トロント〜ニューヨーク紀行(1)

5月8日
 成田発、エアカナダでトロントへ。
 到着までおよそ12時間かかったけれど、飛行機の座席が、左側は通路、右側は空席というラッキーなポジションだったので、かなりぐっすり安眠。ほとんどずっと寝てました(笑)。

 今回のトロント行きは、TCAF(トロント・コミック・アーツ・フェスティバル)のゲストとして招かれていたので、空港にTCAFディレクター、クリストファー・ブッチャー氏(以後クリス)と、日本語通訳を務める作家/翻訳家のジョスリン・アレンさん(以後ジョスリン)が出迎えてくれました。お二人とも来日時に会っているので久々の再会。
 同じくゲストで招かれ、同じ飛行機で到着していた日本勢、マンガ家の松本大洋さんと、雑誌「IKKI」編集長の江上英樹さん、アニメーション映画『鉄コン筋クリート』監督のマイケル・アリアスさんと共に、クリスの運転する車でトロント市内のホテルに移動。移動中にジョスリンが「どこか立ち寄りたいところがありましたらストップしますよ」と言うので、「グリズリーが出たら写真を撮りたいので停まって!」と言うと「ないない(笑)」とゆー反応。ちぇっ(笑)。

 ホテルに着いたところで、拙アメリカ版単行本”The Passion of Gengoroh Tagame: Master of Gay Erotic Manga”(以後”The Passion”)のプロデューサーであり翻訳家でもあるアン・イシイ(以後アン)と合流。挨拶とチェックイン、そしてちょっとした打ち合わせを済ませて、夕飯まで部屋で休憩。
 夕飯はクリス、ジョスリン、松本大洋さん一行、アンと共に、トロント新市街(らしい)のイタリアンへ。アンが頼んだ「ミートボール」が、直径15センチくらいありそうな挽き肉団子が4個くらいゴロンと更に載っているというシロモノだったので「これはミートボールっつーよりハンバーグだよね」と大笑い。しかも中にはチーズ入り。流石、北米大陸の食事(笑)。

 夕飯の後、TCAF関連のイベントである「皆で落描きしながらお酒を飲む会(みたいなもの)」の会場へ。レストラン/パブのような店で、テーブルに紙とペンが用意されていて、思い思いの飲み物を注文して、紙に落描きをして楽しむというもの。
 ここで写真。左からアン、マイケル・アリアスさん、松本大洋さん、江上英樹さん。
TCAFrakugaki
 松本大洋さん、さっそくファンの方(だと思う)に見つかって、サインをせがまれておりました。
 なお、会場にいる人の絵を描くイベントだかコンテストだかもあったらしく、一人の女性が「あなたを描いたの」と見せにきてくれました。ただし彼女は、私が日本のマンガ家である云々は全く知らず(笑)。
TCAFnigaoe
 少し遅れて、クリスが彼のハズバンドと一緒に合流。左がクリス、右がハズバンド。
TCAFchristoper&hus
 ここで松本大洋さん一行は帰り、私とアンはもうちょっと残って、クリスたちとお喋り。私が出演するTCAFイベントの1つ、カナダのゲイ・アーティスト、モーリス・ヴェラクープとのトークショーについての打ち合わせなんかもちょっこし。
 かなり遅くなってから、ホテルに戻る。ホテルの裏手に24時間営業のスーパーがあったので、一人で水を買いに行ってから、部屋に戻ってバタンキュー。

5月9日
 午前中は完全にオフだったので、トロントのCNタワーへ行くことにする。
 土地勘をつけるために、まずホテルの周囲をブラブラ散歩してから、少し足を伸ばして地図に載っていた公園まで行き、それから地下鉄でCNタワー近くの中央駅まで。
 中央駅の近辺一帯が工事中だったので、ちょいと迷ったものの無事到着。エレベーターに乗って展望台へ。流石に高くて良い眺め。
 ただ、一部床がガラス張りになっていて、その上に載ると足下が遙か下まで筒抜けに見えるというコーナーでは、流石に背中がヒュッとする感じに(笑)。申し込めば、命綱を付けて吹きっさらしの中を歩く体験コースなんかもありましたが、館内で上映されていた紹介ビデオを見るだけでも「ひえ〜っ」って感じ(笑)。
 エレベーターに乗る前に、ブルースクリーンの前で写真を撮られて、何かと思ったら、出口でその写真の背景にタワーの映像を合成した記念写真を購入できるという仕組み。アミューズメント系ではありがちだけど、合成じゃあまり有り難みがない気がする……。

