投稿者「Gengoroh Tagame」のアーカイブ

BIG GYMマンスリーカレンダーのお知らせ

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 2010年と2011年に開催されてご好評を博した、BIG GYMさんでお買い物すると貰えるオリジナル・マンスリー・カレンダー企画が復活です。毎月1日と16日の二回、BIG GYMさん店頭で1000円以上のお買い物をした方に、先着順でオリジナル・カレンダーをプレゼント。
 第一回配布は2014年12月1日から。貰えるカレンダーは野原くろさんのイラスト入りの2015年1月のカレンダー&カレンダー収納用の卓上クリアケース。
 まだ私も現物を見ていないんですが、何でもホログラムPP貼りのキラキラ加工の素敵カレンダーだそうです。

 カレンダー企画に参加しているアーティストは、市川和秀、犬義、戎橋政造、熊田プウ助、Kei CHANG、小日向、児雷也、田亀源五郎、龍谷尚樹、野原くろ、藤本郷、moriuo(五十音順、敬称略)という豪華メンバー。
 誰がどの月を担当しているかは、前月まで内緒です。

 店頭配布のみ、通販は対象外ということなので、地方にお住まいの方には申し訳ないんですが、可能な方は是非コンプ目指して頑張ってください。

 因みに、2010年と2011年のカレンダーは、こんな感じでした。
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 このときはハガキサイズでしたが、今回はCDサイズ。

ちょっと宣伝、『弟の夫』第3話掲載です

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 一昨日(11月25日)発売の雑誌「月刊アクション」2015年1月号に、マンガ『弟の夫』第3話掲載です。
 今回はわりと真っ当にファミリーマンガっぽい感じかな?そこいらへんの思惑は、「映画秘宝」12月号1月号に連続掲載の、拙インタビュー記事と併せてお読みいただけると、更に楽しめるかも。
 まだ読んだことないという方は、WEBアクションで第1話が無料で立ち読みできますので、是非お試しを。
 というわけで、ご購入(&アンケートなども出していただけると)よろしくお願いいたします。
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「映画秘宝」1月号にインタビュー(後編)掲載です

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 本日発売の雑誌「映画秘宝」2015年1月号に、先月号に引き続き、拙インタビュー(後編)掲載です。
 インタビュアーは安心の大西祥平さん。
 月刊アクションで連載中の『弟の夫』について、さらに突っ込んだ話を喋っているので、是非お読み逃しなく!
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「美術手帖」12月号(ボーイズラブ特集)にインタビュー掲載です

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 本日発売の雑誌「美術手帖」12月号、ボーイズラブ特集に拙インタビューが掲載されています。
 もちろん私はBL作家ではないわけですが、重なる部分が全くないというわけでもないので、そういった近くて遠いところからの視点が加わることで、特集自体の幅が拡がることのお役に立てればという感じで。
 ただ、いざ実際にBL作家の方々の間に交じっているのを見ると、そのアウェー感(主にヴィジュアル面での)のハンパなさに、我ながらちょっとビビってしまったり(笑)。

 とりあえず私は、別名義による耽美雑誌でのデビューから、ゲイ雑誌やゲイ/BL中間誌に描いた諸作、そして最新の『弟の夫』に至るまでの、自分の作品に関する話と創作に対する考え方、私が感じるところのBLものとゲイものの主な異同、ゲイ作家から見たBLなどについて喋っております。
 ゲイとBLの違いといった話は、私が海外メディアから受ける取材では、ほぼ定番の質問になっていて、もう何回この話をしたか自分でも覚えていないくらいですが、日本語メディアの取材で、この件について語ったのは初めてかも。まぁ日本では、取材の申し込みが来ること自体が珍しいというせいもあるでしょうけど。

 インタビュアーはエスムラルダさん。7年前に新宿ジュンク堂でのトークショーでご一緒した仲でもあり、また、いただく質問や話題の膨らませ方が実に的確だったといこともあり、受けていてとても面白い取材でした。
 面白すぎてついつい話し込んでしまい、録音もかなりの分量になったかと思いますが、要所要所を鋭くピックアップして全体をきちんと纏めてくださった、その手腕にも感心&感謝です。

