DAZ 3Dから「今ならCarrara 7が50%OFF!」というメールが来たので、英語版をダウンロード購入しました。
Carraraというのは3DCGソフトで、安価なのに多機能、Poserとの連携もバッチリということで、自作アニメーション『Desert Dungeon』を筆頭に、いろいろと愛用していたんですけれど、残念なことに日本語版のリリースは5でストップしています。そして今回、6の日本語版が出ないまま、7が発売されたので、こりゃもう日本語版は待つだけ無駄だ、と見切りを付けて、英語版の購入に踏み切ったというわけです。
というわけで、アップグレードではなく新規買い直しなのが悔しいけれど、まあそこいらへんは、50%OFFということでギリギリ相殺って感じ。
購入したのは、機能別で二種類あるうちの、上位バージョンのCarrara 7 Pro。するとオマケに、PoserとCarraraと両方で使えるDAZのフィギュアMichael 4が、モーフターゲットやテクスチャ込みで付いてきました。
というわけで、そのMichael 4君を、さっそくPoser 7にインストールして、ちょっくら使い勝手を試してみました。
まず、Michael 4をプリセットのモーフダイヤルを使って、マッチョ化してみましたが……おっとビックリ、全身の体型を簡単に調節できるFull Bodyモーフのうち、BodyBuilderとBulkの二つのパラメータをいじっただけなのに、好みの体型が簡単に出来た(笑)。
プリセットのテクスチャを当ててみたところ、何だか総合格闘家とかにいそうな雰囲気だったので、それ系のポーズをとらせて、Carrara 7でレンダリングしてみたのが、左上の画像です。
これまで使っていたCarrara 5をインストールしていたのが、Power PC G4のMac miniだったのに対して、今回の7はIntel iMac core 2 duoなので、ただでさえ速いCarraraのレンダリングが、ますます速くなりました。二ヶ所から同時に画像をレンダリングしている様子が、画面上に1と2という番号が出て視認できるのが、「お〜、ちゃんと働いとるねぇ」って感じで、何か楽しい(笑)。
このサンプル画像のレンダリング所要時間は、10秒。ご参考までに、品質はPhotorealsticのデフォルト。大気なし、グローバル・イルミネーションなし。ライトは3灯で、うち、ヴォリュメトリック・ライト一つ、レンズフレア一つ。ライトは全てに、ソフトシャドウを適用してます。
さて、こうなるとMichael 4とCarrara 7で、何かアニメーションを作ってみたくなりますが、そこで障害が一つ。
Carrara 7 Proには、Poser用のインポート・プラグイン、TransPoserが入っている(……はずなんだけど、実は見あたらなくって困ってる。う〜ん、別途ダウンロードが必要なのかな、調べようにも、今はその時間がない)んですけど、これがPoser 7には対応してないらしい。
TransPoserを使わなくても、ネイティブでPoserのシーン・ファイルはインポートできるんですけれど(今回のテストも、ネイティブのインポートを使いました)、私がよく使うPoserのダイナミック・クロスが、これだと読み込めないんですな。
いっぽう、Poserの日本語版サイトからは、「今ならPoser Proがお安く先行予約できるよ〜」という案内が来まして、それに外部ソフトへのエクスポート用プラグインが付随しているらしいんですが、うむむ、3ds MaxにMayaにCINEMA 4DにLightWaveって……私はホビーユーザーで、しかも主たる目的がPoserの外部レンダラーなのに、そんな高価なソフト買えるかい(笑)。
というわけで、アニメーションに関しては、しばらくお預けなんですけど(ま、今は作ってる時間もないしね)、せっかくなんで話をMichael 4に戻して、もう二つばかり作例を載せておきましょう。


左が、体型のモーフをいっさいいじっていない、デフォルト状態のMichael 4君。右が、Heavyモーフをプラス方向にいじった(まだMAXではない)状態。
まあ、こんな感じで、ガチムチ好きからデブ専まで、幅広い趣味層のユーザーに対応しています(笑)。
ゲイのPoserユーザーには、かなり使い勝手が良いんじゃないでしょうか、このMichael 4君は。
ちょっと宣伝、『父子地獄』第五話です

今月21日発売の雑誌『バディ』5月号に、『父子(おやこ)地獄』第五話掲載です。
プリクエルの『童(わっぱ)地獄』で、息子への責めは既にミッチリ描いているので、この続編では、どうしても親父にフォーカスを当てることが多くなりますね。そんな甲斐あって、ご覧のように、調教は順調に進行しており、仕上がりも上々でゴザイマス(笑)。
今回は、ちょっと目新しい枷……というか責め具なんかも出してみました。これは、私もマンガで描くのは初めてのタイプの道具なので、BDSM系が好きな方は、どうぞお見逃しなく(笑)。
Badi (バディ) 2009年 05月号 (amazon.co.jp)
さて、次号はいよいよ最終話です。最後までよろしく、お付き合いくださいませ。
“XXL” Tom of Finland

