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2010年下半期のハマりもの、ヴィクラム(Vikram)

vikram
 今年の夏に、ふとしたきっかけでインド/タミル映画のスターだという、ヴィクラム(Vikram)という男優さんに、スッポリはまってしまいました(笑)。
 まあぶっちゃけ最初のきっかけは、スチル写真を見て「何てカッコいい殿方!」とシビれちゃっただけなんですけど(笑)、ちょいと調べてみたら、タミル映画のDVDって個人輸入でけっこう安価に入手できる。んじゃちょっくら見てみんべい……と手を出したのが運の尽き。
 ヴィクラムにもタミル映画にもズッポリとハマってしまい、今年の夏以降に見た映画の四分の一は、タミル映画のDVDだったんじゃないかっつ〜くらい、中毒症状になりまして(笑)。
 そんなこんなで、ヴィクラム出演作も15本見てしまった(笑)。
 で、その都度Twitterの方であ〜だこ〜だ呟いていたんですが、まぁ、今年下半期の私的事件の1つとして、ブログの方にも纏めて載せることにします(笑)。
 というわけで、おそらく誰も興味がないであろう(笑)、タミル映画スター、ヴィクラムの出演作15本連続レビュー、いきます!
 因みに、並び順は私が見た順番そのまま、☆の数も独断です(笑)。

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“Bheema” (2008) N. Linguswamy
(☆☆☆☆)
 基本的にインドの男優さんの顔はちょい苦手な私が、おそらく初めて心底「かかかカッコイイ!」と思ったw、ヴィクラム主演のクライム・アクション。
 二つのギャングが対立する街で、突如現れたムチャクチャ強い男を軸に、親分子分の絆、無邪気な娘との恋、連鎖する暴力の悲劇などを描いたシリアス作品。
 プロット的には東映ヤクザ映画にも似た、ある種の定番ストーリーなのだが、単にそのテのクリシェを繋ぐだけではなく、ヒーロー映画的なカッコいいアクションをたっぷり見せながらも、やがて暴力の無常さという悲劇へと至るストーリーがお見事。クライマックス、まさかこんなハードな展開になるとは…。
 演出は基本的にリアル志向。ユーモラスな描写もあるけれど、それもアメリカ映画とかと同じような程度で、インド映画にありがちな、コントめいたお笑いシーンではない。インド映画らしく歌と踊りもあるのだが、それも極力ストーリーから浮かないように工夫されているのが判る。
 情緒描写も過剰になりすぎないように抑制されているし、極端にトゥーマッチな演出もなく、インド映画的なエグ味はほとんど感じられず。ミュージカル・シーンを除けば、インド映画に馴染みのない人でも、面白いクライム・アクションとして、違和感なく普通に楽しめるのでは。
 まあ、とにかく主役のヴィクラムが、ムチャクチャ強いけど不器用な男を好演していてカッコいい。アクション・シーンも、ワイヤーワークなどを使いつつ、馬鹿馬鹿しくなるギリギリ手前で踏みとどまり、煩くならない程度の画面効果も交えて、アクション的にも映像的にも見応えあり。
 というわけで、インド映画云々を抜きにして、普通に男のドラマ好きにオススメできる内容。ただし前述したように、かなりハードな結末が待ち構えているので、カッコいいアクション映画なんだけど、鑑賞後の爽快感はないのが諸刃の剣かも。私は好きだけど、見る人によっては後味が悪いかも…。
“Bheema”から、新生活を始めた主人公とヒロインを、BGM的に挿入歌を使って表現したシークエンス。
http://www.youtube.com/watch?v=h8FuT2LknZ0

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“Kanthaswamy” (2009) Susi Ganesan
(☆☆)
 インド製のマスクド・ヒーローもの。
 カンダサーミーという鶏の化身のような神様に扮した男が、悪人から闇金を巻き上げて貧乏人に施しており、警察はその正体を追い、悪党の親玉も、自分の悪事を知らない美人の娘を使って、カンダサーミーだと思われる男を罠にかけようとする…といった内容。
 ストーリー的には、バットマンみたいな感じで始まるんですが、ヒロインとの騙し合いや恋の駆け引きにフォーカスが移ったり、インド社会の経済格差を問題にする社会派っぽい要素があったり…と、いかにもインド映画らしい盛り沢山さなので、マスクド・ヒーローものにしてはスピード感に欠けるのが痛い。
 全体のテイストは、極めてアメリカ映画風。コマ落としやらチカチカする画面効果などを多用した画面は、良く言えばスタイリッシュだけど、多用しすぎでウンザリする感も。ミュージカル場面もMTV風、音楽もヒップホップをベースにしたミクスチャー感のあるもので、設定以外にインド風情はあまりなし。
 映像自体は今っぽいんですが、本筋と全く関係ない漫才みたいなお笑いシーンがしつこく入るとか、クライマックスで緊迫感が欲しいシーンなのに、変なお色気サービスみたいなミュージカル・シーンを入れるといった感覚は、完全に古いタイプのインド映画と同じなので、ちょっとイライラさせられます。
 主演は、最近のご贔屓ヴィクラム君。スタイリッシュなビジネスマン風情がメインですが、怪人姿になったり老人に化けたり、はたまた女装までしてくれたりで、コスプレ七変化をタップリ楽しませてくれました。でもやっぱ、もっさい髭面のときが一番ステキw
“Kanthaswamy”主題歌。このタミル語ラップの主題歌は、かなりカッコイイ ^^
http://www.youtube.com/watch?v=g70WjKYtJG8

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“Pithamagan” (2003) Bala
(☆☆☆☆☆)
 ヤバい…これはかなり凄い。主演のヴィクラム目当てで注文したDVDが届いたので、ちょっと再生チェックのつもりでプレイヤーに入れたのだが、その映画力に引き込まれてついつい最後まで通して見てしまった…ど〜すんのよ、仕事w
 墓地で産み落とされ火葬係の行者に拾われた、火葬以外のことは何も知らず野生児のように育った青年が主人公。行者の死後、彼は初めて墓地から出て村へ行くのだが、村人たちから忌み嫌われる。そんな中、1人だけ彼をまともに扱ってくれた大麻を売りの娘に懐き、彼女の世話で大麻畑で働くようになる。
 しかし大麻の輸送中に警察に襲われ、独り取り残されて囚われ、牢屋に入れられてしまう。言葉もロクに喋らず、何かあると野獣のように暴れ回る彼は、警官たちからは虐待され、囚人仲間にも敬遠されるのだが、やがて自分に良くしてくれた同房のチンケな詐欺師に懐くようになる。
 やがて釈放された主人公は、詐欺師・麻薬売りの娘・旧習に反発する女学生といった、社会からはみだした者たちと一緒に、穏やかで楽しい共同生活をするようになり、次第に人間らしさも芽生えてくる。しかし、大麻畑を潜入捜査していた警察官が殺されたことを契機に、一同は悲劇へと巻き込まれていく…
 とにかくしょっぱな、主人公が墓地で産み落とされるシークエンスから、もう圧倒されてしまった。それまでモノクロだった画面が、巧みな移動撮影で人物がフレームアウトし、レンズフレアが入ると同時に産声が上がり、その瞬間、画面がカラーに切り替わる、そのワンショット撮影の見事さ!
 作劇もお見事。一見、いかにもインド映画のお約束的なお笑いシーンっぽいものもあるのだが、それが中盤以降に見事な効果となるし、やはりインド映画に付きものの歌と踊りも、メタフィクション的に扱うことで、インドの大衆にとって映画とは何であるかという部分までもが浮かびあがってくる。
 ストーリー的なクライマックスは、構造そのものは良くあるクライムもののパターンなのだが、特異な設定の主人公とヒンドゥー教的な要素を絡ませることによって、まるでギリシャ悲劇でも見ているかのような、神話的な力強さへと転換する。娯楽映画として成立させつつ、思索性や芸術性もある見事な内容。
 主役のヴィクラムは、台詞も表情もほとんどない(笑うことも泣くこともないという設定)にも関わらず、無垢な穏やかさと野獣的な獰猛さの緩急が素晴らしく、堂々たる存在感。(おまけにカワイイw)終盤の狂気をも感じさせる演技は、バイオレンス描写とも相まって圧巻。
 そんなこんなで、とにかく見事な出来映えなので、インド映画に興味がない方でも、これは大いに一見の価値あり ^^ いや〜、ちょっと感激。
“Pithamagan”から、主人公の誕生から成長を、歌に乗せて、生と死のイメージのモンタージュで描くシークエンス。
http://www.youtube.com/watch?v=UCZuS1Ziv04

