『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』刊行記念イベント、明日から予約受付開始です

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 先日ここでお知らせした、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』発売記念・原画展&トークショー&フィルム上映イベントですが、有料&定員制のトークショーとフィルム上映の予約が、明日11:00から受付開始します。
 タイム・スケジュール等、イベントの詳細、および予約はポット出版の該当ページからどうぞ。
 会場およびプログラムの詳細については、アップリンク・ファクトリーの該当ページもご参照ください。
 トークショーに関しては、前回お知らせした通りです。

 ただ、フィルム上映は、当初は日本のものを一本と、アメリカのゲイ・ポルノ映画も一本上映したいと思っていたのですが、やはり洋モノは、局部描写等セクシャルな描写に関して難しい問題があり、残念ながら断念せざるをえませんでした。
 できればこの機会に、私が個人的に敬愛している、アメリカ・ゲイ・ポルノ映画の伝説的カルト監督、Joe Gageの作品を、どれか一本紹介したかったんですけどね。個人的には、初期三部作の中の一本で、アメリカン・ニュー・シネマ系のロードムービー的な魅力もある、”El Paso Wrecking Corp” (1977) を候補として考えていました。
 モザイクを入れての上映という案もあったのですが、Joe Gageの作品は、とにかく「性行為をいかにエロティックにフィルムに定着させるか」に徹しているので、修正を入れてしまうと、ナニガナンダカワカンナイ部分が殆どになってしまうことと、同時に作品的な真価が全く伝わらなくなってしまうだろうということで、涙をのんであきらめた次第です。リスクも大きいしね。
 エロティック・アート関係に係わっていると、とにかくこの性器の露出やら性行為の直接描写といった、日本の法律の壁にブチ当たります。いいかげん、ウンザリ。
 しかし、そのかわりといってはなんですが、上映する日本製ゲイ・ポルノ映画(二本に増えました)に関しては、なかなか面白い充実したラインナップになりました。

 まずは小手調べ、『巨根伝説・美しき謎』(1983)監督:中村幻児。
 俗に「薔薇族映画」の呼称で知られる、上野や梅田の専門映画館で上映されているゲイ・ピンク映画の、黎明期に制作された力作かつ怪作です。
 三島由紀夫の自決事件や「楯の会」をパロディにした内容なんですが、黎明期ということもあってスタッフにゲイが一人もいないのか、「ノンケさんが考えた勘違いゲイ描写」が、全編に渡って炸裂。バック掘られながらオネエ言葉で熱演する大杉蓮さんとか、紙吹雪舞い散る中で集団切腹ごっこする褌男たちとか、見どころ(ツッコミどころとも言うが)いっぱい! ……とはいえ、ロッテルダム国際映画祭正式招聘作品でもあるんですけど(笑)。
 ゲイでもヘテロでも楽しめますが、キワモノ好きの方には特にオススメしたい逸品。目くじらたてずに、ツッコミ入れながら明るく楽しく鑑賞しましょう。

 もう一本は真打ち、『愛の処刑』(1983)監督:野上正義。
 これも「薔薇族映画」の一本ですが、こっちは実際に伊藤文學先生のお名前も制作クレジットに入っています。
 内容は、もう知る人ぞ知る……って感じですが、ゲイ雑誌誕生前夜、同好の士に向けて出されていた同性愛者向け会員誌に発表された、某文豪の匿名による作と伝わる、同性愛と切腹を描いた、日本のゲイ史上に残る伝説的地下文学の完全映画化。内容的には、取り組んだ原作が巨大過ぎるがゆえに、頑張っている部分もあり、力及ばずの部分もあり、といった感じですが、往年の日本映画を彷彿とさせる雰囲気自体は、決して悪くないです。
 諸般の事情から、めったに見る機会がない幻の映画なので、ヘテロもゲイも関係なく、とにかく「この映画を見る」ということ自体が貴重な体験になると思います。また、日本のゲイ文化史を俯瞰するにあたって、日本でもかつては即物的なゲイAVだけではなく、こういったフィルムが制作されていたこともあったのだという、そんな時代的な意義も体感できると思います。

 あ、もちろん前座の『Desert Dungeon』(2006)監督:田亀源五郎もよろしく(笑)。
 一人の作家が趣味にあかせて、こんなバカなものをマジメに作ってるんだ……ってなことで。
 ご予約&ご参加、お待ちしております。