PoserとかCarrara 5とか

 久々にCarraraをバージョンアップしてみました。Carrara Studio 2からCarrara 5へ。
 私の場合Carraraは、スプライン・モデラーかPoserのレンダラー用途がメインでして、今まで使っていたCarrara Studio 2では、データのインポートはWavefront OBJファイル経由でした。
 しかし、マテリアル設定をCarrara上でやり直さなければいけないのと、にも関わらず透明マップ関係が、設定をどういじっても不要なシャドウが出てしまったりエッジにフリンジのようなものが出てしまったりと、どうしても上手くいかないので、絵を描く際のシミュレーション以外の用途では、あまり使っていませんでした。
 後にCarraraのバージョンが上がり、加えてTransPoserという、Poserデータをそのままインポートできるプラグインも発売されました。これにはかなり食指が動いたんですが、OSのバージョンとCPUパワーの兼ね合いで、今度はCarraraそのもののバージョンアップを断念。で、今日に至ります。
 今回は、幸いにしてOSもマシンも新しいから(……っても、OSはPantherだし、ハードもMac mini 1.42GHz+メモリ1GBですから、既に古いスペックですけど)、新しいCarraraも問題なく動きそうなので、思い切ってバージョンアップ。
 Carrara 5はネイティブでもPoserデータのインポートは出来るらしいですが、ダイナミック・クロスを使うには、やはりTransPoserプラグインが必要。Carraraは廉価の機能限定版にして、TransPoserはバージョンアップを待って別購入、という手も考えたんですが、プラグイン関係のバージョンアップやリリース情報がどこにもなかったので、ここは思い切って最初からTransPoserがバンドルされているCarrara 5 Proに。……と思ったら、早々とTransPoserもバージョンアップしやがりました。クソ(笑)。
 使用感は、何しろ2バージョンとばしなのでウラシマタロウではありますが、うん、使いやすくなってます。
 重さに関しては、環境自体が違うので何とも言えませんが、以前のPower Mac G4 350Mhz + Carrara Studio 2のときは、なにをするにもモッタリモッタリしてストレス溜まりまくりでしたが、今回はサクサク……とまではいかないものの、まあ重い軽いという点では、Vueとさほど変わらぬ操作感。
 2と比べると、ブラウザのレイアウトが大幅に変わっていますが、これはかなり機能的で使いやすくなった。オブジェクトの移動・拡大縮小・回転といった操作も、2のときはコツを掴みにくくて失敗もままあったんですが、今回はポインタの場所でカーソルの形が変わってくれるので無問題。ホットポイントをいじるにはCapsLockをオンにするとか、ちょいと馴染みがなく直感的ではないようにも感じますが、まあこれも慣れの問題でしょう。右クリックで出すゴーストメニューとかも同様。
 あ、一つバグみたいなものも発見。Carraraではカメラビューとレンダリング画像枠がイコールではないので、最終的なレンダリング画像の構図を決めるには、カメラビューの中に「制作フレーム」という別フレームを表示する必要がある。ところが、これがマニュアル通りに「表示メニュー>制作フレームを表示」としても、何だかメッセージが出てきて、それにOKしてもしなくても、カメラビューに変化はなく制作フレームは表示されない。これは困りモンではありますが、とりあえずショートカットのCommand + Option +Fを試してみたら、今度は無事に表示できたのでホッとひと息。
 モデラーに関しては、スプラインはともかく、正直ポリゴン・モデラーの方は、やっぱどうもよーワカラン(笑)。頑張ってマスターすればいいんだろうけど、ついつい面倒くさくて、使い慣れた六角大王を立ち上げちゃう(笑)。
 しばらくご無沙汰していた間に、Carraraでは風景関係や植生関係の機能がアップしたらしいので、試しにサンプル・ファイルをレンダリングしてみる。
landscape_carrara
 ……うわ、けっこうリアル。
 植生関係はともかく、地形や空はかなりいい感じ。空と雲は、マンガの背景用にも使えそう。でも、リアルな風景は、やっぱレンダリングにも時間がかかるのね(笑)。アニメーションに使ったら、大変なことになりそうだ(笑)。
 プリセットに月や太陽系の惑星といったオブジェクトやシーンもあったので、そっちもレンダリングしてみる。……うん、使える。特に月が嬉しいなぁ。過去に何度か、天文写真的な月の画像が欲しいと思ったことがあるんだけど、使えるものを探すのにけっこう苦労したので。でもCarraraを使えば、プリセットのシーンをちょちょいといじるだけで、ほらこの通り(笑)。
moon1_carraramoon2_carrara
