ゲイ・カルチャー」カテゴリーアーカイブ

Class Comicsのアンソロジーに作品提供

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 カナダに拠点を置き、英語圏を中心にアメコミスタイルのゲイ・エロティック・コミックを出版している、インディペンデント出版社Class Comicsのアンソロジー”Heroes in Peril”(電子書籍)に、カラーイラスト一点寄稿しました。
 内容は、同社のスーパーヒーローキャラのピンチ場面を、世界中のゲイ・エロティック・アーティスト約60名が、それぞれのテイストを活かしてフルカラーピンナップを描くというもの。

 私は、Deimosという紫色の肌をした悪魔系のキャラを選んで描かせてもらいました。
 というわけで、チラ見せ。海外出版なので、もちろん全体像は完全無修正です。(羨ましい……)
deimos

 他の寄稿作家さんも含めて全体を見ると、ピンチ絵というテーマなので、必然的にSMや凌辱イラストが多くなっています。
 また、アメコミ的世界観なので、職種やら人外やら機械やらの登場頻度も高し。
 電子書籍(PDF)なので、クレジットカードさえあれば日本からもダウンロード購入可能なはず。

 ご購入や、より詳しい寄稿作家リストなどは、下のリンクからどうぞ。
http://www.classcomics.com/ccn/2014/08/heroes-in-peril-volumes-1-and-2-now-available/

 Volume 1と2がありますが、私が乗っているのは、こちらのVolume 2の方です。
http://www.classcomics.com/cart/product.php?productid=333

“In A Glass Cage (Tras El Cristal)” (1987) アグスティ・ビジャロンガ

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“In A Glass Cage (Tras El Cristal)” (1987) Agustí Villaronga
(米盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com

 1987年のスペイン映画。かつて少年相手に拷問殺人を繰り返し、今は寝たきりとなった元ナチスの男と、彼の妻と娘、そして家に入り込んできた美青年を巡る、トラウマ必至のアート系サイコスリラー映画。
 監督は『月の子ども』『ブラック・ブレッド』のアグスティ・ビジャロンガ。

 中年男クラウスは、元ナチスで収容所の少年相手に生体実験を行い、戦後も少年を拷問殺害してきた小児性愛者のサディストだが、落下事故によって身体が動かなくなり、ガラスの棺桶のような延命装置に入っていなければ呼吸もできない状態になっている。
 クラウスの妻でスペイン人のグリセルダは夫の看護に疲れ果てていて、娘レナにも当たり散らす状態。クラウスの屋敷は人里離れた田舎にあり、3人の他は通いの家政婦が訪れるだけ。
 そんな中、看護士を名乗るアンジェロというハンサムな青年が、クラウスの世話をすると言って唐突に屋敷にやってくる。しかし、アンジェロのことを怪しんだグリセルダが彼を試すと、実は彼は簡単な注射すら満足に出来ないということが判る。
 グリセルダはアンジェロを家から追いだそうとするが、なぜかクラウスは彼に留まって欲しいと望む。しかし、その理由を明かそうとしない夫に、グリセルダは不信感とストレスを溜め込んでいく。また、娘のレナはハンサムなアンジェロに懐き、それがますますグリセルダを苛立たせる。
 やがてグリセルダは、家のブレーカーを落として夫の生命維持装置を止めようとまで追い詰められるのだが、その一方でアンジェロは、クラウスの前で全裸になって自慰をしながら、「貴方のことは全て知っている、一緒にまた《その世界》に戻ろう、そのためには妻のグリセルダが邪魔だ」と囁き始め……といった内容。

