フランスはパリのギャラリー、ArtMenParisで現在開催中の企画展、”Super-Heros, Mutants and Monsters”に、ドローイングを数点(おそらく2点)出品しています。

詳しい出品作家の面子は良く判らないんですけど、フライヤーを見る限り、フランスやベルギーのBD、アメリカン・コミックス、日本のマンガ、コンテンポラリー・アートなどにおける、スーパーヒーローやミュータントやモンスターのドローイング展ということらしいです。私は、手持ちの旧作の中から、先方のリクエスト内容に合致するものを選びました。ターザンをイメージした責め絵と、モンスター・レイプの2点。
2日に行われたオープニング・パーティでは、ギャラリー・オーナーのコスプレ・パフォーマンスもあったみたいですけど……いったい何をしたのやら(笑)。
既にオープニングは終わってしまい、あとは予約制の閲覧になってしまいますけれど、興味と機会のある方は、ぜひどうぞ。
最近のイロイロ
最近見たDVDの中から、テーマ別(笑)にイロイロとピックアップ&一口メモ。
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『復讐無頼 狼たちの荒野』ジュリオ・ペトローニ |
最近見た祝日本盤発売。
映画の内容(……と、責め場)については、前にここでイタリア盤DVDと一緒に紹介済み。
ちょいと補足しますと、前回「圧制者としての官と自由を求めて闘う農民というシンプルな構図」と書いたんですが、改めて日本語字幕付きで見たら、そういった中にもきちんと、システムのもたらす矛盾や、大義を利用することへの批判とかいった、社会派的に硬派な要素も、サラリとですけど入っていました。英語のヒアリングのみだと、そこまで拾いきれなかった。
というわけで、初見時よりも後味が更に感動的に。やっぱ革命は燃える(笑)。
あと、ヘンリー医師役のジョン・スタイナー、前回「『悪魔のホロコースト』と『炎の戦士ストライカー』は見たことあるはずなんだけど、正直ちっとも覚えてない」と書きましたが、今回DVD特典のキャスト解説に、ダリオ・アルジェントの『シャドー』が入っているのを見て、相棒と二人同時に「ああ、あの斧でアタマをカチ割られる!」と叫んでしまった(笑)。
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『狼の時刻』イングマール・ベルイマン |
最近見た映像美。
島暮らしの画家(マックス・ フォン・シドー)が奇怪な城の住人たちと関わりあって、次第に精神に変調をきたしていく様子を、妻(リヴ・ウルマン)の目を通して描いた内容。
ホラー的な内容ではありますが、モノガタリやロジックからくる恐怖ではなく、映像効果からもたらされる感覚的な「不安感」や「不気味さ」に特化した内容。
何といっても、後半の城の中を彷徨う、怪奇幻想シーンの美麗さが素晴らしい。その美しさに、見ていてゾクゾクしっぱなしでした。中盤に出てくる、サイレントによる不条理な殺人劇も忘れがたし。
個人的偏愛映画の殿堂入り、決定。
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『キング・オブ・ファイヤー』ピーター・トラヴィス/ピーター・ミドルトン (『ブリティッシュ・キングダム DVD-BOX』収録) |
最近見た責め場。
酷い邦題ですが、原題は”Henry VIII”なので、つまりヘンリー八世の生涯を描いた、グラナダTV制作の歴史ドラマ。英国史劇では毎度お馴染みの、カトリックとプロテスタントの確執に加えて、有名な六人の妻も加わるもんだから、ドロドロ模様は更にパワーアップ。
キャスト良し、美術や衣装良し、内容すこぶる面白くて良し……の、上質なテレビ映画。192分タップリ楽しめるので、歴史好きなら見て損はなし。ヘンリー八世役のレイ・ウィンストンは、見た目も肖像画で周知のイメージに近いし、トンデモナイヤツなのに人間的な魅力も感じさせるあたりは、なかなかのもの。ジャケ写になってるもう一人、ヘレン・ボナム=カーターはアン・ブーリン役。
責め場は二ヶ所。まず、二枚組の前編。ダンジョンで白髯の老紳士が、上半身裸の両手吊りで焼きゴテ拷問。

