wired社から発売されているマーク・フォレスト主演”Goliath and the Dragon”(豪勇ゴライアス)に、オマケとして収録されています。(Bayside Entertainment Distribution社から出ている廉価盤ではないので要注意)
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“Cinema Colossal 4 – Eros”
1)ロリー・カルホーン主演『ロード島の要塞』”Der Koloss Von Rhodos”(1960)
 伊語原題”Il Colossi Di Rodi”、英題”The Colossus Of Rhodes”。
 非マッスル・ムービー。何故か邦題は「要塞」となっていますが、要するに世界七不思議の一つ「ロードス島の巨像」が見せ場のスペクタクル史劇。
 監督はセルジオ・レオーネ。共演はジョルジュ・マルシャル。マッスル系の脇役でちょくちょくお見かけするミンモ・パルマーラも出演してます。
 メイン・キャストにあまり魅力がないのが難点ではあるんですが、セットのスケール感はあるし、巨像が実は巨大な秘密兵器で、手に持った器から火を落として航行する船を焼き尽くしたり、頭がパックリ割れて炎を射出したりといったアイデアもあるし、クライマックスは大地震と嵐で、巨像は倒壊し町も破壊されるという一大スペクタクルだし、見せ場はタップリあります。
 また、責め場系もなかなか充実。
 まず、半裸のマッチョが何人も縛られたり吊されたりしているダンジョン。ここでジョルジュ・マルシャルは、鞭痕も鮮やかな半裸で、柱で後ろ手に縛られている。で、その上から巨大な釣り鐘のようなものをかぶせられ、それを棍棒でガンガン打ち鳴らす「音責め」を受けるんですが、責めが終わって釣り鐘が持ち上げられると、マルシャルは失神しており、更には鼓膜が破れたのか耳の穴から鮮血が……なんていう嬉しい(笑)ディテールが。
 マルシャル君の受難はこれだけではなく、後にも再度捕らえられ、仲間と一緒に大観衆の待つ闘技場に引き出される。で、両手首を縄で縛られ、そのままチャリオットで引きずり回し。チャリオットの車輪には回転する刃が付いており、二人の囚人を引きずったまま、鎖に繋がれた囚人たちの列の間を走り抜ける。反対側には炎が焚かれているので、囚人たちはよけることができず、必死にジャンプして迫り来る刃を跳び越える。その間にも、傍らではミンモ・パルマーラが横柱から両手吊りにされていて、その下にはライオンが待ち構える縦穴が。それを兵士達が弓矢で狙い、縄を切って囚人を穴に落とそうとする……ってな具合の盛り沢山さ。
 DVDは仏盤もあり。この独盤も、ノートリミングのスクィーズ収録ですし、多少の退色や傷は目立つにせよ、まあ良好と言って良い画質なんですが、仏盤の画質はそれを凌ぐ美麗さで、メジャーそこのけのハイ・クオリティ。伊語音声も収録されているので、どれか一枚なら仏盤をオススメ。
2)ブラッド・ハリス主演”Der Kampf Der Makkabaer”(1962)
 伊語原題”Il Vecchio Testamento”。
 まだ未見ですが、シリアの圧政に立ち向かう、イスラエルのユダヤ人……といった話みたい。
3)ダン・ヴァディス主演”Die Siegreichen Zehn”(1964)
 伊語原題”Il Trionfo Dei Dieci Gladiatori”、英題”Triumph Of The Ten Gladiators”。
 てっきり”Spartacus And The Ten Gladiators (Gli Invincibili Dieci Gladiatori)”の独盤かと思っていたところ、再生してみたら別の映画でした。まだちゃんと見てはいないんですが、こっちの方がユーモア描写も多い軽い娯楽作っぽいのかな。
 どーでもいいけど、ダン・ヴァディスって、顔はともかく(笑)身体は好き。
 ……とまあ、ボックスの紹介は以上なんですが、実は他にも、ここんところこのテのDVDのリリースが続いておりまして。
 米盤だとレグ・パークの”Hercules The Avenger”とアラン・スティールの”Hercules And The Black Pirates”の2in1や、スティーヴ・リーヴスの『マラソンの戦い』と”The Avenger”の2in1、ジョルジュ・マルシャルの”Ulysses Against the Son of Hercules”、独盤もスティーヴ・リーヴスの『大城砦』、ダン・ヴァディスの”Spartacus & Die Zehn Gladiatoren”(こっちが前述の”Spartacus And The Ten Gladiators”の独盤でした)、リチャード・ハリソンの”Titan Der Gladiatoren”なんてのが出てるんですが、なかなかちゃんと見る暇がないのが困りモン(笑)。

