宝島社・刊『このマンガがすごい! 2009』で、拙著『外道の家』が、オトコ編36位にランクインしておりました。
確かこのシリーズでは、以前にもピックアップコーナーみたいなとこで、拙著『男女郎苦界草紙 銀の華』を取り上げていただいたことがありますが、ランキングに入ったのはおそらく初めてです。嬉しい、嬉しい(笑)。
因みに、選者による個別ベストの方には、児雷也画伯の『仰ゲバ尊シ』と大久保ニューさんの『坊やよい子だキスさせて』という、ゲイ雑誌発のマンガが二冊入っていまして、これまたなんか嬉しいですね。
さて、これだけではなんなので、ついでに自分が今年買って、印象深かったマンガについても、ちょっと列記してみましょうか。
あ、でもベストとかそーゆーんじゃなくて、個人的に「これ、好き!」ってヤツを。
『暁星記』菅原雅雪
これが無事完結したってのが、私にとって、今年最大のニュースかも。いやホント、雑誌で第一話を読んで夢中になってから、掲載誌変更や単行本描きおろし形態への移行も含めて、ず〜っと、ず〜っと、続きを心待ちにしながら追いかけていたもんで……。無事完結なんて、ホント、夢じゃなかろか。
あ、因みに半裸のガチムチキャラも、いっぱい出てきます(笑)。
『天顕祭』白井弓子
帯の「古事記ロマンファンタジー」という言葉に惹かれ、書店に備え付けられていた立ち読み用のサンプル小冊子を開いたら、主人公がカッコイイ無精ヒゲの鳶職だし、絵柄もステキだったので、そのままレジへ。実は、やはり帯に元来は同人誌発のマンガとあったので、ひょっとしてやおい風味もあるのかとヨコシマな期待感もあったんですが(笑)、そうではありませんでした。でも、そんなこととは関係なしに、内容に大満足。
え〜、前述のヨコシマな期待感に関して、ちょっとイイワケさせていただくと、何も「女性作家の同人誌=やおい」という思いこみがあったわけではないんです。ただ、マンガの鳶さんの絵を見たら、ふと、むか〜し同人誌や「June」に、ガテン系のオッサンたちのやおい(これ、やおいやBLが「美少年マンガ」とか「耽美マンガ」とか呼ばれてた当時は、すごく珍しかったんです)を描かれていた、まのとのま(……だったと思う)って作家さんのことを連想しちゃったのだ(笑)。
『らいでん』塚脇永久
雑誌で見た新連載予告カットで一目惚れ。日頃買ったことのない月刊少年誌を買いに、思わず本屋に走りました。以来、単行本を心待ちにしており、めでたく第一巻発売時にも即購入。というわけで、「この絵、好き!」ってのがきっかけで、読んでみたら話もキャラも好きだった、というパターン。
あ、筋肉絵好きの方にもオススメです。
『夜長姫と耳男』近藤ようこ
単行本『月夜見』で知って以来大好きで、特に『妖霊星』は、確実に、我が生涯通じてのマンガベストテンのうちの一本なんですけど、坂口安吾原作の本作もまた、やっぱりクライマックスで鳥肌が。
『錆びた拳銃』谷弘兒
かつて「ガロ」や「幻想文学」あたりで拝読して以来、好きな作家さん。寡作な方(たぶん)なので、近所の本屋さんで、この新作単行本を見つけてビックリ、即購入。『薔薇と拳銃』の印象が強いせいか、レトロと猟奇とエログロナンセンスとラヴクラフトが、渾然一体となった作風の作家さんという印象でしたが、本作では、猟奇とエログロはなし。
表題作は、均整の取れた肉体美の二人のマドロス青年というキャラクターのせいか、どことなくコクトーやジュネの描くホモエロティシズムに通じるものを感じます。
『童貞少年』やながわ理央
ノンケさん向けエロマンガですが、この作家さんの描く少年キャラは、カワイイながらもちゃんとオトコノコオトコノコしていて、かなり好き。そんな少年たちが、ボイン(死語)なお姉さんたちに、あの手この手で筆おろしされる短編集。
