鐘馗地獄行(5)

 こうして、どれほどの責めを受けた後であろうか、鍾馗は再び閻魔王庁に連行された。閻魔大王は、眼前に引き出された囚虜の姿を、改めてつくづくと眺めた。
 全裸で鎖に縛められたままの鍾馗の身体は、筆舌に尽くしがたい業苦を受けた後にも関わらず、常に鬼の糞によって再生を繰り返しているせいで、最初と変わらず瑞々しく逞しいままであった。
 しかし、その顔には、疲労の色が色濃く滲んでいた。眼光は未だ鋭い光を放っていたが、その奥にはかすかに絶望の色があった。額や眉間に刻まれた皺が、以前より深くなったのか、最初にここに引き出されたときより、幾らか歳をとったようにも見える。
 大王は、神通力が戻っている気配はないかと、更に念入りに囚虜の瞳を探った。
 そして、あることに気付いた。
 神通力が復活している気配はなかったが、その代わり、鍾馗の瞳の奥には、何かにじっと耐えているような、何かをぐっとこらえ、抑えがたい何かと闘っているような、そんな様子が伺えたのだ。
 そして、それが何であるのかを悟り、閻魔大王は独りほくそ笑んだ。
 睾丸に棲みついた蟲のせいで、鍾馗は、こうして今ここに立たされている間も、身体の奥で燃えさかる肉欲の炎に苦しんでいるのだ。
 身体の中心、漆黒の濃い叢からそそり立った肉の筒は、おそろしいまでに膨れ、反りあがり、太い血管を蚯蚓のように浮かびあがらせて、びくびくとひっきりなしに脈動している。
 亀頭は熟しすぎた果実のような色となり、濡れた唇をぱっくりと開いて、そこから先走りとも精液ともつかぬ半透明、半濁の汁を、だらだらとよだれのように垂れ流している。
 毛むくじゃらの睾丸は、先刻より更に膨れあがり、まるで夏蜜柑のような大きさになり、自らの重みに耐えかねているかのように、ふらふらと所在なげに揺れている。
 閻魔大王は、しゆっと歯を鳴らして、鍾馗の体内の蟲に呼びかけた。蟲は、主の声に答えて、睾丸の中でその身をうねうねとくねらせた。
 その瞬間、鍾馗の唇がかすかに開き、あぁという喘ぎ声が洩れた。同時に男根の先から、より濃い汁がどろりと糸を引いて滴り落ちた。
 蟲は、さらに蠢き続けた。鍾馗の身体に耐え難い淫欲の波が、続けざまに襲いかかった。鍾馗は更に大きく口を開けて、荒い息をつきはじめた。全身にねっとりとした汗が浮かびあがり、脇窩や股間がしっとりと湿り、獣のような臭いを放ちだす。
 その臭いに、閻魔大王は、自分の内にも欲情の炎が燃えはじめるのを感じた。褌の中でまらが固く屹立し、入る穴を求めて暴れ出す。
 神人である鍾馗とは違い、地獄の眷属である閻魔大王にとっては、勃起も欲情も何の支障にもならない。大王の神通力は、同じ神通力でも鬼神力である。鍾馗とは逆に、淫らな肉欲のような穢れとされるものは、その力を増すことはあっても損ないはしない。
 閻魔大王は、目を細めて鍾馗の逞しい太腿を見た。自分のところからは見えないが、あの裏には大きな毛むくじゃらな尻がある。大王は無意識のうちに、自分の下袴の膨らんだ前を握っていた。
 鍾馗は、そんなことには何も気付いていなかった。ただただ、膝を震わせ、肩で息をしながら、襲いかかる淫欲の奔流に、ひたすら耐えるのが精一杯だったために、閻魔大王が鬼たちに何かを命じたのも耳に入らなかった。
 いきなり鬼たちに襲いかかられ、鍾馗は、驚きの悲鳴をあげた。
 鬼たちは、鍾馗の身体をねじ伏せると、その場で俯せに押さえつけ、足首を掴んで左右に大きく広げた。毛深い臀丘が割れて、渦巻く剛毛の奥に、茶色く窄んだおちょぼ口がちらりと覗いた。
 閻魔大王は、袴を脱いで鍾馗の後ろにしゃがみこむと、褌の脇に手を入れて、いきりたったいちもつを引き出した。
 それは、異様な男根だった。色は鮮やかな朱色をしており、剥けきった亀頭は少し黒ずんでいる。そして、堂々たる巨きさもさることながら、幹には一面に疣のような、あるいは棘のような隆起がある。
 大王はその根本に指を添え、先端を鍾馗の肛門に押し当てると、そのまま体重をかけて一気に貫いた。
 鍾馗の口から、悲鳴があがった。
 強大な亀頭が、哀れな小さい唇をむりやりこじ開け、引き裂きながら埋没していく。苦痛に霞む意識の中で、鍾馗は、己の括約筋がぶつぶつと千切れていく音を聞いたような気がした。
 亀頭が埋没した後は、さらに悲惨であった。茎に生えた棘のような疣が、柔らかな肉襞や腸壁を擦りあげて、ずたずたに切り裂いていく。その余りの苦痛に、鍾馗は、天地が轟くような悲鳴をあげ続けた。
 しかし、その苦痛にも関わらず、鍾馗の男根は己の腹と地面に擦られて、どろどろと濃い精液を吐きだした。
 閻魔大王は、その巨根をいったん根本まで鍾馗の肛門におさめると、それからゆっくりと腰を使いはじめた。太い幹が、腸壁を捲りあげながらずるずると動く。生々しい傷口から鮮血が溢れ、毛深い尻はすぐ血まみれになった。
 肉の凶器に尻を犯されながら、鍾馗は、苦悶に吠え続け、同時に射精し続けていた。それは異様な感覚であった。苦痛でありながら快感であり、極楽のような地獄であった。
 睾丸に寄生した蟲は、ますます暴れ狂い、同時に鍾馗の心と身体も狂わせた。歪んだ快美が鍾馗の精神を蝕み、男根は厭くことなく白い汚濁を吐きだし続けた。
 閻魔大王は、いたく満足だった。鍾馗の尻は、期待した以上に美味だったからだ。
 最初はいささか擦れたものの、やがて溢れだす血が愛液代わりになって、心地よいぬめり具合となった。尻の中は暖かく、柔らかく怒張を包み込んでくる。尿道を擽られるような快感が沸きおこり、きんたまがきゅうっと持ち上がる。
 しかし、やがて鍾馗の吠え声が耳障りとなった。被虐者が苦しむのを見るのは愉快だったが、いささか度を超えて煩すぎる。大王は、虜囚を黙らせるよう配下に命じた。
 命を受けた鬼は、鍾馗の唇をつまんで引っ張ると、そこにぶすりと太い畳針を突き刺して、まち針よろしく上下に縫い止めた。塞がれた口の奥から、くぐもった呻き声があがった。
 声を奪われ、尻を貫かれ、歪んだ快美に精液を垂れ流しながら、それでも鍾馗は、身体を押さえつけている鬼たちを払いのけようと抗った。鬼たちは暴れる鍾馗を、最初は自分たちの手で押さえていたが、やがてそれも面倒になった。
 八本の太い鉄串が用意され、鍾馗の掌、肘の内側、足の裏、膝の裏に突き刺され、その身体を地面に釘付けにした。
 もはや抵抗のすべは何もなくなり、閻魔大王は、何にも邪魔されることなく、存分にこの強姦を愉しんだ。