トロント〜ニューヨーク紀行(3)

5月12日
 TCAF二日目(そして最終日)。
 今日は朝から、またチップと一緒に図書館地下のコーナーでサイン会。ところがチップが来ない(笑)。仕方ないので一人でサインする。
 このとき来てくれた、「SM-Z」とかのバックナンバーを山のように持ってきてくれたファンの方が、「自分は背中にすごいタトゥーを入れているんだ。見たい?」と言うので、「見せて!」と言ったら、シャツを脱いでくれました。
 うん、確かにかなりエクストリーム。すごい。
TCAFtattoo
 結局チップは最後まで現れず。後で聞いたところによると、彼には連絡がいってなかったんだそうな(汗)。
 サイン会の写真は、前日分と合わせて、グラハムのTumblrにもうちょっとアップされています。こちら

 再びPicture Boxのブースに入って、販売促進&サインなど。
 Tシャツの売れ行きが上々で、用意していたサイズのうち、SとMは昨日のうちに売り切れてしまいました。
 昨日買ったTシャツを早速着てきてくれる方も多く、嬉しいかぎり。
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 グラハムのTumblrにも、そんなTシャツ着用写真いろいろあり。こちら

 作家同士の交流もいろいろあって、例えば以前”Thickness”で同じ誌面に載ったコミック作家エディ・フェイクと会えたり……
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 ブースがお向かいだった作家さんJ.B(実はグラハムと一緒に、彼のことを「かわいいね」とか話していた)と、互いの本を交換してお喋りしたり……
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 そして真打ち、松本大洋さんと互いの本(英語版)を交換したり。撮影はアン。
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 もちろんサイン入り。うふふふふ。
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 それ以外にも、著者や出版社の方から色々と本をいただきました。結果、帰国時にはトランクに入りきらず、機内にでかい手荷物を二つ持ち込むことに(笑)。

 ブースでサインをしていて一番ビックリしたのは、とある青年から「母の日のプレゼントにするので、サインと一緒に『(自分の名前)dedicate to(母の名前)』と入れてくれ」と頼まれたこと。眼が点になった(笑)。
 コミック・フェスというオープンな場なので、日頃私が経験している個展やサイン会などとは、訪れる客層が違っているのも興味深いところで、例えば、身なりの良い老夫婦っぽいカップルの、夫の方がしげしげと拙本を立ち読みして、そして購入……なんてのも、ちょっと今までにはないパターン。
 あと、やはりゲイ向けエロマンガという敷居の高さもあって、こちらが気になっている様子なんだけど、遠巻きに見ているだけの集団がいたり、ブースの前を三度も四度も通るんだけど、会釈とかだけして、結局本は手に取らずに引き返す男性がいたり。私の気のせいかもしれないけれど、こういう「興味はあるんだけど、アウトしていないので人前では手に取れない」といった風情のゲイも、そこそこ多かったような感じはしました。
 そんな中、まだ若そうなお嬢さんが、勇気を振り絞って本を手にとり……という感じで開いた最初のページが、よりによって『闘技場 アリーナ』の絶叫しながら脱糞しているシーンだったのは、作者ながらちょっと気の毒だったかも(笑)。
 ただ、全般的に女性の方がものおじせずに、本を手にとったり話しかけたりしてきて、男性は「いかにも!」とか「ファンです!」といった方々以外の一見さんは、ちょっと尻込み気味な印象。ここいらへんは、以前に銀座で個展をやったときの、客層や反応と似ていた感じがします。

 そんなこんなで閉会時間も近づいてきた頃、何とフランスの友人から「いま偶然トロントにいる。会いたいし、パートナーも紹介したいので、そっちへ行く!」とFacebookでメッセージ。
 そして無事再会。右が友人のロジェ、左が彼のパートナー。
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 ロジェのパートナーはテヘラン出身だそうで、トロントでフランス人の友人と、彼のイラン人のパートナーと会うとは、世界は広いような狭いような……と、なんだか面白い気持ちに。
 グラハムとアンも交えて記念撮影。撮影者はロジェ。
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 題して『三匹の熊と金色巻き毛ちゃん』。嘘(笑)。

 そしてTCAF閉会。
 いや〜、疲れたけど実に楽しかった!
 夜はクロージング・パーティがあるので、ジョスリンに先導されながら、私、アン、クリスチャン、グラハム、ダン及びPicture Box一行と、松本大洋さん一行が一緒に会場へ。
 ところが開場時間を1時間間違えていたので、オープンまで近くのイタリアン・パブで時間つぶし。Picture Boxの作家二人が『鉄コン筋クリート』の大ファンということで大興奮。
 そしてパーティ会場へ移動。場所はクラブのような、ライブハウスのようなお店。
 しばらくしてクリスが現れ、壇上でスタッフと共に閉会の挨拶。
 それが終わったところで、松本大洋さん一行は会場を後に。私はアンたちと残って、遅くまで色々とお喋りなど。ジョスリンとも「TCAFが見せてくれたマンガという媒体の可能性について」など、あれこれと話す。
 実際TCAFでは、松本大洋さんや『スコット・ピルグリム』のようなメジャーなものから、オルタナティブなものやインディーズのジン、そして私のようなエロティック系まで、様々なレイヤーのマンガがフラットに同居しており、しかもファンダム系の雰囲気はほとんどなく(よってコスプレとかもなし)、そのぶん作家性やオリジナリティといったものが濃厚に出ている感じなので、本当に面白かったし刺激的でした。
 最後にクリスと記念撮影。私のTシャツを着てくれていたのが、すごく嬉しかった。撮影はアン。
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 そんなこんなで、深夜も遅くなってから、ようやくホテルに戻る。
 トロントとは今夜でお別れ、明日からニューヨークです。