イタリアのボローニャでイベント参加・個展・サイン会などやります

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 5月末から6月頭にかけて、イタリアのボローニャへ行き、ボローニャ大学で毎年開催されている日本文化のイベントNipPopにゲストとして参加する他、ギャラリーでの作品展示、ゲイ書店でのサイン会などを行います。
 また、『冬の番屋』のイタリア語版単行本、”L’inverno del pescatore”も同時期に発売予定。
 これらについて、現時点で私の手元に届いている情報は少ないんですが、とりあえず判っているものだけでもお知らせします。なにしろ、もう出発が間際に迫っているもんで……(笑)。

《作品展示》
オープニング:5月29日 18:00〜
場所:ONO ARTE(ギャラリー)
Address: via santa margherita 10 I 40123 bologna
Tel. +39 051 262465
Website: http://onoarte.com/
(会期がいつまでかという連絡は未だなし。サイトにもまだ情報がアップされていません)

《出版イベントとサイン会》
6月6日 18:30〜
場所:IGOR Libreria(LGBT書店)
Address: Via San Petronio Vecchio 3 – 40125 Bologna, Italy
Tel. +39 051 229466
Facebook page: https://www.facebook.com/igor.thegaybookshop

《サイン会》
6月6日 23:00〜01:00
Feed the bears(ボローニャで毎月開催されているベアイベントだそうです)
Facebook page: https://www.facebook.com/FeedTheBearsBologna

《ワークショップ》
6月7日 10:00〜
前述のNipPop会場で、マンガ制作に関するワークショップを、マンガ家の市口桂子さんと一緒に行う予定。おそらく内容は、ゲイやエロティック・アートに特化せずに、一般的なマンガ制作の話とかになるのではと予想。
Website: http://www.nippop.it/

 現時点で判っているのはこの程度ですが、もし近在の方がいらっしゃいましたら、どうかお気軽にお立ち寄りくださいませ!

パリ開催・現代日本のエロティックアート展 Vol.2に参加させていただきます

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 5月22日から始まる、ヴァニラ画廊企画・フランスはパリのエロティック博物館(Musee de l’Erotisme)で開催される企画展、現代日本のエロティックアート展 Vol.2(Japon Erotica: La Nouvelle Generation Vol.2)に、作品数点を出品します。
 同展は、現代日本の様々なアーティスト、総勢32名によるエロティックアート作品を展示する内容で、私もその末席に加えていただいた次第。出品作家リストは、以下になります。

朝倉景龍/荒井良/稲垣征次/沖渉二/笠間しろう/カネオヤサチコ/鏡堂みやび/クロダミサト/小宮山逢邦/小山哲生/Saeborg(サエボーグ)/沙村広明/真珠子/須川まきこ/空山基/多賀新/田亀源五郎/たま/所伸一/中田柾志/野口由里子/林良文/春川ナミオ/泥方陽菜/ぴんから体操/福山フキオ/前田寿安/水元正也/宮西計三/室井亜砂二/森馨/山下昇平(五十音順・敬称略)

 会期は、2014年5月22日〜10月30日。エロティック博物館の場所等は、同博物館のサイトをご覧ください。こちら
 展示期間が比較的長めなので、パリにお住まいでなくても、会期中に旅行やお仕事等で同地を訪れる機会のある方もいらっしゃるかと思います。その際は、ぜひお立ち寄りください。

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 また、同展の図録も出来上がっており、先日手元に届きました。
 日本国内での印刷のため、残念ながら外性器描写がある作品については、該当部分にマスクが被っていたり、そこを避けたトリミングでの収録となっていますが、カタログ自体は大判のフルカラー、様々なアーティストの美麗で個性的なエロティックアートの数々を、存分にご堪能いただけるかと思います。
 こちらの図録は、おそらく現地での販売の他、銀座にあるヴァニラ画廊さんでも取り扱っていると思います。サイトからの通販もできますので、よろしかったらお買い求めください。
 詳しくはヴァニラ画廊のサイトで。こちら