続いて後編。屈強な壮年弁護士(……っても見た目は騎士ですな)が、上半身裸で城門に吊され、三日間死ぬまで晒し者に。こっちは被虐者はショーン・ビーンだし、公開処刑なのでギャラリーもいるし、城門のスケール感(本物の城かな?)も相まって、極めて滋味あり。

あと、責め場じゃないですが、主演のレイ・ウィンストンが、演技の良さもさることながら、実に量感タップリのオイシソウな肉体で、しかも尻丸出しの全裸シーンもあるので、太目年配系ヒゲ熊好きだったら、眼福間違いなし(笑)。こんなにオイシソウな身体してるんなら、ゼメキス版『ベオウルフ』の全裸戦闘シーンも、3DCGじゃなくてご本人の姿で見たかったぞ(笑)。
因みに、同DVD-BOX収録の別作品『レジェンド・オブ・サンダー』も、これまた責め場と、あとホモ絡みもあり(笑)。
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『さよならS』エリック・ゾンカ |
最近見たイラマチオ。
パン職人見習い生活に嫌気のさした若者が、道を踏み外してギャングの仲間に入るが、やがて抜き差しならない状況になり……という内容。
ストーリー的にはクライム・ムービーっぽいけど、そのテの話としては、ギャングたちのすることが、さほどダークだったり非情だったりするわけではないので、映画の感触も青春映画っぽい感じです。その分、クライマックスはけっこうショッキングなんですけど、事後の処理が良くて後味は爽やか。短い映画だし(一時間ちょいしかない)小品ではあるけど、好感の持てる佳品でした。
で、主人公の青年(と言うよりは、少年と青年の中間くらいって感じ)が、ギャングの兄貴分に拳銃突きつけられて、強制フェラチオ(つまりイラマチオ)させられるシーンあり。
作劇的には「酷いことをされる」シーンなんですが、厄介なことに私の性癖からすると、キズ面ヒゲ面コワモテの粗暴な男に、道具のように手荒く扱われてセックスするってのは、思っくそコーフンするシチュなので、見ていて「酷い」どころか「羨ましい」と思ってしまった(笑)。加えてこの悪役、ルックスがイケるうえに、怪我で片手が不自由というフェチツボも押してくるし……困った困った、私的には監督の意図と正反対の反応しかできないぞ、このシーン(笑)。
怪現象とか遺失物とか
マンガ作業が佳境に入ってきた最中、不意に天井のシーリングライトが消えるという現象が頻発。
他の電気機器に異常はないので、ブレーカーのせいではないっぽい。
となると、電球が切れたのかと思ったけど、いったんスイッチをオフにしてから、再度オンにすると、何事もなかったかのように点灯する。で、やれ嬉しやとお絵描きを再開すると、また、ちょっと身体を動かしたはずみとかに、消えてしまう。
このクソ忙しいときに……とイライラしつつ、このままでは仕事に支障をきたすので、休憩がてら原因を究明することに。
どうも自分が身体を動かしたときに電気が消えるようなので、椅子に座ったまま、四肢を少しずつ動かしてみて、どう動くと消えるのかを検証してみました。その答えは簡単に出て、どうも左足の先が、テーブルの奥に置いてある空き箱に触れたときに、電気が消えてしまうらしい。
で、その空き箱(ケイタイの空き箱でした)を除けてみる。しかし、何もなし。
はてなと思っていると、テーブルの横に立てかけてあるカッティングマットに、肘が触れた瞬間、また電気が消える。
そんな調子で調べていったところ、じきに原因が判明しました。
こんな感じ。
左足の先が空き箱に触れる→空き箱がカッティングマットに触れる→カッティングマットがたわんで、机と壁の隙間に落っこちていた本の端に当たる→本と壁の隙間に落っこちていた電灯のリモコンに接触→消灯スイッチが押される→電気消える
……ピタゴラスイッチかい(笑)。
てゆーか、このシーリングライトにリモコンがあったなんて、今の今まで忘れてた(そーいえば、確かに取り付けたときに、そんなものを見たような気はするが)。オンオフだけじゃなく、リモコンで省エネだの豆灯だのにもできたのか(笑)。
で、リモコンと一緒に、もうひとつ別のものも発見しました。
これ。

革ケース入り(ベルト通し付き)の手錠。アメリカ製。
アダルトショップで売ってるオモチャじゃないよ、ちゃんと(?)スミス&ウェッソン社のヤツ。

因みにこの手錠、資料と実用を兼ねて買ったものです(笑)。
最近のBGM
