カテゴリー別アーカイブ: SM&拷問

“Sculpture”

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“Sculpture” (2009) Pete Jacelone
(アメリカ盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2009年製作のアメリカ映画。ボディビル・ジムのインストラクターが次々に殺されていくC級スプラッター映画。
 因みにIMDbの点数は堂々の2.9/10.0点……だけど、米アマゾンのユーザーレビューは星4つ半だったり(笑)。

 主人公は新進女性アーティスト。
 プロのボディビルダーだった父の死を切っ掛けに、長らく距離を置いていた実家に戻り、残された兄と二人で父の残したボディビル・ジムの経営を手伝うことになるのだが、子供時代の恐ろしい体験のトラウマに悩まされる。
 そんな中、アートディーラーから個展の誘いがあり、彼女はジムのインストラクターの一人にモデルを頼むのだが、それを彼女を溺愛する兄に見咎められ、それがきっかけでトラウマが暴走。やがて血まみれの惨劇が……といった内容。

 え〜、謎解きなし、サスペンスなし。ストーリーも予告編を見て「こんな話だろうな〜」って想像したそのまんまで意外性はゼロ。……だってあーた、新進アーティストがオカしくなって、ボディビルダーを次々殺していくC級スプラッターで、タイトルが『彫刻』っていったら、もうオチまで判ったでしょ?(笑)
 ところが逆に言うと、要素が殺されるマッチョを見せるという一点、およびその前戯となるセクシー場面だけに絞られていて、そういう意味ではなかなか潔い作品でした。低予算なのでスプラッター場面も大したことはありませんが、見せ物的な感覚自体は悪くないので、悪ノリも含めてグランギニョール的にはけっこう楽しめます。
 そんなこんなで、まぁこっちのスケベ心も手伝ってのことなんですが、鼻クソほじりながらも、けっこう楽しく見られちゃいました(笑)。だってなにしろ、殺されるのがボディビル・ジムのインストラクターだけで、しかも色仕掛け付きということもあって、何のかんので脱ぎっぷりもいいし(笑)。
 売り手側も、どういう層がDVDを買うかは判っているようで、映像特典にはお決まりのメイキングや予告編以外に、出演ビルダーたちが下着姿でポージングするクリップなんてのが入ってます(笑)。
 しかしヒロインの顔と体型は、もうちょい何とかならんかったのか……。

 というわけで、スプラッター好きで、半裸のマッチョが殺されるのを見るのも好きという、私と同じ趣味をお持ちの方だったら、充分お楽しみいただけるかと。
 但し、出てくるボディビルダーの体型は、フィットネス・モデルからナチュラル・ボディビルくらいまで。ステロイド・モンスター系は出てきませんので、筋量命の方だと、けっこう食い足りないかも。
 まあ、演出とか脚本とか役者の演技とかは完全にアレなんですけど(笑)、予告編見て「おっ!」と思った方なら、迷わずオススメいたします。

“Frat House Massacre”

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“Frat House Massacre” (2008) Alex Pucci
(アメリカ盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2008年制作のスラッシャー映画。
 80年代のアメリカの学生寮を舞台に、血みどろ描写やディスコ音楽といった70年代後半〜80年代初頭の映画へのオマージュ+青年の裸満載という内容。

 80年代のアメリカ、とある大学のフラタニティ(友愛会)の寮では、馬鹿学生たちがパーティーやセックスやドラッグに明け暮れていた。
 そんな中でも特に、ΔΙΕフラタニティの代表でサディストのマークは、皆を率先して新入生たちに拷問のようなイジメをし、更にその後、内輪の数人だけで、その犠牲者を殺害していた。
 メンバーの一人で、その異常さについていけなくなったショーンは、マークたちの殺人をやめさせようとするが、逆に殺されてしまう。しかしショーンが殺された瞬間、事故でずっと昏睡状態だったショーンの弟、ボビーが目を覚ます。
 目覚めたボビーは、兄のいたフラタニティの寮に入るのだが……といった内容。

 ストーリーはけっこう面白いです。
 途中で一回ツイストが入って、話が意外な方向に転がっていったかと思うと、クライマックスでもうひとひねり入れてきたりして、アイデアや意外性を楽しめる感じ。
 演出も、さほど凡庸というわけではなく、所々凝った見せ方なども交えて悪くないし、昔のスラッシャー映画のオマージュらしく、血糊がドバドバ、特殊メイクもあちこち、殺しの外連味もそこそこあるのは佳良。
 でも同じオマージュでも、ディスコダンスの場面がけっこう長かったりするのは、正直ちょいとウザい感もあり。長すぎる日常描写も、ちょっとダレる。もうちょっと刈り込んでテンポを良くすれば、だいぶ違うだろうに……ちょっと惜しい感じがします。
 そういやジャンル映画オマージュらしく、《オリジナル音楽:クラウディオ・シモネッティ》なんてクレジットもあるんですが、これは正直、いったいどの音楽を書いたのよ、って感じでした(笑)。

 でもって、学生寮の話なのに女の子のオッパイとかはチラッとしか出て来なくて、そのかわり若いイケメンのヌードはイッパイ出てくるのは、これは監督の趣味なのかしらん(笑)。
 まあ、スラッシャー映画としては、特に悪くもなし特に良くもなしですけど、皆の前でパンツ一丁で縛られて辱められた後、パンツ降ろされて尻をパドリングとか、裸で猿轡されてベッドに縛られて、胸板をダーツの的にされるとか、そんなシーンはあちこちあるので、ソッチ系目当てなら、けっこう楽しめるかと。
 そこそこ身体もいい男の子たちが、次々と裸で拷問めいたイジメにあい、そしてそのまま惨殺……てなコンボが多いのは、私的には変態アンテナに反応するものがあって、けっこうお得感がありました。
 そーゆーのが好きな方だったら、一見の価値アリかも。

“72. Koğuş”

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“72. Koğuş” (2011) Murat Saraçoglu
(トルコ盤DVDで鑑賞、米アマゾンで購入可能→amazon.com