 午後、インタビューが一件入っていたので、ホテルに戻ってアンと合流。
 このときのインタビューは、媒体は忘れたけれどインタビュアーはフランスから来た男性で、取材の合間には共通の知人であるフランスのゲイ・コミック作家ファブリスの話題なんかも。
 で、このインタビュアー氏、私は、質問内容や外見から、てっきりゲイだと思っていたところ、雑談の中に「妻と子供が云々」という話が出てきてビックリ。後で聞いたところ、アンも同様にビックリしていたらしい(笑)。

 取材が終わった後、アンと、アンの彼氏クリスチャンと3人で、チャイナタウンまで行って夕食。
 食事は美味しかったけれど、ここもまた一品一品の量が多く、大量に残す羽目に。でも、アンとクリスチャンが折り詰めにして持って帰りました。
 食事の後は、腹ごなしにチャイナタウンを散策。
 そこで見かけたネオン看板。右はロブスターだろうけど、左はこりゃ一体何だ?(笑)
TCAFchinatown

5月10日
 今日はTCAFが企画したナイアガラ見物ツアー。世界中から集まったマンガ家集団と一緒に、貸し切りバスに乗ってナイアガラの滝へ。
 というわけで、ナイアガラの滝と私(アン撮影)。
TCAFNiagaraAnn
 ついでにこれも(笑)


 滝に行く前にはワイナリーに寄って、そこでワインの試飲や購入もできたんですが、残念ながら私は完全な下戸。そこで見つけたのが、これ。
TCAFpollen
 蜂が集めた(んだと思う)花粉の瓶詰め。こんなものは見たことがなかったので、ジョスリン(カナダ人)に「カナダ人は花粉を食べるの?」と訊いたら、「私も見たことない!」とのこと。というわけで、好奇心に負けて購入。
 帰国後に調べてみたろころ、どうやら健康食品の類らしく、一日にティースプーン一杯を牛乳などに混ぜて云々という食べ方をするらしい。食べてみたけど、これといって味はなく、微かに苦みがあるパサパサしたものというだけでした。手塚治虫『ミクロイドS』のマンガ版に出てきた、アゲハちゃんの作るお団子みたいのを期待したんだけど、あっちの方が美味しそうだなぁ(笑)。

 ナイアガラ観光を終えてホテルに戻ったところで、またインタビュー一件。確か、ランダムハウスかどっか大手出版社の、ウェブ媒体用だったと思う。
 現れたインタビュアー氏は、ピンクのタンクトップに短パンという、いかにもゲイゲイしい方。細身の、ちょっとイライジャ・ウッドみたいな顔をした御仁ですが、でもタンクトップから除く肌には胸毛がモジャモジャと。
 日本のゲイ・カルチャー史におけるアメリカからの影響の話をする中で、「フリードキンの映画『クルージング』が公開された際、レザーカルチャーが《ハードゲイ》という名称で紹介され……」と言ったら、「ハードゲイ!!!」と爆笑される(笑)。ハードゲイは和製英語なので、この反応も当然か(笑)。
 受けた質問の中には、ドゥルーズ/ガタリに絡めた内容のものもあったんですが、ぶっちゃけそんな難しいこと訊かれても判らないってばさ(笑)。
 後日アップされた記事は、こちら

 インタビューを終えた後、アンとクリストファーと3人で、ジャパン・ファウンデーションで開催される、松本大洋さんの原画展の内覧会へ。『竹光侍』の原画が素晴らしく美麗。
TCAFtaiyomatsumotoechibition

 その後、アンの友人(名前失念)のイラストレーター男性も加えた4人で、彼の案内でリトル・イタリーのレストランへ。で、このレストランが、雰囲気といい味といい、もう最高でした。激しくオススメしたいところですが、残念ながら場所も店名も覚えておらず(笑)。
 リトル・イタリーのコミック書店で、こんな本を見つけ、絵が気に入ったので購入。
TCAFnorthwest1
 ホテルに戻ってページを開いたら、何と責め場もあったので得した気分(笑)。
TCAFnorthwast2

 さて、明日からTCAF本番スタートです。