ちょっと宣伝、『エンドレス・ゲーム』第10話です

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 11月21日発売の雑誌「バディ」1月号に、連載マンガ『エンドレス・ゲーム』第10話掲載です。
 前回のチェンジ・オブ・ペースの流れで、今回はストーリー上の転換点とエロ場面のサンドイッチ構成。
 一年弱描いてきたこのマンガも、そろそろオーラス。次回で完結となります。
 連載開始から追いかけてくださっている方は、ここいらで第1話から通しでまとめて読み返していただくと、また一層滋味(笑)が増してお楽しみいただけるかと。

 さてこの「バディ1月号」ですが、特集が《裏バディ》ということで、パラパラッと捲ってみたところ、いつもよりエロ比重が多めな感じ。
 それに合わせて野原くろ先生が、肌色率高め&がっつりエロ入りの読み切りマンガ『豪人の裏がわ』を描いていたりするので、ファンの方はマスト。
 あと情報ページでは、拙著『銀の華[復刻版]』をご紹介いただいているんですが、全巻セットのサイン本プレゼントもありますので、ご希望の方はふるってご応募くださいませ。

Badi (バディ) 2013年 01月号 [雑誌] Badi (バディ) 2013年 01月号 [雑誌]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2012-11-21

ドイツのゲイ・アートブック”Mein schwules Auge 9″に作品掲載

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 ドイツの出版社konkursbuch Verlag Claudia Gehrkeから出版されたゲイ・アートブック、”Mein schwules Auge 9 (My Gay Eye 9: Yearbook of the Gay Erotic)”に作品数点掲載されました。
 このシリーズには前も作品を提供しているんですが(こちら)、わりと作品のセレクトにクセがあって、同じドイツのゲイアート出版関係でもBruno Gmunderの出す、良くも悪くも間口が広い感じの本(ピンナップ的な口当たりの良い作品が中心で、あまり過激だったりとんがっているものは歓迎されない傾向にあり)とかと比べると、収録される作品もアクの濃い面白いものが多い印象。
 自分としても参加できるのが嬉しい本なので、再度のオファーをいただき喜んで作品提供した次第。

 というわけで掲載されている作品も、ピンナップありフェティッシュありSMあり女装あり、写真ありドローイングありペインティングあり……と、パラパラ捲っているだけでも楽しい内容。
 今回の収録作家は、自分の知り合い系ではFacebookで付き合いのあるUli Richterくらいで、Tom of FinlandやRexといったビッグネーム系も見あたらず。
 とはいえなかなかワールドワイドな面々で、中でも個人的に興味を惹かれたのは、

イタリアのIacopo Benassi、
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スロヴェニアのBrane Mozetic、
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ドイツのHenning Von Berg、
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イタリアのSabatino Cersosimo、
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ドイツのJorg Nikolaus、
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ドイツのJan Schuler
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……といったあたり。
 他にも、作品的にも性的な意味でもけっこう興奮させられるような、もっと過激にエロティックな作品も収録されているんですが、紹介は自重しておきます(笑)。
 私の収録作品はというと、最近作のマンガ『エンドレス・ゲーム』の決めゴマから、フキダシや効果音を取り除いてイラストレーション的に仕上げたものを、何点か提供しています。
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 掲載誌「バディ」では局部がモザイク処理されているので、完全な形でのお披露目はドイツが初ということに(笑)。このブログでは修正入れてますけど(笑)。
 冗談めかして笑ってはいるものの、正直なところいつもながら、自分の作品が肝心の日本では、いろいろ規制に抵触してしまって、完全な形での発表が望めないというのは、何だかなぁ……という気分になるのは否めませんね。
 本の入手法ですが、残念ながら日本のアマゾンでは取り扱いなし。
 ドイツイギリスアメリカのアマゾンでは取り扱いがあるので(11/14現在、独英は既に発売中、米は予約受け付け中状態)、欲しい方はそちらをご利用ください。

“Capitaine Conan (コナン大尉)”

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『コナン大尉』(1996)ベルトラン・タヴェルニエ
“Capitaine Conan” (1996) Bertrand Tavernier
(英語字幕付きフランス盤DVDで鑑賞→amazon.fr、後にフィルムセンター『現代フランス映画の肖像2』で再鑑賞)

