手塚治虫トリビュートマンガ『新・刑事もどき ゲイボーイ』(後編)掲載です


 7月5日発売の書籍「テヅコミ vol.10」に、一般向け新作マンガ『新・刑事もどき ゲイボーイ』(後編)が掲載です。
 先月掲載の前編に引き続き、手塚治虫作品へのトリビュートマンガ、これにて完結。

 前回書いたように、中断してしまった作品の「もっと続きが読みたかった!」という気持ちを動機として、そこに自分の味付けとして「あったかも知れない、語られなかったゲイ(風俗)史」の要素を加え、その上で、原典で自分が好きだったキャラクターたちの関係性の「ちょっと先」を描ければ、面白いものに仕上がるのではないか……などと考えて描いた作品。
 というわけで、トリビュート作品ではありますが、それと同時にこれもまた、最近の私が一般向け作品で取り組んでいる、《社会とゲイ/社会の中のゲイ》というモチーフを含ませたもの。お楽しみいただければ幸いです。
 巨匠・手塚治虫の胸を借りる形で、この試みを行うことができました。機会をいただけたことを、心から感謝しております。
 単行本収録は現時点では望み薄なので、是非お買い上げ&お読みください。

 以下、ちょっとネタバレ込みの余談。
 お嫌な方は読まないでくださいね。

 後編で主人公の一人、段袋刑事が、ゲイバーのママさん(女装男性)とキスをするシーンがあります。
 これ、ちょっとこだわって描いてみたかった場面。
 こういうシチュエーションが描かれる際、特に昔のマンガだと、同性とキスする羽目になった主人公が「げ〜っ」という反応を見せたり、或いは滑稽さを強調した女装の男性を描くことで、「笑い」に繋げるというパターンが多いように感じていたので、ちょいとそのアンチテーゼ的な形の、ノンケ男性と女装男性のキスシーンを描いてみたかった。
 とは言え、美青年と美しい中性的な男性、もしくは完全な異性に見える男性とのキスのような、耽美方向にも振りたくなかった。
 ホモフォビックな笑いでもなく、美的に描くのでもなく、ただ「普通にもっさいオッサンと、決して似合っているとは言えない女装男性のキスシーン」を、ニュートラルな形で描いてみたかったのです。
 難しいかもしれないけれど、段袋刑事というキャラならこなしてくれるのでは……と思い、そして実行。
 ママさんの造形やら、段袋刑事の反応やら、いろいろ考えながら工夫してみました。
 さて、結果は如何に。