ちょっと宣伝、読み切りマンガ(白熊系)描きました

Kanbatoutou 8月18日発売(とはいえ、もうショップやネット書店には並んでいる模様)の「肉体派 vol.10」に、白熊系(おじいちゃんネタってことです)読み切りマンガ描きました。タイトルは『汗馬疾々(かんばとうとう)』。
 このタイトルからもお判りかと思いますが、単行本「ウィルトゥース」収録の『雪原渺々』、「肉体派 vol.7」掲載の『長夜莫々』と、同じシリーズです。日露戦争当時の中国大陸を舞台にした、小此木中将と明石少佐のほのぼのエロ(笑)。「肉体派」さんの今号の特集が「制服」なので、編集さんのリクもありまして再々登板。
 今回、ちょっとだけチェンジ・オブ・ペースしまして、新キャラを一名投入。この新キャラ、いちおう名○智○さんのマンガに出てくるみたいな、美形ヨーロッパ貴族をイメージしたんですけど……ははは、玉砕したかも(笑)。
 左上画像でからもお判りのように、ボンデージ・シーンなんぞも入っています。とはいえ、基本路線は変わらずのラブい路線なので、このシリーズのファンの方はご安心あれ(笑)。相変わらずオジイチャンも可愛く描けたと思うし(笑)。
 というわけで、よろしかったらぜひお読みくださいませ。
肉体派 vol.10(amazon.co.jp)

古墳とか夕焼けとか

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 保渡田古墳群を見に、群馬県の高崎へ行ってきました。
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 火山の噴火で埋もれてしまった、五世紀の遺跡群です。
 古墳のある広々とした公園は、よく手入れされていて気持ちよいし、博物館も、小粒ながらしっかりと見応えあり。
 展示されている埴輪や、復元模型などが気に入ったので、売店で迷わず図録を購入。
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 お天気も良く、満足満足。
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 遺跡の後は、草津まで足を伸ばすことに。
 その途中、夕焼けがキレイだったので写真をパチパチ。仏画にでも出てきそうな茜雲。
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 草津に着いたときは、もうすっかり夜に。
 宿も空いていなかったので、賽の河原の露天風呂に入って、帰ることにしました。

トルコ初の「ゲイの名誉殺人」の犠牲者

 個展をやったフランスのギャラリーArtMenParisのオーナー、オリヴィエ・セリから、彼の友人のトルコ人青年が、オープンリー・ゲイであったがゆえに殺されたことと、この事件を出来るだけ多くの人に伝えてくれというメールが来ました。
 事件のあらましは、The Independent(イギリス)のこの記事で読めます(英語)。
 見出しや本文に、gay honour killingとかhomosexual honour killingという言葉が出てきますが、このhonour killing (名誉殺人)とは、婚前交渉や浮気をしたり、あるいは強姦の被害者となった女性が、彼女の属する家や親族の「名誉を汚した」ものとして、その「汚された一族の名誉を回復するため」に、父親・夫・兄弟などの男性親族の手によって殺害されるという慣習を意味する言葉です。
 そして、今回殺された青年は、おそらくトルコで最初の「同性愛者であるがゆえの名誉殺人」の犠牲者なのではないか、という疑いが持たれているようです。
 イスタンブールにはゲイ・バーもありますし(行ったことはないですけど)、イスタンブール・ベアクラブなんていう組織(これはコンタクトを貰ったことがあります)もあります。記事によると、今年のイスタンブール・ゲイ・プライド・パレードは過去最大規模だったそうですし、ゲイの人権団体もある。
 しかし、当然それらに対する反発もあり、記事中にも、「彼は、トルコで現在発達しつつある人権意識と、古い慣習によるメンタリティの、戦いの犠牲者になった」といった談話が載っています。
 また、別の談話では、「彼は自分のセクシュアリティを隠すこともできた。しかし彼は、自分自身に正直でありたいと望んだ。殺害の脅迫が始まったとき、彼のボーイフレンドは、彼に国外に逃げるよう説得した。しかし彼は留まった。彼はとても勇敢で、とてもオープンだった」といった経緯を述べています。
 つまり、彼はハッテン場などで無差別にゲイを襲うといった、いわゆる「ホモ狩り」のような事件の犠牲者というわけではなく、オープンリー・ゲイであるがゆえに殺されたわけです。
 こうしったヘイト・クライムや、ましてやゲイが理由となった名誉殺人などは、日本で暮らしていると、あまりピンとこない話かもしれません。しかし、こうした「ゲイであるというだけで殺される」という悲劇が、世界のどこかで常に起こり続けていることも、また事実です。
 それを、自分たちとは関係ないことだと思うか、それとも同じゲイとして、こうした悲劇を何とか食い止めたいと願うのか。
 私個人としては、自分自身に正直であることを貫いた、このトルコの青年は、やはり尊敬に値すると思いました。

