『青銅の騎士』グリエール

Reinhold Gliere: Bronze Horseman Suite/Concerto for Horn & Orchestra, Op. 91 『組曲 青銅の騎士/ホルン協奏曲』レインゴリト・グリエール
“Bronze Horseman Suite / Concerto for Horn and Orchestra” Reinhold Gliere
(Sir Edward Downes / BBC Philharmonic)

 訳あってプーシキンについて検索していたら見つけたクラシック音楽で、面白そうだったので購入。
 寡聞にして、私自身はこの作曲家の名前は初耳で、つい「何じゃそのチーズみたいな名前は」とか思っちゃったんですが(笑)、この『青銅の騎士』という曲、吹奏楽では有名らしいです。
 Wikipediaによると、グリエールは帝政末期のロシアからソビエト時代にかけて活躍した作曲家で、タネーエフの弟子で、プロコフィエフやハチャトゥリアンのお師匠さんとのこと。
 曲の方は、ロマン派+国民楽派といった感じ。判りやすくキャッチーなメロディーライン、カラフルで華麗なオーケストレーション、処々で顔を出すスラブ的な雰囲気……と、かなりツボのド真ん中を押される好みの作風。
 どうも、検索して判ったことを総合すると、革新性や独自性という意味では特筆すべき個性がなく、かつ当時でも既に時代遅れな作風だったために、忘れられ埋もれてしまっていたけれど、それらを抜きにして改めて振り返ると、親しみやすい佳品をいろいろと残した作曲家……ってな感じなのかな?
 バレエ音楽を基にした組曲『青銅の騎士』は、序曲の「まんまワーグナー!」なカンジにはちょっとビックリしましたが(笑)、その後繰り広げられる、活気のある情景では思いっきり楽しく、ロマンティックな情景では徹底的にウットリさせてくれる、メロディアスな曲の数々にすっかり魅了されました。とても視覚的な楽曲揃いで、リムスキー=コルサコフとか連想したり。
 中でも、ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』から前衛性を抜いたとゆーか、あるいはケテルビーの『ペルシャの市場にて』を本格的にしたとゆーか、そんなカンジの第三曲(トラックは7番目)「踊りの場」なんか、特に好きだなぁ。
 あと、ラストを飾る壮大な第九曲(トラックは13)「偉大なる都市への賛歌」は、聴いていると、こちとらロシア人でもサンクトペテルブルグ市民でもないのに、ついつい愛国心に燃えちゃったりして(笑)、そのくらい気分が盛り上がります。
 カップリングの『ホルン協奏曲』も、聴き応えという点ではそれほどではないにせよ、やはりメロディアスで華麗で優美。時に柔らかく時に力強いホルンの音色や、キラキラしいオーケストレーションは、けっこう楽しめました。
 というわけですっかり気に入った(特に『青銅の騎士』は)ので、同じ作曲家の、やはりバレエ曲を基にした組曲『赤いケシの花』と、好みの題材を扱っている『交響曲第三番 イリヤ・ムーロメツ』を聴いてみたくなり、CDを追加注文。
 早く届かないかな〜♪

最近の500円DVD

 PD映画の500円DVDなんだけど、書籍扱いなのでアマゾンのDVD検索で引っかからないヤツの中から、わりと最近見たものを幾つかご紹介。
 どれも古い映画ですし、500円DVDなので画質とかはそれなりですけど、史劇好きなら見て損はないかと。500円だし(笑)。

ポンペイ最後の日[DVD] 『ポンペイ最後の日』(1935)アーネスト・B・シュードサック
“The Last Days of Pompeii” (1935) Ernest B. Schoedsack

 てっきり、エドワード・ブルワー=リットンの小説の映画化かと思ってたら、しょっぱなに字幕で「違います」と出てビックリ(笑)。
 ストーリーは、貧しいが正直者だった鍛冶屋が、身内の不幸などアレコレあって「金の亡者」と化し、剣闘士や商人などを経てのし上がっていくが、しかし……というのが本筋。それに、イエスの磔刑やピラトとの関係とかいった、聖書劇っぽい要素を絡めつつ、クライマックスのヴェスビオ山の大噴火というスペクタクル・シーンになだれこむ……という、実に盛り沢山で波瀾万丈なオリジナル・ストーリーです。
 まあ、パターンとしては『ベン・ハー』の焼き直しという感じだし、いかにも「キリストの話とポンペイの滅亡を一緒にすれば、ダブルでお得じゃない?」的な浅はかさが透けて見える感はあるんですけど、でも、ベタな娯楽作としては充分以上に面白い展開だし、たっぷり楽しめる内容になっています。「大作娯楽映画のクリシェは全部入れました!」みたいなサービス感も、また楽し。
 そういう意味では、クライマックスのポンペイの滅亡シーンが、実に上出来。町の崩壊もパニック・シーンも大迫力だし(ここいらへんは、スティーヴ・リーヴス版を遥かに上回ります)、はたまたジョン・マーティンばりの絵画的な構図が出てきたりで、もう大満足。ただまあ、そんな期待を裏切らない一大スペクタクルの中でも、「ほら、感動しなさい!」と言わんばかりのコテコテのドラマが、やっぱり出てくるんですけど、ここまで徹底してくれれば、もう目くじらもたてずに楽しく見られます(笑)。
 役者さんは、ピラト役のベイジル・ラスボーンという名前には、何だか見覚えがありますけど(フィルモグラフィーを見ると、エロール・フリンの『海賊ブラッド』『ロビンフッドの冒険』とか、タイロン・パワーの『怪傑ゾロ』とか、幾つか見たことのある映画はありますが、正直どんな役だったかまでは記憶になし)、それ以外は全く知らない方々。因みに主演は、プレストン・フォスターという人。物語の中で剣闘士になったりするので、そこそこ立派な体格。30年代から50年代にかけて、戦争映画とか西部劇に出ていたみたいですね。