 というわけで、BLジャンルではありますが、マンガ家インタビューあり、識者の対談やエッセイあり、描きおろしマンガやカラーイラストもあり……と、なかなか面白い特集になっていると思いますので、是非一冊お買い求めください。
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11/22:MASSIVEパーティ(トークあり)、11/23:海外マンガフェスタ(Tシャツ等の販売あり)のお知らせ【東京】

 拙英語版単行本”The Passion of Gengoroh Tagame”の製作スタッフが、新たに製作した日本のゲイマンガおよびその作者を紹介した書籍”Massive: Gay Erotic Manga and the Men Who Make”が、Fantagraphicsから発売されます。
 製作準備には、私もかなり協力した一冊で、田亀源五郎、犬義、熊田プウ助、松武、児雷也、水樹凱、文雅、戎橋政造、市川和秀(収録順/敬称略)といった面々の、絵とマンガ(英訳版)と作家紹介記事(英語)が収録されている本です。

*版元サイトの本の紹介ページ:Massive: Gay Erotic Manga and the Men Who Make(内容見本あり)

*同書の内容紹介ビデオ

*日本のアマゾンでも予約受け付け中
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 この”Massive”の完成記念パーティが、11月22日に新宿のdoop tokyoで開催されます。時間は23:00〜2:00。
 フライヤーに記載されているように、私、市川和秀、熊田プウ助、戎橋政造のトークも有り。
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 遅い時間ではありますが、来場者へのTシャツプレゼントなどもあるそうなので、皆様お時間ありましたら是非お越しください。

 そして翌11月23日に東京ビッグサイトで行われる自主制作漫画誌展示即売会コミティア内の、特設会場で開催されるイベント海外マンガフェスタに、Massiveもブース出展します。
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 以前にもここここでお知らせしたように、Massiveはアメリカで、私や児雷也くんの絵をモチーフにしたTシャツやスウェットの製作販売なども行っています。

*Massive通販サイト:MASSIVE

 そして今回の海外マンガフェスタのブースでは、これらのTシャツ等の販売も行われるそうです。
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 いままで「欲しいけど日本では買えないの?」というお問い合わせ等も幾つか頂きましたが、今回はその入手の絶好のチャンスなので、お時間のある方は、海外マンガフェスタにも是非ご来場を。
 私も当日は、会場のどこかをウロウロしていると思いますので(笑)。

“Jack and the Cuckoo-Clock Heart” (2013) Mathias Malzieu & Stéphane Berla

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“Jack and the Cuckoo-Clock Heart (Jack et la mécanique du coeur)” (2013) Mathias Malzieu & Stéphane Berla
(アメリカ盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com

 2013年のフランス/ベルギー製長編アニメーション。心臓の代わりにカッコー時計が埋め込まれた青年の物語で、フランスのバンドDionysosのコンセプトアルバム/小説の映画化。
 フランス語原題は”Jack et la mécanique du coeur”。

 19世紀末のエディンバラ。史上最も寒い日に生まれた赤ん坊ジャックは心臓が凍り付いており、魔女マデラインは彼を救うために、心臓の代わりにカッコー時計を埋め込む。
 こうして命を救われたジャックは、そのままマデラインに育てられる。ジャックは時計のネジを巻きながら、すくすくと成長するが、他に守らなければならない3つのことがあった。それは、時計の針に触らないこと、怒りの感情を抑えること、そして決して誰も愛さないことだった。これらを守らなければ、カッコー時計は狂い、ジャックは死んでしまう。
 しかしジャックは、初めて街に出たときに、手回しオルガンを演奏しながら歌っている少女に恋をしてしまう。時計は狂い、ジャックはすんでのところでマデラインに救われるが、少女の服が学校の制服だと知り、自分も学校へ行きたいと、マデラインに頼む。
 学校で、その少女の名前がミス・アカシアだと判るが、彼女は既にエジンバラを離れた後だった。そしてジャックは胸のカッコー時計のせいで、陰険な教師を筆頭に皆からいじめられ、やがてそれが原因で不幸な事故が起きてしまう。
 マデラインの手で警察から逃れたジャックは、汽車で知り合った不思議な男ジョルジュ・メリエスと共に、ミス・アカシアを探してヨーロッパを縦断し、アンダルシアにある《驚異の遊園地》へ赴くのだが……といった内容。

