今年のあれこれ

 2009年も残り一日なので、今年のあれこれをちょいと反芻してみたり。

 マンガは、ゲイ雑誌を主軸に一般向けも二つほど(うち一つは、まだ世に出ていませんが)混じって、わりと充実していたかな。『父子地獄』を完結できたのも嬉しい。
 あと、月産ノルマ78ページという月があって、これは自己記録を更新してしまった(笑)。私はアシスタントを使わず一人でやっているので、流石にこれはちょっとキツく、某少年週刊マンガ誌の編集さんにも驚かれました(笑)。
 とはいえ、年間を通しては、そうメチャクチャ忙しかったというわけではなく、10年ほど前の、「バディ」で『銀の華』、「ジーメン」で『PRIDE』を、毎月並行連載しつつ、「ジーメン」では表紙イラストとレギュラー記事も幾つか担当し、合間に挿絵なんかもやりつつ、更には別名義での小説連載までしてた頃にくらべりゃ、ぜんぜん余裕かも。正直、あの当時のことをもう一度やれと言われても、今じゃ体力的にも無理だと思う(笑)。
 マンガ単行本も、日本で一冊、フランスで三冊(まだ最後の一冊は手元に届いていないけど)、イタリアで一冊出せたので、全部併せると例年以上のペースに。
 それと、マンガ関係で今年一番驚いたのが、文化庁メディア芸術祭から、『外道の家』がノミネートされたのでエントリー承諾書にサインしてくれ、という書類が来たこと。まあ、結果はもちろんかすりもしませんでしたが、ゲイ雑誌発のあーゆー作品が、こーゆーのにノミネートされたことだけで、もうビックリでした(笑)。

 一枚絵関係だと、これはやっぱりこのブログで詳細をレポした、フランスでの個展が大きかったですな。セレブにも会えたし(笑)。
 あと、オーストラリアの企画展にも参加したし、銀座の画廊の企画展にも監修で関わったけ。銀座ではトークショーもしましたが、ここんところ毎年、何かしらの形でこのトークショーってぇヤツをやっているような気がする(笑)。
 イギリスとフランスで一冊ずつ、アートブックへの掲載があったのも嬉しい出来事。

 プライベートでは、何よりかにより20年来の念願だった、モロッコ旅行ができたのが嬉しかった。
 アイト・ベ・ハッドゥの景観やメルズーガの大砂丘でのキャンプは忘れがたいし、マラケシュの喧噪も懐かしい。フェズのメディナで道に迷い、加えて暑さでヘロヘロになったのも、今となっては楽しい想い出。人里離れたところにある、ローマ遺跡のヴォルビリウスから、持参した携帯で鎌倉の実家に電話したら、ちゃんと繋がって父親が出たからビックリもしたっけ(笑)。
 タジン(モロッコ料理)も、色んな種類を食べられて美味しかった。個人的には、マトンとプルーンの入ったヤツと、肉団子と卵が入ったヤツが好きだったな。あと、パスティラという、鳩の肉をパイで包み焼きして、上にアーモンドと砂糖がまぶしてある、不思議な料理(笑)。しょっぱいんだか甘いんだか、何とも形容しがたい味なんだけど、でも不思議と美味しいのだ。
 あとはやっぱり、屋台のオレンジ・ジュースですな。生のオレンジを、その場でギュッギュッと幾つか搾って、ガラスのコップに入れてくれるの。疲れて喉が渇いたときには、これが一番でした。イランやパキスタンのザクロ・ジュース以来の、感激の美味しさ(笑)。