つれづれ

 アメリカ人から「日本はそろそろボン・フェスティバルなんだろ? ハッピー・ボン!」というメールが来ました。え〜、ハッピー・ボンって……(笑)。
 お盆ってのは、いわゆるフェスティバルとはちょっと違うんだよ、と説明しようと思ったんだけど、はて、じゃあどう説明したらいいかが判らない。祖先の霊が云々という意味では、ハロウィンに近いような気もするけれど、雰囲気はぜんぜん違うだろうし。
 だいたい、お盆ってのは、果たして「目出度い」ものなんだろうか? 個人的な感覚だと、お祝いをするようなものとは趣が異なるような気がするけど、「盆と正月が一度に来たような」なんて慣用句から考えると、やっぱ目出度いものなんだろうかとも思えるし。
 けっきょく、お盆というものの意味合いを、自分自身も正確に把握していないことが、改めて判ってしまいました(笑)。
 このメールに限らず、最近は外国とのやりとりが何かと多いです。
 ここ一ヶ月の間だけでも、イギリスとフランスからそれぞれ取材が一件ずつ、企画展に出品中のスペインのギャラリーとは、引き続き十月からの別展示に関する打ち合わせをあれこれ、来年に向けて、アメリカとオーストラリアの企画がそれぞれ一つずつ、まだ海のものとも山のものともつかない企画が、イタリアとスペインで一つずつ……ってな具合です。
 イギリスとフランスの取材は、どちらも日本のエロティック・コミックに関するもので、まあ自分のことやゲイマンガについては、何を聞かれてもそれなりにお答えできるんですが、何故か決まって、日本のHENTAIマンガやYAOIマンガについても、オピニオンを求められるのが困りもの。
 触手もののエロマンガとかフタナリとか、やおいやボーイズラブとかって、趣味的に楽しむことがあるだけで、ジャンル全般に関して意見や考えを述べるほどは、読み込んでもいないし知識もないしねぇ(笑)。
 ただまあ、こんな取材が続けて来ると、なるほど、確かにヨーロッパでは、日本のマンガがブームなんだなぁ、とは感じます。
 さて、外国ネタで続けますと、フランスとスペインから、ソード&サンダル映画の新しいDVDが、何枚か届きました。
Dvd_longride_es スペインから届いたのは、まず、スティーヴ・リーヴスの『地獄の一匹狼』”Vivo per la tua morte (A Long Ride from Hell)”。
 これは、ソード&サンダルではなくマカロニ・ウェスタンですが、これでアメリカ盤とヨーロッパ盤を合わせれば、リーヴスの主演作は全てDVD化されたことになります。パチパチ〜。
 まだ再生チェックをしただけで、中身をちゃんと見ていないので、映画の内容についてはコメント不能(笑)。IMDbによると、リーヴスは「刑務所で過酷な扱いに耐える」らしいので、ちょっとは責め場もあるのかな? あるといいなぁ(笑)。
 画質は、いささか退色気味ではあるものの、ディテールは良好。ビスタの非スクィーズ、レターボックス収録。音声はスペイン語とイタリア語で、残念ながら英語はなし。
Dvd_king_of_slaves それから、ゴードン・スコット主演の “L’Eroe di Babilonia (The Beast of Babylon Against the Son of Hercules a.k.a.Goliath, King of Slaves)”。
 これはおそらく、初DVD化かな? 米盤でも、他の欧盤でも見た記憶なし。
 これまた画質良好でスクィーズ収録。やはりイタリア語とスペイン語のみ。
 後半でダンジョンに入れられて、鎖と金属枷で岩壁に手足と首を繋がれ、延々と悶えるシーンが続くのが美味しい(笑)。責めとしては平手打ちくらいだけど、ちゃんと(何がだ?)上半身裸だし、ヒゲ付きです(笑)。パターンとしては、前に紹介したこれと同じなんだけど、こっちの方が尺が長く、撮り方もねちっこいので、なかなかそそられました(笑)。