 何というかその……激ヤバな内容でした。
 しょっぱなっから、廃屋に両手吊りにされた身体の傷も生々しい全裸の少年を、カメラで執拗に撮影する中年男というシーンで始まり、しかも少年にまだ息があることを知って口づけし、そして角材で殴り殺すというシーンから始まりまして……。
 その後は、『愛の嵐』と『ゴールデン・ボーイ』にペドフィリアとサディズムとホモセクシュアルをまぶして、ニューロティック・スリラー風味も加えた内容を、デヴィッド・リンチ風に撮っている……と言えば、いかに見ていて神経を逆撫でされる感じなのか、想像がつくかと思います。
 基本的に映像自体は、寒々しいブルーを基調にしつつも美しい色調と、抑制のきいた端正な構図や演出で、扇情的に煽る系の要素は皆無と言ってもいいんですが、それにしても何しろ、ナチスの生体実験&その再現、しかも相手は裸の少年、おまけに同性愛要素もあちこち……とくるので、もうタブー感が尋常じゃない。
 少年の殺害シーンだけでも充分以上にキツいのに、加えて、美青年が寝たきりの中年男性の生命維持装置を外し、苦しんでいるところに覆い被さり、泣きながらフェラチオするとか、はっきりとは見せないものの顔射して、しかも後からそれを妻に見せ……とか、そんな展開やシーンがあちこちに。
 クライマックスもスゴくて、ネタバレになるので詳述は避けますが、過去と現在、共にものすごいタブー感のある《セックス》をカットバックで見せられるもんだから、映像は美麗だし演出は端正なのに、見ていて「うわあぁぁ……」感が半端ない。

 登場人物も皆キャラがキツくて、家族を心配する寝たきりの父親(ギュンター・メイスナー)とはいえ、その正体は少年相手の連続殺人鬼だし、危機に晒される妻(マリサ・パラディス)とはいえ、事故に見せかけて夫を殺そうとするし、サイコな美青年なんだけど、でもそこには理由や純愛要素もあり……。
 でもってラストカットなんて「ええええ、これでいいの???」ってな展開ながら、ん〜でもそうなるのかな……って感じでもあり、しかもそれを詩的で美麗なイメージで見せられるもんだから……。
 いやはや、鑑賞後の印象は「うわぁ、なんかスゴいもの見ちゃった……」の一言。
 特典に入ってたアグスティ・ビジャロンガ監督のインタビューを見たところ「ジル・ド・レイの話をヒントに、ナチスの話を背景に、現代に再構築した」っていうんですが、その発想自体が邪悪というか怖いもの知らずというか……。

 ただ前述したように、映像自体は美麗ですし、演出も良く、サスペンス要素があるのでストーリー面での娯楽要素もバッチリ。全てにおいてクオリティは実に高く、神経を逆撫でされつつも、ものすごく面白いです。単にヤバいだけのキワモノではない、映画としてきちんと見応えのある一本。
 何かの拍子で予告編を見て、「あ、なんか良さげ。え、マリサ・パラディス出てるの? 見る見る見る!」と嬉々として米盤Blu-ray買ったんですが、見応えもヤバさも期待以上でした。

 Blu-rayやDVDは、日本のアマゾンでも買える模様。
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[amazonjs asin=”B005DKS220″ locale=”JP” title=”In a Glass Cage DVD Import”]

長谷川サダオ「1978〜1983」展のお知らせ(東京)

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 8月23日〜9月13日まで、東京・九段のギャラリー、成山画廊にて、長谷川サダオ展が開催されます。
 拙著『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』でも書いたように、長谷川サダオは日本のゲイ・アート史上において、最も重要な作家の一人です。
 前世代の作家たちが、主に自分の欲情というメカニズムを忠実に追うことで、結果としてその作品をゲイ・アートたらしめていたのに対して、長谷川サダオは、個人という枠内だけに留まることなくゲイネスという総体も視野に入れ、またプレスリリースにもあるように、アートやファッションといった同時代の潮流にも共鳴しつつ、それらを自作に反映させていきました。
 また作品のフィニッシュワーク(仕上げなどの技術)の完璧さも、見逃すことのできないポイントの1つです。そんな原画の持つ美しさを直に目撃できる個展という貴重なチャンス、ぜひお見逃しなきようオススメいたします。 