 1996年制作のフランス映画。ベルトラン・タヴェルニエ監督。
 一次大戦末期から終戦直後にかけてのロシア国境近辺で、終戦後の平和に馴染めない軍人を主人公に、軍隊というシステムの矛盾などを描いた作品。セザール賞最優秀監督賞&主演男優賞受賞。

 第一次世界大戦末期、ブルガリアで戦っているフランス軍。
 コナン大尉は自ら育てた手勢50名を率いて、特殊部隊のような活躍をしている。銃器ではなく白兵戦をモットーとする彼は、自分は兵士ではなく戦士、猟犬ではなく狼だと考えており、捕虜をとることはなく敵は全て殲滅する。部下たちもまた同様だった。
 そんな自分の信念を貫くコナン大尉は、基本的に士官学校出のエリートには不信感を持っており、たとえ上官の命令であってもナンセンスであると思えば平然と無視する男だったが、元教師のノルベル中尉とだけは、互いに全く違うタイプながらも友情で結ばれていた。
 そして戦争が終わる。フランス軍兵士たちはこれで故郷に帰れると喜んで列車に乗るが、ハンガリーのブカレストに留め置かれてしまう。
 平和に馴染めないコナンの部下たちは、乱暴狼藉など何かと問題を引き起こしてしまい、一方ノルベルは軍事法廷の検事に任命されてしまう。コナンは部下を庇って、何かとノルベルと対立することになるが、一方でノルベル自身も、兵卒ばかりが些細な罪や大した証拠もないにも関わらず裁かれ、上層部の軍人は責を問われることなくノホホンとしていることに疑問を抱き、持ち前の正義感から悩む。
 そんな中、軍隊は対ボリシェビキ戦に備えて、再び故郷とは反対方向の東方へと移動することになる。
 自分の信念を曲げないコナンも、裁く側となって矛盾に悩むノルベルも、罪に問われて拘留されたコナンの部下たちや他の兵士たちも、その皆が戦場となる東へ向かう列車に乗り……という内容。

 基本的な構造としては、平和な時代はおろか、実は近代戦自体にも馴染めないコナン大尉という男の生き様と重ねながら、近代的な戦争や軍隊の持つ問題点や矛盾を描き出した、文芸的な大作映画といった印象。
 とは言え、いかにもそういったモチーフらしい世界の残酷さや空しさを描きつつも、同時に生きている人間ならではのユーモアもふんだんに盛り込まれ、決して重苦しい作品にはならないあたりが、タヴェルニエ監督らしいという感じでしょうか。たとえどんな切迫した状況であっても、その中での食い気と色気がしっかり描かれるあたりは、私が大好きな同監督の『レセ・パセ 自由への通行許可証』と同じ。
 映画の冒頭とクライマックスを、それぞれ戦争場面で挟む構成になっているんですが、この部分のスペクタキュラーな見応えもお見事。特に初めの戦争シーンは、マクロな視点のスケール感、迫力、細部の面白さ……等々、内容的にも映像的にも大いに楽しめます。
 中間部分は、無遠慮な兵士の振る舞いとか、ミュージックホールに入った強盗とか、命令違反に問われた若い兵士とか、帰らぬ息子を自力で前線まで探しに来た母とかいった、様々なエピソードと共に、ちょっとした謎解き的な要素なんかも絡んできて、これまた飽きさせない。
 そんな中でも、やはりユーモラスな描写が光っていて、例えば、冷たい雨の中で整列し兵士たちが、延々と将軍の長演説を聴かされているうちに腹を下してしまい、ガマンできずに次々と物陰に駆け込んでしゃがんでしまうとか、軍楽隊も同様に腹に力が入らず、演奏がメチャクチャになってしまうとか、ブカレストで即席の軍刑務所兼軍事裁判所が必要になるのだが、それが娼館に作られてしまうとか、そんなあれこれが実に楽しい。