Dvd_maciste_enfer フランスからは、まず、リッカルド・フレーダ監督、カーク・モリス主演の “Maciste all’inferno (The Witch’s Curse)” と、前にもここで紹介した、レジ・パーク主演の “Maciste nelle miniere di re Salomone (Samson in King Solomon’s Mines)” の、2 in 1ディスク。
 カーク・モリスのヤツは、ソード&サンダル meets ホラー映画の、まあ珍品に類する内容なんですが(笑)、マチステの地獄巡りのシーンに、ときどきドキッとさせられる妙な迫力があって、けっこうお気に入りの一本。米盤DVDがあるんですが、いかんせん画質がズタボロなのを残念に思っていたところ、この仏盤を発見。期待に違わず、傷なし、退色なしの、状態の良いマスターを、スクィーズ収録という、高品質DVDだったので大喜び。レジ・パークの方も同様ながら、これは既に持っているスペイン盤も高品質なので、さほど有り難みはなし。フランス語音声&字幕なしと、イタリア語音声+フランス語字幕が選択可能。
Dvd_giant_metropolis もう一枚、同じシリーズで、これまた前に何度か紹介している、ソード&サンダル meets SciFiのやはり珍作、ゴードン・ミッチェル主演の “Il Gigante di Metropolis (The Giant of Metropolis)” と、これまた、ソード&サンダル meets ホラー映画の珍作、レジ・パーク主演の『ヘラクレスの怪獣退治』”Ursus, il terrore dei kirghisi (Hercules, Prisoner of Evil)” の2 in 1。
 こちらも同様の高画質で、ゴードン・ミッチェルの方は、画質が悪かった米盤や、それよりいささかマシだった独盤と比較しても、フィルムの状態が遥かに美麗。レジ・パークの方は、おそらくDVD化は初だと思うんですが、やはり同様の品質。ただ、これはいかんせん、映画の内容そのものがヒドいのだ(笑)。私もおそらく、2 in 1じゃなかったら買っていなかったと思う(笑)。音声と字幕の作りは、前のと同じ。あと、双方に共通して、同系映画のオリジナル予告編(イタリア版もあればフランス版もあり)が、6本ほどオマケで入ってます。
 今回はお試し購入でしたが、この2 in 1シリーズ、他にもいろいろ出ているので、高品質に味をしめて、また幾つか買ってみる予定。他のラインナップに興味のある方は、メーカーのサイトへどうぞ。
 とりあえず、今回はうっかり見落としてしまっていた、スティーヴ・リーヴスの『怪傑白魔』は、すぐに買わなきゃ(笑)。高画質ノートリミングで、あのボンデージと鞭打ちシーンが見られるかと思うと、もうウキウキです(笑)。カップリングされている、ヒルデガルド・ネフ主演のエカテリーナの映画には、あんまりそそられないけど。裸のマッチョは期待できないし、監督もウンベルト・レンツィだし(笑)。
 フランスといえば、先日、レンタルで『ナルコ』というフランス映画を借りて、なかなか面白かったんですが、これに、こないだここで書いたばかりの、『ゴールドパピヨン』でベス役を演じていたザブー(ザブー・ブライトマン)が出ていたので、ちょっとビックリ。あれから20年も経ってるのに、面変わりはしていても、たいして老けてもいなかったなぁ。
 主演男優に影響されて、ちょいと自分も薄汚い長髪にしてみたくなりましたが(ゲイ受けは悪いけど、個人的にはトラッシュな感じの長髪って、けっこう好きなんですよね)、相棒に猛反対されて断念しました。……まぁね、私の面相と髪質じゃ、長髪は似合わないのは判ってるけどさ(笑)。でも、昔のヒッピーとか、昨今のルーザーとかホワイト・トラッシュのスタイルって、けっこう憧れてるんだよなぁ……(笑)。