あ〜、この少年キャラで、以前ロリキャラで描いていたみたいな、「公園のホームレスに輪姦されたあげく、全員から小便を引っかけられる」話を描いてくれたら、もうサイコーなのに……って、いくら何でもそれは無い物ねだりですな(笑)。
『愛玩少年』水上シン
以前、献本でいただいた雑誌で拝読して以来、続きが気になっていた作品で、偶然アマゾンで単行本が出ているのを見つけて購入。いわゆるBLですけど、まだ「美少年マンガ」とか「耽美マンガ」とか呼ばれてた頃みたいな、ナルシスティックでお耽美な雰囲気があるところが好き。
あと、レトロだし、軍服だし、加虐と被虐もあるし、少年は坊主頭だし……と、好きツボもイッパイ。
う〜ん、しかし改めて最後の二つを見ると、果たして自分が本当にマッチョ系ゲイマンガ描きなのかどうか、我ながら自信がなくなってきた(笑)。
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つれづれ
ここのところ連日、『ザ・チャイルド』『ファンタズム』『パンズ・ラビリンス』と、発売を楽しみにしていたDVDが届いてホクホクなんだけど、現在我が家では、HBO&BBCのテレビシリーズ『ROME ローマ』を連夜鑑賞中なので、これらの封を開けるのは、まだまだ先になりそう。
で、『ROME』ですが、期待に違わぬ面白さですな。歴史ドラマ的な要素と昼ドラ的な要素が、上手い具合にミックスされていて、実にいい塩梅の娯楽作になっている。第一話からいきなり、フロッギングだの、敗将が衆目に晒されながら素っ裸に引ン剥かれて、敵将の前に跪かされるだのといった、美味しいシーンもあるし(笑)。
まだ第八話までしか見てないので、当分の間は楽しめそう。
音楽は、ちょっと前まで Social Harp とかShape Notes とか呼ばれる、18世紀アメリカの宗教合唱曲にハマって、良く聴いていました。映画『コールド・マウンテン』で使われていたのを聴いて、宗教曲らしい荘厳さと、民衆的な素朴さが入り交じった美しさが、 すっかり気に入っちゃいまして。
で、何枚かそれ関連のCDを探して購入してみたんですが、洗練され過ぎていたり荒削り過ぎたりで、どうも帯に短し襷に長しというものばかり。未だに、これといった決定盤に巡り会えないのが残念。
読書は、オルハン・パムクの『わたしの名は紅』という本を、ちまちまちまちま、ゆっくり時間をかけて読んでいます。オスマン・トルコ時代のイスタンブールを舞台に、一人の細密画家が殺されるところから始まる、ちょっとウンベルト・エーコの『薔薇の名前』みたいな感じの話。
マンガは、ここんところあまり積極的に読もうという気分にならず、もっぱら献本で戴いた雑誌オンリーだったんですが、久々にガツンと手応えのありそうなものを読みたくなったので、近所の本屋さんの平台に並んでいた中から、江戸川乱歩×丸尾末広の『パノラマ島綺譚』と、沙村広明の『ブラッドハーレーの馬車』を買ってみました。どちらも大いに読み応えありで、大満足の読後感。
仕事の合間には、息抜きも兼ねて、イタズラ描きなんぞをつらつらと。
例えば、こんなの。珍しく二次創作で、しかも女性の絵です。

私は、ファンアートは殆ど描くことがないんですけど、先日珍しく、描いてみたい気分になったので、こんな感じになりました。元の作品が何なのかは、まあ言わぬが花ってことで(笑)。
因みに「あのキャラを、自分のタッチで描くと、どーなるんだろう?」ってな感じで描いていますので、元の絵とは、似ても似つかない造形になっています(笑)。でも、描いてみたら楽しくなっちゃって、ついつい同じキャラの別バージョンと、同じ作品に出てくる別キャラも描いてみたりして。

繰り返しますが、元の絵にはちっとも似ていません(笑)。
さて、オンナノコばかりじゃ色気がないので(……って、どーゆー理屈だって気もしますが)、野郎のイタズラ描きも載っけましょうかね。

マンガ用のキャラデザを兼ねた、イタズラ描きいろいろ。この中の一人は、現在作業中の短編マンガの主人公。