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“Anniyan” (2005) S. Shankar
(☆☆☆)
 監督は「ジーンズ」や”Nayak”、そして最近は「インド初のSF超大作か?」とあちこちで話題の”Enthiran (Robot)”を撮ったS・シャンカール。
 バラモンの出で弁護士の主人公は、生真面目で善良ななのだが、ちょっとした不正も許せず、しかも気が弱い。ところが交通事故にあった老人の死に立ち会ったことで、彼の中にアニヤン(異邦人)という別人格が生まれ、不正を働いた者を処刑する仕置き人となり…というサイコスリラー。
 更に主人公は、幼馴染みのヒロインに自分の堅物さが原因で振られたことにより、イケメンのファッションモデルという人格も生み出してしまう。そのイケメンにヒロインは次第に惹かれていき、一方警察は現場に残された謎のサンスクリット語の意味を手がかりに犯人を追い…といった展開。
 全体としては、細かいことは気にしちゃダメ、これでもかこれでもかのサービス精神で突っ走って、アクションもスリラーも愛も人情もギャグも歌も踊りも、全てコッテリ半端なくテンコモリ…とゆー、典型的なインド映画の楽しさを満喫できる仕上がり ^^
 マジメな見所として興味深いのは、普通仕置き人といったら、巨悪とか極悪人が対象ですが、この映画の場合は、誰でも身に覚えがあるような「まあ、このくらいはいいか、皆やってることだし」といった程度の、ちょっとしたルール違反や、市民の責務を怠った人間が、仕置きの対象になっているところ。
 そういう「こんなことで?」という要素を、主人公の過去とリンクさせることで観客にシンパシーを与えつつ、更にそれを社会的な問題提起へと繋げて見せるあたりは、なかなかお見事な手綱捌き。痛快娯楽作でありながら、物事を紋切り型の善悪二元論で片付けていないのは、かなりの高ポイント。
 主演のヴィクラム君は、三重人格の役ということで、その芸達者ぶりを存分に発揮。いかにもインド映画らしいオーバーアクト気味ながらも、ワンカットで人格がコロコロ切り替わるシーンなんかは、迫力もあってやっぱり上手い。3人ともあんまり私のタイプじゃないのが残念だけど、半裸拷問シーンもありw
 とにかく何でもかんでもテンコモリなので、見所は色々あるんですが、後半に出てくる変な空手(カンフー?)道場でのアクションが、その「ありえね〜!」感タップリのド派手さで、特に楽しかったw 2005年の映画なのに「マトリックス」やっちゃうダサさも含めて愛おしいです ^^;
“Anniyan”予告編。
http://www.youtube.com/watch?v=fTD3O4m8WuI

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“Saamy” (2003) Hari
(☆☆☆)
 街に現れた酔いどれ男。実は新任の警察署長で、街の様子を調べるための芝居だった。新人署長は着任後さっそく手腕を発揮して、街の諸悪を掃除していくのだが、街のビジネスを裏で一手に握り、政治家とも癒着のある巨悪と対立していき…ってな内容。
 まあストーリー的には、「熱血警察署長もの」と聞いて想像される、そのまんまの内容。正義漢で熱血漢、身体を張って悪と戦い、ときには違法スレスレの手段(てか「違法だろう、それ!」ってのもありw)も駆使して、弱気を助け強きを挫く、クリシェ通りのヒーローもの痛快アクション。
 盛り沢山でドラマチックだけどディテールのない展開、美人ヒロインとの恋模様、人死にを使ったエモーショナルな展開、定期的に挿入されるどうでもいいお笑いパート…と、表現面もストーリーテリングも、もうコッテコテのインド映画。とはいえさほどぶっ飛んだ展開ではないので、安心して楽しめます。
 全ての要素がひたすら「主人公カッコイイ〜!」ってことに奉仕しているので、主演のヴィクラムのファンとしてはウハウハw この人は下積みが長くて、マイナー映画で注目された後、今回の「Saamy」のヒットなどを通じてスター街道を駆け上ったらしいけれど、それも納得のカッコよさ ^^
 というわけで、古き良き(って2003年製作なんだけどw)インド大衆娯楽映画のお手本みたいな映画でした ^^
“Saamy”から、冒頭の飲んだくれに扮している主人公を囲む、見応えのある群舞シーン。
http://www.youtube.com/watch?v=wLDt22Xw6lI

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“Dhill” (2001) Dharani
(☆☆)
 主人公は警察官を目指す正義漢。無事に一次試験に通ったところで、街で出会った娘に一目惚れ。いろいろあって無事お付き合いすることになるのだが、デートの最中に酔漢に絡まれ、ついそいつをブチのめしてしまった。ところがそいつは何と非番の警察官で、しかも悪徳政治家と手を組む悪い奴!
 騒ぎで顔に大きな傷を負った悪徳警官は、主人公への怨嗟に燃える。果たして主人公は無事警察官になれるのか、そして悪人どもに打ち勝てるのか? ってな、正義漢の主人公およびその周囲の人間が、悪人たちにあの手この手で酷い目にあい、最後に逆襲! とゆーセオリー通りのパターンのアクションもの。
 まあ、これまた例によってコッテコテのインド映画。ヒーローはカッコ良くヒロインは美しく、アクションはド派手で、身近な人の死を使ってエモーショナルに盛り上げ、お笑いシーンがしつこく挟まり、もちろん何かあると歌って踊り出す。一から百までお約束通りの内容w
 ただ、今回は私的には特筆すべきものがあって、それは主人公を演じるヴィクラムの…ヴィクラムの… 責 め 場 キタ━(゚∀゚)━!!!!! ってことだったりwww
 とゆーわけでヴィクラム君、恋人を救うために悪徳警官に囚われ、警察署の拷問部屋で、上半身裸で逆さ吊りのタコ殴り、棒縛りで足の裏をメッタ打ち、フラフラするところをこづき回されガットパンチング…ってな、嬉しい嬉しい展開にw あ〜生きてて良かった ^^
dhill_scene_edit
 まあ責め場以外にも、悪人どもが主人公を陥れるためだけに爆弾テロ事件をあちこちで起こしちゃうとか、前半に主人公がバーベルを持ち上げるシーンがあるんだけど、それがビックリギョーテンの伏線だったとか、いろいろトゥー・マッチな楽しさもありました ^^
 とゆーわけで、典型的なインド映画のアクション物とゆー枠を出る要素は何もないけれど、主演男優のファンだったら文句なしに楽しめる上々の出来映え。わりと肉体派を強調した作りなので、脱ぎ場もそこそこあるし ^^
 因みにタイトルの意味は「根性!」だそうな ^^