ゴルゴダの丘[DVD] 『ゴルゴダの丘』(1935)ジュリアン・デュヴィヴィエ
“Golgotha” (1935) Julien Duvivier

 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は、高名を知るのみで実は作品を見たことがなく、今回が初体験。
 DVDとしては、確か以前にも東北新社かどっかから出ていた記憶がありますが、そっちは既に廃盤みたいですね。内容は、イエスの生涯を、エルサレム入城から磔刑、復活までに絞って描いたもの。
 冒頭、エルサレム全景をスクリーン・プロセスでパンする映像から、神殿内でユダヤ教の祭司たちがあれこれ案じて会話する移動撮影になり、次にイエスのエルサレム入城をこれまた移動撮影で捉えたシーンに繋げ……という、有機的に連動した流麗なカメラワークによるオープニングが絶品。ただ、いざ本編に入ると、全体のバランスがいささかぎこちなくバラけている感があり、全体を通して何をやりたいのか、ちょいと焦点が絞り切れていないみたいな印象。
 とはいえ、捕縛シーンとかで見られるジョルジュ・ド・ラ・トゥールみたいな陰影法とか、ヘロデ・アンティパスのクローズアップで表現されるイエスとの対面シーンとか、映像的にはあちこち「おぉっ!」と目を見張らされる表現が。セットやモブのスケール感は大したものだし、イエスの造形が、映画だと良く見られるルネッサンス的なそれではなく、ゴシック様式の教会にある聖像のような、中世彫刻的なそれなのも興味深い。
 宗教的な解釈等は、特に目新しいものはなく、わりと「そのまま素直に」絵解きとして描いている印象。
 ただ興味深いのは、フォーカスが受難劇そのものではなく、その周囲の人間たちに置かれているということ。受難劇そのものは定型的なそれをなぞりながら、ポンテオ・ピラトや題祭司カヤパやイスカリオテのユダといった人物から、その場に居合わせた一般民衆など、周囲の人々の反応を、日常的な目線で細かく捉えていくという視点が感じられます。それを通じて、人間の「普通」な反応が、このような場では「卑俗」なものとして浮かびあがってくるので、それを見せることで「あなたならどうする?」という問いかけをする、という目的があるのかも。
 特に、鞭打ちのシーンで描かれる、まるで、人間には普遍的にサディズムが内包されている、と、示唆するかのような表現とか、カヤパやユダやピラトが、自らの保身ゆえに決断を下す部分が強調されていたり、十字架の道行き上でも、病気の治癒を求める人がいたり……と、人間の「身勝手さ」を問うような部分は、かなり興味深く見られました。
 役者さんは、私が知っているのはジャン・ギャバン(ピラト役)とエドウィジュ・フィエール(ピラトの妻役)のみで、イエス役がロベール・ル・ヴィギャン、ヘロデ役がアリ・ボールという人。さほど演技的な見所らしきものはなく、それより、前述したような役名もないような人々の表情とかの方が、印象に残る感じ。
 音楽がジャック・イベール。クラシック畑の人で、私は『寄港地』しか聴いたことがないんですけど、この映画の劇伴は饒舌すぎて、残念ながらあまり映像と合っていない感じ。
 あ、でも『寄港地』自体は、エキゾチカ音楽みたいで大好きです。
 こんな曲なんですが、レス・バクスター好きだったらゼッタイにオススメ。
 因みに、私が良く聴いていたのは、父親がLPで持っていたこのアルバム。

ドビュッシー:交響曲「海」/イベール:交響組曲「寄港地」 [XRCD] ドビュッシー:交響曲「海」/イベール:交響組曲「寄港地」
シャルル・ミュンシュ指揮・ボストン交響楽団