林月光(石原豪人)氏の原画展

 本家サイトの方にも書いたんですが、ここでも再度ご案内。
 明日23日から、中野ブロードウェイ内の書店「タコシェ」にて、林月光こと石原豪人の原画展が始まります。
 石原豪人といえば、妖美かつ精緻な画風で、少年誌から少女誌、文芸誌からSM誌、はたまた劇画や絵物語まで手掛けた、その圧倒的な画業の数々を指して「昭和の画狂人」と呼ぶ方もおられるほどの、戦後の大衆文化における一大絵師のお一人であります。
 そんな『石原豪人』が、ゲイ雑誌およびノンケ向けSM雑誌に作品を発表なさる際のペンネーム、つまりエロティック・アートを手掛ける際の筆名が『林月光』です。
『石原豪人』の画業に関しては、昨年、弥生美術館で展覧会が開催されたり、また河出書房新社から画集が発売されたことが記憶に新しいですが、残念ながらどちらも『林月光』に関しては、キャリアの一つとして軽く触れられただけに留まり、その作品や芸術については、全くと言っていいほど取り上げられていませんでした。
 今回の展示は、その『林月光』の画業にフォーカスを絞ったものであり、展示される作品もエロティック・アート、すなわち「さぶ」に発表された男絵や、ノンケ向けSM雑誌用に描かれた美女の責め絵などに絞り込まれています。
 卓越した技術で描かれる、夢見るような瞳の美青年。肌を艶やかに光らせて、しなやかに伸びる裸身。耽美と怪奇とユーモアが混在する、独特にして濃密なエロティシズム。まるで、キャムプやクィアといった感覚を先取りしていたかのような、時としてキッチュなまでに飛躍するアイデア。
 そんな貴重かつ美麗な原画を見ることができる、またとないチャンスです。
「さぶ」や初期の「バディ」で月光先生のファンだった方や、「June」で豪人先生のファンだった方はもちろんのこと、エロティック・アートを愛される方であれば、老若男女セクシュアリティを問わず、ぜひお出かけくださいませ。
 展示に併せて制作された、図録の販売もあるそうです(因みに、私もちょっぴり寄稿させていただいております)。
 また、この原画展に併せて、5月11日には高円寺の『円盤』にて「月光夜話」と題されたトーク・イベントも開催されます。これまた私、ちょっとしたお土産を持って参加させていただく予定です。
 こちらの方も、興味とお時間のおありの方は、ぜひ足をお運びくださいませ。
 以上二つ、期間・場所・時間等の詳しい情報は、主催の「タコシェ」のサイトへどうぞ。

最近買ったCDあれこれ

The Lie Lay Land
World’s End Girlfriend “The Lies Lay Land”
 日本発。
 エレクトロニカやポストロックや現代音楽といったジャンルを越境した、驚異のミクスチャー音楽の旗手、待望の新作。
 過去の作品全てが傑作という、とんでもないアーティストなのだが、今回もまたまた期待に違わぬ大傑作。もう、どこまでいっちゃうんだろう。本気で目が離せない。
 今回は、ソリッドでエッジの効いた部分が若干後退し、反面、オーガニックでカオティック部分が前に出てきた感じ。エレクトロニカ的な要素よりも、ポストロックや音響系っぽい要素が目立つというか。音の構成(ギター、ノイズ、ストリングス、ピアノ、ドラムス、サックスなどなど)のせいもあって、God Speed You Black EmperorやSilver Mt Zionなんかとの相似性も感じたり。
 しかし、繊細な叙情性と暴力的な攻撃性が混在し、見事なまでの緊張感と構成力で渾然一体となって襲いかかってくる、名状しがたい「美」は相変わらず。もう、聴いてると胸が掻きむしられるような感動が。今年のベスト・ワンは、早くもこれで決まりかも。
 名前を挙げたジャンルやアーティストを好きな方は勿論のこと、ジャンルを問わず、いや、ジャンルに拘らずに音楽を愛する方なら、ぜひご一聴を。