【プレスリリースより】
8月の終わりに開催致します長谷川サダオ(1945年生まれ1999年没)は、ゲイアートという閉鎖的な分野で活躍してきた特異なアーティストでありましたが、“1980年代”という時代の再評価やゲイリブの推進によって、解き放されたアーティストのひとりです。現にここ10年でトム・オブ・フィンランド等欧米のゲイアートは大手オークションハウスでも高額で取引されるようになりました。
マイノリティーな性的趣向を秘めつつ描かれる絵画は日常を軽々と飛び越えて、密室特有の幻想を描いており、世界に誇れるビジョナリーアートと申せましょう。
今展では1970年代後半から1980年代前半までの作品に焦点をあて、当時流行したテクノポップスが持つプラスティックなニュアンスが前面に現された作品をご紹介致します。

長谷川サダオ「1978〜1983」展 
2014年8月28日(木曜日)〜9月13日(土曜日)
成山画廊:東京都千代田区九段南2ー2ー8 松岡九段ビル205号室
     TEL&FAX:03ー3264ー4871
E-MAIL:info@gallery-naruyama.com 
ホームページ:http://www.gallery-naruyama.com/
営業時間:月、火、木、金、土曜日  13時から19時まで  
     水、日曜日、祭日      休廊

トークショー「にじいろ☆シアター」のご案内

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 明日7月7日(月)、新宿でトークショーに出ます。
 7月12日から始まる第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のプレ・イベント、TILGFF × 2CHOPO 「にじいろ☆シアター」スペシャルトークショーで、映画ライターのよしひろまさみちさん、女装パフォーマーのブルボンヌさんと一緒に(MCはバブリーナさん)、ゲイ映画についてあれこれ喋らせていただく予定。
 特に予約とかは必要ないイベントなので、お気軽に遊びに来てください。

今年で3年目を迎えたLGBTポータルサイト「2CHOPO」と映画祭が、初コラボレーション!
セクシュアル・マイノリティにまつわる良作映画の数々を紹介する「にじいろ☆シアター」で連載中のよしひろまさみちさん、日本を代表するゲイ・エロティック・アーティストとして、海外でも高く評価されている田亀源五郎さん、女装パフォーマーとしてご活躍されながら、ライターとして映画批評も連載されているブルボンヌさんをお迎えし、たっぷり2時間(!)“にじいろ”に溢れた映画トークを繰り広げます!
もちろん、MCは「2CHOPO」編集長のバブリーナさん!七夕の夜は、二丁目のAiSOTOPEに集合!

日時:7月7日(月) 20:00~22:00 (19:00開場)
会場:AiSOTOPE LOUNGE (〒160-0022 東京都新宿区新宿2-12-16 セントフォービル1F)
料金:2,000円(※ドリンク代は別となります)
予約:不要

 よしひろくんとブルちゃんという組み合わせにつられて、私もオネエ言葉が爆裂してしまいそうな予感がしますが(←他人のせいにするヤツ)、お二人とも、映画についてもゲイカルチャーについても、一癖も二癖もある煩い……いやいや、一家言をお持ちの方々。きっと面白くて濃い話が聞けるんじゃないかと、出演者の私自ら楽しみにしております。
 それでは明日、会場でお会いしましょう。お待ちしております!

北米でTシャツ&タンクトップ3種発売、他、つれづれ

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 今週、ドイツ/フランス合同出資のTV局ARTE(アルテ。ドイツ、フランス、カナダ、イタリア、ベルギー、オランダ、スイスといったドイツ語圏とフランス語圏で放送)からのインタビュー取材を受けました。写真はその取材記者、アレックス氏。
 このARTEからの取材は、去年もパリでドキュメンタリー番組用にインタビューされましたが、今回のはそれとは別。最初にオファーされたときは、ちょうどイタリア出発前だったのでタイミングが合わず、お断りさせていただいたんですが、渡航中に再び、帰国後でも可能になったのでお願いしたいという連絡があり、そこまで言われるのならとお受けした次第。
 先方さんは拙仕事場での収録を希望されていたんですが、申し訳ないけれどそれはお断り。私の仕事部屋は寝室と共有だし、他人様が見たらドン引き間違いなしの散らかりようだし、撮影のために片付けるのは時間がもったいないし。
 というわけで、ならば景色がいいところでと上野公園を希望され、ま、別にいいかと屋外収録。スタート早々、雷雨に見舞われたりはしましたが、その後はまぁそこそこの天気で、3時間ほどかけて無事終了。ただ、アレックスが希望していたボートに乗っての撮影(アイドルビデオじゃないんだから)は断念。