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“Majaa” (2005) Shafi
(☆☆☆☆)
 タイトルの意味は「Fun」らしいので、映画の内容に併せて考えると「楽しくいこうぜ!」って感じかしらん。
 父1人息子2人の泥棒一家(兄貴が主演のヴィクラム)が、泥棒から足を洗い、家を売り払ってトラックを購入し、かたぎの新生活目指して出発! ところがトラックがエンコしてしまい、しかも弟が近在の家から貰ってきた食べ物(実は貰ったのではなく盗んでいた)には、何と毒が盛られていた!
 それを契機にこの一家は、立ち退きを迫られている農民一家と、あたり一帯の地主との争いに巻き込まれていく。しかし実はこの二つの家族には、土地代云々以前からの因縁があり、しかも真の悪人は別にいて…ってな内容の、コメディータッチの痛快アクション。
 学もなく貧しく、でも心は純な田舎の暴れん坊一家が、恋にケンカに大暴れ! ってな感じの世界ですが、いや、これはスピード感満点で痛快至極。コメディタッチのためセリフが早口で、字幕についていけないところや、何が可笑しいんだか判らない笑いどころも多々あるんですが、でも思い切り楽しめる。
 コミカルな日常描写とカッコいいアクションシーンの対比もバッチリ、しかも途中から、泥棒一家が実は血の繋がった家族ではないことも明かされ、家族の絆を問う泣きのシーンもあるし、キャラクターも紋切り型と思わせておいて、実はそうではないというドンデンがあったりとか、上々のストーリー。
 ヴィクラムはシリアスからコミカルまで相変わらずの芸達者だし、弟役の男優もルックス演技共に上々。農民一家も地主一家も配役にぬかりはなく、コミックリリーフも話から浮きすぎず、勧善懲悪のスカッと気分と切れのあるアクションと家族愛も堪能できて、後味のハッピーさも抜群。
 度を超した破綻もなく、でもインド南部の田舎の風物詩はたっぷり堪能できるし、インド映画好きにも初心者にもオススメできるクリーンヒット。しかも男臭さというかチョンガー臭もムンムンで、男のカッコよさも可愛さも馬鹿さもタップリ堪能、私的にはかなりの高得点でした ^^
“Majaa”から、農作業しながらみんなでダンスの音楽シーン。こーゆー感じの土臭い威勢の良さがタップリ楽しめる映画 ^^
http://www.youtube.com/watch?v=bgH77XWoqqE

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“Arul” (2004) Hari
(☆)
 正義漢で腕っ節の強い主人公が、選挙に向けて支持者を集めるためには殺人も辞さないという大物政治家に立ち向かう…という話に、主人公と父親の相剋とか、お向かいのおきゃんな娘との恋なんかが散りばめられ、歌と踊りとトゥー・マッチにバイオレントなアクションシーンで彩られる内容。
 う〜ん、これはちょっと… ^^; テンコモリはインド映画の特徴だけど、どうもそれぞれがバラけてしまっていて、おかげで最後のハッピーエンドの強引さが際だってしまう感じ。後半になって、話を盛り上げるために人死にをバンバン使う感覚も、行き過ぎ感アリアリでイヤ〜ンな感じ。
 主人公は汚い言葉(音声字幕共に規制で消されているので、どんな言葉なのかは判らず)を許せないという設定なんだけど、それを言った相手をボコボコに殴るのは、何だかキレやすい人みたいで好感度が低下。アクションも「いくら悪人相手でも、何もそこまで…」と、ちょっと引いてしまう感じ。
 というわけで、古風なインド映画の特徴が、悉く裏目裏目に出てしまった感じで、見終わった後は「あちゃ〜…」な印象でした (´・ω・`)

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“Gemini” (2002) Saran
(☆☆)
 主人公はストリート・ギャングのボスで、ライバル組織と抗争中。そんな中、夜学に通う美少女に一目惚れして、彼女の気を惹くために正体を隠して自分も入学。見事イイ感じの関係に持ち込むが、そんな最中、新任の警察署長が就任して、ライバルのボス共々パクられてしまう。
 人格者の署長に感銘を受け、主人公は更正を決意して無事釈放。これからはかたぎでいこうとするが、子分はそれを受け入れられず、ライバルのボスも相変わらずのワル、しかも彼女も離れていってしまった。果たして主人公は、無事に真っ当な道を歩めるのか? ってな内容。
 まあ例によって、恋にケンカに人情に笑いに歌に踊りに…と、ひたすらテンコモリの内容。ストーリーテリングは乱暴だけど、度を超した破綻はなく、ビックリ伏線もそこそこあったり、プチ社会派な要素もあったりで、飛び抜けたものはないけど、標準的に楽しめました。
“Gemini”から、更正しようとする主人公の恋路を、ビッチ系ライバルキャラ(踊ってる太目の女子)が邪魔しようとする音楽シーン。何となく80年代テイストだけど、いちおう2002年の映画です ^^;
http://www.youtube.com/watch?v=eplwi9crf-k

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“Sethu” (1999) Bala
(☆☆☆☆)
 監督は”Pithamagan”、”Naan Kadavul”で個人的に大注目中のバラ。
 主人公セトゥは大学の生徒会会長で、正義漢はあるがカッとなりやすく、男尊女卑的な部分もあるマッチョ・ガイ。生徒会のライバルを腕力でブチのめし、弱い者いじめをする者には天誅を下し、新入生に先輩風を吹かしているが、新入生のおどおどとしたバラモン出の女子と出会い、次第に惹かれていく。
 しかし今まで本気で人を愛したことのない彼は、自分の恋情を持てあまし、そのせいで何かと極端な行動に走ってしまう彼の気持ちを、彼女も受け止められずにいる。あれこれあった挙げ句、ようやく彼女の気持ちがこっちを向き始め、彼が有頂天になったところに、過去の因縁で闇討ちにあってしまう。
 その襲撃で、脳に損傷を受けた主人公は、正気を失ってしまう。そして現代医学からは見放され、精神病患者にインド古来の治療を施す寺院に収容されてしまう。周囲が嘆き心配する中、やがて彼は正気を取り戻すのだが、その寺院からでることは出来ず…といったストーリー。
 う〜ん、実にハードな内容。暴力や恋愛を「激情」の産物として捉え、そこにインド古来の伝統や宗教的モチーフを絡めつつ、それらの坩堝と化した「人の世の哀しさ」を描くという内容は、「Pithamagan」「Naan Kadavul」と同じ。バラ監督、実に作家性がはっきりとしています。
 これがこの監督の処女作ということもあり、流石にいささかまだぎこちなかったり垢抜けない部分は散見されますが、しかし力強さは桁外れ。悲劇へと雪崩れ込む後半の怒濤の展開は、伏線の生かし方やパワフルな演出などなど、もうとにかく圧倒されました。
 主演のヴィクラムも、この映画撮影時には、まだ無名の端役時代。新人監督が撮った無名俳優主演のこの映画、悲劇的な内容ということもあって、数多の会社から悉く配給拒否され、ようやく配給が決まっても宣伝も何もなく、ひっそりと上映が始まったんだそうですが、口コミで大ヒットしたんだそうな。
 というわけで、この映画によってバラ監督もヴィクラムも、共々スター街道を駆け上るきっかけとなったんだそうですが、それも納得の内容。才気迸るバラ監督の作品世界にも、陽気なマッチョから悩める青年へ、そして廃人と、見事な演技力を見せるヴィクラムにも、共に拍手。いや、満足満足 ^^