 2011年製作のトルコ映画。1940年代のトルコの監獄を舞台に、人間の尊厳について描いた内容で、同国の文豪だというオルハン・ケマルの小説『第72監房』(未読)の2度目の映画化だそうです。

 1940年代のトルコの監獄。
 囚人たちは食費等を自ら賄わねばならず、金のない囚人たちは飢えと寒さに震え、看守の投げ与える鶏の骨すら争って奪い合っている。そんな中、《キャプテン》と呼ばれる中年の囚人だけは、その争いに加わらず人としての誇りを守っている。
 そんなキャプテンの元に、ある日母親から150リラの金が届く。キャプテンはそれで同房の仲間に食事や衣服を買い与え、仲間たちも、ある者は感謝し、ある者は媚びへつらい、またある者はキャプテンをギャンブルに巻き込もうとする。
 そんな中、ファティマという女囚が他の監獄から移送され、その姿を垣間見たキャプテンは恋に落ちる。
 女囚たちは、男囚の衣服を洗うことで現金を得ており、自分を目に掛けてくれる男を取り合ったり、同房内での弱い者いじめなども横行しているが、ファティマはそういったことには関わり合いにならない。
 キャプテンは洗濯物を仲介する男に、ファティマに自分の思いを伝えてくれと、金を渡して頼む。やがてファティマから返事の恋文が届き、キャプテンは有頂天になるのだが、実はそれは仲介役の男が偽造したもので、キャプテンの思いはファティマには全く届いていなかった。
 仲介役がキャプテンを騙し、その持ち金をどんどん巻き上げていく一方、同房の男も、ファティマが金に困っていると嘘をつき、彼をギャンブルに誘うことに成功する。ツキもあって勝ち続けたキャプテンは、出所後にファティマと結婚して共に住む家を買おうと、ますますギャンブルにのめり込んでいく。
 一方のファティマは、同房の妊婦や聾唖の娘といった弱い者を庇いながら、しつこい男の誘いも拒み続けているのだが、ある晩、彼女の高潔さを快く思わない女たちに陥れられて、彼女に言い寄っていた老人に強姦されてしまい……といった内容。

 いや、これはキツい内容だった……。
 監獄という狭い空間を人間社会の縮図に見立てて、金銭や暴力によるヒエラルキー、それから生まれる支配/被支配の関係、飢えや金で歪められていく人間性、無実の者が死刑に処される理不尽さなどが、次々と抉りだされていきます。
 ストーリー的にも、ほんの僅かに救いはあるものの、基本的には勧善懲悪なんかとは無縁で、現実世界そのままの理不尽な悲劇が横行し、人間の醜さが、これでもかこれでもかと描かれます。結果、高潔であったはずの主人公の精神も崩壊していき、ラストなんかもう暗澹たる気持ちに……。
 映画としては、実にしっかりとした真面目な作りで、映像は実に美しく、演出も役者さんたちも文句なしのクオリティ。
 ただし、こういったテーマやストーリー自体の内容と比べると、ちょっと表現としてパワー不足なのは否めない。充分以上に佳良ではあるんですが、グイグイと巻き込んでいくような境地にまでは至らず。いささか逆説的ではありますが、前述した映像の美しさや端正さが、逆にテーマのわりにはパワー不足という印象に繋がってしまった感もあり。
 
 という感じで、ストーリー的には、鬱エピソードがテンコモリだわ救いも殆どないわ、テーマ的にも、ズッシリ鉛を呑み込んだような重さだわと、実に辛い内容ではあるんですが、でも面白いことも確かで、見応えはなかなかありました。

 ヨコシマ目線の追加情報。
 予告編でもラストの方にちょこっと出てきますが、ヒゲで毛深いオッサンたちの集団全裸責め場なんてのもゴザイマス。何でも、この撮影の余りの過酷さに、その後男優さんたちは寝込んでしまったそうで……。
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「映画秘宝」とか『スパルタカス』とか

 現在発売中の「映画秘宝」7月号で、小特集「海外ドラマ夏の陣! 今、本当に面白い最新ドラマはこれだ!」に、私、連続TVドラマ版『スパルタカス』について、文章を書かせていただいております。あと、巻末の近況欄にもちびっと。
 よろしかったら是非お買い求めくださいませ。

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価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2012-05-21

 このTVドラマ版『スパルタカス』、記事にも書いたようにエログロ度がハンパないんですが、ゲイ目線でもうちょい追補しておきませう。
 まずとにかく、メインの登場人物が奴隷剣闘士なので、基本的にマッチョばっか、加えて常に半裸。更に全裸シーンもふんだんにあり、逞しいケツはおろかナニも丸出しに。
 同性愛要素&描写もしっかりあり、男同士のラブはもちろん、ガンガン肛門性交するシーンまで登場。
 責め場も盛り沢山で、鎖で繋がれたり鞭で打たれたりといった基本はもちろん、宴会で見せ物的に女とセックスさせられる羞恥系とか、アレをちょん切られて晒し者といった無残系も。
 古代ローマのグラディエーターネタなので、マッチョが惨殺される場面にも事欠かず、しかもかなりのゴア描写。
 そんなこんなで、残酷度とエロ度は過去の類作を遙かに凌駕する充実っぷりなので、普通に見ても充分に面白いんですが、下心で見てもタップリ堪能できるかと。

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 内容的にはプリクエルに当たるシリーズ番外編も来月リリース。