ちょっと宣伝、『奴隷調教合宿』第九話掲載です

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 5月21日発売「バディ」7月号に、マンガ『奴隷調教合宿』第9話掲載です。
 昨日、手元に見本誌が届いたので、おそらく直販のゲイショップでは、もう店頭に並んでいる頃かと。
 元々が「若めのハンサム系キャラで、ガッツリSMやってる長めの話って、そういえば描いたことないなぁ」ってな発想で始めた話なので、内容もタイトル通りストレートアヘッドなSM調教もの。
 前作『転落の契約』(6/17発売の新単行本『エンドレス・ゲーム』に収録)が、プレイの舞台がほぼ焼肉屋店内と固定されていたので、大仕掛けな責め具だの凝った道具だのをあまり出せなかった(リアリティという要因で)反動で、この『奴隷調教合宿』では割とそこいらへんにポイントを置いた展開が多かったですが、そろそろ幕引きへの助走ということもあって、今回は行為自体はちょっと地味目かも。
 で、最終ページにも書いてありますが、来月号は一回お休みさせていただいて、連載再開は7月発売の9月号からになります。
 引き続きよろしくお付き合い下さいませ。
[amazonjs asin=”B00K1J5IVG” locale=”JP” title=”Badi (バディ) 2014年 07月号 雑誌”]

新マンガ単行本『エンドレス・ゲーム』、6月17日発売です

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 お待たせしました、新しいマンガ単行本『エンドレス・ゲーム』が、6月17日にポット出版さんから発売になります。
 ただいまポット出版のサイトで予約受付中。先着50名様にはサイン本のサービスもあります。送料無料。
 お申し込みは、以下のリンクからどうぞ。
田亀源五郎新作短編集『エンドレス・ゲーム』サイン本予約開始のお知らせ

《版元紹介文とスペック》

ゲイ・コミックの巨匠にして、世界的なゲイ・エロティック・アーティストである田亀源五郎短編集第五弾。
理想の男性・ケンジに導かれ、自らの快楽を追及していく青年・アキラの物語「エンドレス・ゲーム」。
ホモのサディストに愛人として調教される元プロレスラー・玄龍二郎を描いた「転落の契約」。
中編二作品を収録。
雑誌『バディ』連載をいずれも加筆修正して単行本化。
書き下ろしの「あとがき」も収録しました。
著●田亀源五郎
希望小売価格●2,400円+税
ISBN978-4-7808-0207-8 C0979
A5判 / 256ページ /並製・函入
[2014年6月17日刊行予定]

 というわけで収録作品は、バディで連載して昨年冬には英語版単行本が先立って出版された「エンドレス・ゲーム」と、同じくバディ連載の「転落の契約」の2作。

「エンドレス・ゲーム」
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「転落の契約」
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*サンプル画像はブログ用にモザイク処理ましたが、実際はいつものポット出版からの単行本と同じ白い細棒タイプの修正です。
 
 まだアマゾン等のカタログには入っていないようですが、前の単行本『冬の番屋/長持の中』同様にアダルトコミック扱いなので、以前よりも販路が限定されると思います。ご注意ください。
 ともあれ、サイン本希望の方は早めにご予約を!

ベルリン個展が「芸術新潮」で紹介されました

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 現在発売中の雑誌「芸術新潮」5月号の、海外のアートニュースのコーナーで、拙ベルリン個展の紹介記事が載りました。
 いや〜、それこそ昔から、特集記事に興味があったりすると、ちょくちょく購入していた愛読誌の一つなので、こうして自分の個展の記事が載るとは、何とも嬉しい限り。
 記事を書いてくださった方とも、先日ベルリンでお会いして、いろいろと興味深いお話しを伺うことができました。
 というわけで、よろしかったら是非お買い求めくださいませ。
[amazonjs asin=”B00JDPMFTW” locale=”JP” title=”芸術新潮 2014年 05月号 雑誌”]

ちょっと宣伝、『奴隷調教合宿』第八話掲載です

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 告知が遅れましたが、4/21発売の「バディ」6月号に、集中連載『奴隷調教合宿』第八話が掲載されています。
 いつものように、ゲイSMエロマンガ路線一直線ですが、今回は《畳み掛け》のエピソード回。大ゴマ連打で、ちょっとした責め絵画集みたいにもお楽しみいただけるかと。
 というわけで、よろしかったら是非お買い求めくださいませ。
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無事帰国