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“Cantus Buranos II” Corvus Corax |
前にここで紹介した、何故かヘビメタ好きにウケている(らしい)、ドイツの古楽演奏グループCorvus Coraxの、昨年発売されたアルバム。カール・オルフが楽曲化したことで有名な中世詩歌集『カルミナ・ブラーナ』を基に、オルフとは異なった新たなオリジナル楽曲として作曲演奏するプロジェクトの、これが二枚目らしいです。
メンバーによる古楽器の演奏だけではなく、大規模なオーケストラとクワイヤを導入。というわけで、荘厳さが格段にアップ。同時に、大仰さも大々的にアップ(笑)。
感触としては、楽器構成やヴォーカルなんかはクラシック寄りなんですけど、曲のノリは相変わらずロック的なので、オーケストラ曲なのに、ヘドバンしたくなってきます(笑)。
ヴォイチェフ・キラールのオッカナイ系楽曲好き、エピック映画のバトルシーンみたいな派手目な映画音楽好き、荘厳でゴシックな雰囲気が好き、大仰なプログレが好き……なんて方々にはピッタリかと。
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“El Che Vive!” various artists |
チェ・ゲバラへのトリビュート曲を集めたオムニバス盤。カルロス・プエブラ(Carlos Puebla)、ヴィクトル・ハラ(Victor Jara)、アタワルパ・ユパンキ(Atahualpa Yupanqui)、マリア・ファラントゥーリ(Maria Farandouri)なんかの歌を18曲収録。19トラックめには、演説するゲバラの肉声も。
キューバ、チリ、アルゼンチン、ウルグアイといった、ラテン・アメリカ諸国のミュージシャンが主ですが、ギリシャやフランスやロシアといった国のものも数曲あり。
個人的には、マカロニ・ウェスタンの主題歌みたいなPatricio Manns(パトリシオ・マンス?)、切々としたユパンキ、フォルクローレっぽいAngel Parra(アンヘル・パラ?)といった曲が気に入りました。逆に苦手だったのは、ミュージカルの舞台みたいなMiguel Angel Filippini(ミゲル・アンヘル・フィリピーニ?)の二曲。
ハードカバーのデジパック仕様で、本体と一体化したブックレットは、ゲバラのミニ写真集的な趣もあり。ただ、歌詞の英訳が付いていないのは残念。このテの歌は、やっぱり詩を理解しないで聴いても、あまり意味がないからねぇ……。
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“Il Ladro di Bagdad” Carlo Rustichelli |
DIGIT MOVIESから出ている、イタリア製ソード&サンダル映画の復刻サントラ第13弾、スティーヴ・リーヴス主演の『バグダッドの盗賊』。
映画の方は、色彩感覚がカラフルでポップで、ファンタジックで愛らしくて、内容もそこそこ楽しめるとゆー、軽〜い娯楽作。音楽の方も似た感じで、軽〜くイージーリスニング的には楽しめます。
ただ、映画が「そこそこ」止まりなように、音楽も、やっぱ「そこそこ」。プラスαの魅力や、特徴には欠けるかな。とはいえ、映画の題材が題材なので、音楽の方にもエキゾチカ風味があるのは、個人的には嬉しいところです。
CDは、いつものようにピクチャーディスク仕様で、ブックレットにもスチル写真がアレコレと。リーヴスの脱ぎ場も責め場もロクにない映画だったハズなのに、裏ジャケとかディスクの下とかいった目立つ場所に、それぞれセミヌードやら首を絞められてる格闘シーンとかが載ってるのは、マニア向けのサービスかしらん(笑)。
イベント『PLuS+ 2009』のご案内
ご案内をいただいたので、ご紹介します。
10月11日(日)、大阪で「エイズの予防啓発と、陽性者への支援・共生、コミュニティの活性化をテーマとした、お祭り型複合イベント」の『PLuS+ 2009』が開催されます。
メイン会場の扇町公園、およびその周辺会場で、講演、トークショー、音楽やパフォーマンスのライブ、クラブ・イベント、イラスト展など、様々なイベントが開催されます。
タイムテーブルなど具体的な情報は、公式サイトへ。
当日、お時間のある方は、ぜひどうぞ!