 一方、戦争犯罪や命令違反などを巡る、ちょっとした謎解き部分のドラマに関しては、実はそれらの主眼は真実の究明に至るドラマ云々ではなく、例えそこにどんな理由や不正や正義があったにせよ、それとは関係なく現実は冷酷であるというのを見せることにあった模様。これは、そういった厭世観や無常観、そしてそんな現実に対する批評性としては有効なんですが、個人的にはもうちょっと娯楽寄りに目配せがあった方が好みではありました。
 役者さんはそれぞれ魅力的なんですが、主人公であるコナン中尉役のフィリップ・トレトンが、大いに魅力的ではあるものの、それでもちょっと弱さを感じるのが残念。
 というのも、このコナン中尉というキャラクターは、いわば生まれながらの戦士であり、平和な時代はおろか、実は近代以降の社会全てに居場所がないような、そんな人物。そんな彼は「引き金を引くだけで相手を殺すのは《戦った》とは言わない、刃物で突き刺してこそ《戦い》であり、それが兵士ではない《戦士》の証だ」などと、堂々と言ってのける人物なんですが、トレトンは顔立ち自体に人が良さそうなところがあり、好演はしているとは思うんですが、正直そこまでの凄みはない。

 そういう感じで、個人的にはちょっと惜しい感もあり、映画の後味もけっこう苦いものがありますが、見応えはタップリ。
 ストーリー的に様々な位相を持ち合わせた内容なので、見る人を選ぶ部分もあれこれあるとは思いますが、時代物、戦争物、男のドラマ物がお好きな方なら見所も多いと思います。

レセ・パセ[自由への通行許可証] [DVD] レセ・パセ[自由への通行許可証] [DVD]
価格:¥ 2,500(税込)
発売日:2006-04-28

マンガ『倅解体』再録です

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 ぶんか社のコンビニコミック『まんが このミステリーが面白い! 猟奇ホラーミステリーセレクション』(本日見本を戴いたので多分ぼちぼち発売中かと)に、2009年に描いたマンガ『倅解体(原作・平山夢明)』が再録されております。
 レディコミ誌に描いた原作付きマンガということで、今後単行本に収録等はないと思うので、宜しかったらこの機会に是非お買い求め下さいませ。
 残念ながらアマゾンでは取り扱いがないのか見つからず。お近くのコンビニでどうぞ!
 ただ初出時のカラー扉が、この再録ではモノクロになり、すっかり潰れてナニガナンダカワカンナクなっちゃっているので、ここで扉絵のカラー画像を公開。
 オリジナルはこうだったんですよ〜 ^^;
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 初出時の記事はこちら。
2009.04.24:ちょっと宣伝、ミステリーマンガ描きました

“Iz – rêç (The Trace)”

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“Iz – rêç” (2011) M. Tayfur Aydin
(トルコ盤DVDで鑑賞、米アマゾンで購入可能→amazon.com

 2011年のトルコ映画。英題”The Trace”。
 故郷に帰りたいという老母の唯一の望みを叶えるために、棺を運んで旅する息子と孫の姿を通して、未だ癒えぬトルコ国内での民族紛争問題に、無言の抗議を突きつけた意欲作。

 故郷を追われイスタンブールで暮らすクルド人一家。ある日祖母が転倒し、医者に連れていったところ治療不可能な脳腫瘍が発見され、余命いくばくもないと宣告される。
 祖母は唯一の望みとして、故郷に帰ってそこで埋葬されたいと息子に頼む。息子はそれを承諾し、お祖母ちゃん子の孫息子と共に、十数年前に後にした故郷の村に、祖母を連れていくことにする。
 しかし厳格な父親である息子と、現代っ子の学生である孫息子は折り合いが悪く、この父子は何かと衝突を繰り返す。そんな中、田舎へ向かう列車の中で祖母が亡くなる。
 父子は祖母の遺体を棺に入れて、故郷の村の近くに住む親戚の家に運ぶ。そして車を手配し、今や廃村となっている故郷へと向かうのだが、道が軍隊によって封鎖されていて、村に辿り着くことができない。
 父子はいったん近郊のクルド人の村に身を寄せる。村の人々は、故郷の村に行くのは無理だからここに埋葬しろと父子を説得する。しかし父はあくまでも祖母との約束を守ることにこだわり、棺を馬に乗せて徒歩で村へ行こうとする。
 息子は父親に向かって、そこまでして祖母との約束を守らなければいけないのかと抗議するが、父親はそれを聞き入れようとはしない。孫息子は仕方なく父親を手伝い、共に雪道を進み始めるのだが、やがて馬はへたばってしまう。
 父子は自分たちで棺を担ぎ、道なき道を進み、やがて祖母の埋葬場所に辿り着くのだが、そこで一族のルーツに関する驚くべき事実が明かされる……といった内容。

