
祝・NTSC盤発売!
スティーヴ・リーヴス主演の『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』(伊語原題 “Il Terrore dei barbari”、米題 “Goliath and the Barbarians”)の、アメリカ盤DVDが出たのでご報告。
この映画のDVDは、いままでフランス盤、スペイン盤、イタリア盤が出ていましたが、このアメリカ盤発売で、ようやくPALの再生環境をお持ちでない方でも、DVDで見られるというわけです。しかもリージョン0なので、普通のDVDプレイヤーで再生可能。
映画の内容については、前にここで熱く(笑)語っているので省略します。ここでは、気になる画質についてレポート。
とりあえずは下のキャプチャ画像をご覧あれ。


ご覧のように、極度の退色や傷などがない、全体的には佳良と言える品質。色彩は経年劣化で全体に黄味がかった感じで、ディテールもはっきりクリアとは言えませんが、それでも50〜60年代のソード&サンダル映画のソフトとしては、十分に上クラスの画質。ノートリミングのシネスコ版なので、構図の狂い等もなし。ただ、スクィーズ収録ではないのは残念。
本編以外の作りもしっかりしており、映像特典として、スライドショーと米国版予告編が付いています。このスライドショーが充実していて、スチル写真はもちろんのこと、公開時の世界各国のポスター、ロビーカード、パンフレットなどの画像が、たっぷり収録されています。日本のも、ちゃ〜んとありました。
DVDソフトとしては、手持ちのフランス盤、スペイン盤、イタリア盤と比較しても、頭一つ飛び抜けた品質。『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』のDVDを購入するのなら、この米盤がベストの選択と言えるでしょう。
さて、このDVDは両面ディスク仕様になっていて、B面にはゴードン・スコット主演の “Goliath and the Vampires (Maciste contro il vampiro)” (1961) が収録されています。監督は、アラン・スティールの “Hercules Against the Moon Men (Maciste e la regina di Samar )” を撮ったジャコモ・ジェンティローモ(Giacomo Gentilomo)。
ゴードン・スコット扮するゴライアス(原版ではマチステ)が、自分の村を焼き払われ、仲間を虐殺され、許嫁を攫われてしまい、復讐と奪還に向かう……というのが大筋なんですが、タイトルからも判るように、お話しが進むにつれて、そこに伝奇ホラー風味がミックスされていきます。
まず、さらわれた娘たちが、短剣で腕を切られて生き血を杯に絞りとられ、その杯をカーテンの影から奇怪な腕が伸びて受け取る……なんてあたりから、ちょいとそれっぽい雰囲気が漂い始める。それでも、ゴライアスがアラビアン・ナイト風の街に辿り着き、攫われた娘の一人を奴隷市場から助けて大暴れしたり、ジャック・セルナス扮する謎の男と出会ったり、捕まって王宮に連行されるあたりまでは、まだ史劇風味の方が強い感じ。
しかし、許嫁を助けて脱出したゴライアスが、砂嵐にあい、地下の都に迷い込むあたりから、風向きが決定的に代わり、後半は、地下都市に住む「青い人々」と共に、黒魔術を使う魔王コブラックを倒し、魔術で石化されてしまった人々を救うといった、完全にファンタジー映画の趣になる。
前半の史劇風パートも、セットやモブもけっこうゴージャスで、アクションや残酷趣味も盛りだくさんで、けっこう楽しませてくれるんですが、それよりも特筆したいのは、やはり後半のファンタジー風パートの方。
