語りおろし本『ゲイ・カルチャーの未来へ』10月31日発売


 10月31日にPヴァイン(ele-king books)から、私にとって初めての文字だけの単行本『ゲイ・カルチャーの未来へ』が発売されます。
 とりあえずは、出版社による紹介文がこちら。

変わりゆく社会へのまなざしと力強い励まし。

『弟の夫』の著者がLGBTブームのいまだからこそ語る、その半生、創作の源、エロティシズムの探求、欧米と日本社会――

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ただ、とにかく自分自身に関しては、自分まで自分の敵になったら本当に悲しいから、たとえ世界中や親兄弟が敵になっても、自分だけは自分の味方でいなさいよ、とは言いたいです。それは本当に大事だと思います。そのためにも、無理にでも自分を好きになる努力をしなさいということは言いたい。 (本書より)
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初の一般誌連載作品『弟の夫』が第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、広く注目を集めているゲイ・エロティック・アーティスト、田亀源五郎。国内外にコアなファンを持ち、日本のゲイ・アートを支え続けてきた巨匠がいまこそ語りつくす、生い立ち、創作の源、ゲイ・エロティシズムの探求、変わりゆく社会へのまなざし……。日本と世界のゲイ・ポップ・カルチャーの過去・現在・未来を繋ぐ1冊!

 どういった本かというと、今年の夏に複数回にわたって収録された私のロング・インタビューを、語りおろし本という形に編集/再構成していただいたものです。
 編集を担当してくれたのは、先にジョン・グラントとの対談記事「何を歌い、どう描くか──ゲイ・アーティストたちのリアリティ」をセッティングしていただいたことがきっかけで知り合った、ライターの木津毅さん。そんな木津さんとのお仕事を離れた茶飲み話が、いつの間にかこういう本に発展しました。

 大まかな内容は、『弟の夫』製作に関するあれこれ、セクシュアリティの自覚と自己受容に至る生育史、ゲイ・エロティック・アートを手掛けるようになった経緯やポリシー、日本のゲイ文化の現状と未来についての考察……などなど。
 ご参考までに、以下に本の目次を掲載しておきます。

イントロダクション

1.『弟の夫』ができるまで
  「結婚する権利の平等」という衝撃
  ゲイをよく知らない人に向けて
  考えることから始まる

2.性の目覚め、カミングアウト
  「おかま」と言われても
  パゾリーニに興奮した中学時代
  ゲイの自覚、海外文化の教え
  隠さないと決めた理由

3.ゲイ・エロティック・アートティストとして
  誰も描かなかったゲイ・ポルノ漫画
  初の長編作の革新性
  ゲイ・エロティシズムとは何か
  日本と海外の違い

4.LGBTブームと日本の現実
  ゲイ雑誌とリアルなゲイ社会
  いまのブームに思うこと
  カミングアウトしづらい国

5.ゲイ・カルチャーの未来へ
  『弟の夫』が呼んだ反響
  日本が変わるチャンス
  意志さえあれば

あとがき

 かなりあれこれ好きに喋ってますので、『弟の夫』以降急速に増えた拙インタビュー記事や、BlogやTwitterや、以前はゲイ雑誌でもたまに書いていた、私の真面目系のテキストが好きだという方なら、面白く読んでいただけるのではないかと。あ、あとトークショーの内容が面白かったという方にも。
 それともう一つ、個人的な希望としては、若いゲイの人たち……中でも特に自己受容に悩みがある人や、あるいはゲイ文化の表現者を志している人に、届いてくれるといいなと思っています。

 表紙イラストは描きおろし。世代間で未来に何かを繋げていくイメージ+ホモエロティシズムという感じで描いてみました。
 装丁は白を基調に、全体をマットニス仕上げの中、フラッグ部分だけは金の箔押し。カッコ良くて美麗!

 というわけで、是非一冊お買い上げください!