奥津直道さんの個展

Okutu 奥津直道さんから個展のご案内をいただいたので、ご紹介。
奥津直道展
8月22日(金)〜8月30日(土)
12:00〜19:00(日曜18:00まで/最終日17:00まで)
柴田悦子画廊
〒104-0061 東京都中央区銀座1-5-1第3太陽ビル2F
03-3563-1660
 直道さんの作品については、以前の個展のときにちょっと書いてますので、よろしかったらご覧あれ。
 今回は、新作を中心に十数点の展示だそうです。皆様、どうぞお出かけくださいませ。

追悼、Greasetank

 アメリカの友人から、アーティストのグリースタンク(Greasetank)が、去る8月1日に亡くなったとの知らせを受けた。
 寝耳に水の驚きだった。
記事中にグリースタンクの作品を掲載していますが、中には残酷な内容も含まれているので、苦手な方は拡大画像を見ないように注意してください。
Greasetank01 2001年に、グリースタンクと私は、ウェブを通じて知己を得た。
 彼が私の作品に惹かれたのと同様に、私もまたすぐに彼の作品の熱烈なファンになった。
 我々はメールで互いの作品を称賛しあい、互いのサイトにリンクを貼った。それが縁で、彼の作品が「G-men」や「SM-Z」で紹介されたこともあるので、ご記憶の方もおられるかも知れない。
 残念ながら、彼のサイトは数年前に閉鎖されてしまったが、その後も我々は、頻繁ではないにせよ、互いにコンタクトを取り合っていた。今年の正月も、私は彼に恒例の年賀メールを送り、彼からも返信があった。亡くなった原因は心臓発作であり、今年の1月にもそれは起きていたそうである。
 しかし私は、彼のプライベートについては何も知らず、また、その訃報も、ネットのオンライン・グループ内で回ってきたものを、人づてに受け取っただけなので、彼の死については、具体的にはこれ以上のことは何も判らない。
Greasetank03 グリースタンクの作品は、セックスと暴力と殺人に満ちていた。それは暗く、残酷で、アモラルなものだったが、同時に恐ろしいほど美しかった。
 彼の作品は、ドローイングでもペインティングでも写真でもなく、Poserによる3DCGをメインに用いたものだが、数多いそういったアーティストたちの中でも、彼は作家の個性を明確に作品に刻印できる、紛れもなく最も優れたアーティストの一人だった。
 彼は、自分のイマジネーションを具体化する手段としてPoserを用い、出来上がった作品は、フォトリアルな3DCGに見られるような現実の模倣ではなく、3DCGによるフィギュア遊びの延長でもない。そこには、恐ろしいほど研ぎ澄まされた作家性だけが、技法の如何とは関係のない、極めて高いレベルで結晶している。
 その個性や作家性の高さは、禍々しくエクストリームな幻想を描くときでも、シンプルなポートレイトめいた作品を作ったときでも、決して揺るがず常に変わらない硬質な美しさに満ちていることからも明瞭である。
 3DCGやPoserといった手法の如何に関係なく、彼は間違いなく、21世紀に生きる比類ないゲイ・エロティック・アーティストの一人だった。
Greasetank04 今回の記事のために、手元にあった彼の作品を幾つかアップしてみたが、これはブログということもあり、彼の作品の中でも、特に大人しめでソフトなものを選んでいる。そのくらい、彼の作品はエクストリームだった。
 彼の作りだす世界は、荒々しく暴力に満ち、その中で、拷問、殺人、戦争、ナチス、差別、フリークスなどが、サドマゾヒズム的な視点で描かれている。そのファンタジーの過激さは、作品中にタブーではない要素を見つける方が難しいくらいである。彼の世界では、現実的なモラルやタブーは、その鮮烈な美学と強固な作家性の前に、脆くも吹き飛び踏みにじられるのだ。
 因みに、左上の青みを帯びた作品には、”Coming for you, fag!”というタイトルが付けられている。「てめェのために来てやったぜ、オカマ野郎!」といったとこだろうか。ヘテロのみならず、同じゲイにとってすら、彼の作品がいかに「神経を逆撫でする」か、これ一つでもお判りになるだろう。ここに描かれているのは、暴力と殺人の予兆でしかないが、その実これは、ヘイトクライムとポルノグラフィーの合体なのだ。
 しかし、そんな過激な内容でありながら、最終的に提示される作品群は、まるで透明な結晶のように静かで美しい。その硬質で凍り付いた世界は、さながら、ポール・デルヴォーの絵やアンナ・カヴァンの小説のようである。
Greasetank02_2 彼のモチーフの過激さは、彼の作品がオーバーグラウンドな場に出ることを、おそらく阻んだでいたと思われる。
 実際、敵や批判も多かったでようである。これは伝聞でしかないが、彼がサイトを閉じた直接の要因は、自らを「良識派」だと自認する者たちからの、攻撃があったせいだとも聞いている。
 もちろん、その作品はインターネット上だけではなく、幾つかの出版メディアなどにも紹介はされていたが、その作家性と作品性の高さから考えると、それらの露出は余りにも少なすぎるし、そして過小評価であったように思われる。
 正直なところ、このブログでもそうなのだが、タブーを避けて彼の作品を選び、紹介することは、まるで作品を「去勢」してしまうようなものである。こういった紹介の仕方では、残念ながら彼の作家性は、その実像と比べると、だいぶ矮小化してしまうだろう。
 今回、彼の訃報を届けてくれた友人も、「グリースタンクのアーティストとしての勇敢さは、本当に驚くべきものだった。しかし、君(田亀)と違って、彼にとって不幸だったのは、彼はついに、彼に正当な評価をくれる鑑賞者(注・ちょっとどう訳したものか悩んだんですが、参考までに原文では『”legitimate” audience』となっています)を得ることはできなかった。彼は、君がその美学と作家性ゆえに孤独であるように、それ以上に孤独な存在だった」と書いている。
 そんなグリースタンクが亡くなってしまった。
 私は、彼については、その作品と、取り交わしたメールを知るのみで、彼がどんな容姿であるかすら知らない。実のところ、今回の訃報で初めて彼の年齢を知り、それが作風から想像していたよりもずっと上だったので、驚いたほどだった。
 顔も知らない人の死を悲しむのは、いささか奇妙なようでもある。
 それでも私は、とても悲しい。
 心から、その才能を惜しみ、その死を悼む。
 享年59歳だったそうである。
 一つ余談。
 閉鎖された彼のサイトでは、彼自身の作品だけではなく、彼同様に、作品をオーバーグラウンドで発表するには、余りにも過激であったり、タブー的な要素が多すぎるような、そんなアンダーグラウンドなゲイ・エロティック・アーティストたちが、世界中から集って絵や小説を発表していた。
 巧拙は別にしても、その、アートとしての純粋さとパワフルさを持ち合わせ、エロティック・アートの真髄を見るような、そんな魅力的で個性的な作家たちの数は、総計60人以上にも及んでいた。
 しかし、現在はそれらを見ることができず、作家たちの消息も、残念ながら殆どが不明である。