L'absence
Hector Zazou “L’absence”
 フランス発。
 この人も越境系ですな。ZNRの頃は室内楽的、Zazou Bikayeではエレクトロ・アフロ・ダンス。ワールド・ミュージック系のアーティストのプロデュースも多い。
 特にテーマを絞ったコンセプト・アルバムには傑作が多く、極北の海をテーマにした”Songs From The Cold Seas”(Bjork、Suzanne Vega、Jane Siberry、Varttina、加藤登紀子なんつー面々が参加)、ケルト音楽をテーマにした”Lights In The Dark”(Mark Isham、Peter gabriel、坂本龍一、元Dead Can DanceのBrendan Perryなんて面々が参加)、アルチュール・ランボーの生涯をモチーフにした”Sahara Blue”(これまた坂本龍一、David Sylvian、John Cale、Sussan Deihim、Bill Laswell、Khaled、Brendan Perryに今度はLisa Gerrardも、あとジェラール・ドパルデューまで参加)など、どれも愛聴盤。特に”Sahara Blue”は傑作ですぞ。
 今回は、クロスオーバー感やミクスチャー具合は、わりと控えめ。クールで硬質な電子音を基調に、浮遊感のあるノイズや女声ヴォーカルが被さるような、ちょっと前のトリップホップみたいな感じ。新鮮味はあまりありませんが、フワフワしていて、ちょっとダークで、とってもキレイ。あんまり重くはありません。Massive AttackやPortisheadあたりの音がお好きな方にオススメ。あと、LambとかNicoletteとかが好きだった方も気に入るかも。ドラムン・ベースっぽい要素はありませんが、全体の空気感とかが似てます。
 個人的には、ゲストにアーシア・アルジェントの名前があってビックリ(笑)。歌ってんのかと期待したら(女優の歌モノって好きなのよ)、喋りだけだったので、ちとガッカリ。

Lune
Riccardo Tesi & Banditaliana “Lune”
 イタリア発。
 フォーク/トラッド系のアコーディオン(イタリアだとメロディオンとゆーらしいですが)奏者が、以前のソロ・アルバムのタイトルを、そのままバンド名にして新作を発表。
 同じアコーディオン系でも、ミュゼットやバンドネオンみたいな哀調はあまりなく、泣き節でもどっかノホホンとした陽気な雰囲気があるのが、イタリアっぽいような(ホントかよ)。曲調も、目まぐるしいソロを聴かせるタイプではなく、バンド・アンサンブルをじっくり聴かせる感じ。
 インストと男声ヴォーカル曲が半々。ヴォーカルはクセがない美声。歌い方はしっかり朗々としているけど、力みすぎず歌い上げすぎずなのは高ポイント。演奏はメロディオンにサックスやベースが重なり、アレンジもトラッドよりだったり、ちょっとアーバンな雰囲気を加えたり、メロウだったりハッピーだったり、ヴァリエーション豊かで飽きさせません。
 あと、曲によってはサズ(トルコの弦楽器)やタブラなんかも入っているので、ちょっと汎地中海音楽的な雰囲気もあり。Fabrizio De Andreが好きな方、一度お試しになってみては。
 オマケにリミックスが二曲入っていたけど、う〜ん、これは蛇足かも(笑)。

Shot & Echo/a Sense of Place
Wim Mertens “Shot And Echo / A Sence Of Place”
 ベルギー発。
 ミニマル音楽のWim Mertensの旧譜”Shot And Echo”が、同時期に発表されたミニ・アルバム”A Sence Of Place”と未発表トラック等を加えて、二枚組で再発売。
 Mertensの作風は、ピアノ・ソロ+ヴォイスによる叙情的でセンチメンタルな作風や、様々な楽器のアンサンブルによるミニマル寄りでタイトかつドラマチックな作風や、一つの楽器をほぼ単音で奏でる更にミニマルかつストイックな作風などがあります。で、それらの作風を一つのアルバムに混在させるのではなく、アルバムごとにタイプをはっきりと分けて、代わる代わに発表しています。
 最初の”Shot And Echo”は、アンサンブルによるミニマル路線でありつつ、そういった構築的な魅力に、どこか古楽を思わせるような牧歌性や、ちょっと感傷的で湿った叙情性も加わった、これぞMertens音楽の魅力本領発揮といった感じの傑作。
 もう一枚の”A Sence Of Place”は、これは今回初めて聴いたんですけど、アンサンブルを使わないストイック路線のミニマルでした。とはいえこちらも、ゴリゴリにストイックなのではなく、モチーフが”Shot And Echo”と同じだというせいもあり、他の同路線のアルバムと比較すると叙情寄りな感触。あと、メロウな旋律が短音で静かに繰り返される様は、何だかポリフォニー以前の古楽のようでもあり、なかなか魅力的でした。
 というわけでこの再発盤、どちらかオリジナルをお持ちの方でも再購入の価値は大。あと、前述したように傑作でありながら、長らく廃盤でもあったので、買うなら今がチャンスかも。
 あとMertens入門用にも好盤……だとは思うんですが、実はこの方、アルバムの数がもンのすご〜く多いし、しかも二枚組やら三枚組を一度に四種類発売とかしやがるとゆー、けっこうハマると泥沼の、ファン泣かせの人ではあります(笑)。