この後半は、コブラック配下の生き人形にされたノッペラボウ軍団とか、肌の色から服装から食べるパンまで青い「青い人々」(ちょっと『続・猿の惑星』のミュータントを連想させます)とか、錬金術めいたビーカーやフラスコとか、ゴライアス VS 偽ゴライアスとか、ファンタジーやSci-Fiテイストが、ふんだんに登場します。ここいらへんのアイデアとか、チープさも含めた見所は、他のソード&サンダル映画と比較しても、頭一つ飛び抜けている感じなので、クラシックSF映画ファンなら、かなり楽しめるはずなので、ぜひ一見をオススメしたい。
ただ、映画全体としては、盛りだくさん過ぎるのが仇になっている感はあり。エピソードのつなぎがギクシャクしているし、ストーリー的にとっ散らかった感じがするのは否めません。
ゴードン・スコットは、ヒゲがないのは個人的には残念だけど、最初から最後までほぼ腰布一丁なのは嬉しいポイント。筋肉美を誇るタイプではないから、怪力発揮とか肉体の見せ場になると、ちょいと同時代の他のボディービルダー男優と比べると見劣りしますが、恋人を喪った怒りと悲しみとか、偽ゴライアス役のときの憎々しい表情とか、なかなかの熱演を見せてくれます。
ヒロインのレオノーラ・ルッフォは、まあ奇麗なだけという感じですが、対する悪のヒロイン、魔女アストラ役が、スティーヴ・リーヴスの『ヘラクレス』のアマゾンの女王や、やはりリーヴスの『闘将スパルタカス』にも出ていた、ジャンナ・マリア・カナーレだったのが嬉しい。似たようなキャラを演じても、やはりモイラ・オルフェイあたりよりは、だいぶ存在感が違う。余談ですが、DVDジャケット裏面の解説によると、この人『怪傑白魔』を撮ったリッカルド・フレーダ監督の奥様なんですな。
ジャック・セルナスは……ロバート・ワイズの『トロイのヘレン』ではパリス役だったのに、何かもう、すっかりB級臭が……(笑)。同じソード&サンダル映画でも、『逆襲!大平原』や『闘将スパルタカス』のときは、こんなキワモノっぽい感じじゃなかったけどなぁ(笑)。
あと、監督はジャコモ・ジェンティローモですが、かなりの部分をセルジオ・コルブッチが撮っていると、やはりジャケ裏の解説にありました。コルブッチは脚本でもクレジットされています。
さて、責め場関係ですが、ゴードン・スコットの責め場は、まず前半、居酒屋で暴れていたところを投網で捕らえられて、宮殿に連行されます。ここで、大きな木の枷をはめられて鎖に繋がれたりしますが、あっさりと脱出してしまうので、このシーンはさほど見所はなし。
そして後半、今度は魔王コブラックに捕らえられ、竪穴に入れられた上に巨大な鐘をかぶせられ、「音波で脳髄を破壊して奴隷に変える」という責めを受けます。拘束はなしですけど、苦しみ悶える演技はけっこう佳良。ただし、このシーンの前に、こっそり蝋で耳栓をしておいた(『オデュッセイア』からの引用ですな)というエピソードが入っているので、この苦悶も演技なのだということが、観客にはわかっているので、責め場としてはちょっと興ざめ。
責め場以外では、クライマックスの「ゴライアス vs 偽ゴライアス」の格闘シーンが、撮り方も凝っていて楽しめます。「もっこり好き」の方は、このシーンは要チェック(笑)。
スコット君以外の責め場では、冒頭の村人虐殺シーンなんてものありますが(着衣ではあるものの、逆さ吊りにされた男どもが、ちょっとヨロシイ)、その後に出てくる、公開処刑の方が見応えあり。ゴライアスが街に着くと、広場で上半身裸の男が木の棒に昇らされていているんですが、ついに力尽きて棒から落ちると、下に並んで突き立った刃にグッサリ刺さって絶命、というシーン。ここはなかなかヨロシイ。
画質は、ノートリミングのワイドではあるものの、退色、傷、共にかなり激しいです。ただ、酷くて見てられないというほどではなく、二束三文で叩き売られている廉価ソフトと比べれば、これでもだいぶマシなほう。メインは『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』で、こっちはオマケだと思えば、そうけなしたもんでもなし。



A面の『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』同様、こちらもスライドショーと予告編の特典付き。スライドショーの内容はA面同様に充実しているし、予告編も、何と本編よりも画質が良かったりします。