 なかなかの見応え。
 特異な設定を活かした恋愛奇譚を、ジョー・マグナイニ(ジョゼフ・ムニャイニ)、エドワード・ゴーリー、ティム・バートンあたりと通じる感覚のキャラ&美術と、美麗な3DCGアニメーションで見せる、ちょっと大人向けのファンタジー。ラストの切なさが特に印象的。
 美術は非リアル系ですが、演出やカメラワークなど映画としての見せ方自体は、全般的に実写風。ハリウッド製のメジャーな3DCGと、同じような系統です。
 ただその合間合間に、舞台劇風だとか切り絵アニメーション風だとかいった、本編とはテイストを変えたアートアニメーション寄りの表現手法による見せ場が挟まったりして、個人的にはそっちの方が魅力的に感じられました。
 ストーリー自体は、完全に大人もしくはヤングアダルト向けという感じで、恋愛のロマンティシズムや童話的なファンタジックさを湛えながらも、世界を捉える視点自体はシビア。予定調和的な甘さがなく、また表現的にも、子供向けのマスコットキャラを出すとかいったクリシェに捕らわれていないので、そこいらへんは何というか《ヨーロッパ的》な感じで、かなり好みのタイプ。

 音楽のコンセプトアルバムが元ということもあり、挿入歌やミュージカル風場面も多し。予告編から想像していたよりは、わりとロック/ポップス寄りの音楽で、そこは正直なところ、私の好みとはちょっと合わず。もうちょいアヴァンポップっぽい感じを期待していたので。
 そのバンドのVo.で小説版の作者でもある人が、この映画でも共同監督/主演声優/音楽(バンド名義)を兼任しており、なかなかのマルチタレントぶり。
 反面、ちょっとワンマン的に閉じている感もあり、イマジネーションの飛躍度という点では、まぁそこそこという感じもあり。というのも、もちろんあちこち面白いイメージは盛り沢山なんですが、でもどこか既視感もあるという感じなので、独創性という点では少し物足りなさがあるので。
 ただ、前述した切ないラストシーンの、その詩的なイメージは素晴らしいの一言。ストーリーのエモーショナルな展開とも相まって、かなりグッときました。

 ともあれ、ユニークな発想による波瀾万丈のストーリーを、アーティスティックな美麗さと娯楽映画的なダイナミズムの両方で描き、ラストは綺麗で切なくて詩的でウルウル。
 お楽しみ所はタップリな一本です。 

“Chico & Rita (チコとリタ)” (2010) フェルナンド・トルエバ、ハビエル・マリスカル、トーノ・エランド

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“Chico & Rita” (2010) Fernando Trueba, Javier Mariscal & Tono Errando
(米盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com、日本のアマゾンでも購入可能→amazon.co.jp

 2010年のスペイン/イギリス製長編アニメーション。1940〜50年代のハバナとニューヨークを舞台に、ピアニストと歌姫の恋模様をラテンジャズに乗せて描いたもの。監督はフェルナンド・トルエバ、ハビエル・マリスカル、トーノ・エランド。
 2011年のゴヤ賞やヨーロッパ映画賞の長編アニメ映画賞受賞作。日本では2011年の第8回ラテンビート映画祭で上映あり。

 キューバ、現代のハバナ。靴磨きの老人チコは、ラジオから流れてきた懐メロ番組に、自分の若い頃を思い出す。
 1940年代のハバナで、彼は駆け出しのジャズピアニストだった。ある日彼は、まだ無名の歌姫リタと出会い、その歌を聴いて、彼女こそが自分の求めていたパートナーだと感じる。そして幾つかのトラブルを経た後、二人はチコ&リタとしてコンビを組み、見事に成功を収め、そして恋におちる。
 そんな最中、リタにアメリカの音楽プローモーターから声がかかり、ニューヨーク行きを誘われるが、その中にチコは入っていないと知り、彼女はその申し出を断る。しかし、プロモーターとリタの中を邪推したチコは、嫉妬して泥酔し、昔の女とよりを戻してしまう。それを見たリタは、チコとの別れを決意し、プロモーターと共にニューヨークへ旅立つ。
 リタのことが忘れられないチコは、やがて友人のラモンと共に、何とか金を工面して、ニューヨークへと向かうのだが……といった内容。