ゲイ・アートのマエストロ、トム・オブ・フィンランドの新しい画集が、TASCHEN社から出ました。
トム・オブ・フィンランドの作品集としては、同じTASCHEN社から、既に”The Art of Pleasure”という分厚い画集や、”Kake”などのコミックス集などが出ており、また、Tom of Finland Foundationからも、画集”Retrospective”シリーズ(全三巻)が出ていて、それらを既に所持している自分としては、この新しい画集”XXL”を買うのは、悩ましいところではありました。値段もけっこうするし、中身も、ひょっとして”The Art of Pleasure”の焼き直しかも知れないし……。
しかし、思い切って購入してみたところ、これがスゴい画集だった!
何と言っても、本のサイズがデカいのにビックリ! 横29センチ×高さ40.5センチ……なんてスペックだとピンとこないかもしれませんが、まあこの比較画像(笑)をご覧あれ。

この大きさで、厚みも8センチ近くあるもんだから、まあ持っていて重いこと重いこと(笑)。
流石にこれだけ大判だと、絵の方もド迫力です。
1ページ1点、あるいはドカンと見開き1点の掲載は、例えそれが既に見知っている作品でも、受けるインパクトが段違いで、ページを開いた瞬間「ひゃ〜っ!」ってな感じです……って、何のこっちゃい(笑)。しかも、折り込みページもあったりして、それを拡げるともっとスゴいことになって、レザーマンたちのデュオのポートレイトが、6組12名、幅1メートル以上の横長の画面に、ずらりと並んで立っている(ま、跪いている人もいますけど)様は、もう圧倒されちゃって溜め息もの。
中身のサンプルは、いちおうTASCHENの商品ページにありますが、それ以外にも、下絵と本描きの比較とか、

“Kake”のような連作画とか、

ポートレイトと春画のコンビネーションとか、

同一テーマのバリエーションとか、

とにかく全ページが見応えあり。
こんな感じで650ページ以上続くんですから、もう大満足。お腹一杯、ごちそうさま(笑)。
印刷は、極めて良好。前述の”Retrospective”シリーズや”The Art of Pleasure”と比較すると、それらを遥かに凌ぐ高品質で、原画の再現性はバッチリ。私は、以前トムの原画を、Tom of Finland FoundationやニューヨークのFEATUREギャラリーで目にしたことがあり、以来、あの原画の美しさと比べると、世に出ている印刷物の品質には、どうしても不満があったんですけど、この”XXL”は、そういう意味でも、これまでのベスト。
全体の構成は、総論を冒頭に置き、以下、世に出る以前の40年代、初期スタイルの50年代、スタイルが確立された60年代、円熟の70年代、ポートレイト群などで更なる高みに達し、そして亡くなるまでの80年代、と、編年体になっていて、それらに様々な各論が、それぞれ英独仏の三ヶ国語で付いています。
巻末には、原画の所在が行方不明になった作品リスト(図版付き)、グリーティングカード、展覧会の記録などが付属。
造本も、高級感のある凝ったもので、カバーの絵の部分がバーコ印刷になっていて、ツヤツヤとレリーフ状に盛り上がっています。カバーを外すと、本体は黒いマットなクロス装のハードカバーで、そこにタイトルやシンボルが、黒のグロスでエンボス箔押し。本体には、リボン状の栞も付いています。そして、ご覧のようなキャリング・ケース入り。

