投稿者「Gengoroh Tagame」のアーカイブ

新しいテレビとかブルーレイとか

 ちょっと前からテレビの調子が悪くなり、電源ONにしても初めのうちは画面がボケボケで、しばらく待っていると徐々にピントが合ってくる……ってな状態でした。
 で、その「待ち時間」が日々少しずつ長くなっていって、先週末くらいからはとうとう、マトモに映るようになるまでスイッチ入れて一時間以上かかるわ、真ん中に黒い帯が出るわ、色もブレるわ、更には垂直方向にブラーみたいなもんまで出て……という具合になったので、ようやく重い腰を上げて、長年使ったブラウン管テレビを、地デジ対応の薄型に買い換えました。

 さて、これでようやくハイビジョン環境が整ったので、テレビと一緒にBlu-rayプレイヤーも買うことにしました。
 私はヘビースモーカーなので、光学ディスク再生機は「消耗品」っぽいところがあるし、テレビ番組の録画とかは全くしないので、とりあえずは再生専用機で安いヤツにしよう……と思い、これを購入。

Lg_br_player LG電子 ネットワーク対応ブルーレイディスクプレーヤー BD370

 ネットワーク対応ということで、LANケーブルをブッ刺せばYouTubeが見られるってのが面白そうだってのと、DVD部分に関しては裏技でリージョン・フリー化できるってのが、決めポイント。

 諸々セッティングも済ませ、地デジのキレイさにビックラこき、リージョン1のDVDを再生してリーフリ化を確認したり(方法はググれば簡単に見つかります)、同じDVDでも、これまでのコンポジット接続よりHDMI接続の方がキレイなんだな〜と感心したり。
 Blu-rayの方は、とりあえず最初の一枚として、廉価版発売前ということでバーゲン品だった、これを購入。

300 〈スリーハンドレッド〉 コンプリート・エクスペリエンス [Blu-ray] 300 〈スリーハンドレッド〉 コンプリート・エクスペリエンス [Blu-ray]

 設置スペースの問題もあってテレビが32インチなので、フルHDではないんですけど、それでも画質の違いは良く判る。こーゆーのを見ちゃうと、『トロイ ディレクターズ・カット』とか『キングダム・オブ・ヘブン ディレクターズ・カット』とかも、Blu-rayで買い直したくなっちゃうなぁ(笑)。

 そんなこんなで、ふと世界のBlu-ray状況に興味がわいたので、外国ではどんなのが出てるんだろう……と、あちこち覗いてみました。で、さっそくアメリカ盤で『バラカ 地球と人類の詩』が出てるのを見つけて、しかも日本のアマゾンでも販売しているもんだから、即注文しちゃったり(笑)。

Baraka [Blu-ray] [Import] Baraka [Blu-ray] [Import]

 これ、日本盤DVDの画質が、ほんとヒドかったのだ(泣)。でも、米盤DVDは美麗だったので、Blu-rayも期待できそう。

 ヨーロッパ盤は、DVDとは状況が逆になって、Blu-rayではリージョンの問題があるようだけれど、それでもいちおうソフトをチェックしていたら……ソード&サンダル映画DVDのとき同様、ドイツ盤がけっこうウラヤマシイ状況。
 だって、『キング・ナレスワン(THE KING アユタヤの勝利と栄光)』は出てるわ、”Queens of Langkasuka”はあるわ、”Jodhaa Akbar”はあるわ……
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 見たことないけど、こんなロシア映画とか、こんなスウェーデン映画とか……
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 見たいな〜と思ってるアレハンドロ・アメナーバルの”Agora”も、ずっと先だけど発売日が決定してるし……
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 いいな〜、ドイツ人に生まれたかった(笑)。

 でも、残念ながらスティーヴ・リーヴス様のBlu-rayは、米独仏伊西、どこを探しても見つからなかった……。

【追記】その後、日本発売されたソフトあれこれ。
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「田舎医者(後編)」休載のお知らせとお詫び