 ベルリンから無事帰国しました。
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 個展は無事終了。急なスケジュールな変更などもあり、ほとんど在廊できませんでしたが、それでも幾つか、面白い出会いあり、取材あり。

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 サイン会も無事終了。書店も出版社も、当初の想像以上の集客だったと喜んでくれたので、おそらく成功といって良いかと。上の写真は、書店前のポスターとショーウィンドウ。
 時期的にイースター(ベルリン・レザー・ウィークエンド)だったこともあり、かつてフランスの個展等で会った方々とも、何名か再会。色んな方が来てくれましたが、一人ものすごくタイプの大男がいまして、もう惚れ惚れと顔や身体を眺めてしまったくらい。イベントを手伝ってくれていた女性書店員も「絵から抜け出したみたい!」と驚いたほど。
 そしてこの女性が差し入れてくれた、近所のアイスクリーム屋のアイスが激ウマ! なんかミルクとジンジャーが入ったやつと、酸味のあるベリー系のやつの二段重ねだったんですが、さっぱりめなんだけど実に美味しかった。特にジンジャーが絶品!

 サイン会をやった、このPrinz Eisenherzという書店なんですが、何でも去年この場所に引っ越したばかりとのことで、明るくてクリーンでスペースはゆったりとしていて、奥にはギャラリー・スペースもある、とても素敵なお店でした。なんでも歴史は古く、おそらくヨーロッパで一番古いゲイ・ブック・ストアだとのこと。
 サイン会に来てくれた人の中には、例によって自分の蔵書を持って来てくれた方もいて、今回出た”Endless Game”や”Gunji”の他にも、日本語版やフランス語版単行本にもサインしました。中でも個人的に印象的だったのが、ベルリンのゲイ・ミュージアム、Schwules Museumのスタッフが、同館所蔵の拙単行本二冊、『嬲り者』と『柔術教師』にサインを入れて欲しいとやってきました。
 そうそう、会場に来られなかった方たちのための、お取り置き分へのサインというのもあって、今回のサイン会を知って、わざわざカナダから注文してくれた方もいたりして、ありがたい限りであります。

 ベルリン滞在中、大小あれこれミーティングなどがあったので、フルのオフ日はなく、結果観光などはあまりできず。とはいえ、昨年に主だったところはだいたい廻っていたので、それもさほど苦ではなし。
 前回行きそびれていた場所では、前述のSchwules Museum(ゲイ・ミュージアム)に、今回は行くことができました。すると、以前からネット等の情報で気になっていた、19世紀末に同性愛を公言しながら社会的なステータスも得ていたドイツの画家、サシャ・シュナイダーの展覧会をやっていたので大喜び。
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 売店には、以前探したときにはなかった画集などもあったので、これもホクホクして購入。
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 展覧会自体は、どうやらニューヨークのレスリー・ローハン・ゲイ・ミュージアムから廻ってきたらしく、ベルリンでは6/30まで開催。貴重な機会だと思うので、期間中に在ベルリンの方は是非どうぞ。ペインティングやドローイングといったオリジナルはもちろんのこと、複製された挿絵作品の精緻なウッド・エングレーヴィング(木口木版。ギュスターヴ・ドレの『神曲』などと同じ技術です)にも眼を奪われること必至。

 Bruno Gmünderから出た二冊の英語版単行本の方は、おかげさまで売れ行きも良いらしく、特に去年の暮れに出た”Endless Game”の方は、同社にとって日本のゲイマンガの翻訳出版は初めてだったということもあり、比較的おさえた初版部数だったんですが、発売一ヶ月で売り切れて第二版を刷ったそうな。
 まだ実際に本が出ていなかった去年のミーティング時よりも、今回はより良い手応えといった感じがあり、今後のあれこれなどについても色々と打ち合わせしてきました。果たして何がどれだけ実現するかは判りませんが、上手くいったら色々と面白いご報告ができそうです。
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 上の写真は、同系列のゲイ・ショップBrunosの店頭にあるブルーノベアと、お店のショーウィンドウ。二枚目の写真で私と一緒に移っているのは、Bruno Gmünderアートブック部門チーフエディターのミーシャ。