というわけで、内容、品質、共に価格に見合った高品質でした。円高の今だと、逆に、これでこの値段は安く感じるくらい。
幸い、日本のアマゾンでも取り扱っています。現時点では、まだ発刊前の予約状態になっていますが、私はそこで予約していたのが今日届いたので、そろそろ入荷するのでは。
“XXL” Tom of Finland (amazon.co.jp)
ただ、ちょっと気になることがあって、実は以前、同じTASCHENから出た、トムの”The Complete Kake Comics”という本が、日本のアマゾンで予約を受け付けていたにも関わらず、発売直前になって、急に取り扱いがなくなってキャンセルされたことがあったんです。その例を考えると、ひょっとしたらこの”XXL”も、後になって取り扱いがなくなったりもしかねないので、入手は早めの方がいいかも知れません。
<続報>
やっぱり、なくなっちゃいました……。
<続々報>
と思ったら、また復活しました。
“XXL” Tom of Finland (amazon.co.jp)
<続々々報>
と思いきや、また消滅したり復活したりの繰り返しで、もうワケワカラン状態。
マニア向け500円DVD、二本立て
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本屋やディスカウントショップで良く見かける500円DVDで、『空軍大作戦』を購入。プロパガンダ・アニメーションだというから、何となく面白そうだと思ったんだけど、再生してみたら、ディズニーの『空軍力の勝利 (Victory Through Air Power)』でした。
オリジナルはカラー作品ですが、このDVDはモノクロ版。とはいえ、おそらく制作の時点で、カラーとモノクロ両方の上映を前提にしているんでしょうね。明度設計がしっかりしているので、モノクロ映画として見ても、特に違和感はありませんでした。ただ、YouTubeにあるカラー版の予告編を見ると、やはり色が付くと、画面の力がまたいっそう増しているのが判りますし、アメリカではカラー版DVDも出ているみたいです。
内容はともかくとして、表現面だけに絞って言えば、飛行機の歴史をカートゥーン調で判りやすく、かつ楽しく説明してくれる前半部分、第二次世界大戦(つまり制作当時)の世界情勢や軍事戦略を、三次元的なデザイン表現で見せる中盤、戦争に勝利するための方針提案を、まるで「空想化学兵器大図解」といった味わいで見せる後半、そしてクライマックス、日章旗が化けた大ダコ(つまり日本) VS 白頭鷲(つまりアメリカ)の「怪獣大決戦」と、大いに面白く見応えあり。
内容的には、所詮プロパガンダ映画なので、それ相応の不快さがあります。こういった思想の上に、無差別爆撃や原爆の使用が正当化されたのかと思うと、それはそれで興味深いことではありますけれどね。
ただ、ドラマ仕立てではなく、ドキュメンタリー的&データ的な見せ方の作品なので、プロパガンダにしては、まだ客観性がある方かもしれません。戦意昂揚を煽る要素はあっても、情緒面を刺激して戦争を正当化したり、正義や悪といった概念があまり目立たっていないのが救いでした。
[amazonjs asin=”B0013APBNM” locale=”JP” title=”地下拷問室 3PEOH22DVD”]
このテのワンコインDVDといえば、以前雑誌の編集後記とかで紹介したことのある、個人的にけっこう好きな映画『地下拷問室』が、いつのまにか500円DVDで出ていました。
映画の内容は、女が男を地下室に監禁して、パンツ一丁の裸で椅子に縛り付け、延々拷問するってだけの話です。
ものすごく低予算……ってか、ほとんど自主制作映画という感じなので、過度の期待は禁物ですけど、トイレに行かせてもらえない男が、パンツ越しに失禁しちゃうシーンとか、ケツにむりやりディルドを突っ込まれて、強姦被害者の気持ちを体験させられるシーンとか、目隠しをされてスプーンで口に入れられたものを当てるゲーム(SM好きなら御期待どおりのモノを、いろいろ喰わされる)とか、個人的にはけっこうそそられるシーンがあるんですよね(笑)。
後半は、猟奇風味が増していくんですけど、そちらもアイデア的には、なかなか面白いもの多し。ただ、前述したような低予算モノなので、見せ物としてのスゴさは期待しちゃダメ。そーゆーダイレクトな過激さをお望みなら、素直に『SAW』シリーズとかをご覧になった方がヨロシイかと。
男責め的な見所以外では、全編に漂うイカニモ実験映画風のアングラ臭とか、観念的な展開とか、ほんのチョイ役でパム・ホッグが出てるとか、好きな人だったら、そこそこツボを刺激される要素もあり。
この紹介文を読んで、惹かれるモノがある方だったら、500円だし、けっこうお得だと思いますよ。なんせ、前に私がコレ買ったときには、4935円もしたんだから(笑)。
“Die Horden des Khan”