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 先ほど「バディ」編集長氏のブログでもご報告がありましたが、今月20日発売の「バディ6月号」掲載予定だったマンガ、『田舎医者(後編)』ですが、先月末、締め切り前に右手が腱鞘炎になり、絵を描ける状態ではなくなってしまったために、編集部にご相談した結果、一回休載ということにさせていただきました。
 これで完結編となるところ、楽しみにしていてくださっている読者の皆様と、ご迷惑をおかけしてしまったバディ編集部の皆様に、この場を借りてお詫び申し上げます。

 腱鞘炎の方は、一時期は絵を描くことはおろか、マウスを持つこともできないほど痛みましたが、現在では既に本復しておりますので、ご心配はご無用にお願いいたします。
 発症時、このままでは締め切りに間に合わなさそうだと見込まれた段階で、早めに担当編集氏にご相談して、やはり早めに休載という措置をとっていただけたおかげで、それ以上の無理をしないで済んだのが、スムーズな回復へと繋がったのではないかと思います。

 それにしても、腱鞘炎なるものは初めての経験だったので(今まではどんなに無理をしても、鉛筆を持てなくなるほど痛むようなことにはなりませんでした)、症状が最も酷かった時期は、メンタル面でかなりこたえました。このまま絵を描けなくなるんじゃないか、とか、直ったと思っても再び描き始めたら、またすぐ痛むようになるんじゃないか、とか。
 というわけで、少し休んでからマンガ作業を再開したとき、痛みが戻ってこなかったのには、心底ホッとしました。

 そんなこんなで、『田舎医者(後編)』の掲載は、来月発売の7月号になります。
 上に載せた下絵でお判りのように、モブが多くて作画が厄介な回ですが(笑)、頑張って作業中ですので、来月までいましばらくお待ち下さいませ。

“Chronicle of an Escape”

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“Chronicle of an Escape” (2006) Adrián Caetano
 アルゼンチン映画、原題”Crónica de una fuga”。

 1970年代末、軍事政権下のアルゼンチンで、思想犯の疑いで政府の秘密警察に拉致された、男子大学生たちの辿る運命を描いた実話モノ。

 主人公は、サッカーチームでゴールキーパーをしている、政治運動とは全く無縁の大学生だったが、ある日試合の後いきなり秘密警察に拉致され、目隠しをされて郊外の一軒家へと連れていかれる。
 そこで待ち構えていたのは、容赦のない拷問。主人公は「自白」を迫られるのだが、何のことだか全く判らない。実は、先に摑まっていた男が、拷問に絶えかねて彼の名前を「密告」していたのだった。
 その館には、他にも大勢の学生たちが監禁されていた。ときおり仲間の誰かが、どこかへ連れて行かれるのだが、その行方も運命も判らない。長期に渡る監禁と拷問の恐怖で、学生たちは次第に卑屈に洗脳されていく。
 やがて主人公たち4人は、へと連れていかれ、服を脱がされ全裸のまま、ベッドに手錠で繋がれて屋根裏部屋に閉じ込められる。彼らへの辱めといたぶりは果てることなく続き、ついに生命の危険を感じた4人は、嵐の夜に全裸のまま、館から脱出しようと試みる……。

 というわけで、これが実話だけに、何ともオソロシイ内容ですが、極めて真面目に作られたなかなか良い映画です。
 ドキュメンタリー・タッチを基調にしながら、要所要所でサスペンスフルな演出も挟み、沈黙の恐ろしさや静かな緊張感といった、映画的な見所も多々あり。追い詰められていく人間の心理描写といった、キリキリするような感覚の描出も上手いので、見方によっては、ソリッド・シチュエーション・ホラーみたいなテイストもあり。
 ただ、もう20年以上前になりますが、この映画と同じくアルゼンチン軍事政権下での学生たちの拉致・監禁・拷問・虐殺を描いた映画で、『ナイト・オブ・ペンシルズ』(ビデオ題『ミッドナイト・ミッシング』)というのがありまして、これはホント神も仏もないって感じのトラウマ級の内容だったので、あれに比べると、ちょっと「弱い」感はあります。
 その反面、この”Chronicle of…”の方が、内容に「救い」があるので、見終わって落ち込んだり暗鬱になったりしないで済む、娯楽映画的に楽しみやすいものになっています。でも、時代背景の予備知識なしで、この映画で初めて、こういった歴史上の実話を知る人だと、やっぱりショッキングな内容かも……。
 というわけで、先日紹介した“Playroom”と違って、映画としても佳良なのでフツーにオススメできる感じ。