『羯諦 山中学 写真』

『羯諦 山中学 写真』山中学(ポット出版)
写真集のご紹介。まずは、出版社による紹介文からどうぞ。
内容紹介
貧困、老い、病、死……。
人が忌避するものの中にある「仏性」を写す。
海外で高い評価を受ける山中学初の商業写真集。
25年にわたって取り続けた6シリーズ108点を収録します。
※全文、日英対訳付き
著者について
1959年生まれ。広告写真家の助手を4年余務める。その後独立、23歳で上京。
コマーシャル写真家の道を歩み始めるが、広告写真と自分の追求したい写真の温度差を感じ、自らの世界を極めたいと思い、作品の制作を始める。
──私の生まれ育った大阪近郊の尼崎の町は町工場労働者たちの多く住む場所で、
昔から仏教が深く根付き、仏教にまつわるお祭りが多く、住民たちの信仰も厚く浸透していた。
私が小さい頃、交通事故に遭い病院に運ばれ、10日間も意識不明で生死をさまよった事があり、幸いにも私はこの世に戻ることができ、その身代わりに可愛がっていた犬が死んでしまった出来事があった。
この奇妙な霊験や奇跡的な生還から、生と死、仏教に関心を持つようになった。
作品を通して仏教の真意を視覚的に伝えたいと思っている──
1989年、東京で初めての個展“阿羅漢”を開く。現在は、東京に住みながら、ニューヨークのギャラリーを通して作品を発信し続けている。
引用ここまで。
力強くて清浄だな、というのが、私の印象。
被写体そのものは、乞食であったり、動物の死骸であったり、全裸の老婆であったり、奇形であったり、胎児であったり……と、ある意味でグロテスクであったり、エクストリームであったりするものなんですが、被写体以外の余分はいっさい切り捨てられ、シンプルに研ぎ澄まされた作品になっています。
ほぼ全くの白バックの中に、対象物のみを正面から捉えた作品群を見ていると、さながら写真家が被写体と向き合うように、自分もまた、それらと直に対峙しているように思えてきて、膝をただして身が引き締まる思いがしてくる。
その、ミニマリズム的な引き算ゆえに、情緒やモノガタリ性が介在する余地は全くありません。ただ何を撮りたかったか、それのみが、虚空に凛と屹立しているみたい。一般的なタブー感に対しての、露悪趣味的な逃げ道が許されていないので、その本質が剥きだしになった作品が、見ている自分の本質も剥きだしにする。
素晴らしい。
見栄も、華飾も、言い訳もなく、本質のみが存在するアート。
う〜ん、これは私にとって、一つの理想のあり方だ。
しかし、私ごときが、いくら文章で説明しても、それは詮ないこと。言語という論理は、絵画や写真といった視覚芸術を、ある程度まで解析したり、或いは、その存在価値を補強することはできても、本質的な核の部分までは決して解体できない……というのが、私のフィロソフィーなので。
というわけで、興味を惹かれた方は、とにかく山中学氏のサイトへ行って、実際の作品画像を見て下さい。
ともあれ、私はものすごく感銘を受けました。
写真集の方は、作品のテーマごとに章立てされ、それが年代順に並べられています。さながら、アーティストの回顧展を見ているよう。
装丁もお見事。上の書影をご覧いただければお判りのように、真っ白でマットな外函に、スミ一色のテキストが最小限の大きさで配されています。
函から本体を出すと、やはり真っ白な和紙のような風合いの紙に、「羯諦」の二文字だけがポツンと書かれた表紙が。見返しは、やはり白ながら、今度は絹目の風合いのある紙。
作品同様に、余分なものが全くない、清浄な美しさのある本になっています。その清浄さゆえに、汚損を恐れて、思わず扱う手つきも慎重になってしまいますが、この粛然とした感覚も、いかにも中身の作品に相応しい感じ。
オブジェ的にも、美しい本だと思います。
版元による本の紹介ページはこちら。直接購入可能。サイン本も若干数あるそうです。
アマゾンでも購入できます。こちら。