 いや、これはやられた……。
 故郷を追われたクルド人一家、民族的な出自のせいで恋人に振られてしまう孫息子、旅先で理不尽に身分証の提示を求める警察……といった具合に、モチーフはクルド問題なのだとミスリードさせて、最後の最後に「うわぁそっちへ行くか!」という感じでした。いやぁ、一本とられた。
 演出は極めて静的。セミフ・カプランオールやヌリ・ビルゲ・ジェイランほど禁欲的ではないにせよ、派手な場面は皆無で全てが淡々と進んでいきます。描かれるエピソードもホームドラマ的で、いささかのさざ波はあれども、しかし基本的にはどこにでもありそうな光景を、丁寧に繋いでいくという感じ。
 ただし、孫息子の叶わぬ恋とか、不妊に悩む娘夫婦とか、父と息子の不和とかいった、そういうホームドラマ的なエピソードは、いずれもこれという決着には至らない。これらはあくまでも《日常》を提示するためのファクトでしかなく、それゆえに、最後に突きつけられる重い命題が、こういう《どこにでもある日常》の裏に、常に存在し続けることを明示する効果になっています。
 美麗な映像もまた、この命題とのコントラストを醸し出していて有効。
 後半の、棺を担いだ父子が黙々と進むシーンに見られる、自然の風景を活かした詩情あふれる映像を筆頭に、夜、老母の棺の前に座る息子の背後で、家の灯りと共に赤ん坊の出産の物音が聞こえてくるという、生と死が交錯するシーンや、トルコ映画ではちょっと珍しい、全裸で横たわる恋人たちの全身を俯瞰で捕らえるシーンなど、美しく印象深い場面も多々あり。
 役者さんたちの自然な演技や、それによって醸し出されるリアルな存在感も、同様に実に効果的。

 前述したように、ストーリー的には最後に空中分解するようなツイストが入るので(ネタバレを含むので詳細は後述)、そこは好みが分かれるかもしれません。いわば観客は、フクションである《映画》の世界から、唐突に《現実》に放り出されてしまい、その時点でフィクション的なドラマの数々は無効化してしまい、現実の世界が抱える問題が突きつけられる形になります。
 しかし、ラストの廃屋の窓の中に無言で佇む二人の姿は、こういった問題に対する無言の抗議として言葉以上に雄弁であると思うし、何よりこのモチーフを取り上げること自体が意欲的。
 結果、映画は登場人物が何か考えて答えを出すのではなく、鑑賞者である我々に考えさせるという形で終わります。描かれている映像自体は、シリアスな雰囲気ではあるものの、決して重苦しかったり暗かったりはしないのに、鑑賞後は極めてズッシリとした味わいに。
 いや、繰り返しになりますが、これは一本とられたという感じ。

 ある程度トルコの近代史や民族問題に関する知識がないと、ちょっと理解が難しいところはあるかも知れませんが、それらに興味のある方なら見て損はない一本。

【ラストシーンのネタバレを含む解説】
(嫌な方は以下はお読みになられませんように!)
 前述したようにこれは、基本的には紛争によって村を追われたクルド人一家の話なので、当然観客も、祖母が帰りたがっているのは放棄されたクルド人の村だと思っています。
 しかし最後の最後、祖母の棺が祖父の眠る墓に辿り着いたとき、生前の祖母のモノローグによって、実は彼女はかつてトルコで虐殺されたアルメニア人の生き残りで、自分の家族を殺された上に強奪され、無理やり主人公父子の父親にあたるクルド人男性と結婚させられたという事実が明かされる。彼女が帰りたがっていた(埋葬されたがっていた)場所も、亡夫と同じ墓ではなく、かつてアルメニア人墓地のあった場所だった。
 こうして、今まで被害者だと思っていたものが、同時に加害者でもあったという事実、繰り返される悲劇という歴史が明かされ、それを踏まえて祖母を埋葬した父子は、放棄された村の廃墟となった家の中に佇み、その窓越しに観客である我々を、何かを訴えかけるように無言で延々と見つめ続ける。
 セリフはいっさいないにも関わらず何よりも雄弁な、素晴らしいエンディングでした。