 さて、では責め場的な見どころについて。
 まず、肉体的な拷問シーンに関しては、これはさわりを見せるだけでハッキリとは描かれなので、そういう意味での見所はさほどなし。拷問内容までしっかり出てくるのは、バスタブに頭を沈める水責めくらい。
 ところが、前述したように心理描写系が巧みなので、そういったメンタルな責めに、なかなか見所が多いんですな。
 例えば、主人公が他の囚人に引き合わされるとき、看守たちは彼らに「Girls!」と呼びかけ、そして主人公のことを「She is…」と紹介する……つまり男扱いされないという辱めとか、目隠しを外されても看守の目を見てはいけなくて、視線は常に床に落としていなければいけないとかいった、日常的なディテールのリアルさが、SM的に見てもなかなか滋味深い。
 そして後半、いよいよ残った4人が全裸で監禁されてからは、そういった「メンタル面での辱め」がピークに達して、ここが大いに見応えあり。
 4人は、髪を短く切られた後、服を脱ぐよう命令され、素っ裸でベッドに仰向けに寝かされ、手錠でバンザイスタイルに繋がれる。そして、その姿を鏡で見せられ、「どうだ、この中に何が見える。自分が自分だと判るか。お前のお袋さんが見たって、これが自分の息子だとは判らねェさ」など、惨めに変わり果てた自分らの姿を嘲笑されて、屈辱に顔を歪ませながら涙する。
 更に囚人の1人は、全身にバケツで汚水を掛けられ、看守から「貴様は性根から腐っているから、これで掃除してやろう」と、床掃除用のモップで全身をゴシゴシと、顔面から股間まで擦られる。
 あるときは、ズボンだけ履いて部屋から出ることを許され、階下の食堂で看守たちがテレビを見ている横で、料理や給仕と奴隷のように使われる。またあるときは、全裸で目隠しをしたまま一列に並ばされ、銃を突きつけられ、「これから貴様らを処刑するが、殺される前に、最期の望みを一つず聞いてやろう」などと嬲られる。
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 そういったあれこれが、前述したような心理描写や緊張感に長けた演出の巧みさもあって、実にしっかりと描かれるので、肉体的な責め場がなくても、充分以上にSM的な興趣が擽られます。しかも、徹底してリアリズム準拠の演出なので、腰をよじらせたりアングルを工夫して局部を隠すなんてこともなく、見えるときは見えるという自然のまま。
 オマケにこの4人は、このまま全裸で脱走するので、映画のクライマックスはずっと、股間丸出しのヒゲ男4人の熱演が続きます。そして逃げ出した先でも、夜の街で人に見られて、怪訝な顔をされてしまったり。

 そんなこんなで、下心メインでも見所多しですし、これまたDVD Fantasiumから日本語で購入可能なので、興味と再生環境のある方は、どうぞお試しあれ。
 米アマゾンの商品ページは、こちら

“Playroom”

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“Playroom (a.k.a. Consequences)” (2006) Stephen Stahl

 アメリカのファンから「きっとコレ好きだよ」と薦められて、米盤DVDを購入してみました。
 ストーリーは、幼馴染みの悪ガキ5人組が、やがて成長してそれぞれ家庭も持った後、フットボールの試合を見に行こうと、久しぶりで5人一緒によその街に繰り出して、ついでに学生気分に戻って馬鹿騒ぎをしていると、別行動したガタイ自慢で女好きの2人が行方不明になってしまい、やがて恐ろしい事件へと発展していく……というもの。