ちょっと宣伝、『人畜無骸』後編掲載です

昨日発売の「バディ」11月号に、人間家畜マンガ『人畜無骸』後編が掲載されています。これにて、無事終了。
左のサンプル画像、このコマだけ取り出すと、何だかファンタジー・バトル・マンガみたいですけど(笑)、中身はちゃんときっちりエロマンガです。マニアックだけど(笑)。
ずっと描きたかったネタなので、今回描いた全三話は、ほんの氷山の一角(笑)でしかないですけど、とりあえず開始当初から、ポイントは一部に絞って描こうと思っていたので、それは無事にクリアできたかな。残りの膨大なネタに関しては、またの機会をお楽しみに……ということで。
というわけでこの異色作、雑誌のバックナンバーが入手可能なうちに、ぜひ三話まとめてお読み下さい。
Badi (バディ) 2009年 11月号(amazon.co.jp)
ついでに。
この号の「バディ」、表紙上のコピーを見て、一瞬「橋幸夫?」とか思ってビックリしたんだけど、どうやら掲載インタビュー記事絡みで、本当はこっちのことだったみたい(笑)。
まぁよく考えると、幾らネタでも「バディ」に橋幸夫はないよなぁ(笑)。
何のことじゃいという方は、アマゾンで書影を拡大してご覧あれ。
『ハムレット』
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『ハムレット』(1990)フランコ・ゼフィレッリ “Hamlet” (1990) Franco Zeffirelli |
お〜、我が偏愛映画の一本がDVD化! もう、いそいそと買ってきました。
公開当時、劇場で見て以来だから、ほぼ20年ぶりの再見です。
何で偏愛対象かというと、まず下世話なことから言うと、とにかくメル・ギブソン演じる髭面ハムレットが、もうイケまくりでして(笑)。自分が見たことのあるハムレット役の中では、このメル公が一番好み(髭フェチのたわごとです)。
加えて脇も、ガートルードにグレン・クローズ、クローディアスにアラン・ベイツ、オフィーリアにヘレナ・ボナム=カーター、ポローニアスにイアン・ホルム、父王にポール・スコフィールド……と、魅力的&実力派の面々が揃い踏み。
実在の城とランドスケープを、存分に生かした映像も魅力的。
ただ、ちょっと不幸な映画でもあります。
シェイクスピア劇の映画化としては、充分に水準以上の出来映えだと思うんですが、何しろ『ハムレット』の映画ときたら、過去には48年のローレンス・オリヴィエ版と64年のグリゴーリ・コージンツェフ版、この後にも96年のケネス・ブラナー版という、錚々たる名作が揃い踏みなわけで、それらの中に混じると、どうしても印象が薄くなってしまうし、いささか小粒な感じがするのは否めない。
とはいえ、再見してみると、やはり色々と見所がある映画でした。
まず、メル・ギブソンの髭面ハムレットですが、静的で内省的な独白部分になると、ちょっと画面を保たせきれないきらいはあるものの、それでも充分に好演だと思うし、鬱屈した激情の荒々しさや、ある種のセックス・アピールを見せるという面で、他のハムレットには見られない魅力もあります。
ヘレナ・ボナム=カーターのオフィーリアは、白状すると、当時劇場で見たときは、ジョン・エヴァレット・ミレーの絵やオリヴィエ版のジーン・シモンズの印象が強かったせいか、清楚さや気品に欠けて見えるうえに、狂気のシーンがロマン主義的に美化されたものではないせいもあって、正直あまり良い印象はなかったんですけど、今回改めて再見したところ、その狂気のシーンに圧倒されました。素晴らしい。
う〜ん、年を経て再見すると、こんなに印象が変わるものか……と、ビックリ。
他の役者さんも、おおむね素晴らしくて、強いて言えば、ホレイショーとレアティーズという若手勢が、ちょっと弱いかなと感じたくらい。