 もう1つ、何処か私に縁のある場所での撮影も希望されておりまして、とはいうものの私は、飲みに出たりすることは全くないので、縁の場所と言われても……と暫し悩んだ後、そうだ、上野ならBIG GYM店内はどうかしらんと思い付く。
 日本のゲイショップでの撮影と聞いてアレックスは大喜び、BIG GYM上野店にもお願いしたところ、急な話にも関わらずご快諾いただたので、そちらでも撮影。
 BIG GYM上野店長およびスタッフの皆様、本当にありがとうございました。
 取材ご協力の御礼も兼ねて、BIG GYMさんでは拙新刊『エンドレス・ゲーム』にもサインを入れてきましたので、ご希望の方がいらっしゃいましたらお問い合わせください。

 更にもう1つ、私が絵を描くところも撮影したいと言われ、しかし私はテーブルと椅子がないと描けないので、あれこれ候補を考えた吸えに、最終的にはアレックスが知っているという秋葉原のカラオケボックスへ。四人用の個室をとり、そこで下絵からペン入れまでを撮影。
 気がついたら、上野公園で待ち合わせしてから、既に9時間半が経過していた。もう、ぐったり(笑)。
 ともあれ、ARTEの取材はそんな感じで、丸一日(打ち合わせや事後処理も含めると三日)かけて無事終了。

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 数日前には児雷也画伯から、アメリカで出た英語版新刊『Caveman Goo』をいただきました。
 ガチムチ石器人たちがヤりまくるコメディ。可笑しくてエロくて楽しい。因みに私は、主人公Gooよりもヤリ友のDonの方がタイプ。
 あと考えてみると、児雷也画伯のマンガをこの大判サイズ(約B5、週刊誌大)で読むのは初めてかも。流石に絵の迫力が桁違い。そして当然のことながら、北米版なので完全無修正。画伯のファンなら、何としてでも入手する価値大ですぞ!
 この『Caveman Goo』は、アメリカのMASSIVEで発売中。また、今秋に北米で発売予定の、日本のゲイマンガとその作家を紹介する本(英語)、『Massive: Gay Erotic Manga and the Men Who Make It』にも収録予定。
 後者の本の出版に関しては、私もだいぶ協力しているので、ぜひ成功して貰いたい。

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 このMASSIVEからは、LGBTプライド月間に合わせて、私のイラスト入りTシャツ&タンクトップ3種も、新たに発売になりました。
 詳しくはこちら

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今週中頃には、拙英語版単行本『Endless Game』『Gunji』の版元Bruno Gmünderから、2014年秋冬の出版予定カタログのプレスリリースが出ました。
 前にここで「そのうち時が来たらまたお知らせできるかも」とか、ここでもちらっと触れたように、Bruno Gmünder Gay Mangaというレーベルでの、日本のゲイマンガの英訳出版シリーズが、ようやく本格的にスタートする予定です。
 というわけで今年の秋から冬にかけて、一十/MENたいこさんの『Priaps』、松武さんの『More And More Of You and other stories』、私の『Fisherman’s Lodge』(英訳版『冬の番屋』+『告白』『END LINE』)が、順次発売予定です。
 これまた私、いろいろと協力しているので、ぜひ成功して欲しいプロジェクト!

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 週末には、ポット出版のスタッフたちと一緒に、神宮前二丁目にできたLGBTフレンドリーな創作エスニックレストラン、irodoriへ。雰囲気良し、お料理美味し、上階には洒落たギャラリー・スペースなどもあるので、よろしかったら皆様ぜひお立ち寄りを。
 写真は左から、私の友人で日英翻訳などもお願いしているジョナサン、私、ポットの沢辺さん、irodoriの杉山文野さん、ポットの那須さん、佐藤さん、大田さん。

ゲイ・アート・ブック”Raunch”に作品収録

Raunch cover
 Bruno Gmünder社から出たゲイ・アート・ブック、”Raunch”に作品が収録されました。
 タイトルのRaunchってのは、「卑俗」とか「猥雑」とでも訳せばいいのかな? まぁそんな感じの切り口で、写真やイラストなどのゲイ・アートをまとめたハードカバーのアートブックです。