城卓矢『なつめろ全曲集』
 日本発。
 何だかいきなりなラインナップですが(笑)、前々から欲しかったところ、ぐーぜん店頭で見つけたもんで。
 で、何で欲しかったかと言うと、実は私、この人の歌は「骨まで愛して」しか知らなかったんですが、ちょっと前にテレビで「骨まで愛して」を久々に聴いたら、そのサビ、「♪骨まで〜骨まで〜骨まで愛して欲しいのよ〜」の、二回目の「骨まで」の「ほ」の声のひっくり返り具合に、一発で惚れちゃいまして。……って、どんな理由だ(笑)。
 んで、目当ての「骨まで愛して」は、もちろん満喫したんですが、今回他の曲も聴いたところ、いやビックリ。
 上手い人だという記憶はあったんですが、加えて表現力がスゴい。
 タイトルからしてビックリの「なぐりとばして別れよか」とか、民謡+リズム歌謡でゴキゲンな「スタコイ東京」「ダッキャダッキャ節」、極めつけはサンバ+ヨーデルとゆーコンセプトからして理解不能な「トンバで行こう」、などなど、けっこうトンデモナイ曲が多いんだけど(笑)、どれもこれも見事に歌いこなしてます。特に民謡系(っつーか「ユーモラスな田舎者系」)の歌なんて、私はこのテは、千昌夫にしろ吉幾三にしろ、正直かなり苦手なんですけど、この人が歌うと全く気にならない……っつーか、逆に好き。全力投球のトゥー・マッチさも含めて、マジかっこいい。これは、しっかりした歌唱力と、それでもそこはかとなく香る泥臭さが魅力のキモなのかなぁ。
 ああ、もちろん「風の慕情」とか「ああふるさと」とか、普通にいい曲もあります。やはりどこか泥臭さがあるんですが、それも何だか色っぽい。何だか、ヴィンテージ・ゲイ小説の名手・楯四郎や、昔の『さぶ』の小説読んでるみたいな魅力が(褒めてんのよ)。そーゆー野郎系やレトロな男の色気が好きな人には、「さすらい東京」「男無情」「忘れるものか」なんて曲もオススメ(笑)。
 まあともかく、早逝してしまったのが、ホントに惜しいと思います。
 あとね、実は私、子供の頃からこの方の顔が好きでして(笑)。長じてからも、中古レコード屋とか巡っちゃあ、この人のシングルやアルバムが出てくると、ジャケ見ては「いい男だな〜」なんて思ったりして。……って、その割りには、今まで買ったことなかったんですけど(笑)。そういう意味では、このCDのジャケットは、ちょっとアウト。あんまりいい写真じゃない。
 もひとつ不満。今どき、15曲入り(+カラオケ一曲)で3100円のCDって……高価すぎないか?

Poser 5とかVue 5 Espritとか(続き)