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“Saamurai” (2002) Balaji Sakthivel
(☆☆☆)
 タイトルの意味は文字通り「サムライ」です ^^
 主人公は居を転々としながら、身体を鍛えたり子供たちに無償で学問を教えている謎の男。しかし彼の正体は、謎の新聞広告で仲間達と連絡を取り合っては、病気療養などの名目で法の目を逃れている、貧困層を苦しめた悪徳政治家でを、巧みな手口で次々と誘拐していくグループの首魁。
 そんな主人公が、ある日バスの中で出会った快活な女学生に目を奪われる。しかし女学生の父親は、彼を追う立場にある警察官だった。果たして誘拐団の目的は何か、そして彼はなぜ彼女に目を奪われたのか、それは全て彼の過去に端を発していた…ってな内容です。
 これはなかなか見所いっぱいで面白い出来映え。根っこはまあありがちな「弱きを助け強きを挫く」ヒーローものなんですが、ミソは処刑ではなく誘拐というあたり。それによって、動機はともかく目的に謎が残るので、作劇的にクライマックスまで上手く興味を引っ張っていくことに成功している。
 加えて、行動とヒロインとの関係、両方の動機になっている主人公の過去のエピソードを、上手い具合に映画中盤に挟み込み、しかもそれがかなりエモーショナルな内容なので、そこから先、ストーリーが一気に加速していくダイナミズムへと繋がり、エンディングまで目が離せなくなる。
 見所はいっぱい。まず、主人公が仲間達と行う謎のトレーニング。ビニール袋をかぶって水中で息を止めたり、ワイヤーで吊られて焚き火の上に落下したり…と梶原劇画か小池一夫ばりの特訓シーン。何じゃこりゃと思っていると、後にそれが実際の誘拐にどう使われるかを見せてくれるので納得 ^^
 ヒロイン部分も、快活な女学生の生活を最初にじっくり描いているので、前半の後半部で貞操の危機に遭うあたりからは、ど〜なっちゃうことやらとハラハラドキドキ。ただ、回想シーンに出てくる過去のヒロインが、美貌といいエピソードといい強力すぎるので、後半は影が薄くなっちゃうのが惜しい。
 それ以外にも、あの手この手で要人の居所に潜入して誘拐をする、昔のスパイ映画みたいな楽しさとか、とうぜんそこで繰り広げられる飛んだり蹴ったり殴ったりのアクションとか、職務と正義感で煩悶する警察官とか、例によって盛り沢山なんですけど、繋がりが自然で無理がないのが良い。
 ネタバレになりますが、クライマックス、主人公が捕らえられて誘拐の目的を明かし、それが報道されることによって民衆の支持を得て、司法や行政サイドとの対立を経て、暴動〜リンチへと雪崩れ込むんですが、そこいらへんのパワフルさも見所。まあ、倫理的にはちょっとどうかという気はしますけど…。
 主演のヴィクラムは、自分のためではなく社会正義を動機として、世の不正を正すために暗躍する、ストイックな、でも文武両道のヒーローで、その精神を「サムライ」になぞらえているんですが、まあ相変わらずカッコイイのと演技達者で魅せられます。チビっとですけど、責め場もアリ ^^
 そんなこんなで、いかにも現実でもありがちな権力者の不正に対して、カッコいいヒーローが立ち上がり、更には社会の抱える矛盾を突きつけながら、最終的には勧善懲悪ものとして終わるので、そんな真っ直ぐさと、インド映画的な盛り沢山さとパワー感が、上手い具合に噛み合った好作でした ^^

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“Kadhal Sadugudu” (2003) Durai
(☆)
 孤児の主人公は、友人に誘われて一族が集まる田舎の祭りへ出掛け、暖かく歓待され一族の娘の一人と恋に落ちる。しかし、主人公は実はその娘の父親と、それと知らずに何度か出会っていて、しかも度重なる不幸な偶然のせいで、父親は主人公を悪い人間だと思い込み悪感情を抱いていた。
 主人公と娘は互いに深く愛し合い、娘の一族もそれを応援するのだが、父親だけは頑として二人の仲を認めようとはしない。果たして二人は無事結ばれることができるのか? …といった内容。
 …う〜ん、これはちょっと… ^^; しょっぱなの、主人公と娘のロマコメめいた展開はけっこう好調なんだけれど、娘の親父さんのキャラがマズい。愛娘を溺愛する昔気質の頑固親父…なんだろうけれど、余りにも意固地に過ぎるのと、その言動が極端すぎるせいで、単なる馬鹿にしか見えないのだ。
 例えばこの親父さん、自分の娘が言いつけを破って、交際を反対している男と会ったのを知って、ガソリンかぶって焼身自殺しようとするなんて、いくら何でもトゥーマッチ過ぎてついていけないし、いくら不幸な偶然による誤解とはいえ、ここまで重なると単に見る目のない馬鹿としか思えないし… ^^;
 つまり、厳格な家父長や頑固親父ならではの魅力というものが、全く伝わってこないんですな。加えて他の登場人物たちが、この親父さん以外はほぼ全員、実に善良で思いやりのある人たちばかりなので、なおさらその意固地さや頭の固さがマイナスの印象になってしまう。
 演出や作劇も、悪い意味で実にインド映画的なもので、強引なストーリー展開、トゥーマッチにエモーショナルな盛り上げ方、しつこく挿入される本筋とは全く無関係のお笑いシーン、話の腰を折るみたいなタイミングで出てくるお色気サービスのダンスシーン…ってなパターン。
 とゆーわけで、特に印象に残るシーンもなく、ちょっとウムムな出来。唯一、インド映画では基本的に御法度だったキスシーンを、はっきり明確に描いているところに驚いたくらいかなぁ… ^^;

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“Raavanan” (2010) Mani Ratnam
(☆☆☆☆☆)
 監督は「ボンベイ」のマニ・ラトナム。ヴィクラム&アイシュワリヤ・ラーイ主演。東京国際映画祭で上映される「ラーヴァン(ヒンディー語版)」のタミル語版。

 南インドのとある地方、何人もの警察官が襲撃&惨殺され、警察署長デーヴの妻ラーギニーが誘拐される。彼女を攫ったのは無法者ヴィーラ(主人公)率いる山賊のような一団。彼らは、行政側からは悪党・テロリストとみなされているが、実は土地の人々には義賊的に慕われている面もある。
 当初ラーギニーは、何らかの報復か見せしめのために処刑されるはずだったが、ヴィーラは彼女の秘めた「強さ」に惹かれ、生きたまま自分のアジトへと連れて行く。一方、夫デーヴは妻を奪還するために、警察の一団を率いて山狩りを開始する。
 密林と山中の道行き中に、ヴィーラはどんどんラーギニーに惹かれていき、ラーギニーもヴィーラの中に、単なる悪党ではない人間性を認めていく。その反面、警察の山狩りを通じて、法の下での正義に隠れされていた、デーヴの妄執や非情な側面が浮かびあがっていく。
 そんな中、ヴィーラがなぜ警察官の殺害やラーギニーの誘拐を実行したのか、その理由が明かされる。自分の知らなかった過去の経緯と、夫の一面を知って、ラーギニーの心はますます揺れ動き、そしてついにヴィーラとデーヴは対峙するのだが…といったストーリー。