というわけで総合的には、内容よし、ソフトの作りよし、という、かなりオススメできる一枚。値段も$19.95と標準的。
リリース元のWildeastは、マカロニ・ウェスタンをメインに発売している会社のようですが、カタログ・ナンバーが古いものは既に廃盤になっていたりするので、欲しいという方は、お早めのご購入を。
“Goliath & the Barbarians, Goliath & the Vampires” DVD (amazon.com)
Colton Ford発Joe Gage行き
ひょんなことで目にした、コルトン・フォードというシンガーの、”That’s Me”という曲のプロモーションビデオが、余りにもマッチョでエロかったので、YouTubeにあったビデオを貼り付けてみます。何か、もう映像のエロさが強すぎて、逆に、どんな曲だったか音印象が残らないくらいです(笑)。
さて、実はこのお方、元ゲイポルノスターらしい。ならば、このエロさも納得ですな。私は出演作を見たことがないんですけど、ちょっと調べたら、GayVN Awards(VNはvideo newsの略で、まあアメリカのゲイAV大賞みたいなものです)で2003年度のGay Performer of the Yearを獲得したりしています。
現在では音楽活動と並行して、here!制作のゲイドラマ”The Lair”なんかにも出演しているらしいですね。彼の経歴を追ったドキュメンタリー映画”Naked Fame”(「裸の名声」ってとこでしょうか)なんてのもあるみたいで、これはちょっと面白そうなので見てみたい。
しかしまあ、このPVを見てると、80年代にMan2Manの”Male Stripper”なんかにドキドキしてたことを思うと、隔世の感があります。で、こっちもYouTubeにあったので、貼り付けてみる。
ど〜です、ババァの元クラバーには懐かしいでしょう(笑)。
当時は、Man2Manはこの一曲しか知らなかったんですが(12インチシングルを持ってた)、数年前にCDで欲しくなってベスト盤を購入したら、他の曲もぜ〜んぶ同じ曲にしか聞こえなかったという、キョーフの金太郎飴アーティストだった(笑)。
さて、ゲイポルノとクラブミュージックという繋がりで、もう一つ思い出した曲があって、探してみたらそれもYouTubeにあったので、貼ってみます。Man Parrishの”Heatstroke”という曲。ちょいとイントロが長いですけど。
今回、改めて調べて初めて気付いたんですけど、前出のMan2Manをプロデュースしてたのって、このMan Parrishだったのね。知らなかった。
で、この曲の何がどうゲイポルノなのかと言うと、実はこれ、元々はアメリカの伝説的なゲイポルノ映画監督、ジョー・ゲージが撮った”Heatstroke”というゲイポルノ映画のテーマ曲だったんですな。それが後にオーバーグラウンドでもヒットした。個人的には、映画で使われていた女声コーラスとかが入っていないバージョンの方が、音は多少チープでもストイックなアングラ臭があって好み。
ジョー・ゲージの映画は何本かDVDを入手してるんですが、個人的に特に名作だと思っている、この”Heatstroke”のDVDは、未だ発見出来ず。あと、同様に名作の”Closed Set”(1980年版)のDVDも見つからず。また、入手出来た”Kansas City Trucking Co.”三部作のDVDも、ビデオ版と比べるとシーンがカットされた短縮版だったりするので、これまた残念な限りです。
で、このジョー・ゲージ監督ですが、80年代中頃にゲイポルノからは退き、ティム・キンケイド名義で『虐殺バッドガールズ・地獄の女刑務所』だの『アンドロイド・バスターズ/残虐メカ帝国の逆襲』だの『ミュータント・ハント』だの『エネミー・テリトリー』だのといったB級映画を撮っていた。(とはいえ私自身は、この時代の監督作品で見たことがあるのは、エンツォ・G・カステラッリと共同監督している、ルー・フェリグノ主演の”Sinbad of the Seven Seas”だけなんですけど)