“Die Horden des Khan” ((1962) Remigio Del Grosso
例によって、イタリア製ソード&サンダル映画のDVD(ドイツ盤)なんですが……う〜ん、久々に変なヤツを見てしまった(笑)。
伊語原題は”Ursus e la ragazza tartara”、英題は”Ursus and the Tartar Princess”で、いちおうウルスス(英語読みだとアーサス)ものなんですが、実はウルスス君は脇役で、主役は別だったりします(笑)。
ストーリーは、タタールの侵攻を受けているポーランドで、捕虜になったマッチョな樵のウルスス(この時点で既に変)とポーランドの王子(こっちが主役)が、奴隷にされているポーランド人たちと脱出し、大戦闘の末に勝利する……ってな内容。で、そこにポーランドの王子とタタールのお姫様と恋やら、樵のウルススと攫われた息子との再会やら……ってなエピソードが、挟まっていく。
まあ、これだけだったら、さほど変テコでもないんですが、サービス精神旺盛というか、それらに加えて、西洋史劇の「お約束」シーンが、節操なくドバドバ投入されるんです、この映画。
例えば、ポーランドの捕虜たちはキリスト教徒で、タタールはその棄教を迫るなんてエピソードがある。で、これが、捕虜たちが洞窟で秘密裏にミサを行っていたところ、タタールの姫が愛する男を慕って忍んで行き、やがて主催の神父が捕らえられ、両腕にタールを塗られて火責めにされているところを、賛美歌と共に、一天にわかにかき曇り、雷鳴が轟き豪雨が降って火を消し止め、それを見て姫は改宗を決意し……ってな、『クォ・ヴァディス』や『ベン・ハー』のつまみ食いみたいな塩梅。
かと思えば、タタールの姫を巡って、ポーランドの王子とハーンの部下の恋の鞘当てなんてのもあり、これがまた、中世騎士ものよろしく、馬に跨り槍を構えて、一対一の御前試合。他にも、ウルススと姫の侍女の悲恋だの、実は娘思いだったタタール将軍の悲劇だの、とってつけたような「泣かせる」シーンが、ロクな前振りもなくトートツに入ってくる(笑)。
もちろん、肉体派男優の売り的な見せ場も、抜かりなく、しかし珍妙に配されています。
そもそも鎧兜で完全武装して銃までぶっ放しているポーランド軍の中に、一人だけ、まさかり振りかざした肌も露わなマッチョ(つまり、樵のウルスス君)が混じってるという絵面からしてヘンテコなんですけど、周囲は剣で斬り合っているのに、ウルスス君だけは、相手をねじ伏せたり投げ飛ばしたりの肉弾戦。更に、タタールの生き残りが樹に登って隠れようとしたところを、怪力で幹を揺すぶって振り落とす……なんて展開は、もうギャグかと(笑)。
他にもウルスス君は、捕虜仲間と一緒に洞窟に脱出口を掘っていて、その怪力で巨岩を担いで引っこ抜くとか、無事脱出した後も、まさかりと怪力で橋桁を弛ませて、追っ手を阻止したりしますが、ストーリーのメインには殆ど絡んでこない役なので、英雄大活躍じゃなくて、単なるオマケ、刺身のツマ程度にしか見えない(笑)。
また、昔のエピック映画に欠かせない、音楽や踊りのサービスもきっちりあるんですが、これの入り具合が、またヘンテコ。
脱出口を掘っている捕虜たちは、バラライカを持った見張りを一人立てていて、その演奏でタタールの巡回が来たかどうか知らせるんですけど、その巡回がバラライカの演奏を気に入って、暢気なことに、自分たちの宴会に連れていくんですな。で、捕虜たちは、そこに踊りの名手や怪力ウルススを同行させて、見事なコサックダンス(かなりの上手さで見応えはありましたが)を披露し、敵の気を弛ませたところで、逆襲に転じて武器を強奪、脱出に成功する……って、展開がマヌケ過ぎるだろう(笑)。
他にも、広場でエキゾチックな歌と踊りが繰り広げられる、けっこう大規模なシーンもあるんですが、どうやら他の映画からの流用らしく、これまたトートツなことこの上ない(笑)。
スペクタクルな見せ場、つまり大戦闘シーンとかも、いちおうあることはあるんですが、これまたやっぱり、全て他の映画からの流用。
で、その結果、クライマックスの、タタール軍対ポーランド軍の大決戦シーンで、主人公一行が何をしているかというと、山小屋に隠れて、食事を作ったり昼寝したりしながら、窓から戦況をチェックしているだけなのだ(笑)。まあ、流石に最後の最後には、彼らも外に打って出ますが、戦闘に加わると言ったって、ただ、俳優と青空以外は何も写っていない、剣を振りかざしているクローズアップが、モブシーンの合間に入るだけです(笑)。
という具合に、安手なクセに変にテンコモリなので、もうシッチャカメッチャカ(笑)。
いやぁ、久々にヘンテコなヤツ、見ちゃったなぁ(笑)。ツッコミどころだらけで、実に楽しかった(笑)。
ウルスス役は、ジョー・ロビンソン。IMDbによると、有名なレスリング一家の息子で、本人もヨーロッパ・チャンピオンになったレスリング選手だそうな。ソード&サンダル映画だと、”Taur, il re della forza bruta (Tor: Mighty Warrior)”や”Le Gladiatrici (Thor and the Amazon Women)”などに出ているらしいですが、いずれも未見。
なかなか立派な身体で、ボディービルダー系と比べると筋量は少ないですけど、個人的には、このくらいの自然な筋肉の方が、セクシーさは感じますね。顔は、とりあえず今回はフルフェイスのおヒゲさんなので、ぎりぎりクリア(笑)。でも、ヒゲがなかったら、きっと見向きもしないタイプ(笑)。
主役のポーランドの王子は、エットレ・マンニ。フィルモグラフィーを見ると、けっこうソード&サンダル系では見ている映画も多いんですけど、すいません、ちっともお顔が記憶にゴザイマセン(笑)。
タタールの姫役に、海外で活躍した日本人女優のはしり、ヨーコ・タニこと谷洋子。ソード&サンダル系では、前にここで紹介した”Samson and the Seven Miracles of the World”、それ以外でも、日本盤DVDが出ているスタニスワフ・レム原作のSF映画『金星ロケット発進す』(これはなかなか面白かった!)などで拝見しております。今回、改めて見ると、ちょっとチャン・ツィイーに似ているような気も。
ま、映画が映画ですんで、役者的な見所は皆無です(笑)。ジョー・ロビンソンの半裸だけ(笑)。
責め場の方は、前述の神父の火責めの他にも、広場でセント・アンドリューズ・クロスに磔にされているポーランド人捕虜のシーンがあります。
神父同様、これも両腕に薪が巻かれて火を点けられているという、ちょっと変わった火責めになってるんですけど、これは、タタールのヨーロッパ侵攻の際、そういう処刑があったという逸話でもあるんでしょうかね? 日本だと、元寇の際、捕虜が掌に穴を開けられて、そこに縄を通して吊されたという、有名な伝承(因みに私は、この話を小さい頃に父から聞かされました)がありますけど、ちょっとそれを連想しました。
あと、これはおそらく他の映画からの流用シーンだと思いますけど、タタールに攻め込まれた村で、捕らえられた村の男たちが、上半身裸で杭に磔にされているってなシーンも出てきます。
そんなこんなで、肝心のウルスス君の責め場がないのは物足りませんが(笑)、公開処刑好きとしては、そこそこお得感はあったかな。