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<6月29日追記>
『スパルタカス序章 ゴッド・オブ・アリーナ』の方も全話鑑賞したので、感想を簡単に。
 あのキャラの過去はどんなものだったのか、とか、こいつがどんなきっかけで正編に見られるような態度へと変わるのか、とか、正編に続く仕掛けが様々施されたプリクエルとしての面白さもさることながら、独立した一作品として見ても良く出来ていて、正直期待以上の内容。
 表現面の《容赦ない人体破壊描写+隙あらばエロ》のコンボは相変わらず健在ですが、ストーリー自体が全6話とコンパクトなこともあって枝葉も少なく、ラニスタとグラディエイターそれぞれの上昇志向を、闘技場の建設&こけら落としの大会開催と重ね合わせて見せる構成が、実に巧み。ラストの処理も上手く、後味も上々。
 個々のエピソードも、ぶっちゃけ正編を見ていると「こいつは死なない」というのが判ってしまうんですが、それを「じゃあどうやってここを切り抜けるのか」みたいな見せ方を上手く組んでいます。逆に「こいつは正編に出てこないから、きっと途中で死ぬか消えるかするだろう」というキャラにもいるんですが、こちらはいつものようにハラハラしながら見ていればいいし、更にこちらの予測を良い意味で裏切ったりもしてくれるので、やはり実に面白い。
 ゲイ目線のお楽しみどころとしては、相変わらず半裸のマッチョだらけ&ケツやチンコ丸見え場面多々ありなのに加えて、正編で登場したゲイ・カップルが、いわば《マッチョ&お稚児》的な関係だったの対して、こちらの序章では剣闘士同士、つまり《マッチョ&マッチョ》のカップルなのが大いに嬉しい。こいつらがいかにも、野郎臭く荒々しく互いを求め合うラブシーンは、描写自体はさほど過激ではないんですが(キス、ハグ、そしてフェラチオの暗喩表現くらい)、それでも見ていてなかなかグッときます。
 SM目線としては、第1話からして早速、道端で全裸で鞭打たれているシーンあり。剣闘士が仲間に騙されて、ローマ人にケツを掘られてしまう……なんてエピソードもあり、これもなかなかグッときたんですが、残念ながら実際の行為場面は描かれず。……ケチ(笑)。

『ターザン三つの挑戦 (Tarzan’s Three Challenges)』

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『ターザン三つの挑戦』(1963)ロバート・デイ
“Tarzan’s Three Challenges” (1963) Robert Day
(米盤DVD-Rで鑑賞→amazon.com

 東南アジアを舞台にした変わり種ターザン映画。お珍しやタイで全面ロケしており、アジアの小国、霊的指導者の跡継ぎ争いが持ち上がり、そこにターザンが登場し、正当な後継者の護衛として大活躍という話。
 ターザン役者は、13代目のジョック・マホニー。

 東南アジアのとある国。国の指導者かつ宗教的指導者(つまりダライ・ラマみたいな設定)は死にかけており、跡継ぎは既に選ばれて寺院で養育されているのだが、現指導者の弟は、自分の息子をその地位につかせるために、正当後継者の即位を妨害しようとしている。
 そこで護衛としてアフリカからターザンが呼ばれるのだが、寺院に向かう途中で敵に襲われ、迎えの僧侶は殺されてしまう。何とか寺院に辿りついたターザンだったが、本物だという証拠がなく、身の証しを立てるために、技力・体力・知力の三つのテストを受けることになる。
 テストをクリアしたターザンは、次期指導者の少年を護衛して、無事に都まで送り届ける使命を受ける。途中、山火事に巻き込まれたり、敵の襲撃を受けたり、迷子の子象を拾ったりと色々ありつつ、犠牲者も出しながらも、一行は何とか都に辿りつく。
 旅の途中で先代指導者は既に亡くなっており、都についた後継者の少年のために、さっそく即位の儀が執り行われる。歌舞などが盛大に行われた後、真の後継者かどうかを試すために、少年に3つのテストが課されるが、それも無事にクリア。こうして一件落着かと思いきや、件の敵が第4のテストを申し出る。
 それは平和の中で長く廃れていた習わしだったが、後継者に異議がある者は挑戦者として挑むことができ、後継者の守護者はそれと生死を賭して闘わなければいけないのだ。こうして地位を狙う例の敵と、守護者に指名されたターザンの、生死を賭けた一騎打ちが始まる……という内容。

 これはなかなか面白かった。
 まず、ターザンがエキゾチックなアジアの国に来るという設定が、まあキワモノ的な発想ではあるんですが、タイの観光局が全面協力しているだけあって、出てくる寺院とかはバリバリ本物だし、祭りのシーンも質量共に本格的と、全てにかなりのスケール感があるのが良い。
 展開は、一難去ってまた一難が串団子になっている系なんですが、これまた個々のアイデアが面白かったり、演出自体もスピーディでキレがあったりと、弛緩したり飽きたりする隙を与えない感じ。フッテージを上手く使った山火事のシーンなんて、けっこう迫力があって驚かされました。
 アイデアの方は、例えば最初のターザンに課されるテストの内容は、揺れる的を弓で射る、両腕を左右から牛に引っ張られる(DVDのジャケにもなっている、ソード&サンダルでお馴染みのアレ)、頓智クイズといった具合。
 挑戦者との戦いも、都から離れたところを開始点として、腕を紐で繋がれた状態でランニングスタート。で、ゴールまで相手を傷つけないよう、弓を構えた兵士たちが見張る中、野山や岩場を走り、断崖を吊り橋ならぬ一本のロープにぶら下がって渡り、吊された剣をとってロープを切り、谷川の橋からバンジージャンプをし、そこから川に飛び込みスイミング…といった具合で、次から次へとなかなか面白い。
 そしていざゴールでは、煮えたぎる釜の上に貼られた目の粗いネットの上で、剣を片手に真剣勝負。これらをそこそこ〜かなりのスケールで見せてくれるもんだから、これで贅沢言ったらバチが当たります(笑)。因みに主演のマホニーは、この撮影で体重が40ポンド(約18キロ)減ったそうな……。

 ただ惜しむらくは、そのターザン役者のジョック・マホニーで、残念ながら顔も身体も魅力ゼロ……歴代のターザン役者の中でも、私的にはかな〜りポイント低め。ただし敵役が「スパルタカス」でカーク・ダグラスと闘った黒人剣闘士役のウディ・ストロードで、肉体美はそっちで堪能できます(笑)。
 ストーリーに花を添える後継者の乳母役で、Tsu Kobayashi(小林鶴子)という日系らしき女優さんも出ています。流石にアフリカからチータは連れてきませんでしたが、そういうお子様向けマスコット役には、かわいい子象のハングリーといった布陣。お父さん向けには、祭礼シーンで女性群舞をご用意。

 そんなこんなで、ターザン映画のパターンをちょっと崩し、かつ本格ロケで安いキワモノにもならず、作劇や構成もクリシェを上手く使って上々、ターザンの存在も、ストーリー的には脇ながら、見せ場では上手くメインに持ってくる……と、マホニーの容姿以外(笑)は文句なしの出来映えかと。

 この予告編だと、ナレーターが「ラドヤード・キップリングの世界」とか言っているので、制作者としては東南アジアではなく、南アジアのつもりだったのかも?