 まあぶっちゃけた話、映画そのものは、はっきり言ってロクでもない出来です。カメラも演出もシロウトくさいし、ストーリー自体にも新味はない。
 映画のジャンルとしては、おそらく、サスペンス風味とホラー風味があるアングラなアート系……ってとこなんでしょうが、どれもこれも大した才気は感じられない。いちおう、行方不明になった2人がどういう目にあっているかということと、その行方を捜す残りの友人たちとその家族といった要素が、2本並行して進んでいくんですが、特に後者に関しては、話にしても演出にしても実にひどい出来映え(笑)。
 と言うと、何だか見るとこナシのクズ映画みたいなんですが、前者の行方不明になった2人に関してのみ、実はかなりヘンタイ指数が高くて、そそられる内容なんですな。このピンポイントだけで、DVD購入した価値があるくらい(笑)。
 というわけで、以下ネタバレ承知で、ヘンタイポイントのみ解説します(笑)。

 まずこの2人、顔も良ければ身体もマッチョと、なかなかの上物。キャラクターとしても、ガタイ自慢で女好きの体育会系バカノンケ(あ、褒め言葉よ、これ)って感じが良く出ている。
 そんな2人が、怪しい女たちに誘われて、一夜の浮気を楽しむんですが、これまた、二組一緒に同じ部屋でバコバコ犯りまくるという具合で、バカノンケ度がタップリ。
 ところが、一夜明けたら、2人ともベッドに手錠で拘束されていた。最初は、女たちの悪ふざけかと思い、ゲラゲラ笑ったりしていた2人ですが、そこに初老の男が現れて風向きが変わる。
 実はこの男は、ヘンタイ映像作家で、2人のノンケは彼の作品の「主演男優」になるのだと告げられる。部屋には他にも、レザーの全頭マスクの犬男がいたり、ロッカーの中にアダルトグッズがビッシリだったりして、ヘンタイムードがタップリ。
 とうぜん怒り狂う2人でしたが、手錠で繋がれているので抵抗もできず、初老の男に胸に跨られて「私にキスしろ」と迫られたり、身体をあちこち撫で回されたり。
Playroom_s1
 そんなこんなで、いよいよ撮影がスタート。
 2人は巨体の用心棒たちに連行され、部屋の一角にあった鉄棒状のラックに、うつぶせで脚を大きく開いた状態で、2人並んで拘束されてしまう。背後では、昨夜2人のアバンチュールの相手だった女たちが、股間にペニバンを装着。
 こうして、怒りと恐怖に怒号をあげる2人の肛門を、後ろからペニバンがブッスリ。女たちは、そのままズコバコ腰を使い、アナルレイプされる2人は泣き叫ぶ。
 もちろん、ポルノ映画ではないので、結合部のアップとかはないんですが、このペニバンレイプのシークエンス、あれこれアングルを変えながら、尺もたっぷりとってネチっこく続く。犯される2人の熱演もヨロシク、かなりのド迫力。
Playroom_s2
 哀れ肛虐されてしまったノンケ2人は、事後屈辱に打ちひしがれる。
 1人は何とか強がってみせる余裕は残っているものの、もう1人は身も世もなくオンナノコみたいに号泣。
 しかしそれも束の間、容赦なく第2ラウンドがスタート。
 ヘンタイ映像作家が取り出したのは、1本の金属製のディルド。「これは電流が流れる仕掛けになっていてね」と説明しながら、ディルドを金属製のベッドパイプに当てて滑らせると、バチバチと火花が飛び散る。「これを君たちの肛門にねじ込んであげよう。私はこれを『エレクトリック・ファック』と呼んでいる」
 その言葉と共に、まだ強がる余裕を残していた方の男(因みにこっちの方が、もう1人より更にマッチョ)は、用心棒たちに俯せに押さえ込まれて、そのスタンガン状のディルドで肛門を犯されてしまう。
 このシークエンスは短いんですが、汗まみれで絶叫する俳優さんの熱演や、バチバチいう電流の音響効果もあって、バイオレンス的な滋味はかなり高し。
Playroom_s3
 そして、いよいよクライマックス。
 もう、かなりラスト近くのネタバレまでいっちゃいますので、それが嫌な方は、以下はお読みになられませんよう。
 結局、行方不明の友人を探していた残りの連中も、実は助けを求めた警察もグルだったりして、あえなく同じ囚われの身になってしまい、しかも全てを仕組んだのは友人グループの1人で、学生時代からいつもからかわれ、それに傷ついていた男の復讐だった……なんてことが明かになるんですが、ま、それはドーデモイイ(笑)。
 友人の1人は射殺され、残った3人は手術室のような部屋へ連れていかれる。
 2人が壁のラックに拘束され、1人は全裸で手術台に縛り付けられたところで、件のいじめられっ子が、積もり積もった恨みつらみを吐いた後、「まず、プライドと生き甲斐を奪うところからスタートだ、コックを切り取れ!」と宣言。
 こうして手術台の彼は、ヘンタイ映像作家に口づけされながら、電ノコで男根を切断されてしまい、それを見ながらいじめられっ子は、ズボンに手を突っ込んでマスをかく……ってな展開になります。切断後、ヘンタイ映像作家が切り取った男根をつまんで、血まみれのそれにキスする……なんてカットも。まあ、作り物なのはバレバレなんですが、血糊の量とかは、スプラッタ映画さながらにドバドバ。
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 この後は「実は昔こーゆーことがありました」とゆー、ドーデモイイ伏線が機能して、結局「主人公は助かりました」的な、これまたドーデモイイ幕引きがあるだけ(笑)。