やがて2000年代に入ると、ティム・キンケイド監督は再びゲイポルノを、ジョー・ゲージ名義で撮るようになる。何本か見ましたが、70年代中頃から80年代前半にかけて作品に見られた、あの圧倒的なパワーと比較してしまうと、残念ながらお年を召されてしまったなぁ、という感じでした。
そんな作品の中に、これは未見なんですが、2002年の”Closed Set: The New Crew”というのがありまして、ここで最初に出てきたコルトン・フォードが、メインスターでクレジットされてる。むむむ、こうなると、見てみたいという欲求が、ムクムクと頭をもたげてくるなぁ(笑)。
……という具合に、PVのエロさに興味を持って調べ始めたら、自然に話題が一周して繋がっちゃった。自分でもちょっとビックリです(笑)。
謹賀新年
もう幾つ寝ると
お正月目前。
年内の仕事は済んだんだけど、引き続きまだ仕事中。というのも、正月明け早々に、マンガの締め切りが一本あるもんで。
そんな感じで、あんまり「暮れ」という実感がないんですけど、それでも振り返って見ると、去年は仕事を減らして休養していた反動もあって、今年は何だか、やたらと盛りだくさんだったような気がします。フランスやチュニジアや北海道に行ったし、トークショー二回にパレード二回、単行本が年間五冊出たのも前代未聞。あんまり色々とありすぎて、気分的にはフランスの個展なんか、もう三年前くらいの感覚(笑)。
あと、何だか映画も個人的には「当たり年」でしたね。『300』に『ブラック・ブック』に『パフューム』に『パンズ・ラビリンス』に『アズールとアスマール』などなど、どれも甲乙付けがたい。『アポカリプト』や『ザ・シューター 極大射程』や『河童のクゥと夏休み』も面白かった。そういや『ベオウルフ/呪われし勇者』を見たいんだけど、締め切り明けまで上映しているだろうか……。
かと思えばDVDも、フリッツ・ラングとF・W・ムルナウが立て続けに出たし、オマケに岡本喜八の時代劇もまとめて出たし、『恐怖奇形人間』も衝動買いしちゃったし、何だか余りのリリースラッシュに、ラングの『スピオーネ』とムルナウの『タルチュフ』を買いそびれてしまい、ソクーロフのBOX第二弾もまだ未入手、『ブレードランナー』も早く買わなきゃ……なんて思いつつ、つい歳末バーゲンとかで別のものを買っちゃったり。今日も近所でセールをやっていたので、ふらっと覗いたら、前に買おうと思ったら既に廃盤でガックリきていた『炎のアンダルシア』の、何と店頭在庫を発見したもんだから、また買っちゃった(笑)。
逆に、本はあまり読まなかったなぁ。仕事の資料用か画集か写真集ばっかで、趣味的な活字本を読んでいない。音楽も、ここのところ刮目するようなものに出会っていないような。これはあまり良くない傾向ですな、来年はそうなりませんように。
さて、そんな来年ですが、とりあえずお正月早々、1月2日から上野のNETYさんで開催される「あなただけの年賀状展」に出品しています。31日までやっていますので、お近くにおいでのさいにでもお立ち寄りいただければ。入場無料です。
『外道の家・上巻』、中野タコシェさんでも販売開始です
先月末に発売された単行本『外道の家・上巻』、ネット書店での取り扱いが難しい状況でしたが(前の記事でリンク貼ったネット書店さんも、記事をアップしたその日のうちに在庫切れになっちゃいましたし……)、中野にあるサブカルの聖地でもある書店、タコシェさんで取り扱ってくださることになりました。
タコシェさんのネットショップはこちら。(注/在庫切れになると、カタログから商品が消えてしまいますが、そんなときはまた日を改めて、後日再アクセスしてみてください)
日本ではここでしか買えない、フランスで発売された私の画集 "The Art of Gengoroh Tagame" なんかと一緒に、ぜひどうぞ!