“Fetih 1453 (The Conquest 1453)”

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“Fetih 1453” (2012) Faruk Aksoy
(トルコ盤DVDで鑑賞、米アマゾンで入手可能→amazon.com

 2012年制作のトルコ映画。メフメト二世とその腹心の軍人ハサンを主人公に、1453年のコンスタンティノープル陥落を描いた大作史劇で、トルコ国内では大ヒットを記録。英題”The Conquest 1453″。

 とある夜、コンスタンティノープルの夜空に凶兆である帚星が現れる。それと共に時のオスマン帝国のスルタンに王子が誕生、予言者はその子が偉業を成し遂げると告げる。
 やがて成長した王子が、腹心ハサンと剣の稽古をしている最中に父王崩御の報が届き、やがて王子はメフメト2世として即位する。祖父の夢を見たメフメトは、周囲の豪族を束ねコンスタンティノープル攻略を夢見るようになる。
 メフメトの勢いを恐れた東ローマ皇帝コンスタンティノス11世は、裏から手を回しカラマン侯国をメフメトにけしかけるが、メフメトはハサンの活躍によって情報を事前に入手、カラマン侯国に勝利する。コンスタンティノープル攻略に反対する宰相ハリル・パシャを押し切り、メフメトはその第一歩として城塞(ルメリ・ヒサル)を建設する。
 一方でハサンはウルバンという腕の良い技術者と出会い、その美しい養女エラに恋をする。コンスタンティノスはウルバンに大砲を建造させようとするが、ウルバンが拒否したため、エラを人質に取って建造を強要しようとする。しかしハサンが二人を救出し、メフメトの元へ届ける。ウルバンとエラは、オスマン軍のために、不落のコンスタンティノープルの城壁を破壊できる巨大砲を作ることにする。
 コンスタンティノスはヴァチカンと手を結んで十字軍の協力を得ようとするが、ローマはその条件として、東方教会がカトリックの権威にくだることを要求する。コンスタンティノスはそれを受け入れるが、第4回十字軍とラテン帝国の暴虐を知る重臣や、コンスタンティノープル総主教らは、それに反発する。一方のメフメトは、東方教会に対して信教の自由を保障する。
 やがて巨大砲が完成し、いよいよコンスタンティノープル包囲戦が始まる。しかしコンスタンティノープルに付いたジェノヴァからの援軍と、その隊長ジョヴァンニの働きにより攻城戦は難航する。しかもジョヴァンニは以前エラに結婚を申し込んだことがあり、ハサンとはライバル関係にあたる男だった。
 戦況が膠着する中、ハンガリーから十字軍が来て挟み撃ちにされるとの噂が流れ、疲弊したオスマン軍の兵士たちは次第に戦意を失っていく。またハリル・パシャも、そもそもこの作戦は間違いだったのだとメフメトに迫る。
 そういった状況に押されて、やがてメフメト自身も戦意を挫かれそうになるのだが、しかし……といった内容。