 後は、以前からメールやFacebookでコンタクトがあった、ベルリン在住のフェティッシュ系の写真家ユーリ・リヒターと会って、とても良い時間を過ごせたとか、ちょうど滞在中にオープニングがあった春川ナミオさんの個展に行ったとか、そのオープニング会場で私をナミオ先生だと勘違いしたお嬢さんがいたとか、そのギャラリー・オーナーからマヴァド・シャロンのジンを貰って大喜びしたとか、
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 ちょうどベルリンで大規模なアイウェイウェイ(艾未未)の展覧会をやっていたせいで、街中でアイ・ウェイウェイと勘違いされたり(しかも二回)、私のサイン会ポスターにデカデカと顔が出ていたせいか、駅やらバスの中やら道端やらでいきなり見知らぬ人から「田亀源五郎さんですか?」と声を掛けられたり(計三回)、色々と楽しい体験がありました。
 そこいらへんはツイッターであれこれ呟いていたので、興味のある方はそちらでご確認を(笑)。

ベルリンでサイン会&個展最終日に在廊します→最終日が変更、在廊は中止

ベルリン個展、最終日は4/20とアナウンスされていましたが、今日(4/20・木)ギャラリーオーナーから急に「最終日は土曜日(4/19)、日曜(4/20)はギャラリーは閉じる」と言われました。というわけで、最終日が4/19の土曜日に変更、そしてその日はサイン会とバッティングしているので、残念ながら私は在廊できません。急な変更で申し訳ありませんが、私自身とまどっております。
【ベルリン個展】
・3月7日〜4月20日(最終日に在廊予定)
xavierlaboulbenne galleryにて
  Schoenleinstrasse 5 10967 Berlin
・オープニングは3月7日(金) 18:00〜21:00 <詳細>
・期間中、画廊のオープンは毎週火曜日〜土曜日、午後2時〜6時となります。
【ベルリンでのサイン会】
・4月19日(土) 15:00〜17:00
Eisenhertzにて
 Motzstr. 23, 10777 Berlin

大きな地図で見る
・Facebookのイベントページ:https://www.facebook.com/events/1429217567317220/

“Interior. Leather Bar.” (2013) James Franco, Travis Mathews

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“Interior. Leather Bar.” (2013) James Franco, Travis Mathews
(イギリス盤DVDで鑑賞→amazon.co.uk

 2013年のアメリカ製ゲイ映画。
 ハリウッド男優ジェームズ・フランコと、“I Want Your Love”のトラヴィス・マシューズが共同監督した、1980年の映画『クルージング』(ウィリアム・フリードキン監督/アル・パチーノ主演)からカットされた、40分のゲイ・セックス場面を描いたフッテージを想像再現した作品……という触れ込みだったけど……。

 実際には、その再現作業に関わった人々の反応を通じて、何かの化学変化が起こることを期待した系のコンセプチュアルな作品でした。
 で、結論。
 トゥー・マッチ・コンセプチュアル。そして化学変化は起こらず。
 あら残念 。
 コンセプト的な意図は良く判ります。
 具体的に言うと、まず、何故本作を作ろうとしたかという動機部分に関わる、映像作品におけるゲイ・セックス表現に対する規制への問題提起。
 次に、30年以上前の映画のロスト・フッテージを、現代の作家が再構築したときに見えてくるであろう何か。
 そして、ゲイ・セックスの只中に放り込まれたメイン男優の反応を追うことで、『クルージング』という映画の中でアル・パチーノが演じた役柄との共通点が浮かびあがったり、共鳴効果が起こることへの期待。
 そういったコンセプチュアルな意図は、実に明解な作品です。ただし残念ながら、その結果があまり面白いものではなかった……ということ。
 唯一の例外は、映画内映画として提示される再現部分の映像表現。
 おそらくここがトラヴィス・マシューズの担当部分だと思うんですが、これは実にセンシュアルで素晴らしい出来映え。
 ただ残念ながら、その部分の尺は合計しても10分程度しかなく、後は延々、映画のメイキングのようなインタビュー映像とか、主演男優の心の揺れを追ったドキュメンタリーのようなものが続き、そしてそっちが決定的に面白くない。