他にも、タコシェさんオリジナルの林月光(石原豪人)先生の画集『月光秘宝館』とか、男マゾ絵画のマエストロ、春川ナミオ先生の画集『聖女の臀堂』なんかもオススメ。これらの二冊は、タコシェさんネットショップの、左サイドバーメニューから、「タコシェオリジナル商品>図録・カタログ」と辿ると見つかります。
ゲイ関係は、同メニューで「書籍>クィア」と辿ると出てきます。今は亡き木村べん先生の画集『TAN-PAN Body』もありますし、ヴィンテージ・ゲイ・エロティック・アートの名手、Roger Payneの画集"Roger"を入手出来るのも、おそらく日本ではここだけなのでは?
それ意外にも、アンダーグランド系やエッジ系のアートブックとか、少部数出版のカルトなコミックスとか、まだまだお買い物のお楽しみは盛り沢山ですぞ〜。
因みに、タコシェさんのショップ・ブログでの紹介ページがこちら。いつもノリの良い紹介文で、楽しませていただいております(笑)。
ちょっと宣伝、単行本『君よ知るや南の獄(全二巻)』発売です。
今日はクリスマス・イブですね、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私は仕事で徹夜明けです。明日も明後日も仕事。「クリスマス? なにそれ、美味しいの?」な気分(笑)。
でも昨夜一足先に、熊が作ってくれたチキン・カチャトゥーラと、熊が買ってきてくれたマロンケーキと、近場の輸入食材屋で買ったスパークリング葡萄ジュースと、とうちゃんが買ってきてくれたドーナツで、自宅でまったりクリスマス・イベントをしました。
ゆとりがあったら、飾り付けしたり、音楽選んだり、友達と集まったりとか、そーゆーあれこれも楽しいんですけど、今年はどーにも時間がなくて、お祝いも地味め。
あ〜、でも、しまった、せっかくだから夕飯食べながら、メル・ギブソンの『パッション』か、ビル・ゴールドバーグ主演の『サタンクロース』のDVDでも見りゃ良かった(笑)……って、嫌がらせかって感じもしますけど(笑)。
そんなこんなで明日、25日のクリスマスに、単行本『君よ知るや南の獄』が上下巻揃って発売です。
とはいえ、ゲイショップなどの取り次ぎを通さない直販店では、たぶんもう先週末くらいから店頭に並んでいると思います。ご覧のように、上下巻で赤と緑のクリスマス・カラーなので、プレゼントにも最適(笑)。
逆に一般書店では、年末で取り次ぎが混んでいるとのことで、下手すると店頭に並ぶのは年明けになるかも、とのこと。
ネット書店だと、どうなるんでしょうね、アマゾンでは予約が始まっていますが、ランキングを見るとけっこう集中しているようでもあり、もしかしたら品薄で配送が遅くなる、なんてこともあるかも。遅れてしまったらゴメンナサイ。
ネット注文だと、版元のポット出版さんからも、直接購入できます。国内送料無料なので、こちらもオススメ。版元さんなので、在庫切れの心配もありません。
まあ、ネット通販に関しては、先日の『外道の家・上巻』とは違って、こちらは一般書籍としての流通なので、一般的なネット書店でも問題なく取り扱われるはずです。
さて、この長編マンガは、2003年から2006年にかけて、雑誌『G-men』で連載したものです。
様々な想いを抱いて意欲的に取り組んだ、実に思い出深い一本。そこいらへんの想いについては、例によって後書きで触れています。またこの後書きが長くてね、ほとんどエッセイと化しちゃってます(笑)。
総枚数は700ページで、『銀の華』の824ページには届かず、『PRIDE』の600ページはオーバー。今回発売の単行本も、上巻300ページ下巻400ページの大ヴォリューム。重ねて測ると、厚さ約5センチ。押し花が作れそうです(笑)。