シャハラーム&ハーフェズ・ナーゼリー”The Passion of Rumi”、追補
前回に引き続き、今回も前々回に紹介したCDの追補で、シャハラーム&ハーフェズ・ナーゼリー編。
YouTubeにライブ・ビデオが幾つかあったので、二つほど見繕って貼ってみます。
CDと同じく、ペルシア古典楽器のみによるアンサンブル。
ケマンチェ(胡弓みたいなペルシアの擦弦楽器)がチェロとヴァイオリンに置き換わった、少し西洋寄りのアンサンブル。
改めて調べたところ、件のCD”The Passion of Rumi”の収録曲は、シャハラーム・ナーゼリーのMySpaceで、2曲が試聴可能でした。変拍子に乗せて9分以上繰り広げられる表題曲は、まさに圧巻。プログレ好きにもオススメです(笑)。
さて、これらが気に入った方には、こっちのアルバムもオススメ。
“The Book of Austerity” Shahram Nazeri + Farrokhzad Layegh
シャハラーム・ナーゼリーが、Farrokhzad Layegh(えーっと……ファロゥザード・ライェー? ははは、読めやしない)という、若手(46歳だから、古典音楽の世界だと、たぶん「若手」なんだと思う……)作曲家と組んだアルバム。
この作曲家は、ハーフェズ・ナーゼリー同様に、やはりペルシア古典音楽と西洋音楽を共に学んだ人のようです。こちらは、ルーミーのような古典ではなく、現代の詩人の作品をベースにしたもの。
アンサンブルは、ペルシア古典楽器による六〜七人編成。”The Passion of Rumi”では使われていなかったサントゥール(ツィンバロムやダルシマーみたいな打弦楽器)が加わり、この楽器の音が好きな私には嬉しいポイント。
知識がないのでアバウトな印象ですけど、音楽としては、ハーフェズ・ナーゼリーよりも伝統寄りな感じ。それとも、ひょっとしてこれは、クルド的な要素が希薄ってことなのかしらん……。う〜ん、ヨーワカラン(笑)。
エグゼクティブ・プロデューサーにハーフェズ・ナーゼリーの名があり、彼のMySpaceで4曲が試聴&ダウンロード可能。構成も複雑で聴かせる長尺の曲がないのが残念だけど、とりあえず、ダイナミズムやミニマル的な酩酊感なら”Ardor”、ECMとかの内省的な雰囲気な曲が好きな人だったら”Oceanic Chant”なんか、いかがでしょう。
“The Book of Austerity” Shahram Nazeri + Farrokhzad Layegh(amazon.co.jp)
クジェシミール・デブスキの『ファイアー・アンド・ソード』サントラ関係
前回のエントリーに関連して。
クジェシミール・デブスキによる『ファイアー・アンド・ソード』のサントラですが、ファンが多いのか、YouTubeにMADビデオがウジャウジャあったので、良心的(笑)なものを幾つかセレクトして、貼ってみませう。
いや、マジで好きなサントラなので、布教活動だと思って(笑)。
メイン・モチーフ。哀愁泣きメロ。
エピックな感じの変奏。荘厳です。
コサックの進軍。ガンガンいきます。
で、こっちがポーランド軍。こっちも負けてません。
愛のテーマ、みたいなもの。美麗。
ウクライナ賛歌、みたいなものなのかな? 原曲は民謡かも。
前回、国内での取り扱いは見つからずと書きましたが、改めて検索してみたら、Vol.1と2のセットが、楽天市場のここと、Yahoo!ショッピングのここにありました。
あと、Vol.1のみだったらHMVのカタログにもありました。
amazon.co.jpのカタログにもあるんですけど、こちらは残念ながら、「現在お取り扱いできません」状態。
ついでにオマケ。
前にここでちらっと触れた、ホセ・クーラとエヴァ・マラス=ゴドレフスカの共演盤『ソング・オブ・ラブ』から、クジェシミール・デブスキ作曲の表題曲をば。アンドレア・ボチェッリとかサラ・ブライトマンとか、そこいらへんのテイスト。
CDは既に廃盤みたいですが、amazon.co.jpのマーケット・プレイスには出ています。
最近のお気に入りCD
“Passion of Rumi” Shahram Nazeri + Hafez Nazeri
現在におけるペルシア古典声楽家ツートップの一人、シャハラーム・ナーゼリーが、息子ハーフェズ・ナーゼリーと共演したアルバム。
スーフィズムの詩人ルーミーの詩を元に、息子ハーフェズが作曲したもので、小編成のペルシア古典楽器によるアンサンブルの演奏に、父シャハラームの、繊細かつ情熱的な、美しくも力強い歌声が響き渡る。
ハーフェズは、アメリカで西洋クラシック音楽も学んだそうで、なるほど、確かに通常のペルシア古典音楽とは、ちょっと味わいが異なっています。曲調は緩急がはっきりしており、展開もドラマティック。そのせいかシャハラームの歌も、普段より更にエモーショナルな感じもします。
主題の変奏も聴き応えがあるし、西洋的な和声も取り入れられているので、ペルシア古典音楽はもとより、民族音楽全般に馴染みのない方でも、すんなり入り込めそう。神秘的で美しく、哀感を帯びながら情熱的で、ジャンルを問わず、音楽として実に素晴らしい。オススメです。
“Passion of Rumi” Shahram Nazeri + Hafez Nazeri (amazon.co.jp)
“The Art of The Piano” Morteza Mahjubi
1900年生まれのイラン人ピアニスト(1965年没)による、ペルシア古典音楽をピアノで演奏したアルバム。
ピアノが、微分音のある伝統的なペルシア音階(乱暴に言うと、ミとファの間に、もう一つ音があるってこと)に調律されているので、ペルシア音楽やアラブ音楽を聞き慣れない人には、かなり不思議に感じられるかも知れませんが、とにかく優美で美しい音楽。第二集も出ています。
録音が古いので、とうぜん音質もいささかこもり気味ですが、ノイズや歪みは皆無で、逆に、このくぐもったような柔らかさが心地良いくらい。ペルシア古典音楽好きにはもちろん、音響派とか現代音楽、アンビエント好きにもオススメ。
残念ながら、amazon.co.jpやHMVといった大手では、取り扱いがないみたいですが、日本国内で輸入販売しているところも幾つかあるようです。因みに私は、ここで購入。
あと、iTunes Storeでダウンロード購入も可能です。こちら。
“The High Kings” The High Kings
見事なコーラスワークを、アカペラとトラッド楽器のアンサンブルを取り混ぜて聴かせる、アイリッシュ・トラッド、男性4人組。
ケルト的な泣きのたっぷりあるスローバラード、ジグやリールなどの舞曲系、叙事詩的で壮大な曲など、選曲のバランスは申し分なく、演奏も、地味すぎず大仰すぎずといった感じで、実にバランスが良ろしい。
歌い方にグリークラブ的なお行儀の良さがあって、フォークロリックな荒さがないので、トラッドにあまり馴染みのない方でも、すんなりと聴きやすいはず。ケルトっぽいの好きだけど、いっぱいありすぎてどこから手を出していいかワカンナイなんて方には、特にオススメかも。
“The High Kings” The High Kings (amazon.co.jp)
以下三枚は、映画のサントラ。