衛兵たちにヴァイキングっぽいのがいたり(デーン人だからね)、旅役者たちや墓掘りの味わい深いご面相とか、美術や衣装の佳良さとか、史劇的なディテールも楽しめます。
内容に関しては、以下、幾つか具体例とかが含まれるので、ちょっとネタバレになるかも知れません。
お嫌な方は、次の段は飛ばして下さい。
演出面だと、まず、ハムレットと父王の亡霊の対面シーンが面白かった。オリヴィエ版やコージンツェフ版のような怪奇幻想味はないんですけど、このシーンの二人は、決して二人同時に画面にフレームインしないんですな。つまり、亡霊との会話を客観的な事実とはせずに、ハムレットの妄想や狂気の所産という解釈も可能にしている。400年前に書かれた戯曲を、現代の映画にする際に、いかにアダプテーションするかという点で、なかなか興味深いシーンです。
また、ハムレットがガートルードと対峙するシーンで見られる、エレクトラ・コンプレックス的な解釈を拡大して、まるでインセストのように見える演出。まるで、息子が母親をレイプしているように見える上に、ガートルードの「お前の言葉は刃のように突き刺さる!」というセリフで、もうヤバい感が倍増。
ハムレットとガートルードの歳が、さほど離れているようには見えない(現実の役者さんの年齢も、たった九歳しか離れていない)んですが、おそらくそれも、こういったインセスト的なニュアンスを強調するための、計算尽くなんじゃないだろか。
このインセスト以外にも、性的なニュアンスは、オフィーリアの狂気のシーンでも見られます。陰茎を撫でさする行為の、かなりあからさまな暗喩。アグレッシブさという意味では、控えめな方ではありますけど。
ここいらへん、もっと露悪的に突き進めても、面白かったんじゃないかな〜、なんて、ちと思ったり。
解釈や再構成の見所は、これはまあ、私もオリジナルがどういうものか、はっきりとは覚えていないので、自分の判った範囲内だけで言いますが、有名な「尼寺へ行け!」の場所を変更しているところに、興味を惹かれました。
この変更によって、ハムレットがオフィーリアに「この復讐劇に巻き込まれないよう逃げて欲しい」と願っているようなニュアンスが付加され、哀れなオフィーリアに、僅かながらの「モノガタリ的な救い」が与えられているように見えるのが、何となくこちらとしても「救われた」気持ちになります。
とまあ、そんなこんなで、たとえ『ハムレット』映画のベストではないにせよ、それでもたっぷり楽しめる佳品なので、シェイクスピア好きで未見の方は、ぜひ御一見を。
さて、ついでに文中で触れた他の『ハムレット』映画についても、一口メモ。
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『ハムレット』(1948) ローレンス・オリヴィエ版 |
格調高い正統派、というのが定評だと思いますが、私にとっての最大の魅力は、演出の大胆さ。特に、カメラワークを用いた、舞台劇を映画という別のメディアに変換する、その意義への挑戦心と実験性、及びその結果、という面で、大いに見応えがあって大好きな映画です。
サー・ウィリアム・ウォルトンによる音楽も大好きで、特にファンファーレは、ジョン・バリーの『冬のライオン』なんかと並んで、「映画に出てくる大好きファンファーレ」の中の一つ。
私が持っているDVDは、上の写真の「デジタル・リマスター版」ですが、PD映画なので、500円DVDとかでも何種も販売されています。
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『ハムレット』(1964) グレゴリー・コージンツェフ版 |
重厚さや格調の高さという点では、このロシア版の方が、オリヴィエ版を越えているのでは。見応えタップリ、満足感も大保証、重厚な映像美も素晴らしい。そのぶん、いささか「重い」ですけど。
アナスタシア・ベルチンスカヤ演じる、オフィーリアの清楚な愛らしさも必見!