 そういや、CDではまだ持っていないなぁ、今度買おう。

鉄仮面 [DVD] 『鉄仮面』(1929)アラン・ドワン
The Iron Mask (1929) Allan Dwan

 ダグラス・フェアバンクス主演の痛快娯楽活劇。原作はもちろん、アレクサンドル・デュマ(大デュマ)の『鉄仮面』こと『ブラジュロンヌ子爵』。
 ダグラス・フェアバンクスも、名を知るのみで映画は見たことがなかったので、これが初体験。なるほど、ここからエロール・フリンやタイロン・パワーへと、系譜が繋がっていくのかな、なんて感じで納得の、西洋チャンバラ映画でした。
 ストーリー的に『三銃士』とかよりも怪奇味が強いので(子供の頃に児童向けのバージョンで読んだときも、けっこう怖かった覚えが……)、とうぜんそれっぽい雰囲気もあるんですが、でもやっぱり楽しい痛快活劇といった印象が上回る。とにかく調子よく話がパッパカパッパカ進むので、見ていて楽しいことこの上ない。
 というのもコレ、サイレントとトーキーの過渡期のものらしく、基本はサイレントで役者の声は入っておらず、でも中間字幕ではなく、状況やセリフはナレーションで説明される、というもの。それに加えて、全編景気の良い音楽も鳴り響くので、動く絵付き(それもコマ落とし調でパタパタ動く)の楽しい語り物といった味わい。こーゆータイプの映画って、たくさんあるのかなぁ。すっかり気に入っちゃったので、もっと見てみたいカンジ。
 スケール感は申し分ないし、美術も凝っていてステキだし、サイレント映画は退屈だって人でも、これは楽しく見られると思います。ウチの相棒なんか、大喜びしてました(笑)。

ちょっと宣伝、青年系マンガ描きました

loverboy1
 今月21日発売の「バディ」12月号に、マンガ『LOVER BOY(前編)』描きました。
 先月号まで描いていたヤツが、どマニアックなネタだったので、その反動か、フツーのエロマンガを描きたくなりました。
 とゆーわけで、キャラもご覧のようにフツーのタイプ。メガネのリーマンと、カッコイイ系の男子。
 ヤってることも、凌辱やSMではなくフツーな感じ。でも、エロエロ(笑)。

 この号ではマンガだけではなく、付録DVDでも、顔出しトークなんぞを披露しております。
 この付録DVD用に、今年の夏、都内のフリースペースで収録したもので、内容は本邦初公開。
 トークのお相手は、竜超さん。氏が「バディ」に連載しているコラム『現代狂養講座』に連動して、「”ゲイコミック”の明日はどっちだ!?」というテーマで、自分のこととか、ゲイコミックの現状とか、今後の展望とか、あれこれ喋っています。
Badi (バディ) 2009年 12月号 (amazon.co.jp)
 というわけで、マンガとトークとダブルで楽しめる(はず)なので、よろしかったらお買い求めください。
 トークの方は「立ち読み」もできないしね(笑)。

つれづれ

 ここ数日のあれこれ。

 上野の西洋美術館で『古代ローマ帝国の遺産』展鑑賞。
 キュレーションに特に目新しいものはなく、展示点数も決して多いとは言えないけれど、展示品はおしなべて高クオリティでかなり満足。
 壁画に良いものが多く、特に、「庭園の風景」の大きさと色彩の美麗さには目を奪われる。「カノポスのイオ」や、小品ながら「聖なる風景画」の幽玄な雰囲気も素晴らしい。
 ブロンズの工芸品も、デザインの洗練され具合がいいなぁ。細工も高度で、みていてついつい「欲しい!」とか思っちゃう作品がイロイロと。中でも「シレノスのカンデラブルム」は、メールヌード作品としても良く、腰のあたりの肉付き具合なんか、何ともタマリマセヌ。
 サイズが大きな彫像だと、やはり「皇帝座像」と「アレッツォのミネルウァ」が印象に残る。前者は、腕や足の甲の血管の表現に目を奪われたけど、図録によれば、それらは18世紀になされた修復部分だったようだ。
 ミュージアム・ショップでガラスのペーパーウェイトを、その美麗さに惚れて衝動買い。「アウグストゥスのアウレウス金貨」のヤツと「カノポスのイオ」のヤツ。後者は、近々遠方に引っ越してしまう友人(女性)に、お餞別としてプレゼント。
 帰りにアメ横で、靴を一足購入。
 安かったので、店員さんに「これ下さい」と言うと、「はいっ、1万3千円をお値引きで2千8百円になります!」という返事。いや、値札で確認していたから買ったんですが、いざそう言われると、改めて安さを実感してビックリ(笑)。
 サンマが7尾で5百円ってのにも惹かれたけど、いくらサンマ好きでも、いっぺんに7尾は多すぎるから、残念ながら断念。

 デアゴスティーニの『モスラ対ゴジラ』購入。
「マハラ・モスラ」は、ガキの頃から好きな歌だったけど、改めて聴いても、やっぱり良いなぁ。歌バージョンもさることながら、劇伴でも、このモチーフが出てくると背中がゾクッとくる。
 古関裕而の「モスラの歌」は、「イヨマンテの夜」や「黒百合の歌」の作曲者らしい、ポップ味のあるエキゾ歌謡の名曲だけど、伊福部昭の「マハラ・モスラ」は、より土俗性を感じさせる、いかにも古代の異教儀式といった趣で、これまた甲乙つけがたい名曲。
 東宝特撮のDVDは、高価さもあって買い逃がしているものがあるので、そこいらへんはこのシリーズで買おうかな。