 とまあ、そんなこんなで映画としてはロクでもない出来ですが、ヘンタイ指数だけはやけに高いので、そこいらへんのツボが合う方だったら、私同様にタップリ愉しめると思います。米アマゾンの商品ページの「この商品を買った人は……」を見ても、DVD買ってるのはゲイばっかみたいだし(笑)。
 因みに、日本語による海外DVDの通販サイト、DVD Fandasiumでも扱っていました。参考までに、商品ページにリンクを貼っておきますので、興味のある方はどうぞ。

ちょっと宣伝、男色ヤクザ漫画描きました

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 先日お知らせした、私も参加している、筒井康隆氏の小説を16名の作家がマンガ化したアンソロジー単行本『筒井漫画涜本ふたたび』、本日発売です。
 というわけで、私が担当した「恋とは何でしょう(『男たちの風景』より)」から一コマをご紹介。
 ご覧のように、ゲイのヤクザの話で、濡れ場もアリの内容。

 さて、実は最初に編集の方からこのお話しを伺ったとき、お受けするかどうか、ちょっと迷いました。
 というのも、もし最初から「単なる価値観の違いをネタにする」ような作品を求められているのだとしたら、それはやりたくなかったんですな。自分のマンガが、読者によってネタ的に消費されるのは、それは作者の関わる立場ではないけれど、作者みずから進んで露悪趣味的にネタ的な作品を描くのは、ちょっと私の信義に反するので。
 でも、編集氏から「真っ向からゲイのラブストーリーとして描いて欲しい」(因みにマンガ化する小説は最初からご指定がありました)と伺い、それならば……と、喜んでやらせていただいた次第です。
 結果、この作品は筒井康隆氏の短編小説をマンガ化したものですが、同時に、きちんと100%「ゲイのゲイによるゲイのためのゲイマンガ」にもなったと思います。