 引き続きPoser 5とVue 5 Espritにハマっております(だから世の中はもうPoser 6なんだってば)。
 とりあえず、今回はVueのアニメーション機能にチャレンジ。Mover 5を入れていないのでPoserのアニメーション情報はインポートできないけど、とりあえずVueでカメラや大気だけでも動かしてみようかと。
 こーゆー気持ちになったのも、Vueのレンダリング速度がけっこう速かったから。Bryceだと、とてもじゃないけど動画にチャレンジしようという気持ちは起こらなかったからなぁ(笑)。
 フィギュアやシーンは、前回作ったヤツの流用。
 テストだから、データが重くなりそうな植生モデルを外して、あとは引きの構図用に遠景を足しただけ。
 で、Vueのアニメーション・ウィザードを立ち上げて、ガイダンス通りにてきとーにやってみる。プレビューしてみると、たったそれだけでもいちおう何だかそれらしげなモノができたもんで、その手軽さにビックリ。
 雛型はこれでできたので、あとはカメラの位置やアングルやタイミングをちょこまか修正。ま、こんなもんかなってのができたたら、解像度をVCDくらいにして、秒15フレームで本番用にレンダリング。
 できあがったファイルをQuicktime Playerで再生してみると……おお、ちゃんと動いている、感動(笑)。
 想像していた以上に簡単だったので、調子にのってもう1パターン作ってみたりして。
 で、できあがった動画をi Movieに持ち込んで、トランジションやGarage bandでテキトーに作ったBGMなんかを追加。i Movieって初めて使ったけど(今までのサイトに上げていた動画は、Quicktime Playerのコピペだけで作ってたのだ)、けっこう使えそうであります。
 そんなこんなで、完成したのがコレ。マイ・ファーストVueムービー(笑)。
HercMovie_t
 画像クリックで動画がスタート(要Real Player)。約24秒、1MB。
 この程度なら、音入れ等の編集作業も含めて、半日でできちゃいました。こりゃあ手軽で楽しい。
 しかし、こーなるとますますフィギュアもVue上で動かしてみたくなるなぁ。
 いやぁ、もう我慢できません。Mover 5購入決定! でゴザイマス(笑)。

Mac miniとかPoser 5とかVue 5 Espritとか

 Mac miniを買いました。……いや、物欲に負けまして(笑)。
 CPUは1.42GHz+メモリ1GB。メモリを増設した分、値段は高めになっちゃいましたが、どーせ買うなら仕事でもそれなりに使えるようにしたいし、備えあれば憂いなしだし。
 でもって、以前に購入したままノータッチだったPoser 5をさっそくインストール。で、立ち上げて動かしてみたら……
 ……軽い。前の環境とは比較にならないくらい、動作が速い。
 考えてみりゃあ、そりゃそうだよなぁ。何てったって前は、Power Mac G4 350MHz+メモリ832MBだし。しかし、Poser 4+旧マシンよりも、Poser 5+新マシンの方が速いとは嬉しい驚き。きっと同じくらいの重さだと想像してたんで。
 って、実はつい先日、Poser 6のリリースが発表されたばかりだというのに、今頃Poser 5ではしゃいでいる自分もどーかと思うけど(笑)。
 ともあれ、Poser 5で最初に試したかったのは、布のシミュレーションをするダイナミック・クロス機能。以前はフィギュアの衣装で、何かと苦労したし。
 ざっとマニュアルを読んだところ、例えば「貫頭衣」みたいな、構造的にシンプルな衣装なら簡単そう。で、さっそく六角大王を立ち上げて、古代風のチュニックとか、アラブ民族衣装のガラベーヤとか、シンプルな構造の服をさくっとモデリング。
 それをPoser 5に読み込んで、愛用モデルGoro君(Michael 2を自分の絵のモデルに合うようにカスタマイズしたもの)に着せて、シミュレーション開始。
 重いだろうなとは思っていたものの、想像していたほどの激重でもない。簡単な静止ポーズにフィッティングさせる分には、ほとんどストレスなし。おまけに仕上がりも、けっこうリアル。基本的なシワの寄りかたとかを見るぶんには、充分に使えそう。
 で、新マシンでPoser 5が充分に使えそうだったので、そうなると以前から気になっていた、もう一つのソフトにも手が出したくなる。