 プリセットにはそれ以外にも、ロゴだの商品写真だの室内風景といった、デザイナーさんにとっての実戦向けなシーンもあり。カンプとかに便利かも。
 さて、ようやくお目当てのTransPoserを使ってみると……うわ、すっげー便利!(笑)
 マテリアル等、何のプラスアルファの必要もなく、そのままスムーズにインポート。マテリアルの再現性もPoser上のイメージと近いので、BryceやVueでレンダリングするときのような、レンダリングするアプリに合ったマテリアル設定を、あらかじめPoser上でしておくといった手間もいらず。
 Poserからはライティングもインポートできるので、「別アプリでレンダリングすると、Poserで見ていたときとフィギュアのイメージが違う」なんてお悩みをお持ちの方にも親切設計です。
 インポートにあたって、PoserとCarraraのサイズ換算を指定できるのもグー。つまり、別々のファイルで用意した複数のフィギュアを、Carraraで一つのシーンに読み込みたい、なんてときも、このサイズ換算を合わせておけば、Cararra上で大きさ合わせをする必要は一切ない。BryceやVueだと、これは手動で直感的にやるか、もしくはサイズの大きい別オブジェクトをテンプレートとするといった裏技を使う必要があったので、これも便利。
 インポート時に元のPoserのシーンファイルとリンクしておけば、修正をしたくなった場合も、Poserのオリジナル・ファイルに手をいれれば、それが自動的にCarraraのシーンにも反映されるのも便利。(ただ、制限はあって、Poser上で新たにオブジェクトを追加とかしても、それは反映されない)
 そんなこんなで、Poserとの連携という点では、正直Vue + Moverを上回ってますな、Carrara + TransPoserは。(Shadeは持ってないんで、よーワカラン)
 実は、TransPoserを使わなくても、CarraraにはネイティブでPoserファイルをインポートできる機能がありまして、これだとダイナミック・クロスやダイナミック・ヘアーは使えませんが、そのかわりボーンやモーフの情報をインポートできるので、仮にPoserアプリ自体を持っていなくても、PoserフィギュアをCarrara上で編集・アニメート等することが可能です。
 ただ、これでインポートすると、めちゃめちゃ重い(笑)。試しに10秒程度のアニメーション付きデータを、このPoserネイティブインポートで読み込んでみたら……フリーズしやがりました(笑)。アニメーション情報を持ち込まないなら、それほど重くはならないのかなぁ。
 あと、この方法だと、例えばPoserのテクスチャがRuntimeの中の複数フォルダに分散している、とかいう場合、テクスチャの場所がどこかとか聞いてくるので、いちいち手動で指定しなきゃならない。これが、思っくそ面倒(笑)。TransPoserでは、こーゆー手間もいっさいなしなので、Poserとの連携を考えている方は、やはりプラグインの使用をオススメしたいかな。
 さて、Carraraの魅力と言えば、価格のわりに機能が豊富だということと、レンダリングが早いということ。
 これを生かして、Poser + Carraraでアニメーションも作ってみたい、というのが今回の購入動機の一つ。Carraraの炎オブジェクトを使えば、Vueではちょっと難しそうな「火あぶり」とかも簡単にできそうだし(笑)、パーティクルを使えば「放尿」なんてのも作れるかもしれないし(笑)。
 でまあ、ぼちぼち作ってみると、うん、やっぱレンダリングは早いですね、Carrara。というわけで、ちょいとムービーのワンフレームを、原寸でご紹介。ヤバい部分はマスキング(笑)。
dd06_11c
 ピクセル比は、DVのワイド画像。レイトレーシングで、パラメーター設定はだいたいデフォルトですが、オブジェクトの精度を1px、アンチエイリアス品質を中に変更。動画なら、この程度で充分キレイだと判断。で、レンダリング所要時間は、1フレームあたり40秒足らずと、かなりストレスなくサクサクいけちゃいます。
 まあ、地形のような大量のポリゴンは使っていないし、大気設定もなしなので、Vueとの単純比較はできません。でも、例えば画面左側のスポットライトで使っている、3Dシャドウ付きのボリュームライト。Vueでこれをやると、いきなり処理が重くなって、レンダリングも桁違いに遅くなってしまう。また、Vueのレンダリングは透明マップがあると、これまた劇的に速度が遅くなる。
 しかし、Carraraだとそこまでの変化はなく、この程度のシンプルなボリュームライトだったら、レンダリング速度の変化も殆ど気にならないし、透明マップ関係(このシーンだと、左の男の髪、眼球、ヒゲ、あと隠しちゃったけど陰毛など)も、Vueほど極端に遅くなったりはしない感じ。
 今後ムービーを作る際は、室内シーンはCarrara、屋外はVueという使い分けになりそう。
 そんなこんなで今回のCarrara 5、かな〜り気に入ったので、今後出番が増えそうであります。
Carrara日本語版公式Webサイト