最近お気に入りのCD

Cd_tcherepnin_pc1「チェレプニン:ピアノ協奏曲第1番, 第3番/祝祭音楽/交響的行進曲」アレクサンドル・チェレプニン
 チェレプニンという作曲家については、チェレプニン賞という名前や、伊福部昭や早坂文雄のお師匠さんだということくらいしか知らなかったんですが、CD屋の試聴機で本盤を聴いてみたところ、一曲目の「ピアノ協奏曲第1番」の冒頭だけで、もう虜になっちゃいました。
 民俗楽派を思わせるエキゾチックで力強い、ストリングスによる導入部が、もうムチャクチャかっこ良くてツボを押されまくり。そしてピアノが華麗に登場し、曲は時にゆったり、時にグイグイとドラマチックに展開していきます。ちょっとリムスキー=コルサコフみたいだな〜、なんて感じもあり、メロディも良く、久々の大当たり。
「第三番」の方は、もう少しコンテンポラリー寄りで渋め。「祝祭音楽」は、その二つの中間といった味わい。「交響的行進曲」は、再び明快でダイナミックでかっこ良い。
 とゆーわけですっかり気に入ったので、これから他の作品も聴いてみることにします。
「ピアノ協奏曲1番、他」アレクサンドル・チェレプニン (amazon.co.jp)