 スペクタクル史劇好きなら、間違いなく大いに楽しめる一本。
 160分の長尺のうち、前半の80分でコンスタンティノープル攻略に至るあらましを、後半の80分で攻城戦をたっぷり見せるという構成で、若干CGの粗はあるものの、スケール感や物量感では文句なしの大作。
 作劇的には、歴史劇的な叙事要素を、メフメト2世とコンスタンティノス11世を軸としたドラマで描き、アクション・アドベンチャーやロマンスといった娯楽要素を、ハサンとエラとジョヴァンニのパートで押さえるという構成をとっており、これがなかなか効果的で、重厚な歴史劇の魅力と痛快娯楽作の魅力が、上手い具合にサンドイッチ状態になっている印象。
 最大の見せ場であるコンスタンティノープル攻城戦は、表現自体は昨今のハリウッド史劇のアレコレと同じような感じで、特に個性や目新しさはないものの、既視感があれども迫力のある画面、テンポが良い展開、ハリウッド的ながらも効果的な劇伴など、諸々の要素が合わさって、十分手に汗握る見せ場になっています。
 そこに加えて、仲間意識や自己犠牲といった泣かせ場面とか、ライバル同士がぶつかり合う激しいアクション・シーンとかいった、娯楽ドラマ的に美味しい要素があれこれ出てくるので、気分的な盛り上がりはかなりのものですし、クライマックスなんかもベタながらも感動的で、ちょっと目頭が熱くなっちゃったりして。
 欲を言えば、ちょっとエピソードのつなぎがぎこちなかったり、説明不足と感じられる部分はあります。
 鑑賞後にウィキペディアで確認してみたところ、ウルバンの巨砲は連続発射が出来なかったとか、オスマン艦隊がジェノヴァ艦隊に破れた結果、丸太のコロを使って艦隊を山越えさせるという奇策をとったとか、そういったあたりはスペクタクル的な見せ場という面も込みで着実に描かれている反面、それらに至るあらましといった部分が些か犠牲になっている感があり。ハギア・ソフィア大聖堂(アヤ・ソフィア)で迎えるエンディングも、舞台設定や絵的な魅力は十分ながらも、もうちょっと余韻が欲しかった。

 人間ドラマの方は、メフメト2世とコンスタンティノス11世のパートは、やはりキャラクターとして自由に動かせる制約的なものがあるのか、またセリフ等に専門的な要素が多く、私の語学力ではちょっと追い切れない部分もあったせいか、生き生きというには少し物足りなさがあったんですが、ハサンとエラとジョヴァンニのパートに関しては、これはもう痛快娯楽時代活劇といった感じの判りやすさで、もうタップリ楽しめました。オマケに、ハサンもジョヴァンニも実にカッコ良い(笑)。
 ただこの二人、髪型といいヒゲといい衣装の色といい、実に良く似た外見で、慣れるまで見分けがつかなくて大変だったんですが(笑)、これはおそらくヒロインを挟んで相似形の対称関係ということで、意識して似せているんでしょうね。でないとここまで紛らわしくする理由はないし。因みに、こっちがハサンで、
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こっちがジョヴァンニ。
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 セミヌードなのは単に私の趣味(笑)。
 この二人もなかなかマッチョなんですが、他にも、ウチの相棒が大胸筋に興奮していたこのキャラとか、
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きっと全員ヤールギュレシ(トルコ国技のオイルレスリング)の選手なんじゃないかというこの連中とか、
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マッチョやヒゲといった目の保養もあれこれあり(笑)。
 ともあれ前述したように、全体を通して物量感はバッチリですし、衣装やセットも文句なしのハイ・クオリティなので、史劇好きだったらそれらを見ているだけでも目の御馳走。それに加えて、ダイナミックなストーリーと、魅力的な役者たちによる良く立ったキャラ……と、スペクタクル史劇的な醍醐味はタップリと堪能できます。
 題材に興味を惹かれた人なら、まず見て損はない一本だと思うので、日本盤DVD発売を切に希望。

「映画秘宝EX 最強アクション・ムービー決定戦」

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 本日発売のムック『映画秘宝EX 最強アクション・ムービー決定戦 〜筋肉と爆発のチャンピオンまつり〜」に、80年代以降のソードアクション映画(……の主にマッチョ系)について、ちょいと文章を書かせていただいております。
 混ぜていただけて感謝! ^^
 で、このムックなんですが、とても21世紀の映画本とは思えない暑苦しい表紙イメージ(褒め言葉です)の通り、中身の方も、写真図版といい可読性の限界まで詰め込まれた文字レイアウトといい、何とも素晴らしく暑苦しい(繰り返しますが褒めています)。
 日ごろ暑苦しい男を専門に描いている私が言うんだから、これはもう間違いなし(笑)。それぞれの書き手さんたちによる、愛と熱意と変な汁がギッチリ詰まったって感じの本で、熱気ムンムン。
 どのページ捲っても、「筋肉と爆発のチャンピオンまつり」という副題に相応しく、ひたすら過剰なパワーで押しまくり。図版は眉顰めて凄みを効かせたアクションスターばっかだし、テキストの情報量もスゴくて全部読むにはけっこう時間がかかりそう。
 というわけで大いに読み応えがあって秋の夜長の友としてバッチリ、少し肌寒くなってきた今の季節にもピッタリなので(そうか?)、宜しかったら是非お読みくださいませ。