 前にも書いたように、小説のマンガ化作品なので、今後、私個人名義のマンガ単行本に収録されることも、まずないと思います。
 つまり、これを逃すと後はない(笑)ので、ぜひお買い求めを!
 因みに、収録作のうちゲイマンガは私の作品だけですが、他の収録作品も、明智抄、いがらしみきお、伊藤伸平、折原みと、雷門獅篭、菊池直恵、鈴木みそ、大地丙太郎、高橋葉介、竹本健治、とり・みき、萩原玲二、畑中純、みずしな孝之、Moo.念平(50音順・敬称略)……と、マンガ好きなら買って損はない、錚々たる顔ぶれです。正直、こんなところに混じっちゃっていいのかしらん、と、ちょっとビクビク気分なくらい。
 あと、私の単行本は本棚に並べられないという方でも、この単行本なら、親兄弟や友だちに見られても、ちっともヤバくないですよ〜(笑)。

筒井漫画涜本ふたたび 筒井漫画涜本ふたたび
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2010-04-09

 さて、ちょっと余談。
 短編集『男たちのかいた絵』は、高校時分に読んだことはあったんですが、拷問され好きなマゾのヤクザの話と、せんずり好きのサドのヤクザの話を覚えていただけで、他の話は忘れちゃっていました。
 で、マンガ化のお話しをいただいて改めて再読するまで、この「恋とは何でしょう」の内容も忘れていたんですが、短編とはいえ文庫で30ページ近くある。でも、マンガは16ページで(最終的にはお願いして18ページで)というお話し。もう、マトモに全部描こうとしたら、どう考えても収まりっこない。
 というわけで、マンガ化するにあたって、原作小説を解体・再構成させていただいております。ストーリーの大筋は同じですし、エピソードやセリフもほぼ原作通りなんですが、全体の構成を「マンガ」と「ゲイ」に併せてアレコレいじくっています。
 この作業、けっこう難儀したんですが、それでもやっていて実に面白かった。メディア翻訳みたいな面白さもあるし、腕試しみたいなやりごたえもあるので。
 原作を未読の方でしたら、読み比べることで二度お楽しみいただけると思うので、興味のある方はぜひお試しあれ。

男たちのかいた絵 (新潮文庫) 男たちのかいた絵 (新潮文庫)
価格:¥ 460(税込)
発売日:1978-10

稲垣征次さんが個展開催

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 明日4月9日から18日まで、渋谷「マリアの心臓」で稲垣征次さんの個展「金閣寺」が開催されます。
 場所、開館時間、休館日などの詳細は、こちら
 どんな絵でも、印刷物で見るのとオリジナルの原画で見るのとは、天と地ほどの違いがありますが、ここ数年の稲垣さんの作品は、以前と変わらぬ緻密さに加え、金属系顔料の色鉛筆によるテクスチャー表現など、印刷物では絶対に再現不可能なものです。そういった新作に加えて、「薔薇族」時代のモノクローム鉛筆画も多数ご出展予定とのこと。
 因みに、会場の「マリアの心臓」は人形美術館でもあるので、稲垣さんの耽美でエロティックな作品と同時に、天野可淡や恋月姫といった有名な創作人形作家の作品も、併せてお楽しみになれるはず。
 皆様、この機会に、ぜひお出かけくださいませ。

表現規制を正当化する思想とゲッベルスの演説

 先月、何度かこのブログにエントリーをアップした「非実在青少年」規制問題ですが、残念ながら、現時点では審議続行で結論が先延ばしになっただけであり、まだ根本的な解決はされていません。
 また東京都のみならず、福岡県ではヤクザ漫画の販売規制が始まり、大阪府では女性向けコミック、ボーイズラブ・コミックも含めた規制に向けての動きが、京都府でも現職知事がマニフェストに同種の要項を盛り込むなど、その内容や場所がどんどん拡大しつつあるようです。
(全体の詳細はまとめサイトなどを参考に)
 そんな中で、先日、フリッツ・ラングの映画『怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺言)』のDVD(紀伊國屋書店)に封入されていた解説書を読んだところ、興味深い文章を見つけました。
 1933年3月28日、ナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスの「ドイツ映画産業会議」における映画改革についての演説内容です。
 現在の日本で進行中の、表現規制に関する動きと比較すると、特にここで書いた記事の後半部や、同記事の最期で引用している規制推進派の発言と読み比べると、その思想的・レトリック的な類似がいよいよ興味深く思われるので、ここに紹介することにしました。

