最近のBGM

 相変わらずのクラシック系ではありますが、ここ数日、ちょいと近代から現代寄りに、聴きたい気分が移動しつつあります(笑)。

cd_moslov_zavod アレクサンドル・モソロフ『交響的エピソード 鉄工場、他』
スヴェトラーノフ/ソビエト国立交響楽団、他

 ロシア・アヴァンギャルドの作品として名高い、モソロフの「鉄工場」を聴きたくて購入。同時収録は『組曲 兵士の歌』『ピアノ協奏曲第1番』『チェロ協奏曲第2番 エレジー』。(アマゾンではこのCDは扱っていないようなので、リンク先はHMVのサイトになってます)
 件の『鉄工場』は、約3分と短い曲ながら、ガンガンと重いファッショなまでの猛烈なエネルギッシュさが、もう圧倒的にカッコイイ! ゲルニカや上野耕路が好きな人だったら、ハマること間違いなしでは。YouTubeにあったので、下に貼っておきます。是非お試しあれ。
『ピアノ協奏曲第1番』も同様で、第1楽章のバーバリズム的なカッコよさがサイコーなので、しかも展開が『鉄工場』よりずっと複雑なので、こっちはプログレ好きにもオススメしたい感じ。
 CDではこの二曲が、素朴な民謡のような『兵士の歌』と、美麗でセンチメンタルな『チェロ協奏曲第2番』という、とても同じ人が書いた曲とは思えないような、アヴァンギャルドのアの字もない2つの曲でサンドイッチされた構成になっています。
 その余りのアンバランスさが不思議だったので、ググってみたところ、モソロフは当初はアヴァンギャルドな作風だったものの、スターリン体制下で反ソビエト的との批判を受け、作風の変更を余儀なくされたうえに、それでも結局は強制労働に送り込まれてしまうという、悲劇的な運命を辿った作曲家なんだそうな。Wikipedia(日本語)
 う〜ん、それを踏まえてこのCDを聴いていると、何ともやるせない気持ちに捕らわれるなぁ。『チェロ協奏曲第2番』の終幕が明るくユーモラスだったりするので、なおさら逆にこたえる感じ。後半生、どんな気持ちで曲を作り続けていたんだろうか……なんてね。

Michael Daugherty: Metropolis Symphony マイケル・ドアティ『メトロポリス・シンフォニー、他』
ゲレーロ/ナッシュヴィル交響楽団

 こちらは現代アメリカの作曲家。私は初めて聴く人ですが、けっこう有名な人のようで、最近は『ジャッキー・O』というオペラでも話題になったんだそうな。同時収録は『ピアノとオーケストラのためのデウス・エクス・マキナ』。
 まず『オーケストラのためのメトロポリス・シンフォニー』ですが、ジャケ写からもお判りのように、スーパーマン生誕50周年記念に書かれたものだそうな。というわけで章題も、それぞれスーパーマンに因んだものになっています。
 第1曲「レックス」の、レックス・ルーサーに見立てたヴァイオリンのヴィルトゥオーソ・ソロを軸に、ホイッスルや弦のスタッカートや打楽器などが目まぐるしく展開していく流れ、第2曲「クリプトン」の、緊急を告げるサイレンか、あるいはレトロなSci-fi映画の不気味な効果音を思わせるような、弦や管による分厚いグリッサンド、などなど、聴いていて実に面白い。特に、第5曲「赤いケープのタンゴ」は、グレゴリオ聖歌「怒りの日」のモチーフがタンゴのリズムに乗せて様々に変奏されていくという曲で、その緩急のダイナミズムやドラマティックさが実にカッコイイです。
 同時収録の『ピアノとオーケストラのためのデウス・エクス・マキナ』は列車をモチーフにした、3曲からなる作品。上のモソロフにも似た感じがある、機械的な律動を表現した未来派的な第1曲「早送り」、エイブラハム・リンカーンの遺体を運ぶ葬送列車をモチーフにしたという、感傷的で美しい第2曲「涙の列車」が良かった。
 このCDも、YouTubeにレーベルの宣伝ビデオがあったので、貼っておきます。作曲者のインタビュー映像に交えて、『メトロポリス・シンフォニー』からの抜粋が聴けます。

 さて、以上二枚は新規購入モノなんですが、これらを聴いていたら、久々にオネゲルの『パシフィック231』(蒸気機関車の動きをモチーフにした曲です)を聴きたくなったので、棚の奥から引っ張り出してきました。
 因みに、私が持っているのは、このアルバム。

オネゲル:パシフィック231 アルテュール・オネゲル『交響的運動 パシフィック231、他』
フルネ/オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団

 というわけで、『パシフィック231』が好きな方だったら、上の二枚も楽しめると思いますよ。
 これもついでに、YouTubeにコンサート映像があったので、貼っておきます。

 ああ、もう一つ、サー・アーサー・ブリスの映画音楽『来るべき世界』(アレクサンダー・コルダ制作のヤツ)も聴き返したくなりました。

The Film Music of Sir Arthur Bliss サー・アーサー・ブリス『映画音楽集』
ガンバ/BBCフィルハーモニック・オーケストラ

 映画の中の未来都市を建設するシーンで使われる曲が、これまたカッコよくで大好きでして。
 どんな曲か聴いてみたい方は、こちらで試聴できます。ゲルニカ好きならオススメしたい一曲。
 映画の方もSF映画の古典的名作なので、そのテが好きな方だったら、見て損はなし。
 日本盤DVDは二種類出ていて、ノートリミング高画質がご希望ならこっちの¥ 5,040のヤツを、画質にこだわらず、とりあえず見られりゃいいって方は、こっちの¥ 780のヤツをどうぞ。
 因みに、私が持っているのは高い方(笑)。……ってか、購入時点ではまだ安価なPD盤は出ていなかったので、選択の余地もなかったんですけどね(笑)。