Cd_thomson_plow_that_broke「大草原を耕す鋤/河」ヴァージル・トムソン
 これは全く知らなかったんですが、アメリカ近代の作曲家で、この二つはそれぞれ1930年代に制作されたドキュメンタリー映画用に書かれたスコアだそうな。確かにアメリカの農村風景を連想させるような、壮大でありながら、どこかフォークロリックな素朴さも感じさせるオーケストラ曲。
 二曲とも、フォスターを思わせるような優しいメロディーや、民謡や賛美歌から引用された懐かしげな主題が、優美に、ユーモラスに展開していく様は、何とも楽しくて愛らしい。近代アメリカらしく、ブルーズの要素なんかも入っていて、そこだけ聴くとムード歌謡みたいな味わいもあったり(笑)。
 たまに、恣意的に使用されている現代風の和声が、かえってメロディーの素朴な美しさの邪魔になっていたりもしますが、全般的には、これまたかなり好みの曲調でした。
 因みに米ウィキペディアによると、このトムソン氏、ゲイだったらしいです。
「大平原を耕す鋤/河」ヴァージル・トムソン (amazon.co.jp)

Cd_asian_roots_takedake「エイジアン・ルーツ」竹竹 with ネプチューン
 アメリカ人尺八奏者のジョン・海山・ネプチューンが、竹のマリンバ、竹のパーカションなど、竹製の楽器だけのアンサンブルを率いて演奏しているアルバム。ジャズ&ワールド・ミュージック風味のニューエイジって感じ。楽器は違いますが、雰囲気的にはフェビアン・レザ・パネみたいな感じもある。
 柔らかくて、どこか懐かしい感じのする竹製楽器の奏でる音は、それだけでも魅力的。純邦楽やインドネシア音楽がジャズ風にまったり混じり合っていく様は、なんとも自然で穏やか。自然すぎて、ミクスチャー音楽的なスリリングさには欠けるなぁ、なんて贅沢を言いたくなるくらい(笑)。とにかく気持ちの良い音楽。
 夏の夕暮れに、まったり楽しむにはうってつけでした。ホクホク(笑)。
「エイジアン・ルーツ」竹竹 with ネプチューン (amazon.co.jp)

Cd_il_terrore_dei_barbari「鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖(サントラ)」カルロ・イノセンツィ
 これまでも何度か紹介してきた、DIGIT MOVIESから出ているイタリアン・ペプラム映画・アンソロジー・シリーズ第九弾は、あの「鉄腕ゴライアス」が登場。う〜ん、このBlogでこの映画を取り上げるのは、これでもう何回目だろう(笑)。
 この映画、アメリカ公開時には音楽をレス・バクスターのものに差し替えられていて、おそらく私がヴィデオやDVDで親しんでいたのもそっちだと思うんですけど、今回のCDは、差し替え前のカルロ・イノセンツィによるものを発掘、復刻したもの。
 とはいえ、この映画の音楽で一番印象に残るテーマ曲は、私が覚えているものとメロディーも同じで、唯一違うのは、映画で入っていた男声コーラスの有無くらい。全体的には、正統派史劇映画の劇伴といった感じで、なかなか堂々とした味わい。戦闘シーンはブラスと打楽器でダイナミックに、ヒロイン関係は流れるようなストリングスでロマンティックかつエキゾチックに聴かせてくれます。
 ただまあ、レス・バクスターが大好きな私としては、できればそっちの方も復刻して欲しいな〜、というのは正直なところ。
 インナー・スリーブには、例によって各国版のポスターやロビーカート、スチル写真などの画像が載ってます。個人的には、ポスターだとこれが好きだなぁ、やっぱ(笑)。
「鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖(O.S.T.)」カルロ・イノセンツィ (amazon.co.jp)