装丁や造本は、今年の春に同じくポット出版さんから出た『田亀源五郎{禁断}作品集』と同様に、今回も、好きな方には末永く愛して頂けるような、そんな感じの本作りを心掛けました。
カバーを付ける代わりに、シンプルなデザインの外箱に入れるというのは、『[禁断]作品集』と同じ。今回の外箱は、ちょっとテクスチャーが入ったオフホワイト。そこに特色で、それぞれ赤と緑の一色刷り。マットなんだけど微かにツヤもあって、素敵な仕上がりになりました。
中身を出すと、こんな感じに。

パキッとした特色三色使いの、ツヤツヤでピカピカな仕上がりです。この本体の装丁に関しては「お任せ!」と言っていただけたので、もう楽しみながら凝らせていただきました(笑)。因みに裏表紙は、こんな感じになっています。

『君よ知るや南の獄・上巻』(amazon.co.jp)
『君よ知るや南の獄・下巻』(amazon.co.jp)
『映画秘宝』とか
過日、雑誌『映画秘宝』さんからお声を掛けていただき、本日発売された2月号掲載の、通巻100号記念特集「オールタイム・ベストテン」に、アンケートで参加させていただきました。
『映画秘宝』さんには、以前も大西祥平さんのコーナーで、インタビューを載せていただいたことがありますが、うふふ、好きな雑誌からお声を掛けていただけるのは、やっぱり嬉しいものであります。
ただまあ、テーマ抜きで今まで見た全ての映画の中からベストテンを選ぶってのが、こんなに大変なことだとは、今回やってみて初めて知りました(笑)。
ゲイ映画ベストテンとかだったら楽勝だろうし、男責めシーンベストテンとかも簡単に決まりそう。でも、ジャンルレスとなると、ベスト3くらいはぱぱっと浮かぶんだけど、残りがもう、あーでもない、こーでもないとさんざん悩みました(笑)。
ケン・ラッセルとかパラジャーノフとかコクトーとかヘルツォークとか、大好きな監督でも泣く泣く落としたものが多々あるし、今になって雑誌に掲載されたのを改めて見ると、やっぱコレは落として代わりにアレを入れりゃ良かったかもとか、けっこう悶々としちゃいますね〜(笑)。
とゆーわけで、よろしかったらぜひお買い求めください。お近くの本屋さんでも売ってると思います。
映画秘宝2月号(amazon.co.jp)
ちょっと宣伝、『哀酷義勇軍』後編です
前にここで書いた、マンガ『哀酷義勇軍』の後編が掲載されるバディ2月号、明日発売です。
前編のメインは羞恥系でしたが、後半は思いっきり凌辱系です。いやぁ、このテの年齢層のキャラを描くのは久々だったので、楽しかったァ。機会があったら、また描きたいですね、こーゆーの(笑)。
バディ2月号(amazon.co.jp)
カナダでの輸入規制に関する続報
前に2007年2月16日の記事で、カナダでは私の本が輸入禁制品扱いだということについて触れましたが、先日、アメリカのジャーナリストの方から、このカナダにおける規制に関しての記事を書きたいのだが、意見を聞かせてくれという取材申し込みがありました。
で、Eメールで質問と回答を何度かやりとりしたり、これに直接関連しているH&Oのエディターを紹介したりした後、EDGEというゲイ情報サイトに、O Canada! Customs Routinely Seizes Gay Material as ’Obscene’というタイトルで記事が掲載されました。
ざっと目を通してみると、この規制は基本的にobscene(猥褻)の如何を問う性質のものらしいんですが、にも関わらず、アメリカの有名なゲイ向けフリーペーパーで、基本的には非エロ系の情報誌であり、エロティックという点に関して言えば、日本に持ち込んでも全く問題がないような”Advocate”が巻き込まれていたり、規制の対象がLGBTマテリアルに偏っているのではないかという可能性があったりとか、どうも私が想像していた以上に汎的な問題を呼び起こす可能性のある内容のようです。