そしてこれまた、ドミートリイ・ショスタコーヴィチの音楽が素晴らしい。
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『ハムレット』(1996) ケネス・ブラナー版 |
豪華絢爛なら、これ。美術や衣装はもちろんのこと、セリフのないチョイ役にまで有名俳優尽くし(言い方は悪いですけど、ちょっと「新春スター隠し芸大会ですか?」ってな楽しさ)という、とにかくひたすらゴージャスです。
そういった要素が、ある種の「重さ」を相殺しているのか、4時間以上という長尺も苦になりません。
時代設定を変えるアレンジも、効果的で納得。
『ハムレット』の映画というと、実はもう一本、マイケル・アルメレイダ監督、イーサン・ホーク主演の2000年版も見ていますが、正直これは、個人的には「古典のアレンジという名目で、考えなしに舞台を現代に置き換えただけ」とゆー、典型的な失敗例としか言いようがない内容で……(笑)。ゲイ雑誌にレビューを書くための試写で見たんですけど、何かもう罵詈雑言しか書けそうになかったので、お願いして記事はパスさせてもらったくらい。
ただ唯一、エンド・クレジットで流れた、Acceleradeckの”Greentone”って曲だけが良かったので、そのためだけにサントラ盤は買いました(笑)。
キズパワーパッドとか
数日前に、足をケガしました。
っても大したことじゃないんですが、素足にサンダル履き(因みに以前某画伯のブログで突っ込まれたのと同じサンダル)でゴミを出しに行こうとしたら、玄関のドアが勝手に閉まってしまい(ドアストッパーがイカれてるんです)、ドアの角にカカトをこすられて、皮(と肉もちょっぴり)を「ぞりっ」と削られてしまいまして。
大きさにして、幅5ミリ、長さ1センチくらい。
で、ゴミ出しは相棒に行ってもらって、自分は、傷口にマキロン吹いてバンドエイド貼りました。
その二日後。
夕飯の買い物に出掛けて薬局の前を通ったとき、前にCMで見て気になっていた、「痛みをやわらげ、キズを早くきれいに治す、バンドエイド・キズパワーパッド」ってヤツ(↓)を、いい機会だから使ってみようと思いまして。

普通のバンドエイドより値段が高かったけど、それで早く治るんならいいかな、と思い、パッケージの裏に印刷されている注意書きもチェックして(↓)、必要なサイズのヤツを選んで買ってきたわけです。

で、家に帰ってから、箱を開けて使い方の説明書を読んだところ、こんな文字(↓)が。

……orz。ダメじゃん。
というわけで、「憧れのキズパワーパッド」は使えないまま、けっきょく、最初から家にあったフツーのバンドエイド貼ってます。
ま、次にケガしたとき使えばいいんですけど、しかし、キズパワーパッドは使ってみたいけど、かといって、別にケガしたいってわけじゃないんで、使うのが楽しみなようなそうでないような……と、何ともビミョーな気分(笑)。
今日も、ネギ切ってる最中に指も切りそうになって(無事でしたけど)、一瞬「あ、これでキズパワーパッドが使える?」とか思ってしまい……何だかなぁ……ヘンな感じ(笑)。
最近の非・責め場
最近見たDVD。
今回は、責め場がないヤツ(笑)について、一口メモ。
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『狩人の夜』 |
サスペンス映画かと思いきや、途中から雰囲気が童話的で幻想的なものにスライドしていき、最後はほっこりした気持ちになる……とゆー、不思議な感触の映画でした。
水底に沈んだ死体、子供たちを乗せて漂う小舟、地平線に浮かぶ狩猟者のシルエット……と、心に残る美麗映像がテンコモリ。
あ、監督がゲイです。
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『リボルバー』 |
ガイ・リッチーは、「復調した」と聞いた『ロックンローラ』を見て、正直「え、これで?」とか思っちゃったんですが(悪くはないんだけど、どうしても『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』と『スナッチ』の縮小再生産に見えちゃって)、一つ前のこっちを見たら、納得しました(笑)。
観念的なテーマを扱うんだったら、もうちょい論理的にしてくれないと、ツラいものがあるなぁ。映像も、スタイリッシュでカッコイイんだけど、イマジネーションとしてはパワー不足な感じだし。