 いや〜見応えあった〜! テーマはおそらく二本柱。まず、どれが善でどれが悪と単純には言えない、人間や人間社会の多面性。そしてもう一つ、ズバリ「愛」。いやぁ、すごいラブストーリーだわぁ、思わず泣いちゃったなり 。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。
 善悪の問題に関しては、これといった回答が提示されることはなく、これはおそらく監督の視線が「人間(社会)とはそういったものである」というスタンスにあるからではないかと。そんな中で、愛ゆえに生まれる、怒りや赦しといったものが描かれていく。
 あんまり詳しく書くとネタバレになっちゃうので控えますけど、とにかく、そういった「人間(社会)」における「愛」の意味が、様々に形を変えて問われるという意味で、これは「ラブストーリーである」と断じる次第であります。
 技術も見事。前半部、現在と過去二つの時制を交錯させて語ることによって、事件の全容が浮かびあがっていくのと、キャラクター造形が次第に深くなっていく前半、そして全てが明らかになり、血肉を与えられたキャラクターの心理ドラマとなる後半、作劇として実に見事な構成。

 撮影の美しさも素晴らしい。密林や山岳地帯といった自然の姿と、そこで蠢く人間達の心理を描く、スケール感タップリの風景描写、表情のクローズアップ、湿度などの空気感が伝わってくるシズル感、印象的なスローモーション…などなど、もう文句なしの出来映え。
 役者も、ヴィーラ役のヴィクラム、ラーギニー役のアイシュワリヤ、共に文句なしの素晴らしさ。このストーリーのキイとなるのは、ヴィーラというキャラクターの複雑さに、どこまで説得力と共感を与えることができるかに尽きると思うんですが、ヴィクラム、過剰になり過ぎない演技で見事にクリア!
 アイシュワリヤ・ラーイも、キレイなおべべを着ているシーンなんかホント数えるほどしかなく、ひたすらズブ濡れドロドロ状態なのに、まあ何とも輝くばかりの美しさと、その凛とした佇まいときたら…元々好きな女優さんですが、今まで見た彼女の中でも、これはベストかも。
 デーヴ役のプリトヴィラージ(…でいいのかしらん?)は、いささか弱い気はするんですが、これは役者のせいというよりも、他の二人に比べると、デーヴの描写が少し浅いせいだという印象。このデーヴのキャラクター造形不足とラストの性急さは、この映画自体の瑕瑾かも。ちょっと惜しいです。

 さぁて、こうなると今度見に行くヒンディ語版「ラーヴァン」がますます楽しみになってくる。果たしてヴィーラ役のアビシェク・バッチャンは、どんなキャラクター造形を見せてくれるのか、そして今度はデーヴ役になるヴィクラムは? ふふふ、楽しみ楽しみ ^^
“Raavanan”予告編。
http://www.youtube.com/watch?v=1L6b5JJShrU

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“Dhool” (2003) Dharani
(☆☆☆)
 とある田舎の村で、工場の廃液が水を汚し、家畜が死んだり人が病気になったりしている。学はないが腕っ節と根性はある村の男(主人公)と、彼といつも反発し合っている勉強のできる幼馴染みの村娘、そしておばあちゃんの3人が、村の窮状を知事に陳情するために都会へと向かう。
 都会で無事知事に会い、前向きな返事を貰えたものの、主人公とヒロインは始終衝突してばかり。そこに、ガタイ専の色っぽいオネエチャンが主人公に惚れてしまい、更に厄介なことに。また、都会には人々が怖れているギャングがいて、そいつらとも揉め事を起こしてしまう。
 しかも、善人に見えた知事も実は悪徳政治家で、件のギャングと裏で繋がっていた。知事とギャングは邪魔な主人公を消そうとし、主人公はそれに立ち向かう。果たして彼は無事に敵を倒して、公害から村を救うことができるのか…? ってな内容。
 これは上出来 ^^ まあ、弱きを助け強気を挫き、現実にありがちな社会問題に立ち向かう強いヒーロー、ロマコメタッチの恋愛騒動、歌とダンスとド派手なアクション、コテコテのお笑いパート…と、典型的なインド大衆娯楽映画ではありますが、そんな映画ならではの味で、タップリ楽しませてくれます。
 出来の良さには幾つかポイントがあって、まずキャラクターの良さ。主人公はもとより、おばあちゃん、セクシーねえちゃん、見方してくれる警察官、ギャングの首魁のババア(ボスキャラが女なのは珍しいかも?)…などなど、メインから脇までキャラが良く立っているので、楽しさも倍増。
 話も良くできていて、前半のコメディ展開、後半の怒濤のアクション展開、どちらも面白い。伏線も上手く使っているし、悪徳知事を追い詰めていくアイデア等にも工夫があり、安易に人死にを使ってエモーションを盛り上げようとしたりしないのも良い。
 加えて音楽もゴキゲン。昔ながらのインド映画の枠をはみ出すようなものではないけれど、ジャンル映画として上々の出来映え。主演のヴィクラムも、コメディ演技もアクションもバッチリ決まって、相変わらずのカッコよさ。いや、満足満足 ^^

Raavan
『ラーヴァン』(2010)マニ・ラトナム
“Raavan” (2010) Mani Ratnam
(☆☆☆☆)
 東京国際映画祭でヒンディー語版「ラーヴァン」を見たので、先日見たタミル語版「ラーヴァナン」共々、両バージョンを無事鑑賞終了。
 で、結論。これは明らかにタミル語版の方が良い!
 前に呟いたように、この物語の鍵を握るのは、ビーラという複雑な人物の表現如何。ヒンディー語版のアビシェク・バッチャンは、熱演はしているものの、10の顔を持つと謳われるような、複雑な多面性にまでは至っておらず、サイコさん風味がキツ過ぎる印象。
 秩序と混沌、論理と野蛮の対比も、この物語の肝なのだが、混沌・野蛮の体現者であるビーラというキャラを演じるにあたって、アビシェクはいささか線が細い。肉体的な存在感も繊細な表現力も共々、これはタミル語版ヴィーラを演じたヴィクラムが圧勝。
 ヒンディ語版デーウを演じるヴィクラムは、この役柄にはいささか男っぽすぎ、ストーリーと共にキャラクターの印象が変化していく驚きに欠ける。いささか弱いと感じられたタミル語版のプリトヴィラージが、この点ではその人畜無害感が逆に効果的だったのだと判る結果に。
 事件の発端となる、ビーラの妹が一目惚れする腰抜け若造も、ヒンディ語版では、う〜ん、これはちょっと…というお顔。まあ、ここいらへんは色男の基準の違いもあるんでしょうが、少なくともこの違和感も、タミル語版では感じられなかったポイント。
 ビーラの兄弟二人も、これまた神話的世界のキャラクター造形的な強さという点で、やはりタミル語版に軍配を上げたい。こういった諸々が合わさり、タミル語版「ラーヴァナン」で感じられた力強さが、ヒンディ語版「ラーヴァン」ではかなり薄まってしまっている印象でした。