左が『THE レジェンド 伝説の勇者/Krzesimir Debski』。ハリウッド的なエピック調に、ポーランドっぽい民族性が加味された好スコア。エンドクレジットで流れるポップス調の主題歌も、ちゃんと入っています。
中央が『ファイヤー・アンド・ソード/Krzesimir Debski』。前にここで紹介したサントラ盤と、それとは別売の、劇中歌などを収録した第二集を、一つのパッケージにカップリングした二枚組。
この二つは、日本国内で取り扱っている様子はなし。因みに私は、ポーランドのショップから個人輸入しました。
右が『アラトリステ/Roque Banos』。スパニッシュ・ギターをフィーチャーした哀愁タップリの曲や、宗教歌風の荘厳な曲など、聴き所は様々で聴き応えも大いにありますが、やはり何と言っても、エンディングで流れる”Fanfarre y creditos”が、燃えるわ泣けるわ荘厳だわで、もう最高!
これは、amazon.co.jpでは在庫切れですけれど、タワレコにはまだ在庫があるようなので、欲しい方はお急ぎあれ。こちら。
“Uncensored” by Joe Oppedisano

Joe Oppedisano(ジョー・オッペディサーノ……でいーんだろーか、読み方は?)は、アメリカのカメラマン。
ファッション写真からメールヌードまで、幅広く手掛けている人ですが、何と言っても私にとって魅力的なのは、BDSMやラフ・セックスの香りが濃厚な、一連の野郎系メールヌード写真です。特に、2006年にBruno Gmunderから出た第一作品集”Testosterone”は、ここ数年のメールヌード写真集の中でも、一番といっていいくらいのお気に入りでした。
そんなOppedisanoが、第二作品集”Uncensored”を発表。「無修正」というタイトル通り、セクシャルな表現という意味では、手法の過激さが増し、いわゆるポルノ写真との境界線が、限りなく曖昧になっています。
もちろん、前作”Testosterone”で見られたような、シンプルかつスタイリッシュなメールヌードとか、レザーやユニフォームやボンデージといったフェティッシュ味、暴力的なセックスを連想させる描写などは、今回も健在なんですが、前作はそれらが、あくまでもスタイリッシュなラインを崩さず、ポルノグラフィ的にはギリギリのところで寸止めされていたのに対して、今回はどうやら、そういったスタイルを意図的にはぎ取ったようで、より直截的で生々しく「性」を表現している。
一例を挙げると、例えば”Testosterone”に収録されていた、廃工場内で縛られている警察官の写真は、後ろ手に掛けられた手錠、ダクトテープの猿轡、はだけたシャツと膝まで降ろされたズボンとパンツといった具合に、暴力と性の臭いを濃厚に漂わせながらも、直截的なセックスの描写は、股間に警棒をダクトテープで固定し、それを屹立させるといった具合に、あくまでも比喩的に表現されていた。
ところが、今度の”Uncensored”では、例えば、レザーギャッグをされ、後ろ手に縛られた刺青マッチョの股間には、剥きだしの男根が隆々と勃起している。或いは、両腕を挙げてチェーンで縛られ、汚れた床に座り込んだ全裸の男が、半勃起したペニスの先から尿を迸らせ、その瞬間をカメラが捉えている。
また、路地裏や公衆トイレでは、レザーマンや、レスリングやアメフトなどのユニフォームに身を包んだマッチョたちが、相手の性器に舌を伸ばしていたり、さらにはっきりと口中に入れていたり、はたまたリミングしていたり、と、明白なオーラル・セックスが描かれている。
更に、グローリーホールから付きだしたペニスのアップでは、穴の周囲は白濁した液体で汚れ、公衆トイレの床に這って、尻を突き出している男の肛門からは、白い液体が噴水のように迸り、更には、少し口を開いたアヌスのアップから、白濁液が滴り落ちている、など、疑似ではあるのだろうけれど、あからさまな精液のイメージも登場する。
もちろん、そういった路線と並行して、前作同様の、スタイリッシュで非ポルノグラフィー的な作品も収録されていはいるんですが、前作で見られたような、コンポジションの厳密さや演劇的な人工性は、かなり薄くなっている。まるで、自らの作家性というものを追求していった結果、様式美のような表層的な要素や、パブリック・ベースのファッション性から離れ、よりパーソナルでコアなもの、つまり、作家本人の、個としての欲情を最重要視する、エロティック・アートに接近しているように見える。これは、個人的に大いに好感度が大。
また、エロティック・アートという文脈で言うと、前作でも見られた、トム・オブ・フィンランドへのオマージュ作品が、今回もしっかり入っていました。こういった、自分に影響を与えた先達、それもエロティック作家に対して、公にリスペクトを捧げるという姿勢も好きです。
というわけで、かなりオススメできる写真集です。
中身のサンプルについては、ちょっとこのBlogで紹介するのは憚られるので、とりあえずサンプルが見られるページにリンクを貼っておきます。でも、リンク先で見られるのは、実はこれでも「ソフト」なページだったりします。
この写真集、ありがたいことに日本のアマゾンで扱われているので、欲しい方はお早めにどうぞ。
“Uncensored” Joe Oppedisano (amazon.co.jp)