興味のある方は、ご一読ください。こちら。
ちょっと宣伝、『外道の家(上巻)』発売中です
11月30日に、バディで7年間連載した長編マンガ『外道の家』の上巻が発売されました。版元はバディ本誌と同じく、発行はテラ出版、発売は技術と人間社です。
ただこの本、雑誌コードで出されているので(表紙にも「月刊バディ2008年1月号増刊」と入っています)、書店流通はしているんですが、普通の単行本とは扱いが違っていて、たとえば現時点で確認してみたところ、アマゾンとかのネット書店では取り扱いがないようです。お近くの書店で見つかればラッキーなんですが、もし「通販で」とお考えの方がいらっしゃいましたら、とりあえず【楽天市場】中央書店コミコミスタジオってところでは取り扱われていましたが、他のネット書店だと望み薄かも知れません。
通販で確実に購入するには、版元バディさんの、バディージェーピィ/ビージェイストアから直接購入するとか、あとはRAINBOW SHOPPERSさんとか、BIG GYMさんとかいった、ゲイショップで注文するのが良いかと思います。
で、この『外道の家』がどんな話なのかと言いますと、出版社さんの宣伝文句を流用しますと「大地主・堀川惣右衛門の一人娘、萩乃の婿として迎え入れられた寅蔵。しかし、その初夜、惣右衛門によって寅蔵は犯されてしまう…。堀川の一族によって運命を弄ばれる寅蔵は一体どうなるのか…。」ってな内容です。
連載開始時には編集部に、「横溝正史みたいな、田舎の旧家での血縁因縁ドロドロもの」と説明した作品で、終戦後まもなくの昭和の香り漂う、レトロムードなおはなし。装丁も内容に合わせて、ちょっとレトロ感を狙ってみました。ペーパーバックの、それもPP貼りではなくニス引き仕上げってのは、担当編集のみさおはるきちゃんのアイデアですが、いい感じに仕上がりました。描きおろしの口絵も、けっこうあでやかに描けたかな。
あと、私としては、主人公やその相手といったメインキャラのみならず、サブキャラ、それも女性キャラを描くのがけっこう楽しかった作品で、特に「大刀自様」とか「おまつ」とかいったキャラは、描くのも楽しかったし、一部でオカマウケもしてました(笑)。また、連載中は編集部内でも変なウケ方をしていたとかで、例えば誰かに「あの仕事できた?」とか聞かれると、「さあ…すべきことは、いたしましたけど」と返すのが流行ったとか(読んだ人じゃないと判らないネタ)聞いたことがあります(笑)。
ちなみに上中下巻の全三巻で、中巻は来年の1月31日に、下巻は3月31日に発売予定。
連載自体も7年間と長かったですが、モノガタリ内のタイムスパンも21年間、総枚数768枚という大河ドラマなので、この機会にぜひまとめて御通読いただければと思います。
さて、そして今月は今月で、今度はジーメンでやはり長期連載(5年間)した長編『君よ知るや南の獄』が、上下二巻の単行本として同時発売されます。今年の春に出た『禁断作品集』と同じ、ポット出版さんからの刊行。これまた総枚数700枚というゲイコミックとしては大ヴォリュームです。
現時点では、いちおう12月25日発売ということになっていますが、店頭に並ぶのは、ゲイショップなど直販店では少し早く、一般書店では少し遅くなるかもしれない、とのこと。こちらは普通に書籍コードでの流通なので、アマゾンとかでも取り扱ってくれるはずです。
既に、版元のポット出版のサイトでは、通販の先行予約の受付が始まっているので、これまた確実に手に入れたいという方は、ぜひご利用ください。