 ロマンティックなラブ・ストーリーと、音楽映画としての魅力が合体した、大人向けのアニメーション。とにかくふんだんに使われる音楽の数々と、その活かし方が魅力的だった一本。
 音楽映画的には、ラテンジャズの隆盛という時代背景と絡めて、実際の事件や実在のミュージシャンたちも登場し、更にリタが作中でハリウッド入りすることで、クラシック映画ファン向けの擽りも仕込まれていて、上手い具合に虚実が合体している味わい。
 そういったロマンティックな世界の中に、人種差別やキューバ革命といったシビアな要素もさりげなく絡み、回想形式ということも手伝って、シンプルながらもストーリー的な牽引力もバッチリ。後半、ちょっと駆け足になるのが惜しいけど。
 ラブストーリーとしても、充分以上に魅力的ですが、ちょっと男性目線寄りなのが、気になる人には気になるかも。個人的には、ロマンティックで素敵だとは思いつつも、同時にちょっと引っかかる感も、正直あり。

 映像的には、省略の効いた大らかな感じがするキャラクター・デザインが、まず魅力的。特にリタが良かった。ハビエル・マリスカルのいつもの絵自体と比較してしまうと、いささかぎこちなく感じられる部分もありますが、それでも充分以上に健闘しているかと。美麗な色彩も見事。
 あと3Dと2Dが上手い具合に融合しているのも印象的。背景や小道具を描く、ラフさや歪みのある2D絵を、上手い具合に3D化して、映画ならではの動的な表現にしている印象。

 というわけで、クラシカルでロマンティックな大人のアニメーションといった味わい。音楽好きなら特にオススメ。
 因みにウチの相棒は、「下手な実写映画より数倍いい!」と絶賛していました。

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“The Painting (Le Tableau)” (2011) ジャン=フランソワ・ラギオニ

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“The Painting” (2011) Jean-François Laguionie
(アメリカ盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com、日本のアマゾンでも購入可能→amazon.co.jp

 2011年のフランス/ベルギー製長編アニメーション映画。ジャン=フランソワ・ラギオニ監督。原題”Le Tableau”。
 絵画の中の世界をメタ的な手法も交えながら描いた、娯楽性豊かな大作。

 森に囲まれた古城を描いた一枚の絵。しかしその絵は未完のまま放置されたために、絵の中の世界では、完全に描き上げられた人物たちと、まだ色が途中までしか付いていない者、そしてラフな線画のデッサンどまりの人々といった具合に、階級社会が出来てしまっていた。
 完成品たちは夜な夜な古城で宴会を繰り広げ、描きかけたちは森の粗末な小屋に追いやられ、デッサンたちは不可触賤民のような扱いを受けている。
 そんな中、完成品のラモは描きかけのクレアと、禁じられた恋に落ちる。こうして城を追われたラモは、クレアの友人でやはり描きかけのローラ、仲間を酷い目に合わされたデッサンのプルームと一緒に、絵を完成させてもらうために、自分たちを描いた画家を探しに行くのだが……といった内容。

 まず、アイデアがユニーク。そしてそのアイデアを元に、絵の中の世界、絵の外の世界、他の絵の世界など、舞台を様々に横断しながら、プロットとテーマを膨らませていく、その工夫具合もお見事。ラストのオチも唸らされる。
 映像的には、基本的に絵画の中の世界ということで、筆のタッチなどを重視した美術全般に魅せられる。それと現実世界の対比も見事。キャラクター・アニメーションには3DCGを用いているものの、テクスチャーを上手く用いているので、さほど違和感もなし。
 このキャラクター・アニメーションに関しては、この監督の短編集が日本盤DVDで出ているので、それらのアナログな作品と比較してしまうと、いささかアニメーション的な滋味に劣ることは否めないけれど、反面ダイナミズムや娯楽性を獲得しているという利点もあり、全体として見ると、この選択は正解だという印象。
 そういった娯楽映画的なダイナミズムも、作品の大きな魅力となっており、とにかくストーリーが面白い。ユニークなアイデアとメタ構造を活かした作劇に、アクションやユーモアがふんだんに加わった結果、先が読めない面白さと作品的な深みが、上手いバランスで同居しているという感じ。
 加えて前述した美術の見事さ。繊細な色彩設計による美麗画面、二次元の絵画を三次元的に横断していく絵作りの面白さなど、もう全編通して目の御馳走。フランス近代を思わせる音楽も素晴らしかった。