 長年の友人(女性)のヘルプで、初めての土地へ。
 とはいえ、たかが電車で30分、そこからバスで30分の距離だし、行った先もただの住宅街なのだが、過去にあまり見た記憶のない雰囲気の場所で、しかもなかなか気持ちの良いところだったので、ちょっとした小旅行気分に。
 用件は撮影の手伝い。彼女がビデオ、私が写真を担当。
 終了後、バスに乗って大都会に戻り、遅めのランチをとっていたら、ほんの一時間前の出来事だというのに、さっきの場所が、まるで異次元にでも行ってきたかのように感じられて、何だか不思議な気分。
 そんな気分は後々まで続き、彼女と一緒に拙宅に戻り、二人で撮影した素材の整理などして、それから仕事から帰宅した相棒も交えて、三人で夕飯なんぞを作っている頃には、昼間の出来事が、とてもその日のこととは思えないような感覚に。

 イタリア人から、「バディ」のバックナンバー購入についての問い合わせが。
 単行本効果かな? だったら嬉しい。

ちょっと宣伝、イタリア語版単行本、発売されました

racconti-estremi-cover
 前にここで、私のイタリア語版マンガ単行本・第一弾が先々週発売されたとお伝えしましたが、昨日、見本が届きました。
 本のタイトルは”RACCONTI ESTREMI”。英語だとextreme storyという意味だそうな。
 ただ、本を開くと1ページ目に、”Kinjiki”というタイトルがあって、一瞬この『禁色』が副題かと思って、「ひぇ〜、そんなおこがましい、ヤメテクレ〜!」とか思ったんですが、奥付を確認すると、下記の記載を発見。
RACCONTI ESTREMI
di Gengoroh Tagame
collana Kinjiki
volume 1, autunno 2009
 collanaというのは「ネックレス」とか「叢書」とかいった意味らしい。というわけで、これは「禁色叢書・第一巻」なんですな。
 シリーズ全体の名前と判って、ホッとしました(笑)。

 本全体の造りは、サイズはA5、カバー付きのペーパーバック。
 総ページ数は、200ページ強、価格は15ユーロ。
 カバーは、左上の書影だと判らないんですが、葡萄茶色の地色と角版のイラスト部分がツヤのないマットPPで、黒の地紋と白のアルファベット部分のみ、ツヤのあるグロス加工になっています。
 とってもキレイで品の良い装丁。気に入りました。
 内容は、短編マンガ8本に加え、巻末には、私のインタビュー、ラフスケッチ数点、各作品に関する注記、擬音に関する解説なども収録されています。
 綴じは、日本と同じ右開きで、巻末のテキストページだけ左開き。というわけで、マンガの絵も逆版にはなっていないので、ホッと一安心。なぜ安心かというと、絵を描く人なら判るはず(笑)。
 紙質も印刷も上々だし、丁寧に作ってもらえたようだし、嬉しいなぁ。こうなると、解説とかを読めないのがクヤシイ(笑)。

 具体的な収録作品リスト(とイタリア語題)は、以下の如く。
・MASOCHISTA(「マゾ」)
・PATRIOTTISMO – L’ESERCITO DEI VOLONTARI DELLE LACRIME(哀酷義勇軍)
・GIGOLO(ジゴロ)
・BURATTINAIO(傀儡廻)
・GASTRITE DA STRESS NERVOSO(神経性胃炎)
・PATIBOLO(晒し台)
・CHIGO(稚児)
・CONFESSIONE(告白)
racconti-estremi-aracconti-estremi-b
 作品をセレクトしたのは先方で、「未単行本化のものを」とリクエストされたので、当時まだ雑誌掲載のみだったマンガのコピーを渡して、その中から選んでもらいました。
 ただ、契約が締結してからこうして本が出るまでに、例によってけっこう時間がかかったので、その間に日本で出た『髭と肉体』と、収録作品が4本かぶってます。残りの4本は、今回が初単行本化。
 ちょっととりとめのないラインナップのような気もしていましたが、こうして並んでみると、さほど案ずるほどでもないかな。最後を『告白』で締めてくれているあたりも、なかなかいい感じです。
 ただ、イタリア初上陸にしては、巻頭に「ヒゲなし若め主人公」ばっか4本並んでいるのが、ちょいと誤解を招くかもしれないなぁ(笑)。私の十八番の「ヒゲ熊拷問」が、一本しかないし(笑)。

 内容をじっくり見ていると、細かなところも神経が行き届いています。
 例えば各作品のタイトルですが、まず作品のアタマに、本の表紙と同じ地紋を用いた新規の章扉があり、そこにイタリア語のタイトルが書いている。その章扉をめくると、白ページ(つまり章扉の裏は白紙になっている)を挟んでマンガが始まるんですが、マンガの元々タイトルが入っていた場所に、今度はローマ字表記の日本語タイトルが入っている。
 また、マンガに出てくる、ポスターや看板の文字の処理を見ると、例えば『哀酷義勇軍』だと、義勇軍募集のポスターは日本語のままで、欄外に意味を説明した注がある。かと思えば、適性検査の結果が出た掲示板は、これは画面でもイタリア語に翻訳されていて、ちゃんと文字に掲示板に合わせたパースもついている。
 些細なことではありますが、こういったのを見ると、「ああ、丁寧に作ってくれているなぁ」って感じで、生みの親(笑)として実に嬉しい。