『バトル・キングダム 宿命の戦士たち (Ярослав. Тысячу лет наза / Iron Lord)』

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『バトル・キングダム 宿命の戦士たち』(2010)ドミトリ・コロブキン
“Iron Lord” (2010) Dmitri Korobkin
(イギリス盤DVDで鑑賞、後に日本盤DVDが出たので再鑑賞)

 2010年製作のロシア映画。11世紀初頭、キエフ・ルーシの若きロストフ公ヤロスラフ(後のヤロスラフ賢公)を主人公とした、アクション・アドベンチャー系のヒーロー史劇。

 11世紀初頭、キエフ・ルーシの王子ヤロスラフは、父の聖公ウラジーミルの命によりロストフを治めていた。同地にはスラヴ人とフィン人の部族がそれぞれ居住しており、山賊が跋扈して人々を奴隷に売り飛ばしており、王子は同地平定のため、山賊退治と部族の統一に奔走していた。
 ある日、山賊を追った王子一行は、戦闘によって異教(非キリスト教)の聖所を焼いてしまい、そこに参拝していた熊族(フィン人の氏族の一つ)の娘を救い出す。王子は身近な者を供に、娘を森の奥にある熊族の村に送り届けて協定を結ぼうとする。しかし一行は森の中で襲撃にあい、殆どの者は殺されてしまう。
 王子は一人捕虜として熊族の村に捕らわれの身となり、同時に件の娘が族長の娘だということも判る。一方王宮では、山賊たちにこちらの情報が筒抜けになっていることから、内通者がいるのではないかという疑いが持ち上がる。
 そんな中、山賊たちが王子の暗殺を狙って熊族の村を襲うが、戦いの果て撃退される。その間、王子も脱走を試みるが失敗して再度捕らわれの身となるが、件の族長の娘と互いに惹かれ合うようになる。一方の王宮では、捕らえた山賊から王子が無事だとの情報を得て、救出のための出兵を決める。
 熊族の村はルーシ軍に包囲されるが、王子は戦闘を避けるための話し合いを試みる。村から遣わされた王子からの伝令を受け、父王は王子の右腕だったノルマン人の戦士を、和平の使者として村に遣わすことを決めるのだが、実はその裏ではもう1つの陰謀が蠢いており……といった内容。

 いちおう歴史上の人物を主人公にはしていますが、基本的には「○○の若き日の一幕」といった作りなので、歴史劇としての旨味はさほどありません。どちらかというと、恋と冒険と謀略が渦巻くアクション・アドベンチャー系の通俗娯楽作品というテイスト。
 ただ、主人公が後の賢公ということもあってか、善良で知的なキャラクターではあるものの、ストーリーの殆どで熊族での村で捕虜になっているだけで、ヒーロー的なカッコいい見せ場というのがあまりないのが、ちと問題。テンポが悪いわけではないですが、ドラマのメリハリやスピード感に欠けるんですな。
 ではシリアスな深みがあるかというと、これまたそういうわけでもないので、どうしても何か中途半端な感じに。ロシアの風景を活かした映像自体は美麗ですし、役者さんたちも味がある顔が多くて佳良、セットや衣装は時代考証よりイメージ優先系ですが、映像のクオリティ自体は高いので、ちと勿体ない。
 またキャラクターも、ルックス等の雰囲気はいいんですが、大河ドラマばりにアレコレ出てくるわりには、尺が約100分と短いこともあって、誰も彼もが掘り下げ不足で個性もクリシェ頼み。結果、いくらエモーショナルなエピソードが出てきても、キャラが薄いのでさほど感動もせず。

 王子の行動が領地の平定であると同時にキリスト教の布教でもあるのはちょっと興味深く、多神教との考え方の違い等の会話もあるんですが、最終的にはけっこう強引なレトリックによってキリスト教に一本化され、巨大な十字架の建立とヤロスラヴリの街の誕生で締めくくるのは昔のハリウッド史劇っぽい感じも。
 あと、フィン人の熊族はじめ各部族とキエフ・ルーシとの同盟関係の大切さを、やはり結末で強く訴えるあたりは、今のロシアの状況を踏まえた政治的な臭いも感じられたり。
 全体的に、恋愛ドラマの持って行き方とか、コミック・リリーフをわざわざ入れるとか、作劇の感覚がちょいと古臭い感じがありますし、評価がイマイチ(IMDbでは4.6点)なのもやむなしという感じではありますが、目の御馳走と割り切って見れば、映像自体は味があって佳良です。
 スペクタクル的にこれといった見せ場がないのは、ちと残念なものの、それでもセットや衣装などは実に本格的で出来も良く、雄大な風景なんか存分に楽しめますし、熊族の森がヴェトコンばりのブービートラップだらけで楽しかったり、ちょっぴりだけですが責め場もあったり……と、細かなお楽しみどころは色々と。

 そういう感じで、多くを期待してしまうとハズレだとは思いますが、まずモチーフ自体が稀少ですし、内容的にはあれこれ惜しいものの、かといって決して退屈だったり安っぽかったりするわけでもないので、コスチューム・プレイ好きの方だったら、気楽に見る分には充分楽しめるのではないかと。
 ぶっちゃけ全体のテイストが、ちょっと昔のイタリア製ソード&サンダル映画みたいなので、個人的には嫌いじゃないです、こーゆーのも(笑)。

バトル・キングダム 宿命の戦士たち [DVD] バトル・キングダム 宿命の戦士たち [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2011-10-07

 因みにこちらが、私が先日ウクライナのキエフで撮ってきた《ヤロスラフ賢公の黄金の門》の、外観と内部の写真(オリジナルの門の上に新しい門を被せて保存されている)。
YaroslavGate1YaroslavGate2