「映画は自由だが、一定の道徳的・社会的見解を考慮する必要はあり、社会の根本的な考えを認めなければならない。映画の危機の原因は道徳的なものにあり、検閲はそういったものに対立する作品に対してである。映画を画一化したり業界を弾圧する意図はなく、逆に業界団体は映画製作に大きな力を持つだろう」
(「運命の映画『怪人マブゼ博士』/小松弘」から筆者による要約)

 比較対象として、より判りやすくするために、前述した以前の記事で引用した発言も、内容の順番を揃えて要約してみます。

「言論や表現の自由は、それが社会のモラルや品格を損なうものであれば、その権利は必ずしも保障されるものではない。規制によって悪質な出版社にペナルティーを科して消していけば、健全な出版社を生かすことになり、出版業界全体のためにもなる」

 規制の内容自体に対する云々も問題ですが、個人的にはそれよりも、こういった規制の根本に潜むロジックの類似にこそ、これまで何度も述べてきたような、行政が「健全な社会」を要求すること(そのために「不健全なフィクション」を排除すること)と、それを社会が無自覚に受け入れてしまうこと(当時のナチスの支持率は50%近くだったそうな)に対する恐ろしさを感じてしまい、危機感がますます募ります。
 というのも、これらのロジックは「健全」「モラル」「道徳」「品格」といった、実態が極めて曖昧ながらも、それを是とするのが「社会通念として正しい」とされているものを利用したものだからです。それはそのまま、無自覚に受け入れられやすいということにつながってしまう。
 更には、それぞれの主張を個々の「人格」にまで拡大解釈されやすい、という側面もあります。規制派からすると、それに反対する「人物」は「不健全」なのだという情報操作もできるし、規制されたくない派にとっても、自分がモラルに欠けている人間とは思われたくないとか、ポルノ好きだとは公言しにくいとかいった、反対するのに及び腰になっても無理からぬポイントがありす。
 だからこそなおさら、「思考」や「表現」といったフィクション世界の問題と、「人格」や「犯罪」といったリアル世界の問題は、はっきりと分離して考えるべきであり、それを無意識に混同してしまう危険性や、意図的に混同しようとする忌まわしさを、私は改めて強調しておきたい。
 因みに、この映画『怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺言)』は、その完成と同じ年にアドルフ・ヒットラーが首相に就任、つまりナチス政権が誕生して上映禁止となり、監督フリッツ・ラングが故国ドイツを捨てて亡命する、そのきっかけとなった作品でもあります。

フリッツ・ラング コレクション 怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺書) [DVD] フリッツ・ラング コレクション 怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺言) [DVD]
価格:¥ 5,670(税込)
発売日:2007-04-28

 解説書によると、上映禁止の理由は「公的な秩序と安全を脅かす」といった曖昧なものであり、当時上映禁止処分になった映画には、こういった理由が不明のものが少なからずあったらしい(記事中ではジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『にんじん』が例として挙げられています)です。
 これもまた、私が前にこの記事の後半で述べたような、「曖昧な基準で恣意的に内容を審査できるルール」の「いかがわしさ」を示す実例と言えましょう。