 因みにフランス語版では、擬音もフランス語に置き換わっていましたが、このイタリア語版では、日本語の擬音がそのままになっています。どうしてかというと、「そのままにして欲しい」と言われたからで、理由を聞いたら「カッコイイから」なんだそうな(笑)。
 ここいらへんの感覚は、国や個人によってまちまちのようで、スペインの出版社(契約済み)は「置き換えたい」派でした。ちょっと前に会って話したアメリカ人も、「置き換えたい」派。でも、長い付き合いのあるアメリカ人のファンは「英語の擬音は表現力に乏しいから、日本語のまま残して欲しい」派。
 まるで、映画の字幕派と吹き替え派みたいなので、いっそ、擬音の切り替えができる電子書籍版とか作ったら面白いかも(笑)。

『ゲイエロ3』打ち合わせ

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 前回の続き。
 上の図版は、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.3』収録予定作家のお一人、高蔵大介さんの作品(『さぶ』1996年7月号より)。

 というわけで、『さぶ』の発掘作業も完了したので、セレクトした分をポットさんに持参して(って、実際は持ち歩ける量ではないので、宅急便で送ったんですけど)、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.3』の打ち合わせをしてきました。
 とりあえず現状の進捗状況は、収録図版の粗セレクトが完了した状態。
 集めることのできた全ての図版の中から、最終的に収録できる点数の数倍に相当する量をセレクトした、いわば「一次選考」が終わった状態です。
 これで、本の全体像が朧に見えてきた(つまり、出来ることの可能性と限界を、同時に把握できた)ので、それを踏まえて、最終的にどういった構成にするかを話し合います。
 今回、作品の収集をしている段階で、過去の既刊二冊とは異なった構成にしたい部分が出てきたので、予算や技術も踏まえて相談したり、本のサブタイトルをどうするか検討したり。
 サブタイトルに関しては、自分独りでずっと考えていたときには、かなり煮詰まってしまっていたんですが、今日の打ち合わせで担当編集者さん二人を交えて話し合っていたら、ビックリするほどスンナリと結論を出せました。「うわ〜、やっぱブレーンストーミングって大事!」と、改めて感心したり。

 また、実はこのシリーズ、限られた予算内で最良の結果を出すために、画集としては(おそらく)イレギュラーなページ構成になっています。
 そのこともあって、今回も、制作費の見積もりを作るために、ラフな台割り(本全体のページ構成を決める表のこと)を用意して、「この折り(一般的に、本は16ページ分を一枚の大きな紙に印刷して、それを折りたたんで裁断して作るので、この16ページを一単位にしたものを『折り』といいます)は、表を四色(カラー)裏を一色(モノクロ)でいきます」とか、「こっちの折りは、両面一色でいけます」とか、説明しながら細部を詰めていきました。
 さて、これで最終的に収録可能な図版点数の、ガイドラインができました。
 ここまでが、今日の成果です。

 この後、仮決定したページ構成を踏まえて、粗セレクトした作品の中から、最終的な掲載作品を絞り込んでいきます。これがまた、楽しくも辛い作業。というのも、どうしても「涙をのんで収録を断念せざるをえない」作品が、多々でてくるので。
 掲載作品が決定したら、次は文章原稿の執筆に取りかかります。これがまた、調べ物とか取材とかが必要になるし、そもそも文章書きの専門ではない私にとっては、なかなか厄介な作業です。
 文章ができたら、次は翻訳(このシリーズは、日本のゲイ・アートをより海外にも喧伝するために、全テキストを日本語と英語で併記しています)して、これでようやく本に必要な原稿が全て揃うわけです。
 こういった一連の作業を、集中して一気呵成に出来ればいいんですが、残念ながら他の仕事の都合もあるので、その合間合間に長いスパンで進めていかなければなりません。事実、今月はもう、これ以上の時間的な余裕がないので、最終的な掲載作品の絞り込みを始められるのは、来月上旬以降になるでしょう。

 本の完成までには、まだ時間がかかりそうです。
 とはいえ、一番メインの図版収集作業が完了したので、ちょっと一安心。

『さぶ』の山

sabu
 ここ数日、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.3』の準備で、『さぶ』の山と格闘中。
 メインの目的は、高蔵大介さんのイラストのセレクトなんですが、それ以外にも、初期に活躍していらした鈴木節さんの作品とか、幾つか抑えておきたいものがあるので、古くは昭和50年代年代初頭のバックナンバーから紐解いております。
 というわけで、薄い中綴じの頃から、平綴じになったけれどまだ薄い頃、厚みを増していった頃、表紙絵が三島剛さんから木村べんさんに変わった頃、本文印刷が活版からオフセットに変わり用紙も変わった頃……と、歴代の『さぶ』を、開いては閉じ、付箋を貼っては積み重ね……といった作業の繰り返し。