『アイアンクラッド (Ironclad)』

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“Ironclad” (2011) Jonathan English
(米盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com

 2011年製作の英・米・独映画。
 13世紀初頭のイングランド、マグナ・カルタ調印後に掌を返し、賛同者を弾圧していくジョン王と、それに抵抗して篭城した地方豪族やテンプル騎士の戦いを、正史から消された逸話として描いた、アクション史劇。
 主演ジェームズ・ピュアフォイ、共演ポール・ジアマッティ、ブライアン・コックス、デレク・ジャコビ。

 13世紀初頭イングランド、ジョン王(ポール・ジアマッティ)はマグナ・カルタに調印したものの、これで内戦が終わったと油断した諸侯たちを、デーン人の助力を得て片端から惨殺していく。
 主人公のテンプル騎士マーシャル(ジェームズ・ピュアフォイ)はそれに巻き込まれ、護衛していた主である僧侶と、仲間の騎士たちを、ジョン王率いるデーン軍に殺される。独りカンタベリーに辿りついたマーシャルは、ジョン王に抵抗中のアルバニー公(ブライアン・コックス)と出会う。
 アルバニー公は、カンタベリー大司教がフランスのルイ王太子に応援を頼む間、堅牢な砦であるロチェスター城でジョン王の軍を迎え撃ち、時間を稼ごうとし、マーシャルもそれに同行する。ロチェスターに向かう道中、アルバニー公は顔なじみの共に戦う戦士たちを集める。
 ロチェスター城主(デレク・ジャコビ)は一行を歓迎しないが、時既に遅くジョン王の大軍が城外に迫っていた。主人公たちは城門を閉ざし抗戦するが、相手の大軍に対して味方はたったの20人程度。
 激しい攻城戦が繰り返される中、やがて食糧も欠乏していき、果たして彼らはフランスからの援軍が来るまで持ちこたえられるのか、そもそも援軍は本当に来るのか、そしてこの戦いの意味とは…? ってな内容です。

 ジョン王の手によって正史から消された…という設定であるように、歴史物としては決して正しい内容とは言えないそうで、what ifものとして見た方が良さそうですが、そこさえ気にならなければ、これはなかなか面白く見られました。少なくとも、娯楽性と迫力はタップリ。
 映像的にもストーリー的にも、スケール感はさほどありませんが、状況を篭城&攻城戦のみに絞ってあるのが功を奏していて、それによるデメリットはほとんどなし。逆にドラマとしては、フォーカスが散らずに上手く絞られているという印象にも。
 特に映像面では、下手に舞台を拡げていない分、ストーリーの殆どが城の中だけで展開するので、変に安っぽい映像になって白けたりしないのがいいです。とは言え移動中の点景に、《カワウソ漁をしている(?)漁師》みたいな《それっぽい》絵がちらりと挟んだりして、上手いことムードを盛り上げてくれている印象。
 血飛沫と人体破壊がバンバン出てくる血生臭い戦闘場面は、手持ちカメラ風の画面の迫力もあって、かなりの見応え。ただ、かなりゴアです。コスチューム劇としてはかなり過激な描写で、スプラッター・ホラー並の描写もあるので、そういうのが苦手な方には、正直ちょっとキツいかも。
 そんなアクションの合間合間には、登場人物それぞれのドラマがあれこれ挟まります。で、上手い具合にクリシェを使って、キャラクターが立って適度に感動移入もした頃に、再びオッソロシイ戦闘シーンになるもんだから、けっこうハラハラして「うぉ〜! 危ね〜! 死ぬな〜!」ってな感じにエモーションも揺さぶられたり。

 加えて役者もそれぞれ良く、まず主演のジェームズ・ピュアフォイですが、まぁ地味きわまりないムサいオッサンではあるんですが、それが真面目で無骨で寡黙な役柄に良く合っています。
 脇を固めるブライアン・コックス、ポール・ジアマッティ、デレク・ジャコビは、安心の存在感と演技力で、ストーリー全体をがっちりサポート。
 仲間の戦士たちは、見覚えがあるのはジェイソン・フレミング(怒りっぽく女好きというキャラ)くらいでしたが、ルックス的にも特徴的にも上手くキャラが立っているので、アンサンブルとして実に良い雰囲気。
 あと、音楽もなかなか佳良。古楽風味、教会声楽風味、エピック風味、泣き節、etc.…の要素を、上手い配分で織り交ぜられている感じで、ぶっちゃけ高級感は映画の出来以上かも(笑)。
 Blu-rayのパッケージには「七人の侍+ブレイブハート」なんて書いてあり、実際テーマや見所としては、アバウトに言えばそんな感じです。決してそれらと比肩するような傑作というわけではないけれど、でも肩の凝らない娯楽アクション作としては、充分に佳良な出来だと思います。
 こういったジャンルが好きで、でも歴史云々を筆頭に細かいことをあまり気にせず、そして血まみれゴア描写も大丈夫という方だったら、まず見て損はないかと。

 まぁ個人的には、この監督が前に撮った『ミノタウロス』(2006)というヤツが、何つーかそのお世辞にも良いとは言えないシロモノだったので、正直この”Ironclad”には全く期待していなかったところ、思いの外良い出来だったというのも印象の良さにつながっているかも知れません(笑)。

 あとゴア描写に関しては、残酷描写だけ集めたファンメイドのクリップがYouTubeにあったので、リンクを貼っておきます。誰がどういう具合に死ぬという意味でネタバレを含みますが、興味のある方はどうぞ。こちら

 余談。
 リドリー・スコット版『ロビン・フッド』と続けて見ると、けっこう面白いかも知れません。キャラクターやテーマ的に、けっこうアレの後日譚的にも見られるので。
 内容的にも、ロマンと現実の間で引き裂かれて、結局どっちつかずになってしまっていた感のある『ロビン・フッド』に対して、テーマをロマンに絞って上手い具合にコンパクトに纏めた本作と、対照的な見比べが出来るのが、個人的には面白かったり。
【追記】
『アイアンクラッド』の邦題で、2012年6月9日から日本公開→公式サイト
【追記2】
 日本盤DVD出ました。