 景観作成ソフトのVue d’Espritシリーズです。Poserとの親和性も高いってゆーし、海外のPoseコミュニティーの作品を見ていても、Vueの絵作りには惹かれるものがあったし。
 で、思いきってVue 5 Espritを購入。インストールして動かしてみたら……
 ……使いやすい。
 同様の景観作成ソフトのBryceを使った人だったら、最初にFLASHで出てくる簡単なチュートリアルを見るだけで基本的な操作は理解できるはず。大気やマテリアルのプリセットも、Bryce同様に豊富にあるし。
 レンダリング・スピードは、Bryceには圧勝。っつーか、Bryce遅すぎ(笑)。でも、ラジオシティやグローバル・イルミネーションを使うと、やっぱりそれなりに時間がかかる。ここいらへんは、Carraraの方が速いかも。
 ただVueだと、簡単なレイ・トレーシングでも、環境光やボリュメトリックをうまく使えば、BryceやCarraraと比べて「自然っぽい」絵は作りやすい気が。昼光の屋外には、かなり威力を発揮しそうです。
 さて、気になるPoserとの連携。
 Vue 5 EspritではPoserのpz3ファイルを、モーションなしならそのまま読み込めるらしい。今までPoserと他ソフトを連携させるには、Poserからobjでエクスポートして、それを他ソフトでインポートしてたんですが、その際に透明度の情報などをインポート先で再度指定し直さなければならなかった。これがけっこう手間でねぇ(笑)。
 で、試しにPoser 5でフィギュアにテキトーなポーズをとらせて、それをセーブしたものを、そのままVue 5 Espritで読み込んでみたら……
 ……何の手間もいらずに、すんなりそのままインポート。すっげー楽チン。
 いろいろと試していたら、たまにモデルは読み込むんだけどテクスチャが抜け落ちちゃうとか、「読み込みません」とか言われちゃうトラブルも出たけど、最終的にはいずれも解決。厳密に検証したわけではないのでエラーの特定はできませんが、どうもライブラリ名やファイルを置くディレクトリ名に日本語を使うとNGってことなのかなぁ。
 とゆーわけで、まずPoser 5で手元のフィギュアにダイナミック・クロスを着用させたデータを作り、それをそのままVue 5 Espritで読み込み、テキトーにプリセットを組み合わせただけの絵を一枚作ってみました。
 それがこれ。大きい画像を見たい方はクリック。
vueposer_herc_test01
 ソード&サンダル映画で「ありがち」なワン・シーン(笑)。ホントはもっとエロエロなのも作ったんですが、いちおうこのBlogでは「どエロ」はやめようと思っているんで、まあこの程度で。……とはいえ、パンチラならぬチンチラしちゃってますが(笑)。
 この程度なら、何の手間もなくさくっとできちゃいます。こりゃあ、これからいろいろと使えそうだぁ。
 さて、話はPoser 5のダイナミック・クロスに戻りますが、フィギュアにリアルな布を着せたら、今度は動かしてみたくなるのが人の性。
 で、これまたPoserプリセットのモーション・ファイルを使って、Goro君に腰布巻いて走らせてみました。
LoinclothRun_t
 動画を見たい方は画像をクリック。サイズは128KB、たった3秒(笑)。(rmファイルなので、動画を見るにはReal Playerがインストールされている必要あり)
 ……腰布がずり落ちそうで、何だかスリリング(笑)。
 布が小さいせいもあって、ダイナミック・クロスの計算時間は早かった。ムービーの作成時間も、プレビュー画像モードだから激速。そのかわり、布の裏面とかはレンダリングされてないけど。
 ついでにもひとつ、アラブ人に扮してガラベーヤ姿で歩いて貰いました。
GalabeyaWalk_t
 サイズは136KB、同じくたった3秒(笑)。
 ……何だか酔っぱらいのようです(笑)。ちょっとひっつれた感じなのは、Poserのせいなのか、はたまた私の縫製(モデリングだろ)が悪いせいか(笑)。股間がモッコリしてますが、じっさいエジプトあたりではこーゆーお方を良く見かけます(笑)。
 こっちは布の分量や、布が衝突するフィギュアのパーツが多いせいか、さっきの腰布より計算は時間がかかりました。
 しかし、こーやって動かしてみると、困ったことに、今度はVue 5上でも動かしてアニメーションを作ってみたくなる。Mover 5というプラグインを買うか、Vue 5を上位バージョンにグレードアップすれば可能なんだが、肝心要の作る時間が……むむむ。