 しかし、改めて創刊当初の『さぶ』を見ると、ゲイ雑誌誕生以前の「よろず変態雑誌」の頃の香り、つまり『風俗奇譚』とかと同種のテイストが、まだけっこう残っていますね。
 最初期の『さぶ』で小説挿絵を描かれている「風間俊一」という人は、おそらく、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.1』で採り上げた江戸川重郎や、『vol.2』の天堂寺慎などと同様に、ヘテロ雑誌に描かれていた職業イラストレーターでしょう。イラストレーション的に手慣れたテクニックと、男性のエロティシズムをフェミニンに描写しているという特徴が、全く共通しています。
 また、『風俗奇譚』などでは良く見られるものの、私がリアルタイムに親しんだ80年代以降の『さぶ』では全く見られなくなっていた、素人女装の投稿告白などという記事も、この頃の『さぶ』には、まだ僅かながら載っていますし、アメリカのフィジーク誌から転載したと思しき、ブルース・オブ・ロサンジェルスの写真や、エチエンヌやトム・オブ・フィンランドのイラストレーションが載っているのも、やはり『風俗奇譚』と同じです。
 とはいえ、そういった記事と並行して、日本のゲイ・エロティック・アーティストたちも、『vol.1』で採り上げた三島剛は、もちろん創刊号から参加していますし(三島剛さんは『さぶ』という誌名の名付け親でもあります)、『vol.2』の林月光、遠山実、児夢(GYM)といった面々も、すぐに誌面に登場します。
 また、長らく『さぶ』の名物コーナーだった読者の投稿写真ページ「俺のはだか」や、森本浩史さんの「縄と男たち」なども、中綴じの頃から既にスタートしているし、小説執筆陣にも、花田勇三さん、土師志述さん、愛場幹夫さん、いけはらやすあき&でぶプロさん、真須好雄さん……といった、平綴じになってからの『さぶ』でも見覚えのある名前が、既に登場しています。
 こういうのを見ていると、それからおよそ十年後、私がデビューした頃の『さぶ』とも、シームレスな繋がりを感じられて、ちょっと嬉しい気分になりますね。まるで、両親や親戚の若い頃の写真アルバムを見ている気分。

 中綴じ時代の『さぶ』は、総ページ数が160ページ程度と、薄い本ですが、中身の方は、本の厚さと反比例するかのように、実に濃厚な印象。
 というのも、まず、イラストレーションの扱いが大きい。カラーやモノクロのグラビアページを使って、前述したような錚々たる作家陣が、その腕と妄想力をふんだんに発揮してくれている。
 例えば、昭和53年8月号を例にとると、この号だけで、三島剛さんの褌テーマの巻頭カラー口絵4ページ、林月光さんの巻末カラー絵物語「月光・仮面劇場」4ページ、児夢さんの学ランテーマのモノクロ連作口絵4ページ、水影鐐司さんのラグビー部テーマのモノクロ連作口絵4ページというゴージャスさ。
 更に、児夢さんと水影さんのカラーイラストも1ページずつ。小説挿絵では、三島さん、林さん、水影さんの他に、前述した『vol.3』収録予定の鈴木節さん、更には吉田光彦さんや渡辺和博さんといった『ガロ』系の方々まで。
 男絵好きにとっては、これはもうたまらなく魅力的な誌面。
 また、本文に情報ページや広告ページが殆どなく(メイトルームの数も、まだ200そこそこと、決して多くない)、読み物ページは主に小説に占められ、加えて、その小説のラインナップが「濃い」のも、雑誌全体の充実感に繋がっているようです。
 この頃の『さぶ』には、現代物の恋愛小説とか、エロな体験告白といった、昨今でも良く見かける「身近」な設定の小説も、もちろんあるんですが、それと同じくらい、いや、ひょっとしたらそれより多いくらいの比率で、時代物、任侠物、軍隊物……といった、今どきでは殆ど見られなくなった、フィクション性の強い設定の小説が掲載されている。中には、時代物伝奇小説の連載まであったり。
 これらの小説は、ポルノ的なエロ描写そのものに限って言えば、今読むと実に「大人しい」ものなんですが、反面、情景描写や情緒表現を含めて、しっかり「小説」にしようという心意気の感じられるものが多く、即物的なポルノグラフィーとはまた違った味わいがあります。

 そんなこんなで、今回の目的は、あくまでもイラストレーションのセレクトだけのはずなのに、ついつい文章も読みたくなっちゃって、難儀しております。読み始めたらきっと止まらなくなって、作業がぜんぜん進まなくなっちゃいますから、もう、我慢我慢の日々(笑)。
 それでもやっぱり、花田勇三さん(叙情的な筆致でホモソーシャル的な世界を薫り高く描いた、「男と男の叙情誌」という『さぶ』のキャッチフレーズを体現するような作家)とか、渚剣さん(任侠や軍隊といった男っぽい世界を舞台に、凌辱・拷問・切腹といった男責め小説を描いた作家)の小説が出てくると、「ちょっと休憩がてら……」とイイワケして、一、二編、読んじゃったり(笑)。
 あ〜、作業がはかどらない(笑)。

つれづれ

 どうでもいい独り言。
 ク○フーとD○Cが、どーしてもアタマの中でスムーズに繋がってくれないんだよね〜。理解はしていても、イメージのギャップを、どーしてもアタマが納得してくれないカンジ。「美」のベクトルの向きが、なんか正反対なんだもん。
 ……と、あんまり余所様のコメ欄で雑談を続けるのもアレなので、こっちに書きました。判る人だけに判るネタ(笑)。
 さて、イタリアの出版社から、以前契約を交わしたイタリア語単行本(短編集です)が、先々週無事に発売されたとの連絡がありました。ただ、まだ見本が届かず。
 本のタイトルは”Racconti estremi”で、これは「エクストリーム・ストーリー」という意味だそうな。
 詳しい紹介は、実際に本が届いて内容を確認してからにしますが、とりあえず表紙画像だけなら、出版社のサイトで見られます。
 DVDネタ。