アイアンクラッド [DVD] アイアンクラッド [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2012-09-05

『ヴァルハラ・ライジング』”Valhalla Rising”

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“Valhalla Rising” (2009) Nicolas Winding Refn
(米盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2009年製作のデンマーク/イギリス映画。監督は『プッシャー 麻薬密売人』『Bronson』のニコラス・ウィンディング・レフン。マッツ・ミケルセン主演。
 口がきけない片目のヴァイキング戦士のダークで幻想的な遍歴を描いた、寓意的なコスチューム劇。

 主人公は《片目》と呼ばれるヴァイキング風の戦士。多神教のケルト風部族の捕虜であり、鎖に繋がれ檻に入れられ、ときおり闘犬のように他の捕虜と死闘をさせられている。
 ある日彼は、隙を窺い反撃に転じて脱走するが、その際に同じく奴隷にされていた別部族の少年も共についてくる。
 逃げた二人は、キリストを信仰する戦士の一団(エンドクレジットでは「クリスチャンのヴァイキングたち」と表記)に出くわし、「共に聖地へ戦いに行こう」と誘われる。
 二人はこの一団と共に出帆するが、凪で船が動かなくなり濃い霧に包まれる。いっこうに風も吹かず霧も晴れない中、やがて戦士の一人が「これは呪いのせいだ」と少年を殺そうとするが、《片目》はそれを返り討ちにする。
 暫くすると、船はいつの間にか真水に浮かんでおり、霧が晴れると、そこはいずことも知れぬ森の中の川だった。
 一行が上陸すると、木の櫓が立ち並んだ場所があり、櫓の上にはネイティブ・アメリカン風の装飾品を付けた死体が置かれている。
 一同はこの地に、神の征服の印として十字架を立てる。
 しかし一人が忽然と姿を消し、彼の持っていた剣だけが見つかる。また、一行が川の上流に向けて出帆すると、どこからか石の鏃の矢が飛んできて、また一人殺される。
 いずことも知れぬ場所で謎の敵に囲まれているうちに、一行は次第に狂気に囚われていく。そして、自分たちは既に死んでいるのではないか、《片目》が自分たちを地獄に連れてきたのではないかと怪しみ始め……といった内容。

 なかなか意欲的な作品ではありました。
 セリフは極端に少なく、登場人物も《片目》を除いては全員名前すらなく、その《片目》ですら、口がきけない彼のことを、捕らえていた部族の者がそう呼んでいたというだけで、実際の名前ではない。
 そしてこの《片目》を始め、登場人物のは全員、出自について全く説明がなく、会話や服装などから、各々の立ち位置を何となく想像するしかない。劇中で起きる様々な出来事も、何故そうなったのか、どうしてそのキャラはそう思ったのか、等々、これまた合理的な説明は一切排された作り。
 というわけで、一見史劇風には見えるんですが、表層的なものには囚われずに、これはそういったモチーフを使って描いた、一種の寓意劇のようなものだと考えた方が良さそうです。
 正直、ストーリーだけを追うと「ワケワカラン」系の内容なので、普通に血湧き肉躍るヴァイキングものとかを期待すると、裏切られること間違いなし。

 いちおう私の解釈では、これは「信仰と贖罪と救済の話」だという気がします。
 劇中で繰り返し出てくるモチーフに、幻視の中の《片目》の姿というものがあるんですが、その色が最後だけ変わっている理由とか、また、キリストの名のもとに聖地を求めながら、実は富や権力を目的としている戦士たちと、純粋に《片目》を信じてついてくる少年との対比とか、更に、生き残った者と死んだ者の間には、どういう違いがあったのか……などといったあたりに、そこいらへんの鍵があります。
 つまりこれは、(ネタバレを含むので白文字で)《片目》にとっては、それまで犯してきた己の「罪」を、我が身を犠牲にして少年を救うことで「贖い」、少年にとっては、ただひたすらに《片目》を「信じる」ことによって、最終的に一人だけ生きのびることができ、故郷にも帰れる約束を得ることで、結果として、《片目》と少年の二人が共に「救われる」という話であり、則ちそれは、キリストとキリスト者の関係に重ね合わされているということ。
 そしてそれらを、宗教の名の下に行われる、戦士たちの世俗的な欲望と対比させることで、上辺だけの「信仰」と、本質的なそれとの差異を明らかにしている……というのが、私個人の解釈であります。

 全体の雰囲気は、スケール感があって美しい自然描写と、生々しくグロテスクな人間たちの描写の対比や、ポストロック風の音楽の使い方など、ヴェルナー・ヘルツォークの『アギーレ 神の怒り』を思い出させます。
 映像はかなり凝っていて、静謐で美麗な絵あり、ホラーそこのけのオソロシイ系ありと、鮮烈で印象的なイメージが多々あって、映像的な見所はいっぱい。
 グロテスク要素には、残酷描写も含まれています。
 例えば、石で砕かれた頭から脳ミソが見えているとか、ナイフで腹を切り裂いて腸を摑み出すとか。
また、一行が狂気に陥るシーンでは、沼に突っ伏したヒゲモジャのむっさい男を、同じく髭面の巨漢が後から、泥まみれになって犯す……なんて場面も。残念ながら二人とも着衣ですけが(笑)。

 というわけで、これは紛れもなく見る人を選ぶ映画。
 私としては、自分なりに内容を咀嚼できた感があるのと、美と汚穢が同居する映像的な魅力などもあって、もう一押し何かに欠ける感はあれども、好きか嫌いかなら問答無用で「好き」な作品。
 前述した要素がツボにはまる人、そしてヘルツォーク好きの人には、かなり琴線に触れる部分ありかも。
 にしても、このニコラス・ウィンディング・レフン監督、過去に見た2本『プッシャー 麻薬密売人』『Bronson』と、今回の『Vaihalla Rising』、どれもこれもスタイルが全く異なるのが興味深い。
 今年のカンヌで監督賞獲った新作『Drive』が、ますます気になります。