 とはいえ、これはあくまでも2つのバージョンを比較すると…という話であって、単体で見れば、ヒンディ語版「ラーヴァン」も、大いに見応えのある作品であることは確か。
 細かな差異では、歌詞の翻訳が異なっている部分があった(これは意訳によるものなのか、それとも音韻などの理由で歌詞そのものが異なるのかは判らず)のと、タミル語版で見られたビーラの妹が警察署で輪姦されるのを暗示するカットが、ヒンディ語版では全て台詞で説明されていたくらい?
 ただ、基本的には完全に同一と思ってよい感じで、ちょっとした印象的なカットまで、俳優だけが変わって、他は全く同じに撮られているのに驚いたほど。
 一例を挙げると「うわ、このトンボ、またここにいるよ。ってことは、作り物かCGか、それとも足を接着してるのかしらん ^^;」なんて思ったほどwww

Blu-ray_raavanan
 昨年末に発売された”Raavanan”のBlu-rayも無事ゲット。
 文句なしのHD画質(1080p High Definition 16×9 / 2.35:1 AVC-4)。
 映像の迫力と映像美が見所の1つなだけに、やはりこの高画質は嬉しい ^^
 音声はタミル語 5.1 DTS HD Master Audioと、タミル語 5.1 LPCM Uncompressed – Studio Masterの2種。字幕は英語のみ。リージョン・オール。
 特典等は何も付いていませんが良く確認したら、30分のメイキングが付いてました。ただし英語字幕なしで、表示されるクレジットもタミル文字。
 アイシュワリヤとプリトヴィラージは英語で喋っていますが、マニ・ラトナム監督やヴィクラムはタミル語。
 というわけで、語られている話の内容は良く判らないんですが、それでもアクション・シーンや歌舞シーン、大規模セットの造営など、撮影裏の映像は、動画スチル取り混ぜて、色々と見られます。
 あと、ジャケットが<リバーシブル仕様になっています。 Blu-ray_raavananR

【追記】その他のヴィクラム主演作のレビュー
“King” (2002)
“Deiva Thirumagal (God’s Own Child / 神様がくれた娘)” (2011)
“Rajapattai” (2011)
“David” (2013)

ちょっと宣伝、『長持の中』完結です

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 本日発売の「バディ」2月号で、短期連載マンガ『長持の中』が完結です。
 まあ最終回ともなれば、ここで見所がアレコレとか言うより、どうぞ掲載誌を手にとってご覧下さいませ、ってな感じですが、作者としては、当初のプラン通りに全体を纏めることができて、仕上がりの手応えも満足度もバッチリ、というところです(笑)。
 マニアックな視点での見所では、デジタルによるアナログ風トーン削り効果をご覧じろ、とか(笑)。

 この『長持の中』ですが、連載開始時にこのブログでも書いたように、昔から温めていた『おもちゃのくに(仮題)』という話の、イントロ部分をアレンジし直したものですが、オリジナルのプロットでは、主人公の年齢がもっと幼く、虐待するのも義父ではなく傴僂の番頭で、更に長持も出てきません。
 まあちょっと、発表するには色々アレな要素が多く、ハードルが高そうだったので、スパッと頭を切り換えて、今回『長持の中』という別作品にしてみたわけですが、前述したように、結果は満足のいくものになったかな、と。

 というわけで、この『長持の中』、完結を機に、宜しかったら改めて第一話からまとめて通読していただけると、よりお楽しみいただけるのではないかと思います。

Badi (バディ) 2011年 02月号 [雑誌] Badi (バディ) 2011年 02月号 [雑誌]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2010-12-21

 さて、来月の「バディ」のマンガは、またちょいと趣を変えて、アダルト二人によるじっくりとした絡みモノを、数回に分けて描いてみようと思っています。
 お楽しみにお待ち下さ…って、実はまだタイトルが決まってない。ヤバい(笑)。

新刊マンガ単行本『童地獄・父子地獄』(12月14日発売予定)予約受付開始(先着30名様にサイン本も)です

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 最新マンガ単行本『童地獄・父子地獄』、いよいよ12月14日に刊行予定です。
【収録作品】
『童地獄・父子地獄』(バディ誌に掲載された『童地獄』と『父子地獄』に、新規描きおろし含む加筆修正をして、1本の作品としてまとめました)
『Der fliegende Holländer』
『哀酷義勇軍』
『告白』
 版元のポット出版では、予約の受付も始まりました。先着30名様までサイン本も用意。
 詳しくは予約受付ページへどうぞ。

ちょっと宣伝、『長持の中』第5話掲載です

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 11月20日に発売になったゲイ雑誌「バディ」1月号に、短期集中連載マンガ『長持の中』第5話が掲載です。
 全6回の連載なので、今回はもうラストスパートに突入。ここまでくれば、もう多くは語りますまい。来月の最終話まで、よろしくお付き合いくださいませ。

 さて、この「バディ」1月号ですが、早くも創刊17周年記念号とのことで、また、この号から新編集長が就任ということもあえい、なかなか意欲的な誌面になってます。今のご時世、こういった節目に「守り」ではなく「攻め」の姿勢でいくあたりは、何だか頼もしい感じ。
 特に表紙には目を奪われました。カッコいいね〜、これ。
 モデルさんの良さもさることながら、ゲイ雑誌の表紙がかつてのイラスト主流から写真に変わってだいぶたちますが、全体的にナチュラル系のイメージが多かった印象なので、こういう作り込んだヴィジュアルは、なかなか新鮮で目を奪われました。
 巻頭グラビアも同傾向で、更に織り込みポスターなんかも付けつつ、でも表紙をめくると、しっかりキャムプなノリのお遊びがあるあたりも、いかにも同誌らしくていい感じ。

 そんなこんなで、よろしかったら是非お買い求めくださいませ。

Badi (バディ) 2011年 01月号 [雑誌] Badi (バディ) 2011年 01月号 [雑誌]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2010-11-20

ちょっと宣伝、ヒゲオヤジ拷問マンガ描きました。

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 本日発売のマンガアンソロジー「肉体派 vol.18 極!!オヤジ受」に、読み切りマンガ『MISSING 〜ミッシング〜』描きました。今回はちょっと長めの32ページ。
 内容は、東南アジア某国で日本人ジャーナリストが軍事政権によって拉致され……という、監禁拷問凌辱系。アンソロのテーマが「オヤジ受」なので、当然被虐者もヒゲマッチョのオヤジです。
 それプラス、ページ数的に余裕があったので、ストーリー的に読ませる系の要素も加えてあったり。ってなわけで、抜き目的でも読み目的でも、けっこう読み応えはあるのではないかと。
 描く方としても、ページ数が多めなことに加えて、拘束器具やら責め手が複数やら銃やら洋館やら車やら……と、けっこう作画が手間でした(笑)。
 というわけで、よろしかったらぜひお読み下さいませ。

肉体派 vol.18 極!! オヤジ受 (アクアコミックス) 肉体派 vol.18 極!! オヤジ受 (アクアコミックス)
価格:¥ 920(税込)
発売日:2010-11-18

ちょっと宣伝、カレンダーとか単行本情報とか

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 ゲイショップBIG GYMさんの店頭でお買い物すると貰える、マンスリーカレンダーキャンペーン、私がイラストを担当した12月分が、本日から配布開始です。
 1日と16日の月二回配布で、先着順、なくなったらそれでオシマイだそうなので、欲しい方はお早めに!
 BIG GYMさんのサイトは、こちら