ヴァレンティノ [DVD] 『ヴァレンティノ』(1977)ケン・ラッセル
“Valentino” (1977) Ken Russell

  久々に鑑賞。テレビ放映されたのを見て以来だから、20年ぶりくらい?
 この映画あたりから、ラッセルの勢いが衰えてきたという印象があったんですけど、改めて再見すると、これはこれで力もあるし、見所も多いな。
 冒頭の、斎場に乱入する群衆のシーンとか、レスリー・キャロン絡みのシーンのブッ飛び具合とか、シンメトリックだったりデコラティブだったりする構図の数々とかは、やっぱり「ラッセル印!」ってカンジの悪趣味スレスレのケレン味が素晴らしい。窓の外でファンたちが、ポエトリー・リーディング(っつーかシュプレヒコールっつーか)するシーンとかも好き。
 ただ、留置所のシーンなんかは、これでも充分エグいんですけど、ラッセルにしては物足りない感じがしてしまうのは否めないし、映画のラスト、ボクシングの試合以降の映像力がイマイチ弱いせいで、全体の印象も弱くなってしまった感はあり。
 ああ、あとメールヌード絡みで、ルドルフ・ヌレエフのフルヌードが、引き締まった裸身(特にお尻)が美麗極まりない……ってのは記憶通りで嬉しかったんですけど、今回のDVDでは醜いボカシがなくなって、フロント部分がチラチラ「見え」るのも、少し得した気分だった(笑)。
 ゲイ絡みだと、男同士でタンゴを踊るシーンがちょっと有名ですけど、実は私は個人的には、こーゆー耽美趣味にはあんまりピンとこない。ホモセクシュアルにデカダンな幻想は抱いていない、とでも言うか。
 とはいえ、私は自分のことを「耽美作家」だと思っているんですけどね(笑)。ただ、私にとっての「美の追求」というものが、「体毛を執拗に描き込む」とか「ヒゲのマッチョが苦悶する」とかいった、あまり一般的には共感されにくそうなものだ、というだけで。「道徳的功利性を廃して美の享受・形成に最高の価値を置く立場」(広辞苑)という点では、耽美主義以外の何者でもない、と、自分では思っています。
 閑話休題。
 しかし、どーしてラッセルの映画って、比較的どーでもいいものばかりDVD化されて、マジでスゴいヤツは出ないんだろうなぁ。
 まあ、『トミー』や『マーラー』が出たのは嬉しいし、『ヴァレンティノ』『アルタード・ステーツ』『クライム・オブ・パッション』もいいんですけど(『サロメ』『レインボウ』『白蛇伝説』になると、私的にはわりと「どーでもいい」部類)、やっぱ『恋する女たち』『恋人たちの曲/悲愴』『肉体の悪魔』『ゴシック』という、個人的に大々々好きな4本を、何とかDVD化して欲しい。

『W(ワンダースリー)3』手塚治虫文庫全集版

 本屋に行ったら、手塚治虫文庫全集の第一回配本が並んでいたので、『W(ワンダースリー)3』(以下『W3』)全二巻を購入。

W3(1) (手塚治虫文庫全集 BT 15) W3(2) (手塚治虫文庫全集 BT 16)

 最大のお目当ては、2巻に収録されている「少年マガジン版」の復刻。
 馴染みのない方に簡単に説明しますと、『W3』は最初は「週刊少年マガジン」に連載されていたものの、とあるトラブルによって連載が中断、仕切直しを経て「週刊少年サンデー」で再連載されたという経緯があり(詳しくはWikipediaの「W3事件」でも見てください)、これまで単行本等で読むことができたのは、「少年サンデー版」の方。
 で、今回の文庫では、1巻と2巻の中途まで従来の「少年サンデー版」ベースの全編を収録し、2巻の後半に「少年マガジン版」の雑誌掲載分を復刻、という形になったもんですから、ウホウホ喜んで買ってきたわけで。

 まあ、未収録分を読むというためだけなら、2巻だけを買っても良かったんですけど、私の持っている『W3』の単行本(秋田書店サンデーコミック版)は、何てったって自分が小学生の頃(笑)に買ったものですし、実家に置いてあって手元にはないから、1巻も一緒に買いました。あともう一つ、あんまり大きな声では言えない個人的事情もあるんですが……それは後述(笑)。
 というわけで、「少年マガジン版」を全部読むのはこれが初めて(第一話の冒頭だけ何かで見た記憶あり)なんですが……
 ナルホドねぇ、これまで自分が読んでいた最終版の『W3』では、主人公・真一(および小川村を巡るアレコレ)と、主人公の兄・光一(および秘密組織フェニックスを巡るアレコレ)の間に、どこか微妙に埋まりきらないような齟齬を感じていたんですが(とはいえ、そういった齟齬……具体的に言うと、前近代的な日本の農村風景と、モダンな国際スパイ映画的な世界と、銀河スケールのSFテイストが、ひとかたまりになったストーリー……も、私にとっての『W3』の魅力の一つなんですけど)、当初の「少年マガジン版」では、こういった絡みかたをしていたんですか。これならきちんと繋がるなぁ。納得。