映画秘宝EX最強アクション・ムービー決定戦 (洋泉社MOOK) 映画秘宝EX最強アクション・ムービー決定戦 (洋泉社MOOK)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-11-01

シドニーの企画展に新作2点出展します

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 11月1日〜7日まで、オーストラリアはシドニーのギャラリーMe & Art Galleryで開催される企画展、“The Boys Of Summer”に新作ドローイング2点を出展します。
 2点とも、耳付きの和紙(楮紙)に筆と墨でドローイングした後、朱墨・金墨汁・銀色筆ペンで部分彩色したもので、ちょっと面白い味が出た感じがして、自分でもけっこう気に入っております。
 額装もいつものデッサン額+窓開けマットではなく、写真用のアクリルフレームを使ってみました。
 アクリル板2枚で作品を挟み込むタイプなので、和紙の耳部分まで見え、かつ余白部分は透明で後ろの壁面が透けて見えるので、これまたけっこう良い感じになったような。
 というわけで、もしお近くの方がいらっしゃいましたら、是非足をお運びくださいませ。
 詳細情報はこちら(英文)。
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映画『人狼村 史上最悪の田舎』&トークイベントのご案内

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 明日10月27日(土)から11月2日(金)まで、シアターN渋谷にて、松竹株式会社・映像商品部提供による映画上映イベント「シッチェス映画祭 ファンタスティックセレクション」が開催されます。
 世界最古&最大のスペインのファンタスティック映画祭から、より抜きの作品6本が日本初上映。
◎公式サイト→www.shochiku.co.jp/sitgesfanta/
(大阪と名古屋でも開催、詳細は公式サイト参照のこと)
 このイベントでは、映画上映に加えてトークイベントなどもございまして、つきましては私どういうご縁か、その中の一本であるスペイン映画『人狼村 史上最悪の田舎』のトークイベントに出演させていただくことになりました。10月30日(火)、18:30から。
 映画の内容は、スペインの田舎の閉鎖的な村で、青年たちが人狼騒動に巻き込まれるというアクション・ホラー・コメディー。
 個人的な《推し》ポイントは、
(1)主演のボンクラ男三人組
(2)ヨーロッパのホラー映画だけあって、映像や美術のクラシカルなムードが上々
(3)でも、ブラックユーモアやしょーもない下ネタにも事欠かず
(4)ボンクラやオッサンやババァは出てきても、イケメンや若い美女は一人も出てこないという潔さ
(5)どう見ても作り手はオタク系
(6)犬が可愛い!
……ってな感じでしょうか。
 ファンタスティック映画好きなら気楽に楽しめる一本かと。
《予告編》

 よろしければ、他作品の上映&イベント共々、ぜひ足をお運びくださいませ。
◎全ての上映&トークショーのスケジュール一覧→www.shochiku.co.jp/sitgesfanta/lineup.html

お待たせしました『銀の華 <復刻版>』全三巻発売です

 お待たせしました、『銀の華 <復刻版>』全三巻、本日取次に搬入されるので、早いところで今週末から遅くても来週前半には、全国の書店&ネット書店で発売されます。ポット出版直販では既に販売中、ゲイショップにも昨日搬入されたとのこと。
 ポット出版に予約くださった方には、一昨日夜に発送とのことですので、昨日から明日にかけて順次お手元に届くかと思います。

【外函】
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【本体表紙】
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【書誌データ】
『男女郎苦界草紙 銀の華 上 【復刻版】』
田亀源五郎
希望小売価格:2,500円 + 税 (この商品は非再販商品です)
ISBN978-4-7808-0186-6 C0979
A5判 / 292ページ /函入り
発行:ポット出版
『男女郎苦界草紙 銀の華 中 【復刻版】』
田亀源五郎
希望小売価格:2,500円 + 税 (この商品は非再販商品です)
ISBN978-4-7808-0187-3 C0979
A5判 / 308ページ /函入り
発行:ポット出版
『男女郎苦界草紙 銀の華 下 【復刻版】』
田亀源五郎
希望小売価格:2,500円 + 税 (この商品は非再販商品です)
ISBN978-4-7808-0188-0 C0979
A5判 / 308ページ /函入り
発行:ポット出版