【追記】2012年9月14日、日本盤DVD発売。

ヴァルハラ・ライジング [DVD] ヴァルハラ・ライジング [DVD]
価格:¥ 4,179(税込)
発売日:2012-09-14

ちょっと宣伝、映画『LAゾンビ』特別上映&トークショーのご案内

 本日7月11日〜23日まで、銀座のヴァニラ画廊にて、映像作家ブルース・ラ・ブルースの写真展が開催されております。
 このエクシビションの一環として、同氏の新作映画にして問題作、ゾンビとゲイポルノが融合した作品 “L.A. Zombie” の特別上映イベントが、同ギャラリーにて開催されます。
 映画の上映は15日(金)、16日(土)、18日(月・祝)の3回になりますが、そのうち16日(土)の上映イベントにて、私、トークショーに出演させていただきます。
 以下、エクシビションおよび上映イベントの詳細。
 お問い合わせ等は、直接ヴァニラ画廊さんへお願いします。

ブルース・ラ・ブルース写真展
[“Polaroid Rage: Survey 2000 – 2010 ]
~ Additional Photos from Otto; or, Up with Dead People and L.A. Zombie~
■7月11日(月)~7月23日(土)
■入場料500円
2007年ヴァニラ画廊にて衝撃的な写真展を開催したブルース・ラ・ブルースの新作展!
2000年から2010年のあいだの実験的パフォーマンスを綴った記録をポラロイド作品300枚以上におさめたシリーズ[“Polaroid Rage: Survey 2000 – 2010 ]。このシリーズは2011年、2月にポルトガルのThe Wrong Weather Galleryにて発表され 非 常に高い評価を得ています。
そして自身が監督した映画OTTO ; or, Up with Dead People (2008)とL.A.Zombie(2010)からの新作写真もあわせて展示致します。
Bruce LaBruce ブルース・ラ・ブルース / プロフィール
カナダのトロント在住。映画監督、写真家、ライターなど幅広く活躍する。
アート・シーンの異端児。’80年代に発表した8mmフィルムによる超低予算のポルノアート・フィルムは、ガス・ヴァン・サントにも大きな影響を与えた。 ’90年代からは、「ノー・スキン・オフ・マイ・アス」「SUPER8 2/1」「ハスラー・ホワイト」など過激なセクシャリティを武器にした長編を発表。クィーア・フィルムの代表として、世界的な人気を得る。2008年には 「Otto; Up with Dead People」2010年には「L.A. Zombie」を公開。
1998年から写真家としても活動を開始し、多くの雑誌でフォトグラファーとして活躍する外、欧米で個展を多数開催している。
■展覧会特別イベント
ブルースラブルース監督作品『LA ゾンビ』特別上映!
7月15日(金)上映のみ
 19時半開場 ¥1,300(1D付)
7月16日(土)上映&作品解説&スニークプレヴュー付
 18時開場 ¥1,800(1D付)
 トークゲスト:田亀源五郎&鈴木章浩
7月18日(月・祝)上映のみ
 18時開場 ¥1,300(1D付)
上映作品
『LA ZOMBIE』
Directed by Bruce La Bruce 2010年/70分
Produced by Owen Hawk Screenplay by Bruce La Bruce Story by Bruce La Bruce
Starring Francois Sagat Matthew Rush Erik Rhodes Francesco D’Macho Wolf
Hudson
Music by Kevin D Hoover Jack Curtis Dubowsky
2010年、権威あるロカルノ国際映画祭コンペティション部門に正式招待されながらも、オーストラリアのメルボルン国際映画祭では上映拒否。強行上映しようとした映画祭の事務局から警察によって上映用マスターが押収され焼却されるなど、世界各地で物議をかもし出している真の問題作。ゲイ・ポルノとして製作されながらも、性と死と血のオージー(乱交)によって、独特の哀しみと詩情に溢れる世界を作り出した本作は、「 ゾンビとポルノの本当に美しい融合…」とブルース・ラ・ブルース監督が語るように、残酷な美しさに満ちている。日本公開絶望と思われていた衝撃作が今回限りの特別上映!必見!!

 で、この「LAゾンビ」なんですけど、どんな映画かというと……とりあえず予告編を貼っておきましょうかね(笑)。

 私は一足お先に拝見させていただいたんですけど、まぁ何と言いましょうか……エログロ・アートフィルムって感じ? メルボルン国際映画祭のスタッフが「ただのポルノじゃねぇか!」って上映拒否した気持ちも……まぁ判らなくはない(笑)。
 興味のある方だったら、一見の価値はアリなので、展示共々、よろしかったらぜひお出かけくださいませ。
<追記:7月16日>
 メルボルンでの上映ができなかった件ですが、鈴木章浩さんに伺ったところによると、必ずしも映画祭のスタッフが上映を拒否したわけではなく、フィルムが税関で引っかかってしまったのが最大原因なんだそうです。それを強行突破しようとしたか何かで、上記の様な大事になってしまったらしい。どういった理由で税関で止められたのかは、鈴木さんも良くご存じではないとのこと。
<追記:7月18日>
 映画『LAゾンビ』と件のトークショーのレビュー。
『L.A. ZOMBIE』鑑賞|隊長日誌
 おそらく日本で一番詳しいのでは(笑)。

最近見た「責め場あり」系の映画3本

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『冷酷処刑人 ~父なる証明~』(2008)スティーヴン・カストリシオス
“The Horseman” (2008) Steven Kastrissios
(日本盤DVDで鑑賞→amazon.co.jp

 2008年製作のオーストラリア映画。娘を亡くした父親が、娘の死に関わった人物を捜し出し、一人ずつ処刑していくが…というスリラー。
 B級スプラッター・ホラーかと思いきや、意外とマジメな作りでした。抑えた静かなシーンと鮮烈なバイオレンスがサンドイッチになった構成で、演出も佳良。ドラマの緩急やコントラストが魅力的で、けっこう作品世界に引き込まれます。
 ストーリーとしては、けっこう手垢のついた内容で新味はないものの、サイドエピソードを絡めたり、程々にツイストを入れたり、省くところはバッサリ省いたり、適度に回想を配したり…と、全体のバランス感覚が良く、構成的にも冗長さを上手く回避しているので、これまたなかなか面白い。
 バイオレンス描写は、けっこう即物的というか肉体的というか……特殊メイクでゲロゲロなものを見せるわけではなく、見せ物感覚で過剰なわけでもないのに、生々しい迫力や痛みを感じさせる演出で、けっこう見ていて肩に力が入ります。
 役者さんもいずれも佳良で、全体的なクオリティも上々なので、興味のある方なら見て損はないでしょう。