 このイラスト、もう1年前に納品していたんですけど、誰が何月を担当するかは当月まで内緒とゆ〜企画だったもんで、なんかもう時間が経ちすぎて自分でもすっかり忘れていたほど(笑)。
 で、コンプした方ならお判りかと思うんですが、実は昨年末に、事前に12ヶ月分揃ったサンプルをいただいた際に、初めて他の方のイラストを拝見したところ、1月担当の児雷也画伯と構図がかぶりまくっていて、もう大笑いしてしまいましたとさ(笑)。

 このBIG GYMマンスリーカレンダーキャンペーン、好評につき2011年も続行ということで、こちらの方も引き続き参加させていただいておりますので、どうぞお楽しみに。
 私が担当したのは何月かはまだ内緒なんですが、いや、その月に合ったイラストを……ってとこで、アイデア出しにひどく難儀してしまった……とゆーことだけは告白しておこう(笑)。ホントも〜、×月なんて、アレとアレしか思い浮かばなくって……(笑)。

 それと、お知らせ。
 昨年9月にオークラ出版さんから発売された、私のマンガ単行本『髭と肉体』ですが、ネット書店の様子などから察するに、どうやら版元は品切れ、店頭およびネット在庫のみになっている模様です。
 現状、アマゾンと楽天は既にアウトですが、他のネット書店さんには、まだ在庫が残っているところもある様子。ただし、先に品切れになった『ウィルトゥース』のケースから考えても、おそらく在庫がジワジワと減っていき、そのうち新刊を定価では入手できなくなり、古書にプレミア価格が付くというパターンになると思われます。
 欲しいけどまだ買っていなかったという方、まだいらっしゃいましたら、早めのゲットをオススメいたします。

 そして、お問い合わせも多い、次のマンガ単行本ですが、現在こんな感じで鋭意進行中です。
 一番時間がかかる新規加筆および補筆訂正作業も、先日無事に完了しました。
 どうぞお楽しみに!

ちょっと宣伝、『長持の中』第四話掲載です

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 昨日の10月21日発売「バディ」12月号に、短期連載マンガ『長持の中』第四話掲載です。
 ……関係ないけど、12月号の雑誌が届くと、もう今年も終わりだというのをひしひしと感じて、何だか焦りますなぁ。「今年中に!」と思っていた案件が、まだ幾つも幾つも幾つも残っているのだが……(笑)。
 そんなこんなで孝太少年、今月もまた、精神的にも肉体的にも苛められまくっております。
 今回の第四話を描いてみて、ショタ系(とはいえ何度も言いますが、私の便宜上『ショタ』系は、世間様のそれとは年齢的にもだいぶ上なんですけど)を描く面白さを、改めて実感しております。むくつけき強靱な男が主人公だと、こういった味はちょっと出しにくいですからね(笑)。
 因みに、むくつけきヒゲ体毛マッチョ系責めは、次の「肉体派」に載る予定。既に脱稿しておりますので、どうぞお楽しみに。
 そんなこんなで、まずは『長持の中』第四話、よろしかったらぜひお読みくださいませ。

Badi (バディ) 2010年 12月号 [雑誌] Badi (バディ) 2010年 12月号 [雑誌]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2010-10-21

気になる映画予告編、”Estigmas”

 Adán Aliagaという監督の、”Estigmas”(2009)というスペイン映画の予告編。
 主演男優のルックスといい全体のムードといい、すっごく惹かれて気になっています。

 IMDbによると「飲んだくれで乱暴者の巨漢ブルーノの唯一の望みは、普通の人間になることだった。しかしある日、彼の両手に聖痕が顕れ出血し始めた。そしてそれは、苦難、痛み、死へと続く、彼の贖罪の旅の始まりを示していた…」ってな内容のようです。
 う〜むむ、かなり好みの予感(笑)。
 ティーザー予告はイメージ・ショットを使ったものですが、こっちも実にいい感じ。

 ポスターとかスチルとかもいい感じなので、興味のある方は映画の公式サイトをご覧あれ。
 どっか買い付けて公開してくれないかしらん?
 ……それにしても主人公の熊男クンがカワイイ(笑)。

“Magadheera”

Blu-ray_magadheera
“Magadheera” (2009) S.S. Rajamouli
 インド(テルグ)映画、輸入盤Blu-ray(英語字幕)で鑑賞。

 インド映画ってのは、使用言語によって様々種類があるそうで、過去に私がこのブログで何度か紹介してきたのは、いわゆる「ボリウッド」と呼ばれるヒンディー語映画、日本でも以前話題になった『ムトゥ 踊るマハラジャ』なんかはタミル語映画(コリウッドとか言うらしいです)、テルグ語の映画はトリウッド、他にもマラヤラム語映画とかカンナダ語映画とかがあるんだそうな。
 で、この”Magadheera”は、私にとって初テルグ映画。この後、マラヤラム映画も1本見たけど、カンナダ映画はまだ未体験(笑)。

 ストーリーの大筋は、こんな感じ。
 400年前、マハラジャの姫君と側近の戦士が、互いに愛し合ってはいるものの、結ばれることなく死んでしまう。その今際のきわに、主人公である戦士は、せめてひとたび姫の手に触れたいと願うのだが、それも果たされなかった。
 舞台変わって、現代の南インド。生まれ変わって、現世ではアクロバティックなバイク乗りになっていた主人公は、ある日偶然、やはり現世に生まれ変わっていた姫の手に触れたことで前世の記憶が蘇り、再び運命の恋に落ちる。
 しかし、生まれ変わった姫に前世の記憶はない。更に、400年前の恋敵であり極悪非道の裏切り者でもあった男が、彼女の従兄としてやはり現世に生まれ変わっており、しかも彼女の美貌と財産を目当てに結婚しようと画策中だった。
 主人公とヒロインが、生まれ変わった恋敵の存在や、その思惑を知らぬまま、恋敵だけが行者の占いによって過去の因縁について知り、主人公とヒロインを引き裂こうと企む。結果、主人公はヒロインの父親殺しの濡れ衣を着せられてしまい、ヒロインもそう誤解したまま、ヘリコプターから落とされて湖に沈んでしまう。
 ここで、舞台は再び400年前に戻り、この三人の経緯が改めて語られる。
 姫と戦士は互いに愛し合っていたものの、そこに例の恋敵が求婚者となって現れる。姫との結婚を賭けて二人は勝負をし、見事戦士が勝つのだが、実は彼は、代々「戦いで死ぬ前に100人の敵を斃す」という勇猛果敢な一族の出であり、若死にしやすい家系だった。そのため父王は、愛娘が若くして寡婦になってしまうことを恐れ、「娘を愛しているのなら身を退いてくれないか」と戦士に頼み、戦士もそれを承諾してしまう。
 そんな最中、恋に破れた例の恋敵が、王座と姫の身を狙って、敵国に寝返って侵略に手を貸す。その最中で父王は殺され、生き残った者たちはシヴァ神の神殿に追い詰められ、そして主人公は姫の身を守るため、たった一人で百人の敵に立ち向かい……ってな内容。
 この後ストーリーは、過去編を終えて現代に戻り、主人公はヒロインの前世の記憶を呼び戻すことができるのか、そして無事に裏切り者の恋敵を斃すことができるのか……といった展開になります。