『ファイアー・アンド・ソード』のサントラ、他、最近買ったCD

ogniem_i_mieczem
“Ogniem i mieczem (OST)” Krzesimir Debski
 前にここで「もしサントラ盤があったら、絶対に欲しい。……なさそうだけど(笑)」と書いた『ファイアー・アンド・ソード』のサントラですが、探したら……ありました(笑)。う〜ん、ネットは広大だわ(笑)。
 もう大喜びで注文し、首尾良く届いてからは聞きまくり。やっぱ、すっげー良いです。
 えー、どーゆー感じかともうしますと、まずロシア民謡とかの哀感のあるメロディーを思い浮かべてくださいまし。で、それを流麗かつ分厚いストリングスで味付けする。メロウな曲調の場合は、ソプラノやコーラスで哀愁をプラス。戦闘やコサック騎兵の進軍といったアップテンポの場合は、哀愁を帯びた陽気さをプラスしつつ、ブラスやティンパニでガンガン盛り上げる。エピック的な壮大な雰囲気や、人の世の無常さを描く場合は、もう重厚なオーケストラと混声合唱で、ひたすら朗々と歌い上げる。で、その合間合間に、シンプルな民謡なんかもちょっと挟まったりして。
 ってな感じで、史劇系のサントラ好きだったら、満足すること間違いなしの一枚。これがもしメジャーな映画のサントラだったら、『その時歴史が動いた』とかのBGMに使われてそうです(笑)。
 でもって、作曲者のクジェシミール・デブスキという人について検索してみたら、かのホセ・クーラがエヴァ・マラス・ゴドレフスカという人(私は寡聞にして知りませんでしたが、ポーランドの国民的ソプラノ歌手だそうです)とデュエットした『ソング・オブ・ラヴ』というアルバムが引っかかった。これに件のクジェシミール・デブスキが何曲か提供しており、指揮もしている。オマケに他の収録曲の中には、ここで触れたヴォイチェフ・キラールの名前も。っつーわけで、これも即注文(笑)。届くのが楽しみ〜。
 で、この『ファイアー・アンド・ソード』のサントラを購入したサイト(イタリアのサイトでした)、何だか他であまり見かけないサントラがありまして、ついつい嬉しくなって一緒に幾つか購入してしまいました(笑)。何を買ったかというと、以下の通り。
last_days_of_pompeiulyssessolomonshebagolden_voyage_of_sinbadnicholasalexandrawalkabout
 順番に『ポンペイ最後の日』『ユリシーズ』『ソロモンとシバの女王』『シンドバッド黄金の航海』『ニコライとアレクサンドラ』『美しき冒険旅行』。ちょいと史劇系に偏ってますが、実はちょうど今、そのテのコスチュームもののマンガを描いている最中なので、仕事のBGMにはうってつけかも(笑)。

『キング・フォー・バーニング』

キング・フォー・バーニング [DVD] 『キング・フォー・バーニング』(1994)トム・トエレ
“Konig der letzten Tage” (1993) Tom Toelle