アイスクリームで犬男

 Klondikeという、アメリカのアイスクリーム会社のコマーシャル。

 どーゆーターゲット層狙いなんだ、このCMは(笑)。「犬派マゾ」を自認していらした沼正三先生に、ぜひ見ていただきたかったぞ。

ちょっと宣伝、来月上旬発売の『筒井漫画涜本ふたたび』にマンガ描いてます

 実業之日本社さんから4月上旬発売(配本は8日、店頭に並ぶのは10日前後だそうな)される、筒井康隆氏の小説を様々なマンガ家がマンガ化したアンソロジー単行本、『筒井漫画涜本ふたたび』(「涜」は旧字の「氵」に「賣」になります)に、私もマンガを一本描いております。
 去年ここでちょっと書いた、「一般向けも二つほど(うち一つは、まだ世に出ていませんが)」ってヤツですな。
 私が担当したのは、短編「恋とは何でしょう(『男たちのかいた絵』より)」で、これでお判りの方もいらっしゃるでしょうが、一般向け書籍とはいえ、中身はバリバリのゲイマンガです。因みに、濡れ場アリ(笑)。
 執筆陣は、以下のごとく(五十音順・敬称略)。明智抄、いがらしみきお、伊藤伸平、折原みと、雷門獅篭、菊池直恵、鈴木みそ、大地丙太郎、高橋葉介、田亀源五郎、竹本健治、とり・みき、萩原玲二、畑中純、みずしな孝之、Moo.念平(計16名)。
 作品の性格上、今後、私の単著の単行本に収録されたり、どこかに再録されたりすることもないと思うので、ぜひこの単行本でどうぞ!

筒井漫画涜本ふたたび 筒井漫画涜本ふたたび
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2010-04-09

カラヴァッジオ画集 “Caravaggio: The Complete Works”

 昨年暮れにTASCHEN(タッシェン)から出た、カラヴァッジオ(ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ)の大判画集のご紹介。

Caravaggio: The Complete Works “Caravaggio: The Complete Works”

 書名に「コンプリート・ワークス」とあり、TASCHENのサイトでも”entire oeuvre”と謳われているように、現存しているカラヴァッジオ作と確定されたペインティングを全て収録した内容です。
 カラヴァッジオというと、私が現在の作風に至るにあたって、大いに影響された歴史的な画家の中でも、その筆頭的な存在(ホント、これとかこれとか、どれだけ影響されたことか)ですので、先日の外遊から帰国後に、すぐ注文しました。
 で、先日それが届いたんですが、画集としての作りは、これはもう問答無用で素晴らしい。

 まず、その版型の大きさからして素晴らしい。どのくらい大きいかというと、このくらいデカい(笑)。
Caravaggio01
 厚みもタップリ4センチ。もちろんハードカバーで、造本や印刷精度も文句なしの品質。

 図版もぜいたくに掲載されており、基本的にはこういった具合に、全体像が丸々掲載されているんですが、
Caravaggio02
それと同時に、作品によってはこんな感じで、寄りのディテールもしっかり見せてくれる。
Caravaggio03
 こういったクローズアップに関しては、TASCHENのサイトに「この画集のために原画からの複写を新たに行っている」と書かれているように、それこそ画家の筆裁きまで生々しく感じられるような、素晴らしいクオリティ。

 また、それらの中には、見開き全体やフォルド(折り込み)を使ったものもあり、もうこんな感じで、そのド迫力ったらない。
Caravaggio04

 カラヴァッジオ作品以外にも、その源泉である先達の作品や、後続画家による模写などのヴァリエーション違いの作品を、小さい図版ながらもフルカラーで、解説文(テキストは英語)と共に多々収録。
 ただし、カラヴァジェスキやテネブリズム全般までを抑えているわけではないので、そこいらへんも好きな私としては、もうちょっと範囲を拡げてくれたら、もっと嬉しかったのに、なんて思いはあります。
 そういうわけで、それなりのお値段でもあるので、カラヴァッジオに興味がない方だと、あまり縁のない本ではありますが(まぁ画集ってのは基本的にそうか)、カラヴァッジオ好きにとっては、これはもう「マスト!」と言える一冊だと思います。
 というわけで、私は大喜びでして、暇があるとペラペラ捲っております。
 ただ、デカくて本棚に入らないので、どこにしまおうか置き場所に難儀中(笑)。