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“Magnificat; Victoria” Wojciech Kilar
 現代ポーランドの作曲家、ヴォイチェフ・キラールの、声楽付き管弦楽曲二曲をカップリング。
 メインを占めるのは七部からなる大曲「マニフィカ〜独唱と合唱とオーケストラのための」(2006)。同作曲者の似た構成の楽曲「ミサ・プロ・パーチェ(平和のためのミサ)」(1999)と比較すると、トラジックな重厚さが控えめになって、清浄感や祝祭的な高揚感が前面に出ている印象。
 第一曲からして、まるで「さあさあ、始まり始まり〜」と言わんばかりの金管のファンファーレに続き、低弦の反復がクレッシェンドしていき、ティンパニが打ち鳴らされて、リタルダンドした後、満を持して合唱の登場……という明快さ。
 かと思えば、ストリングスにソプラノの独唱をフィーチャーした二曲目や、グレゴリオ聖歌風のモノフォニーから始まり、次第に声部が増え、やがて再びストリングスとソプラノの独唱が加わる三曲目は、まんま癒し系のオムニバスCDに入ってても違和感なさそうな美曲。
 他にも、オーケストラによる力強い反復に、バスの独唱が朗々と響く四曲目、金管のスタッカートとティンパニによるカッコイイ導入、緩急を効かせた混声合唱による高揚感が印象的な五曲目、民族風の旋律の反復をバックに、ソプラノとテノールとバスの掛け合いを聴かせる六曲目、バロック風な旋律を、いかにもな金管のファンファーレから、不協和音を伴う現代風のストリングス、古楽風の声楽……などなど、次々と展開していき、シンプルで力強い高揚感を経て、敬虔な清浄感で幕を引く終曲……と、キラールを聴く面白みを堪能しました。
 カップリング曲「ヴィクトリア〜混声合唱とオーケストラのための」(1983)は、NAXOSから出ている『合唱曲と管弦楽曲集』にも収録されています。4分足らずの小品ながら、ハッタリの効きまくったイントロ、問答無用でグイグイ盛り上げる展開、期待を裏切らない大仰な終わり方……と、これまたタマリマセンな一曲。
“Kilar: Magnificat; Victoria”(amazon.co.jp)

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“Epics: The History of the World According to Hollywood” Omnibus
 今昔のハリウッド史劇映画の音楽あれこれを、たっぷり56曲収録した、4枚組オムニバスCD。ただしサントラではなく、プラハ市交響楽団の演奏によるもの。
 もちろん、古くはミクロス・ローザの『ベン・ハー』やエルマー・バーンスタインの『十戒」、アレックス・ノースの『クレオパトラ』やモーリス・ジャールの『アラビアのロレンス』、最近のではヴァンゲリスの『アレキサンダー』やハンス・ジマーの『グラディエーター』やジェームズ・ホーナーの『ブレイブハート』なんて、有名どころも入ってるんですけど、個人的には、マノス・ハジダキスの『スパルタ総攻撃』とか、フランツ・ワックスマンの『隊長ブーリバ』とかいった、好きなんだけどサントラを持っていないのが入っているのが嬉しかった。
 というわけで、ちょっと長くなりますけど、興味のある方へのご参考までに、全収録曲のリストを。
 因みにCDでは、映画の舞台となっている年代順に、曲が収録されているという構成になっているので、以下のリストもその並びで。カナ表記は、allcinema onlineに準拠。
 前述の曲数よりリストの数が少ないのは、同じ映画から複数曲が収録されているものがあるため。
紀元前1万年(ハラルド・クローサー)
十戒(エルマー・バーンスタイン)
アレキサンダー(ヴァンゲリス)
ソドムとゴモラ(ミクロス・ローザ)
スパルタ総攻撃(マノス・ハジダキス)
トロイ(ジェームズ・ホーナー)
クォ・ヴァディス(ミクロス・ローザ)
聖衣(アルフレッド・ニューマン)
ディミトリアスと闘士(フランツ・ワックスマン)
クレオパトラ(アレックス・ノース)
アンソニーとクレオパトラ(ジョン・スコット)
グラディエーター(ハンス・ジマー)
マサダ(ジェリー・ゴールドスミス)
スパルタカス(アレックス・ノース)
ローマ帝国の滅亡(ディミトリ・ティオムキン)
偉大な生涯の物語(アルフレッド・ニューマン)
ナザレのイエス(モーリス・ジャール)
ベン・ハー(ミクロス・ローザ)
銀の盃(フランツ・ワックスマン)
パッション(ジョン・デブニー)
大将軍(ジェローム・モロス)
エル・シド(ミクロス・ローザ)
バイキング(マリオ・ナシンベーネ)
グレート・ウォリアーズ 欲望の剣(ベイジル・ポールドゥリス)
最後の谷(ジョン・バリー)
炎と剣(フランツ・ワックスマン)
隊長ブーリバ(フランツ・ワックスマン)
シー・ホーク(エリック・ウォルフガング・コーンゴールド)
真紅の盗賊(リチャード・アディンセル)……これ、IMDbやallcinema onlineだと、音楽はウィリアム・オルウィンになってるんだけど?
パイレーツ・オブ・カリビアン(クラウス・バデルト)
海賊ブラッド(エリック・ウォルフガング・コーンゴールド)
冬のライオン(ジョン・バリー)
ヘンリー五世(パトリック・ドイル)……ケネス・ブラナー版
ヘンリー五世(ウィリアム・ウォルトン)……ローレンス・オリヴィエ版
クイン・メリー 愛と悲しみの生涯(ジョン・バリー)
エクスカリバー(カール・オルフ)……これ、ちょっと反則(笑)。
女王エリザベス(エリック・ウォルフガング・コーンゴールド)
トゥルーナイト(ジェリー・ゴールドスミス)
ロビン・フッドの冒険(エリック・ウォルフガング・コーンゴールド)
ブレイブハート(ジェームズ・ホーナー)
戦艦バウンティ(ブロニスラウ・ケイパー)
1492・コロンブス(ヴァンゲリス)
征服への道(アルフレッド・ニューマン)
ミッション(エンリオ・モリコーネ)
アラモ(ディミトリ・ティオムキン)……ジョン・ウェイン版
進め龍騎兵(マックス・スタイナー)
アラビアのロレンス(モーリス・ジャール)
ズール戦争(ジョン・バリー)
ラスト・サムライ(ハンス・ジマー)
栄光への脱出(アーネスト・ゴールド)
“Epics: The History of the World According to Hollywood” (amazon.co.jp)