 16世紀中頃、宗教改革時代のヨーロッパを舞台に、ドイツの都市ミュンスターに立てこもり、千年王国を築こうとした再洗礼派の悲劇を描いた、ドイツのテレビ映画。

 主人公は、信徒のリーダーであり自称預言者であるヤン・ボケルソン。再洗礼派の力を危険視したカソリックは、軍を派遣してミュンスターを包囲する。城壁に閉ざされた世界の中、やがてボケルソンの力は市長をも凌ぎ、自ら王として君臨する。彼は一夫多妻制を認め、反抗する者は処刑という恐怖政治を施行するが、同時に包囲された市内では食料が不足して飢餓が襲いかかる。そしてついに軍隊が突入し、血みどろの悲劇の幕が……ってのが、大まかなあらすじ。
 画面は極めて重厚。いわゆるテレビドラマ的な画面の狭さをほとんど感じさせない、たっぷり引きのある構図。時代の雰囲気や内容に良く合った、程良く沈んだ色調。衣装や美術も凝っていて、いかにも中世ヨーロッパらしい「不潔感のある豪奢さ」が良く出ています。絵的に時代物の雰囲気を楽しむという点では、ほぼ満点の出来映え。
 ただ惨劇の描写は、これはテレビものの限界か、近年の映画と比べるとかなり大人しいです。虐殺にしろ処刑にしろ、目を背けたくなるような無惨さや力強さはなく、あくまでも「こういうことがありました」という説明以上にはなっていない。まあこの間の『パッション』みたいなのは例外としても、例えば『薔薇の名前』や、あるいは『1492・コロンブス』あたりと比べても、ぜんぜんソフトなので、そういうのが苦手な方には良いでしょうが、個人的には、この題材だったらもうちょっと「禍々しさ」を感じさせて欲しかったかな。
 物語も面白いし、しかもこれが史実となるとますます興味深いんですが、どうも全体に駆け足で、説明不足の感が残るのは残念。
 特に、キャラクターの描写にそれが顕著で、例えば主人公は、それが狂信者にせよ誇大妄想狂にせよ、あるいは単なる権力欲に満ちた人物にせよ、かなり複雑で面白いキャラクターのはずなんですが、どうも内面描写が不足しているせいで、あまり説得力がないし感情移入もしにくい。彼がなぜ再洗礼派に入信したかということすら、良く説明されないし。これは他の登場人物、例えば物語のオブザーバー的な役割である主人公の級友や、主人公以前に再洗礼派のカリスマであった預言者や、その妻といったキャラクターも同様。役者さん自体は、それぞれ雰囲気に合っていてイイ感じなので、何とももったいない感じです。
 しかし、ひょっとしたらこれは、『ファイアー・アンド・ソード』の時に書いたのと同様に、このDVDは短縮バージョンなのかも知れません。IMDbで調べても、残念ながらランニング・タイムが明記されていないのではっきりとは判らないのですが、テレビのミニシリーズだとは書かれているので、その可能性は大かも。もし完全版があれば見てみたいなぁ。
 あと、特筆すべきは音楽。暗い翳りや哀感を帯びたドラマチックで重厚なストリングス、教会音楽を思わせるゴシックな雰囲気のコーラス(ゴシック期の音楽という意味ではなく、あくまでも雰囲気として「ゴシックっぽい」ってこと)、どこか恐ろしげにズンズン響く打楽器などなど、たっぷり楽しませてくれます。
 スコアを書いたのは、コッポラの『ドラキュラ』やポランスキーの『ナインスゲート』と同じ、ポーランド人作曲家ヴォイチェフ・キラール。これらのスコアが好きな人だったら、ぜったいこの『キング・フォー・バーニング』の音楽も気に入るはず。
 で、サントラがあったら欲しいな〜、なんて諦め半分で探してたら、純正のサントラじゃないけど見つかっちゃった(笑)。これに関しては、後ほど詳述。
 というわけで、全体的には多少の不満はありつつも、美術や音楽の素晴らしさ、題材の興味深さなどを併せると相殺される感強しなので、こういった内容の映画に興味のある方でしたら、見て決して損はないと思います。
 余談ですが、『刑事ジョン・ブック 目撃者』で描かれていたアメリカのアーミッシュも、確か再洗礼派の流れを汲む一派だったと思うので、同じ宗教コミューンの行き着く先の違いなどを考えると、またいろいろと感慨深いものがあります。
 では、恒例の「責め場」紹介。例によって、嫌な人はこの段は飛ばしてください(笑)。
 この映画では「焼けたヤットコで肉を引きちぎっていく」処刑が見れます。
 まあ前述したように過激さはなく、肌を挟むヤットコ、苦悶する顔のアップ、火傷痕のメイク……といった、あくまでも昔の映画に良くある「そのものズバリは映さない」タイプの表現。今どきの映画風の、CGや特殊メイクでスゴイものを見せてくれる……なんてことはない。でも個人的には、受刑者がヒゲ面&腰布一丁というダブルコンボだし、公開処刑だし、あんまり映画で見たことのないシーンだし、けっこう嬉しい儲けもの(笑)。
 もう一つ、鉄檻に入れての晒し刑なんてものもあるんですが、これは動物園みたいにフツーの檻の中に、完全着衣のまま入れられているだけなので、あまり興趣はかき立てられなかったなぁ。人型のカゴに入れて城壁から吊しでもしてくれれば、もっと良かったんだけど(笑)。

 さて、前述の音楽ですが、サントラ盤は見つからなかったものの、代わりにコレを見つけました。
wojcieck_kilar
 ヴォイチェフ・キラールの映画音楽を、ポーランド国立ラジオ交響楽団が演奏しているアルバムです。指揮はアントニー・ウィット。……知らないけど(笑)。
 これに『キング・フォー・バーニング』こと “Konig der letzten Tage” からのスコアが、5曲入っていました。映画を見て心に残った曲は全部入っていて、私的には大満足。改めて聞いても、う〜ん、やっぱり良いわぁ。映画のタイトルバックでかかる “Intrada” なんてホントいい曲。ゴシック・ホラー好きには、コーラス入りの “Sanctus” とか “Mizerere” の暗黒っぷりなんかタマンナイし。
 他に収録されているのは、前述のコッポラの『ドラキュラ』から6曲、ポランスキーの『死と処女(おとめ)』から3曲、どうやら日本未公開らしいポーランド映画 “The Beads of One Rosary” と “Pearl in the Crown” から、それぞれ1曲と2曲。いずれも劣らぬ良い曲揃いなので、興味のある方にはぜひオススメ。
 レーベルはクラシックの廉価版で有名なNAXOS。タイトルは”Bram Stoker’s Dracula and Other Film Music by Wojciech Kilar”、カタログ・ナンバーは8.557703。
 NAXOS JAPANのサイトでは見つからなかったので、国内盤(ってもここのはいつも、輸入盤に解説付きの帯を付けたものですけど)は出ていないのかもしれませんが、輸入盤ならamazon.co.jpで「クラシック」で検索すると簡単に見つかります。