 というわけで、「独創的で、綺麗で、面白い」という、三拍子揃った一本。メタ的な構造を上手く活かした面白さや、作品としての完成度の高さ、そして豊かな娯楽性という点では、作風は全く異なるものの、『LEGO®ムービー』に通じるものもある感じ。
 アニメーション好きなら、オススメの一本です。

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ホノルル美術館の20世紀日本のエロティック・アート展で単行本が展示

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 11月20日からハワイのホノルル美術館(Honolulu Museum of Art)でスタートする、20世紀日本のエロティック・アート展(Modern Love: 20th-Century Japanese Erotic Art)に、私のマンガ単行本『髭と肉体』が展示される予定です。

 この話、美術館やキュレーターから直接ではなく、単行本の出版社と、今はもうなくなってしまった編集プロダクションの二つを経由して、私の元に展示許可の打診がきたという経緯だったので、正直な話、私自身も細かいところが良く判っていないのですが、何でも、同美術館が開催している日本の春画展シリーズの第三弾として行われる展示で、主旨は「春画よりも日本美術で表現された日本の性文化に焦点をあてる(メールより引用)」ということなんだそうです。
 以下、サイトにあった日本語序文からの引用。

性の革命

鎖国の後、国際貿易のために港を解放した19世紀後半の日本では、指導者や市民は、はかりしれない自己喪失の恐怖に襲われた。新たに登場した西洋社会の価値や野心をどの程度まで取り入れるべきか、また西洋文化の独自性に対して日本人としての誇りをどの程度まで保つべきか?アメリカ人やヨーロッパ人の尊敬を得ようとした多くの人々は、過去300年に日本人絵師によって描かれた明らかに性的なものを描いた木版画や版本などの春画は、恥ずかしいほど時代遅れの性的快楽主義を表現していると感じた。当時は人気のジャンルであった春画の制作は、20世紀初頭には劇的に減少し、1990年代には春画の複製も厳しく検閲されるようになった。

それと同時に20世紀前半は、政府役人が国家のイメージを良くしようと努力したにもかかわらず、日本美術における「性」とは、表現方法を変えていきながら依然として人気のテーマであった。

「モダンラブ:20世紀日本のエロティックアート展」は伝統的な春画に触発された日本の近代、現代美術を探求しています。この展覧会では、木版画家、橋口五葉(1880−1921)のスケッチ、荒木経惟(1940年生)と米原康正(1959年生)の写真、安野モヨコ(1971年生)の漫画や、ハワイで活躍している日本人アーティスト、寺岡政美(1936年生)や小田まゆみ(1941年生)の作品などを展示しています。

「モダンラブ:20世紀日本のエロティックアート展」は、ホノルル美術館による日本の性文化に焦点を当てた展覧会であり、三回シリーズのうちの今回は最終回となります。17世紀と18世紀の作品に焦点をあてた2012年の「閨房の芸術:日本の春画展」、そして 2013年の「笑い絵:19世紀日本の春画展」から続いているシリーズです。

 おそらく私の単行本は、春画文化がマンガに与えた影響の、バリエーションの一つ(ゲイマンガ)のサンプルとして展示されるのではないかと。

 会期は、2014年11月20日〜2015年3月15日。
 期間中にハワイにお出かけの方は、是非お立ち寄りください。
http://honolulumuseum.org/art/exhibitions/14518-modern_love_20th_century_japanese_erotic_art/
http://shunga.honolulumuseum.org/