さて、ついでに前作”Testosterone”についても、今まで書いたことがなかったので、ちょっと紹介してみましょう。
前段でも触れたように、”Testosterone”では、レザー、タトゥー、ユニフォーム、ボンデージ、スポーツ、バイオレンス……といった要素が、フェティッシュかつスタイリッシュに描かれています。
エロティシズムの表現の違いに関しては、前段で述べたこと以外にも、”Uncensored”は、比較的「白日の下に赤裸々にさらけ出す」というようなニュアンスが強いのに対して、この”Testosterone”では、「暗がりの中にひっそり浮かび上がる」といった感じのものが多い。じっさい、写真の背景も黒バックだったり、何かが写り込んでいる場合も、”Uncensored”のそれよりも暗く沈んでいます。
照明も、スポットライト的に明暗をくっきりと浮かびあがらせるものが多く、暗い背景とも相まって、何だかカラヴァッジオのような雰囲気があり、正直に言うと、映像的な質感だけに限って言えば、私はこの”Testosterone”の方が好みだったりもします。
また、”Testosterone”では、取っ組み合い、殴り合い、リンチ、レイプといった暴力的なシーンを、血糊なども使って演劇的に描いた一連の作品があり、こういった傾向も好きだったんですが、残念ながら”Uncensored”では、そうした純粋暴力的な要素は後退しています。
一方、作家性としては、”Testosterone”の段階では、まだ固まりきっていないというきらいがありました。没個性的な作品も、数は少ないものの、混じっていたし、先達からの影響も色濃かった。しかし、”Uncensored”になると、似たようなコンポジションのピンナップでも、性的な誘惑やエクスタシーを示唆する等、表現として、より挑戦的でパワフルなものになっていて、作家性も強くなった。
つまり、改めて二冊並べて見ると、「けっこう好きなカメラマン」だったのが、「大いに興味を惹かれるアーティスト」に変わった、って感じです。
というわけで、どちらの写真集も、単品でも充分に良い内容なんですが、二つ見比べるとより面白くなるので、機会があったら、こちらもぜひ入手をオススメします。
こちらの内容見本は、カメラマン本人のサイトのギャラリー・ページで、収録作品がけっこう見られます。Edge Gallery、Erotic Gallery、Sport Gallery、Tom of Finlandといったコンテンツが、”Testosterone”の主な収録作。
ただ、書籍の方は残念ながら、日本のアマゾンでは扱っていないので、こっちはアメリカのアマゾンにリンクを貼っておきます。
“Testosterone” Joe Oppedisano (amazon.com)
さて、このJoe Oppedisano、今後はどういった方向に進むのか、そこも興味が尽きません。
しかし、”Uncensored”のエピグラフには、フランク・シナトラの言葉が、まるで決意表明のように、力強い手書き文字で引用されています。
内容を簡単にまとめると「自分は、自分が口に出来る量以上のものを口に入れてきたが、いつだって、口に合わないものは吐き捨てた。人間が自分自身でいられないのなら、それは無価値だ。真実を語れ、おべっかは無用だ。自分は、自分が思うままに生きてきた」といった感じ。
これを読むと、もう大いに期待してしまいますね。
“Dictionnaire de l’amour et du plaisir au Japon”