ただ、意欲は感じるので、嫌いじゃありません。
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『ピーターラビットと仲間たち』 |
着ぐるみ着ながら、これだけバレエを踊るってだけで、もう感嘆。ネズミの群舞が、ちゃんとシッポも使った振り付けだったりして、かなり楽しい(笑)。
でも、せっかくファミリー向けの内容なのに、出てくる英語の看板や新聞記事に日本語字幕が付いてないってのは、ソフトの作りとして、ちょっとどうかと思います。
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『花の谷 ―時空のエロス―』 |
ヘンな映画(笑)。惹句が「禁断のスピリチュアル・エロス、解禁!」なんだけど、別にエロスでも何でもないぞ。
ヒマラヤの雄大な風景、神秘主義風のストーリー、主演男優のルックス等々、前半はかなり好きツボを押されたんだけど、後半、舞台が現代の東京に移ると、違和感とヘンテコ感がグングンと加速していき、最後は、オチも含めてスットコドッコイな後味に(笑)。
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『哀しみのトリスターナ』 |
う〜ん、女はコワイ(笑)。
見終わった後、相棒と「私らホモで良かったね〜」なんて語り合ってしまい、で、つい「これは男同士に置き換えても成立する話だろうか?」とか考えちゃったんですが、やはりどうも話の根底に、男女の差による断絶感という共通認識が必要な気がするので、男同士でこれをやるのは難しいかなぁ。
自分でも、描いてみたいタイプの話ではあるんですが。
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『黄金バット 』 |
昔、テレビでやってたのを見て、髭をたくわえた千葉真一が、胸板も分厚くてカッコよかったのが印象的だったんですが、再見しても、やっぱカッコよかったです。でも、当時まだ20代だったと知ってビックリ。ぜったい30は越えていると思っていた(笑)。
映画を見ているうちに、何だか、黄金バットとナゾー様が「笑い上戸」に見えて来ましたが(笑)、前半の浮上したアトランティス大陸(……と、劇中では言ってましたが、解説書にはムー大陸と書いてあった。日本近海っぽいから、ムーの方が妥当ですな)のシーンとか、東京に出現したナゾータワーとか、特撮は決して悪くないと思います。
特撮映画があまり好きではない相棒は、横で仏頂面をしながらも、「この女の子が、鳩山邦夫の奥さんだよ」とか、「これが『ピラニア』や『殺人魚フライングキラー』を制作した筑波久子だよ」とか、オーディオ・コメンタリーしてくれました(笑)。
で、私もお返しに、「この映画、『吸血鬼ゴケミドロ』と同じ監督だよ」と教えたり(笑)。
あ、そういやこの映画には、責め場があったっけ。今思い出した(笑)。
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![狼の時刻 (特別編) [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41EFnTRs37L._SL160_.jpg)

![さよならS(エス) [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/21GQHK7EGXL._SL160_.jpg)



![メル・ギブソン ハムレット [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51qOz6k4TLL._SL160_.jpg)
![ハムレット〈デジタルニューマスター版〉 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/21B5FW79ZWL._SL75_.jpg)
![ハムレット [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51jDlNJVETL._SL75_.jpg)
![ハムレット [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41wdd-WH2NL._SL75_.jpg)

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