 責め場関係。まず基本的に、手がかりを探す父親→関係者発見→拷問して他の連中の居所を吐かせる→そいつを発見→拷問して別のヤツの居所を吐かせる……という繰り返しなので、わりと映画の全編に渡って、責め場はあちこち登場します。返り討ちにあって、逆に自分が拷問されるというお約束展開もあり。
 で、このおとっつぁんなんですが、素人さんにしてはヤケに拷問方法がヘンタイちっくというか(笑)……映画見ながら「あれ、私こんなシーン、マンガで描いたことあるなぁ」なんて思うこと、数回。具体的には(ネタバレ気味なので白文字で)サオだかキンタマだかにポンプで空気を注入するとか、ペニスに釣り針を引っかけてクンクンするとか、乳首をペンチで引き千切るとかいった拷問が出てきます。

 というわけで、そこそこエグくても大丈夫とか、逆に、残酷男責め大好きという人には、かなりオススメできる一本でした。

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『スティーヴ・オースティン ザ・ストレンジャー』(2010)ロバート・リーバーマン
“The Stranger” (2010) Robert Lieberman
(米盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com、日本盤DVDあり→amazon.co.jp

 2010年製作のオリジナル・ビデオ映画。愛しのストーンコールド・スティーヴ・オースティン様主演の、記憶喪失の男がFBIに追われながら自分の過去を探っていき……みたいな内容のアクション映画なんですが、実際の出来の方はこういう具合だというので、もう多くは期待せず完全に責め場だけ目当てで見ました(笑)。
 というわけで、メキシコ警察に捕まったスティーヴ・オースティンが、上半身裸で椅子に縛られて、ナイフでスパスパやられるシーンは、実に良うゴザイマシタ(笑)。クレーンに両手縛りで吊るされて、角材でタコ殴りされるシーンは、責めのアイデア自体はオッケーなんですけど、着衣なのが残念(笑)。

 ま、しょ〜もない感想ですが、見所はそれだけってことで(笑)。
 因みにFacebookで「見所はスティーヴ・オースティンの身体だけだった〜!」と愚痴ったら、「ヤツの映画はいっつもそうだよ!」と外国の方からもご賛同いただけました(笑)。

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“A Serbian Film” (2010) Srđan Spasojević
(イギリス盤Blu-rayで鑑賞→amazon.co.uk、日本のアマゾンでも購入可能→amazon.co.jp

 2010年製作のセルビア映画。原題”Српски филм / Srpski film”。
 引退して幸せな家庭を築いていた元ポルノスター男優が、アートなポルノ制作という誘い文句と高額の報酬に釣られて復帰したところ、とんでもないゴアゴアな罠に嵌められて…という内容。
 内容のアモラルさとエログロさに、かなり物議をかもした映画らしいですが、まあ確かに過激で鬱々な内容です。私が見たのは英盤Blu-rayで、これは一部カットされたバージョンらしいんですが、それでも内容は「とにかく酷い話に!」ってな感じで、いわゆる鬼畜描写がテンコモリ。
 どんだけエグいシーンがあるかは、ちょいとググればレビューが出てくるので割愛しますけど、正直なところポルノグラフィの持つ即物的な力は、一般映画(とはいえイギリス盤でも18禁指定なんですが)には超えられない壁なので、そういう意味ではこの映画も、そこはクリアできていない印象。そんなわけで、内容のエクストリームさと同時に、映画の限界のようなものも同時に感じてはしまいましたが、それでもかなりギリギリまで迫ろうとする意欲とか、徹底してブレない姿勢とかは好印象。
 ただ、事前に覚悟していたほどは、見終わったときにイヤ〜ンな気分にはならなかったなぁ。確かに容赦ない鬱展開だし、スゴいっちゃあスゴいんだけど、ぶっちゃけ私は、これ見て引くほど良識的な人間じゃないし、このくらいの展開だったら自分でも考えつくしな〜……ってな感もあり(笑)。
 でも、一緒に見た相棒は、見終わった瞬間「ひっどい話だね!」と憤慨していました(笑)。

 男責めとしては、具体的なアレコレよりも、シチュエーション的にグッとくるものがあり。
 主人公のポルノ男優は、一服盛られて意識を失ってしまい、正気にかえってから撮影されたビデオを見て、自分が何をしていたかを知るんですが、それが、麻薬と媚薬漬けにされて(以下ネタバレ含むので白文字で)女を犯しながら殺したり、男にカマを掘られていたり、何とか逃げ出したものの発情を抑えられなくて路上でズリセンぶっこいたり、自分のチンコを切り落とそうとしたり、まだ幼い実の息子のカマを掘っていたり……ってな具合で、ここいらの展開は良かったな〜。罠にはめられた男が酷い目にってのも、媚薬で発情アニマル化ってのも、どっちも大好物のネタなので(笑)。
 因みに、イギリスではR18指定になっただけあって(ちょっとアレな情報なので、また白文字)、作り物の付けチンポコですけど、ブラ〜ン状態もフル勃起状態もガン見えでした(笑)。

 そんなこんなで、とにかくアモラルで鬱々な、極めて露悪趣味的な映画なので、例えホラー好きの方でも、流石にこれはキツいというのはあるかも知れません。
 でも、氏賀Y太先生や早見純先生のマンガが好きな方だったら、一見の価値はありかと。

《追記》『セルビアン・フィルム』の邦題で日本公開&ソフト化されました。

セルビアン・フィルム 完全版 [Blu-ray] セルビアン・フィルム 完全版 [Blu-ray]
価格:¥ 4,935(税込)
発売日:2012-07-27
セルビアン・フィルム 完全版 [DVD] セルビアン・フィルム 完全版 [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2012-07-27