フランスから、アニエス・ジアール(Agnès Giard)の新著、”Dictionnaire de l’amour et du plaisir au Japon”が届きました。昨年暮れには出ていた本なんですが、いろいろトラブルがあったらしく、約一ヶ月半遅れで到着。
前にここで紹介した、同著者による”L’imaginaire érotique au Japon”の、姉妹編といった感じの分厚い大判本で、内容は、日本のエロティック文化の様々な事象を、テキストと新旧織り交ぜた豊富な図版で紹介していく、いわば「日本エロ文化エンサイクロペディア」といった趣。
図版を提供している作家は、北斎や国芳の浮世絵や、責め絵の大家・伊藤晴雨、昭和30年代の風俗雑誌の大物・喜多玲子(別名・須磨利之、美濃村晃)を始めとして、順不同でざっと列記しますと、沙村宏明、根本敬、福満しげゆき、花くまゆうさく、早見純、大越孝太郎、平口広美、金子國義、西牧徹、天野喜孝、奥津直道、宇野亜喜良 、太田蛍一、水野純子、市場大介、荒木元太郎、渡邊安治、エトセトラ、エトセトラ。
で、私も図版を数点提供しているんですけど、どんな風かというと、こんな感じで載っています。

因みにこれは、昨年のフランスで開催した個展に出品した『七人の侍〜侍之参・水』なんですが、べつに「カッパ」という項目ではなく(笑)、「フィストファック」という項目の図版です。例によってフランス語はサッパリ判らないんですが、本文中に私の名前が出ているのを見ると、前にここでちらっと紹介した、この作品に添えた自作解説が参照されているのかも知れません。
というわけで、フルカラーだし、1ページ大、見開き大の図版がバンバン入ってるし、本文を読めなくても画集的にたっぷり楽しめる本なので(個人的には、奥津直道さんの作品の中でも特に好きな、蜘蛛のヤツと鯉のヤツが、1ページ大でデカデカと楽しめるのが嬉しい!)、興味のある方は、amazon.fr.で注文なさるのもヨロシイかと。