*全巻購入者には特典小冊子『「銀の華」単行本未収録図画集』(非売品)をプレゼント!
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【あらすじ(出版社による紹介文)】
 時は明治39年、春。日本橋「月島屋」の主人、月島銀次郎は株でひと財産を築き、浅草、新吉原の遊郭で金にものを言わせて派手に遊んでいた。
 しかし一年後、株の暴落とともに財産を失った銀次郎は借金を帳消しにしてもらう代わりに、「金華楼」という廓の用心棒となることとなる。
 が、銀次郎に与えられた本当の役職とは、「男女郎」だった。銀次郎に科せられる数多の責め苦。やがて銀次郎は身も心も女郎へと堕ちていく──。
 田亀源五郎の原点。男女郎が受ける責め地獄を描いたゲイ・SMコミック傑作長編を復刻!!

【内容サンプル】
 スライドショーを用意しました。こちら

【概要】
 1994年から99年にかけて、ゲイ雑誌「バディ」で連載した、総計900ページ近くに及ぶ長編大河ドラマです。私にとって、専業作家になってから初の連載ということもあり、当時の自分の全身全霊を傾けた、極めて思い入れの深い作品です。
 2001年から02年にかけて、ジープロジェクトから全三巻で単行本化、直販店のみで販売され、完売後は絶版状態となり長らく入手困難だった単行本が、ポット出版から完全復刻。
 全巻購入者には特典小冊子『「銀の華」未収録図画集』を無料進呈。

【特典小冊子の入手法】
◎書店、ネット書店、ゲイショップでお求めの方
 単行本にはそれぞれチラシ(下の画像参照)が1枚ずつ封入されています。応募券(右下方の赤い三角形)3枚をを切り取って葉書に貼り、ポット出版までお申し込みください。送料無料。
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◎ポット出版へ三巻同時に直接ご注文の方
 本と一緒にお送りします。
*特典小冊子プレゼントは、在庫がなくなり次第終了となります。

【旧版と復刻版の異同について】
◎ページ構成
 基本的に、旧版と復刻版は同じように分冊されています。よって仮に「旧版の上中巻は持っているが下巻を買いそびれていたた」という場合、旧版中巻の続きがそのまま復刻版下巻となります。
◎内容の異同
 旧版収録の原稿は《カラー口絵》や《扉絵コレクション》を含めて、基本的に全て復刻版にも収録されています。
 例外的に、旧版のカバーを外した本体表紙に載っていた《アイデアスケッチ》は、復刻版本体には未収録となりますが、全三巻お買い上げの方への特典小冊子『「銀の華」未収録図画集』に、その他のスケッチ等と一緒に収録されています。
◎復刻版で増えるコンテンツ
 復刻版の本体裏表紙には、旧版には未収録のカラーイラストが載っています。上中下巻それぞれ1点ずつの、計3点。1点は雑誌に既発表のもの、もう1点は雑誌に既発表のものに加筆訂正を加えたもの、最後の1点は描きおろしの新作です。
 更に復刻版には、旧版のあとがきに加えて、復刻版用あとがきが追加収録されます。
◎修正方法の変更
 基本的にマンガ本文は、オリジナルが輪郭線のみ&白抜き処理なので、特に修正方法は変わっていません。
 ただし、本編の一部(銀次郎の悪夢のシーンなど)、および扉絵、カラー口絵などは、旧版の黒マジックによる全面ジグザグ処理から、ポット出版から既刊の拙マンガ単行本同様の、図像の一部のみを白棒で隠す処理へと変わっています。
◎全巻購入特典小冊子の中身
 上中下全巻購入いただいた方には、特典小冊子『銀の華/単行本未収録図画集』のプレゼントがあります。
 内容はアイデア・スケッチ、関連イラスト、休載広告などで、特に最初期のアイデア・スケッチは、雑誌でもウェブでも完全に未発表のものです。