 で、これがメチャクチャ面白かった!
 まあインド映画らしく、アクションも歌舞もテンコモリ。別になくてもいい漫才めいたお笑いシーンも挟まるし、細かいことを気にしちゃいけない強引なストーリー展開もあり、キャラクター造形もまあコテコテでベタベタの判りやすさ。こういう作劇法とかに関しては、昨今の洗練されたヒンディー映画に比べると、まあ何とも前時代的で泥臭いのは否めません。
 ところが、ストーリーといい絵面といい、そのパワフルさがハンパない。内容が実にオーソドックスかつドラマチックな、古典的な伝奇風味ラブロマンスということもあって、前述したコテコテ感とベタベタ感、そして後述する画面やセンスのトゥー・マッチさが、いずれもプラスの相乗効果になって、ものすごいプラス方向のパワーになっている。
 そのパワフルさにグイグイ引き込まれ、3時間の尺も全く苦にならず、ヒーローとヒロインには思いっきり感情移入できるし、加えてあれもこれものテンコモリで楽しませてくれるもんだから、スタッフ一同歌い踊る楽しいエンドクレジットでは、もう満足感でイッパイに。
 いや〜、こんなに多幸感と満足感に満たされた後味の映画は、久しぶりかも。

 トゥー・マッチさに関しては、この映画では全編にわたってCGIが多用されているんですが、これがまた、かなり色んな意味でスゴい。
 過去編のスペクタキュラーな見せ場では、そういうのがふんだんに登場するのはまあ判るんですが、なんとゆ〜かその、「スゴいものを見せてやろう!」っつ〜心意気の、そのスゴいものがスゴすぎて、おかげで衣装やセットや小道具なんか凄く豪華なのに、そこにミョ〜なCGIが絡むせいで、ゴージャスなんだかチープなんだか判らないカオスな絵面になっている(笑)。
 まぁぶっちゃけ、現代編のダンス場面でも、オンナノコの揺れるオッパイから「かめはめ波」みたいのが出て男どもが石化する……なんてシーンが出てくると、CGIも半分くらいは使い方を間違ってる気がするんですが(笑)、とにかく、良くも悪くも「ハンパはしねぇぜ!」ってなサービス精神満点な心意気なもんだから、もう見ていて楽しいのなんのって。

 こんな風に言っていると、何だかネタ映画みたいな感じを受けるかもしれませんが、確かにネタ的なオモシロ要素も多々あれども、しかし見終わったときには、ネタとかじゃなくてきちんと映画として「面白かった!」と思わせてくれるのがスゴい。
 というわけで、映画好きなら一見の価値ありの力作。
“Magadheera”予告編。

 あと、個人的に最大の収穫だったのは、過去編に出てくる”Dheera Dheera Dheera”というミュージカル・シーン。
 以前から何度か、「こんだけCGIが発達してきたんだから、いつも大戦闘シーンとか壮麗な異世界とかだけじゃなくて、マンキウィッツ版『クレオパトラ』のローマ入城シーンみたいな、ハレの祝祭空間としての一大スペクタクルとかも見せてくれないかしらん……」とか言っているのですが、これぞまさに「それ」でした。
 まあ、真っ当な意味では、前にここで紹介した”Jodhaa Akbar”の”Azeem-O-Shaan Shahenshah”の方がスゴいとは思うんですが、この”Magadheera”の”Dheera Dheera Dheera”も、その美麗さとイキ過ぎ感共々、拍手喝采でゴザイマス。
 曲自体も実に好みで、脚韻を踏んだリズミカルな歌詞、民族音楽要素と西洋音楽的和声のブレンド具合、加えて戦士役のラーム・チャラン・テージャ君のカッコヨサもあいまって、もう何度リピート鑑賞したことか(笑)。当然サントラ盤も探し出してゲットしました(笑)。

本日より大阪distaにて企画展「HOW TO SEX」スタートです

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 来る10月10日、エイズの予防啓発と陽性者への支援・共生、そしてコミュニティの活性化をテーマとしたお祭り型複合イベント、「PLuS+ FINAL~for the next challenge~」が、大阪で開催されます。
 そして本日10月1日から、その関連イベントとして、大阪のコミュニティスペース「dista」にて、総勢26名の作家たちによるエロティック・アートを展示する一大企画展、「HOW TO SEX」がスタートします。
 とりあえずは展覧会の主旨から(以下プレスリリースからの引用となります)。

会期:2010年10月1日(金)~10月18日(月)
※当日を除く10月1日(金)~10月18日(月)は、17:00~23:00(火曜休み)。
土曜日のカフェイベント開催時は翌朝5時までオープン。
~PLuS+ FINALを飾る特別企画展覧会『HOW TO SEX』~
スペシャルゲストにMULM(ムルム)やADON(アドン)で活躍した倉本彪氏を迎え、総勢26名の作家たちによる大ポルノグラフィカ展がdista-Galleryにて開催。21世紀のエロティックアートをも予言する本展覧会に、どうぞご期待ください!!
出展作家:
倉本彪/田亀源五郎/奥津直道/大黒堂ミロ/
ヴィヴィアン佐藤/市川和秀/松崎司/野原くろ/児雷也/
ハスラーアキラ/moriuo/ロボ美/オナンスペルマーメイド/
龍谷尚樹/犬飼隷二/タカサキケイイチ/関根しりもち/
MASA/サクライケンジ/ノリスケ/TORU/JIRO/犬義/
四聖鰆/悠次郎/tyob
―エロティシズムの境界線は、
付加価値で創られたもの故に非常に曖昧である―
しかしながら、その曖昧さゆえに浮遊し続けるエロティシズムの魔力は、古今東西、ジェンダーやセクシュアリティをものともせず、人々を魅了してやまない。
どれだけ大層なお題目を並べようと、どれだけ高尚な大義名分で飾りたてようと、所詮その根核は卑猥と猥褻と不道徳で出来ている。そこから目をそむけては、エロティシズムの本質に辿り着くことなど到底出来ないのだ。
今ここに、ゲイコマーシャルアートを中心に身を置き、国内外で活躍する26名の作家の同意のもと、PLuS+ FINALに多大なる華を添えるであろう本展覧会が開催される運びとなった。気鋭の作家陣が“淫靡と官能”を最大限にクローズアップし、全霊をかけて描き下ろしたその作品群からは、エロスの海で溺れることの素晴らしさや、いかに卑猥/猥褻が見る者に豊饒の喜びをもたらすものであるかを、改めて私たちに知らしめ教えてくれるに違いない。
大いなる期待を込めて、そして静かに、エロティシズムが持つ夢幻の力を信じて待っていようと思う。
Curator:シモーヌ深雪

 で、この展覧会、私もこのために描きおろした新作で参加しております。
 左上の画像が、その一部分。下の方はイロイロとアレなことになっておりまして、どのくらいアレかというと、和紙に大判でプリントしようと業者さんに依頼したんですが、拒否られちゃったくらいで(笑)。結局自宅のプリンターで可能な範囲内での大判プリントにしましたが、画材用紙に顔料インクでプリントしたので、なかなか良い感じに仕上がったと思います。
 というわけで、錚々たる面子による錚々たる規模の展覧会、こんなチャンスはそうそうないので、皆様、お時間をお繰り合わせの上、ぜひご来場下さいませ。
 会場への行き方など、より詳しい情報は、distaのイベントページでご確認を。
 また「PLuS+ FINAL~for the next challenge~」の方でも、今回私、及ばずながらパンフレット等への応援メッセージを寄せさせていただきました。
 イベントの詳細については、PLus+ FINALのサイトでご確認を。私のメッセージは、上部メニューバーの「メッセージ」から読むことができます。