……とまぁ、こんな感じの毎日を送っております、という近況報告でした。
最近買ったマンガあれこれ
『水鏡綺譚』近藤ようこ/青林工藝社
うぎゃ〜っ!!! 完全版なんて、いつの間に出ていたの〜??? い、いや、とにかく嬉しい。未完の長編がついに完結するのだ。これでやっと鏡子は家に帰れるのね? でも、ワタルとはどうなるの? ってな具合で、本屋の店先で狂喜乱舞しちまいました(笑)。
描き下ろしの完結編を先に読みたい気持ちをグッと抑えて、最初からじっくりと再読。やはりこの、豊かな知識と確かな知性と繊細な感性が、芳醇なモノガタリとして結実する作風は魅力的。絵も大好きで、学生時分に憧れて真似して描いたこともありますが、あの線はとてもじゃないけど再現なんかできませんでした。
ともあれ、鏡子と一緒に時の狭間に置き去りにされていた私も、これで目出度く「終わり」を迎えることができたということに、何よりも感謝。
『東方機神傳承譚 ボロブドゥール』太田垣康男/双葉社
これまた、いつの間に出ていたの〜??? と、大喜びで購入。掲載誌休刊で未完だったからなぁ。残念ながら物語自体は、いわば序章が終わったところでジ・エンドとなってしまいますが、それでもこうして一冊にまとまっただけでも嬉しい。
こういった、マンガでオリジナリティと説得力を持つ壮大な異世界を描こうという試みは、御厨さと美の『惑星ギャラガ』や、谷口ジローの『地球氷解時記』や、白山宣之の『サンドマン』など、とかく未完になりがちなのは残念。やはりこれは、連載という形態の限界なのかなぁ。
『ミカセ』鳩山郁子/青林工藝社
こちらも待望の、久々の作品集。少女による少年趣味が、情緒や感傷に流れることなく硬質に結晶化していくような、また、趣味性の強いミニアチュールの中にマクロな宇宙を覗くような、そんな作風が大好き。で、また絵が内容に見事に合致して美しいんだよなぁ。初めて読んだときは、何となく鳥図明児さんとかを連想したっけ。
今回の本は、前の『青い菊』同様、いずれも粒ぞろいの中短編集でしたが、いつかまた『カストラチュラ』のような圧倒的な長編も読みたいものです。
一緒に並んでいた『スパングル』も、未収録作品を追加ということなので、一緒に購入。
『リボンの騎士 少女クラブ カラー完全版』手塚治虫/ジェネオン・エンタテインメント
私の生まれる以前のマンガですし、『リボンの騎士』とのファースト・コンタクトはテレビアニメだったせいもあり、実を言うと絵柄自体は、この「少女クラブ版」よりも、後の「なかよし版」の方に馴染みがあったりするんですが(ヘル夫人なんつーオカマウケするキャラや、海賊ブラッドなんつー野郎系キャラも出てくるし)、ともあれ、作品が単行本化される際に、切ったり貼ったり内容を入れ替えたり、何かと手を加えることが多い手塚治虫のこと、ページは雑誌連載時のままカラーページも再現とくれば、こりゃあ買うっきゃないでしょう。
おかげで、現行の全集版や文庫版では、石にされたまま話から放り出されてしまっていた可哀想なガマーが、ちゃんと後半でも元気な姿を見せてくれたり、フランツ王子の叔父のシャルネ殿下にも、人魚姫との悲恋と哀しい見せ場があることが判ったり、イロイロと嬉しい発見がありました。
『あなたをひとりじめ』内田かおる/竹書房
「コーモンに毛が生えている、ヒゲマッチョ系のボーイズ・ラブ・マンガがある」と聞いて、好奇心で買った『ヘイ・ドクター』でずっぽりハマってしまいました。んで、こちらが待望の新作品集。むか〜し従妹に「りぼん」を借りてコッソリ田淵由美子とかを読んでいたときのような、嬉し恥ずかし少女マンガ気分を満喫しつつ、同時にエロ系も楽しめるっつー、私にとってはダブルでお得な内容。
いや〜、こーゆーのって自分はゼッタイに描けないから、ちと憧れちゃいます。
あ〜、今回は何だか少女系に偏ってるなぁ(笑)。