 作劇法の差異も興味深くて、モノガタリ全体の輪郭を最初から露わにしている最終版に対して、「少年マガジン版」は、謎の提示を冒頭に置き、関係の読み取れない複数の事象を並行して進行させ、やがてモノガタリ全体の大きな輪郭が見えてくる……という作りになっていて、これはかなり惹き込まれる。以前どなたかが(確か、みなもと太郎氏だったと思うけど)、「仕切直し後(つまり最終版)の『W3』を読んで、「少年マガジン版」との違いにガッカリした」といったようなことを、書かれているのを読んだ記憶がありますが、なるほど、その気持ちも判ります。
 ただ、作劇が魅力的とはいえ、同時に、光一青年とフェニックスの関わりとかは、今となっては荒唐無稽に過ぎる感もあるので、そこいらへんのディテールを割愛してモノガタリの枠外に置いてしまった最終版の方が、やはり「正解」なのかな、って気はします。それに、真一少年のキャラクターも、「少年マガジン版」のあか抜けたカッコイイ少年よりも、やっぱ最終版の、『無法松の一生』か『けんかえれじい』かってな、不器用で無骨(少年の形容には相応しくない言葉ではありますが)な少年の方が、私にとっては魅力的。

 しかし、改めて読んでみると、小川村のアレコレとか、エンディングのムードとか、ガキの頃に読んだときよりも、大人になった今の方が、ノスタルジーとかいろいろ入り交じって、なんか、しみますね。
 さて……と、前述した「私が1巻も買った大声では言えない理由」ですが……ま、判る方にはお判りですよね(笑)。毎度毎度こんなネタで申し訳ないんですけど、幼心にもアレ的にムズムズしたという意味でも、この『W3』には思い入れがありまして。
 この文庫全集版で言うと、210〜211ページ、285〜288ページあたりがソレなんで、お手持ちの方はご確認あそばせ。二つあわせて見ると、思っくそご納得いただけると思います(笑)。
 しかしまあ、久しぶり(20年ぶりくらい?)に再読したんですけど、我ながらホント、三つ子の魂百までとゆーか、雀百まで踊り忘れずとゆーか、自分の「変わってなさ」に呆れてしまう(笑)。

予約したモノと検討中のモノ

八甲田山 八甲田山
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2009-11-20

 祝・初CD化! 発売を知って、即予約。
 芥川也寸志は、正直なところ、私の好みとはちょっと外れる部分もなきにしもあらずなんですが、これはガチで好きです。

THE KING 序章~アユタヤの若き英雄~/~アユタヤの勝利と栄光~ [DVD] THE KING 序章~アユタヤの若き英雄~/~アユタヤの勝利と栄光~ [DVD]
価格:¥ 7,140(税込)
発売日:2009-11-06

 祝・日本盤発売! 即予約。
 前にここで紹介した、タイ製歴史スペクタクル映画『キング・ナレスワン(King Naresuan)』の第1部と第2部が、併せて待望の日本盤DVDに。
 あと一ヶ月〜、うほほい、うほほい(歓喜の舞い)。
 さあこの勢いで、『クイーンズ・オブ・ランカスカ』、『スリヨータイ』、『バーン・ラジャン』も、ぜひ!

手塚治虫 生誕80周年「冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集」
価格:¥ 10,500(税込)
発売日:2009-11-18

 検討中。
 5枚組ということで、かなり惹かれているんですが、具体的な収録曲の情報が、まだどこを探しても出ていないので、検討&保留中。
 主題歌ばっかだったら、欲しいヤツは既に大概持っているからパスだし、前に出た『ジャングル大帝BOX』とか、ガキの頃から愛聴している交響組曲版に+αした仕様とかだったら、これまた持ってるから意味ないし。
 でも、『リボンの騎士』の主題歌インスト版とか、『クレオパトラ』の劇伴とかが入っていたら、問答無用の即買い。

ざくろの色 プレミアム・エディション 「ざくろの色」デジタルリマスター版+「パラジャーノフ・コード」 [DVD] ざくろの色 プレミアム・エディション 「ざくろの色」デジタルリマスター版+「パラジャーノフ・コード」 [DVD]
価格:¥ 9,975(税込)
発売日:2009-10-21

 検討中。
 超偏愛映画なので、問答無用で買い……と言いたいところなんだけど、アメリカ盤、旧盤ときて、更にこれを買うと3枚目になってしまう(LD時代から数えたら4枚目だ)から、つい二の足を。特典も、未公開映像は見たいけど、ドキュメンタリーとなると、ちょっと微妙だしなァ……。
 デジタルリマスターも魅力だけど、旧盤も別に画質がアレだったってわけでもないし……だったらいっそ、ブルーレイで出してくれりゃ、これを機会にハードも併せて買っちゃおうか、ってなくらい、好きな映画なんですけどね。
 う〜ん、悶々。