スペインの企画展、プレスシートが公開されました

 先日ここで書いた、私が出品しているスペインはバルセロナの企画展ですが、プレスシートが公開されました。
 ARTZ21のサイトの”visit the gallery”から入り、ENGLISH > EVENTS > Love Pryde Showと辿って、FOR MORE INFO CLICK HEREをクリックすると、英語版プレスシートのPDFファイルがダウンロードできますので、興味のある方はどうぞ。
 因みに、掲載されている作品は、もちろん無修正版(笑)。

愛しのヒゲモジャ城卓矢

 前にこの記事でもちょっと書いたんですが、アタクシ城卓矢の歌と顔が両方好きであります。
 で、久々にふと動く城卓矢が見たくなって、とはいえもちろんDVDとかは出ていないので(いませんよね?)、YouTubeでちょいと検索してみたら、ヒゲ面の城卓矢の映像があったもんだから、キョーキランブしちゃいました(笑)。
 い、色っぽい〜! 2コーラスめのサビで見せる、泥臭いアクションのカッコヨサとか、も〜タマリマセンわぁ。
 ってなわけで、その映像を貼っつけてみます。

 う〜ん、こーゆーの見てると、昔の『さぶ』誌をイメージさせるような、レトロで泥くさ〜い男のマンガ、描いてみたくなるなぁ……。
 ほれぼれ(笑)。
 あ、城卓矢の顔を知らない若人の方々は、終わった後に下に出てくる、赤いバックのバージョンも見てね。フツーは城卓矢っつ〜たら、たぶんこっちのイメージだと思うから(笑)。
 う〜ん、ヒゲがなくても、やっぱり好みのいい男。
 再度、ほれぼれ(笑)。

スペインのイベントと企画展に出品

banner-lovepryde2008
 今年の夏に、スペインはバルセロナのギャラリーが企画するイベント&展覧会に、作品を10点ほど出品します。
 8月1日から7日まで、バルセロナでLOVEBALLという、ヨーロッパ最大規模級(だそうです)のゲイ・イベントが開催されるんだそうですが、その時期に併せて、同市のアート・スペースARTZ21が企画開催するLove Pryde Showというイベント&展覧会に、私もオファーを受けて招聘参加することになりました。
 もっとも、スペインに行くのは作品のみで、残念ながら私自身は日本でお留守番(笑)。イベントは楽しそうだし、行ってみたいけど、急なことだったし、バルセロナには二回行ったことがあるので、今回はまあいいか、と、渡西は見送りました。

 イベントの方はクラブ・イベントで、8月1日の夜に開催。私の作品がどのように使われるのかは判りませんが、おそらくプロジェクター投影とかじゃないかと。プレスシートには「我々はファニーでゴージャスでアヴァンギャルドな、世界の挑戦的なアーティストを紹介します」とか書いてあるので、おそらく日本で言うと「デパートメントH」みたいなイベントではないかと、勝手に想像しております。
 展覧会の方は、同市内にあるARTZ21のギャラリーで、LOVEBALL開催期間中から9月末まで、2ヶ月間の開催予定。こちらは普通に、作品の展示と販売。私を含めて6作家の展示らしいですが、ARTZ21のサイトで参加作家の作品を見ると……むむ、けっこう皆さんコンテンポラリー・アートしている感じで、私は浮いているような……。まあ、あちらがいいって言うんだから、そーゆーことはあんまり気にしないようにしよう(笑)。

 話がきてから時間があまりなかったことと、個展ではないということもあって、出品作は全て旧作から。スペインでの展示は初めてなので、反応を見るという意味からも、色々なタイプの作品を混ぜたサンプラー的なラインナップにしてみました。実は、このギャラリーからは、秋に開催予定のもう一つの企画展にも出品を頼まれているので、今回の結果をそれ用の傾向と対策にもするつもり。
 また、純粋な新作ではありませんが、この企画展用に、新たに限定のオリジナル・プリントを3種ほど作ってみました。いずれも既に発表済みの作品ではありますが、プリント用にちょこちょこ加筆したりアレンジしたり、プリントも和紙に出力してから落款を手押ししてみたり……と、けっこう楽しみながら凝ってみました(笑)。

 というわけで、8月と9月にバルセロナに行かれる予定がおありの方、ガウディのついでにちょっと寄り道して、この企画展にお立ち寄りいただけると嬉しいです。