 というわけで、個人的にはコンセプト倒れの失敗作という印象ですが、コンセプトそのものを楽しむコンテンポラリー・アート的な視点で見れば、ひょっとしたら楽しめる方もいらっしゃるかも知れません。私の口には合わなかったけど。
 でも、もしコンセプトが全て取っ払われて、想像再現部分だけの短編だったら、私は絶賛していたと思います。そのくらい、セックス場面は魅力的。描写が赤裸々なために、残念ながら予告編の中ではその部分は殆ど出てきませんけど……。

“Hawaii” (2013) Marco Berger

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“Hawaii” (2013) Marco Berger
(アメリカ盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2013年のアルゼンチン製ゲイ映画。
 再会した幼なじみが互いに惹かれつつも、相手の気持ちが掴めないために一歩を踏み出せないという一夏の光景を、穏やかなムードで詩情豊かに描いた作品。

 身寄りをなくした青年マルティンは、子供の頃に暮らしたアルゼンチンの田舎町にやってくるが、そこでも知己は既におらず、野宿をしながら様々な家の手伝いをして、その日の食事と現金を得ている。そんなマルティンが、ある日仕事を求めて尋ねた家は、彼が幼い頃に遊びに来た事があるエウヘニオの家だった。
 エウヘニオもそのことを思い出し、マルティンは野宿のことは隠したまま、夏の間エウヘニオの家を修理する仕事を得る。マルティンに惹かれたエウヘニオは、シャワーを勧めたり泳ぎにさそったりするが、彼の裸身を覗き見るのが精一杯で、そこから先へは踏み出せない。
 そんな中、マルティンの野宿の嘘がばれ、エウヘニオは彼を納屋に住まわせることにする。共に暮らしながら、二人は互いに自分でも忘れていた幼い日のことを思い出し、親しさを増していく。
 そしてエウヘニオ同様、マルティンもまた相手のことを意識するのだが、二人の関係は友人以上にはなかなか進展することがなく……といった内容。

 これは秀逸な一本。
 内容的には、これといったドラマ的な起伏があるわけではなく、相手のことが気になるけれど何か行動を起こすことはできず、それも友人的に良い関係性にあるから尚更……といった微細な空気感を、ディテール描写を重ねて描いていくというもの。
 クローズドなゲイ・コミュニティ以外で出会った、同性の誰かに惹かれたとき、まず相手がゲイであるかどうかが判らないが故に、気にはなるんだけれど踏み出せない気持ち。こういった感覚は、私自身も含めて、おそらく多くのゲイにとって、一度は身に覚えがあることなのでは。
 そういった、身近ですごく良く判る感覚にフォーカスを当て、それを丁寧に描き出すこと、それがゲイ映画としてのテーマになり得るという発見に、大きな拍手。
 映画としても良い出来で、空気感のある柔らかで美麗な映像、夏の気怠さを思わせるような穏やかなムード、着替えや午睡といった場面で下着越しの股間を捉えるようなセンシュアルな画面……と、全体がとても静かで、心地よい雰囲気。
 テンポは一貫してゆっくりしているものの、そこには前述したような「相手のセクシュアリティや気持ちが判らない」ことによる、軽い緊張感も同時に漂っているために、ゆったりすぎて弛緩することもない。
 全体的に少なめの会話場面も、その内容は日常的なものや想い出話であって、変にフィクショナルな心情吐露とかではない、そんなリアリズムも佳良。
 最初に思った、「アルゼンチン映画で、この内容で、何故タイトルが『ハワイ』?」という謎も、ラストにそれが軽い仕掛けとなって、ドラマの収束に作用するので納得。予定調和的な部分はありますが、それも雰囲気の良さで自然に乗せてくれる感じ。
 ガツンとくるフックには欠ける作品ですが、エンドクレジットにKickstarterのロゴがあったので、おそらくクラウドファンディングで作られたインディーズ映画なのでしょう。それでこの出来映えなら、これは充分以上に見事。

 美麗な画面と心地よい空気感で綴られる、ゲイならば誰にでも身に覚えがありそうな、ごくごく普通で当たり前の感覚。そんなリアルさを主体にしつつ、同時に詩情や甘美さも押さえ、寸止め系のさりげないエロス表現もプラス。
 テーマといい、クオリティといい、後味の良さといい、ゲイ映画好きなら、まず見て損はない一本です。

【追記】今年(2014年)の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で、上映あるそうです。
ハワイ|第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