 映画は、ブログでもいろいろ書きましたが、輸入DVDで見た未公開映画に、感銘を受けたのが多かったような。
 何だかねー、最近「これは見たい!」って楽しみにしてたヤツが、劇場公開されずってパターンが多くて……。昨年暮れだったかも、ドイツ映画の実写版『クラバート』が、ドイツ映画祭か何かで上映されて、どーしてもスケジュール的に行けなかったんで、いつか一般公開されるんじゃないかと待ちつつも、けっきょくそれっきりでソフト化もされてないみたいだし……。
 そんな中で、『キング・ナレスアン』の日本盤DVDが無事出たのは、もうホント嬉しかったし、この間書いたように、『戦場でワルツを』を無事劇場で見られたのも嬉しかった。
 現在公開中のヤツだと、『監獄島』は、愛しのストーン・コールド・スティーブ・オースチン様主演だから気にはなるんだけど、内容的にどんなものなのか(笑)。ストーン・コールド様だけが目当てだったら、脱ぎっぱなしのプロレスのDVD見てた方がオイシイかも知れないし(笑)。因みに、このストーン・コールド様のプロレスの輸入盤DVD、私の気付かないところでウチの相棒が、ジャケを見てレザー系ゲイAVだと勘違いして、ホクホク喜んで再生し、中身を見てガッカリしたという逸話が、我が家にはあります(笑)。
 あと、映画じゃなくてテレビドラマですが、年末になってNHKの『坂の上の雲』を見たら、思いのほか出来が良くてハマってしまった。このドラマのことを何も知らなかったので、何を見るでもなく漫然とテレビを点けたら、第三話の再放送をしている最中で、軽い気持ちで「お〜、明治ものだ!」と見始めたら、そのまま最後まで目を離せなかった(笑)。
 私は普段、連続テレビドラマを見る習慣が全くないんですが、こればかりは、残り二話もしっかりチェック。放送時間になってテレビの前にやってきた私を見て、相棒が「ひゃ〜、珍しいね!」と驚いてた(笑)。というわけで、気に入ったにも関わらず、一話から三話前半までは未見なので、年明けとかにまた再放送してくれないかしらん。それとも、さっさとDVD出すとか……って、NHKだとDVDも高価そうだけど(笑)。
 それとまあ、こーゆーゲイはけっこう多いんじゃないかと思いますが、広瀬武夫役の藤本隆宏ってイイですね(笑)。相棒も「誰だい、これは?」と目を輝かせていました(笑)。越中褌でのヌードがあったので、今度は六尺姿を希望(笑)。
 昔の東宝の『日本海大海戦』では加山雄三だったけど、あたしゃこっちの藤本氏の方がダンゼン好きだ。しかし、気に入ってしまっただけに、今から「杉野はいずこ」のシーンを見るのが、怖いような楽しみのような……。

 マンガは、ブログで紹介しそびれていたヤツだと、何と言っても吾妻ひでおの『地を這う魚 ひでおの青春日記』が素晴らしかったなぁ。

地を這う魚 ひでおの青春日記 地を這う魚 ひでおの青春日記
価格:¥ 1,029(税込)
発売日:2009-03-09

 何がいいって、面白いとかしみじみするとか、そーゆーのもあるんですけど、何よりかにより作品全体の空気感がタマラナイ。その空気感に浸りたいがために、もう何度読み返したことか。
 自分が入っていきたくなる世界がそこにある、個人的な大傑作。
 最近買ったヤツでは、夢枕獏/伊藤勢『闇狩り師 キマイラ天龍変』1巻。

闇狩り師 キマイラ天龍変 1 (リュウコミックス) 闇狩り師 キマイラ天龍変 1 (リュウコミックス)
価格:¥ 590(税込)
発売日:2009-12-16

 雑誌『リュウ』を、オマケの手ぬぐいとクリアファイルに惹かれて買ったら(って小学生かい)、そこに連載されていたマンガで、絵に勢いがあってカッコイイので、単行本出たら買おうと待ち構えておりました(笑)。
 もともとが小説の外伝的な位置づけらしく、ストーリーの方はちょっとよーワカラン部分もあるんですけど(夢枕氏の小説も、浅学にも私は、20年以上前に『猫弾きのオルオラネ』を読んだっきりだし)、やっぱ勢いのある絵と迫力のある画面構成がカッコイイです。
 しかし、ドーデモイイことなんですけど、この伊藤勢といい、伊藤真美とか伊藤悠とか、伊藤姓のマンガ家さんって、絵に勢いがあって画面構成に迫力のある、カッコイイ作風の方が多くありません?(笑)
 何だか、だんだん「今年を振り返る」じゃなくて、ただの「近況つれづれ」になってきたので、ここいらへんでオシマイ。