デジコミ用、Photoshopで作るスポットライト風効果

 前回の記事の新作マンガ『スタンディング・オベーション』の背景には、下図のような画面効果が良く出てきます。
spot_00_sample
 スポットライトをクロスフィルタ越しに見たような効果で、以前『闘技場〜アリーナ』を描いたときに作ったものの流用なんですが、良い機会なので作り方のTips解説なんぞを。

 まず、新規ファイルを作成します。解像度200dpi、モードはグレースケールで、天地左右5センチ四方の正方形の画像を作ります。
spot_01_menu_newfile
 解像度が200dpiと低いのは、ライトの光の筋を適度な太さにするため。後述するフィルターで作る効果との兼ね合いで、あまり高解像度の画像で作ると、筋が細かくなりすぎるので、まずは低解像度で作成して、それを最後に解像度を上げる方法をとります。
 サイズは適当でいいですけど、必ず正方形にすること。
 上記の設定で作った新規ファイルが、これ。
spot_02_img_newfile
 ……って、わざわざキャプチャ画像を出すほどのもんじゃなかったか(笑)。

 新規レイヤーを作成して、その中心に黒で正円を描きます。
spot_03_layer_BR
 楕円選択ツールを、shiftを押しながらドラッグして、正円の選択範囲を作り、それを黒で塗りつぶすのが良いでしょう。円の大きさは、直径が正方形の一辺の1/4〜1/5くらいを目安に。

 黒の正円を、画面の中心に配置します。
spot_04_img_BR
 これは正確に中心に置かなければいけないので、いったん「command + A」で画面全体を選択してから、「レイヤー>レイヤーを選択範囲に整列>垂直方向中央」と、同「水平方向中央」を使うといいでしょう。

 黒丸のレイヤーをコピーします。
spot_05_layer_copyBR
 コピーしたレイヤーはいったん非表示にして、元のレイヤーを背景と結合します。
spot_06_layer_invisibleBR

 背景に「フィルタ<表現手法<風」をかけます。
spot_07_menu_WR1
 種類は「標準」、方向は「右から」。
 すると、こんな感じになります。
spot_08_img_WR1
「command + F」で、同じ設定のフィルタをもう一度かけます。
 すると、こんな感じになります。
spot_09_img_WR2
 同じ「風」フィルタを、今度は方向を「左から」にしてかけます。
spot_10_menu_WL1
 こうなります。
spot_11_img_WR1
「command + F」で、もう一度かけます。
spot_12_img_WR2

 次に「フィルタ>ぼかし>ぼかし(移動)」で、角度を0、距離を75ピクセルで、黒丸に移動ぼかしをかけます。
spot_13_menu_BLd
 距離はお好みで構いませんが、中心部があまり薄くならないように、黒が残る感じにします。
 こうなります。
spot_14_img_BLd

 ぼかした黒丸のある背景をコピーして、レイヤーにします。
spot_15_layer_copyBL1
 コピーしたレイヤーを、「編集>自由変形(command + T)」を使って、横に引き延ばします。
spot_16_menu_TR
 このとき、黒丸の中心がズレるとまずいので、必ず「option」キーを押しながら、変形の中心が画像の中心になるようにして、左右どちらかのハンドルをドラッグします。
 こうなります。
spot_17_img_TR
 この左右のボケ足の伸び具合が、そのままスポットライトの光軌の長さになります。

 このレイヤーをコピーして、合成モードを「乗算」にします。
spot_18_layer_copyBL2multi
 コピーしたレイヤーを、「編集>変形>90°回転」します。
spot_19_menu_R90
 時計回りでも、半時計回りでも、どちらでも可。
 すると、こんな感じの黒十字になります。
spot_20_img_R90

 最初に作って非表示にしておいた黒丸のコピーレイヤーを、表示状態にします。
spot_21_layer_BRvisible
 その黒丸レイヤーを、「自由変形」を使って、黒十字の交叉点からちょっとはみ出るくらいの大きさに拡大します。
spot_22_menu_TRBR
 このときも、拡大の中心がズレないように「option」と、正円のプロポーションが崩れないように「shift」を押しながら、コーナーハンドルをドラッグすること。
 こうなります。
spot_23_img_TRBR

 拡大した黒丸のエッジを、「フィルタ>ぼかし>ぼかし(ガウス)」を使ってぼかします。
spot_24_menu_BLBR
 ここでは半径9ピクセルでぼかしをかけてますが、数値はお好みで。このボケ具合で、スポットライト中心部のクッキリさが変わります。
 こうなります。
spot_25_img_BLBR
 これができたら、もう画像を統合してしまいましょう。

 統合したら、「イメージ>画像の回転>角度入力」で、45°回転させます。
spot_26_menu_R45
 これまた、時計回りでも反時計回りでも、どちらでも可。
 こうなります。
spot_27_img_R45
 切り抜きツールで不必要な余白を削除し、「command + I」でネガポジ反転させれば、出来上がり。
spot_28_img_nega

 この画像を、最終的に使用する解像度に変更(私の場合は600dpiか1200dpi)して使います。
 その際、「縦横比を固定」と「画像の再サンプル」にチェックが入っていて、手法が「バイキュービック法」になっているかどうか確認すること。

 では、実際の使い方も見てみましょう。
 グラデーションを付けた別画像の上に、スポットライトの画像を、自由変形を使いながら、好きな場所・好きな大きさで配置します。
spot_29_img_use
 スポットライトのレイヤーの合成モードを「スクリーン」にします。
spot_30_layer_use
 すると、こんな感じになるわけです。
spot_31_img_useresult
 もちろん、角度なんか付けてみてもOK。
spot_32_sample2

 ただし、光軌の角度が一つ一つバラバラだと不自然に見えます。こういった光軌は、クロスフィルタなどのレンズフィルタによって生じるものなので、一つのカメラから見える全てのライトの光軌は、全て同じ角度になっていることが原則なので。
 というわけで、角度を付ける場合は、最初のライトに角度を付けておき、それをコピーして使うのが良いと思います。

 以上、お粗末様でした。