Gengoroh Tagame
 私の作品は、この1点のみ。昔「薔薇族」に描いたやつです。

 他はいろいろ、世界のあちこちから総勢40名近くのアーティストやスタジオの、Raunchな写真やイラストを収録。
 というわけで、内容を少しご紹介。

Kevin D. Hoover(アメリカ/ニューヨーク)
Kevin D. Hoover
この人の作品が、かなり私のテイストにマッチしていて、しかも収録作品数も多くて嬉しかった。

Inkedkenny(カナダ/トロント)
Inkedkenny
この人も好きなアーティスト。収録作品数も多し。

左/George Towne(アメリカ/ニューヨーク)、右/Jeremy Lucido(アメリカ/ロサンゼルス)
George Towne & Jeremy Lucido

Robert W. Richards(アメリカ/ニューヨーク)
Robert W. Richards

左/Strut Walker(アメリカ/ニューヨーク)、右/Darren Ankenbauer(アメリカ)
Strut Walker & Darren Ankenbauer

Grae(アメリカ/ニューヨーク)
Grae
キャラや状況設定に親近感。趣味が合いそう。

左/Andrea Madalena(イタリア)、右/Bearfighter(ドイツ)
Andrea Madalena & Bearfighter
左のAndreaとは、先日イタリアでボローニャの個展オープニングやベアパーティで会いました。モヒカンで笑顔が可愛いオーランド・ブルームって感じのナイスガイ。
with Andrea

Rubén Gauna(アルゼンチン/ブエノスアイレス)
Rubén Gauna
先日ベルリンで、Bruno Gmünderのスタッフに、この人の絵をプリントしたTシャツを見せて貰いました。同社が制作販売するようなことを言っていましたが、ネット上では情報が発見できず……って、良く考えたらお土産に一枚いただいていたんだっけ(笑)。
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《書誌データ》
RAUNCH / Various Artists

Photo Book
Pages: 160
Size: 21,5 x 28,5 cm / 8,5 x 11,25 inch
Format: Hardcover with dust jaket
Colour: full colour
ISBN 978-3-86787-664-3
May 2014
29,95 €

 残念ながら日本のアマゾンでは取り扱いなし。ご注文はアメリカやイギリスのアマゾンなどからどうぞ。

“Interior. Leather Bar.” (2013) James Franco, Travis Mathews

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“Interior. Leather Bar.” (2013) James Franco, Travis Mathews
(イギリス盤DVDで鑑賞→amazon.co.uk

 2013年のアメリカ製ゲイ映画。
 ハリウッド男優ジェームズ・フランコと、“I Want Your Love”のトラヴィス・マシューズが共同監督した、1980年の映画『クルージング』(ウィリアム・フリードキン監督/アル・パチーノ主演)からカットされた、40分のゲイ・セックス場面を描いたフッテージを想像再現した作品……という触れ込みだったけど……。

 実際には、その再現作業に関わった人々の反応を通じて、何かの化学変化が起こることを期待した系のコンセプチュアルな作品でした。
 で、結論。
 トゥー・マッチ・コンセプチュアル。そして化学変化は起こらず。
 あら残念 。
 コンセプト的な意図は良く判ります。
 具体的に言うと、まず、何故本作を作ろうとしたかという動機部分に関わる、映像作品におけるゲイ・セックス表現に対する規制への問題提起。
 次に、30年以上前の映画のロスト・フッテージを、現代の作家が再構築したときに見えてくるであろう何か。
 そして、ゲイ・セックスの只中に放り込まれたメイン男優の反応を追うことで、『クルージング』という映画の中でアル・パチーノが演じた役柄との共通点が浮かびあがったり、共鳴効果が起こることへの期待。
 そういったコンセプチュアルな意図は、実に明解な作品です。ただし残念ながら、その結果があまり面白いものではなかった……ということ。
 唯一の例外は、映画内映画として提示される再現部分の映像表現。
 おそらくここがトラヴィス・マシューズの担当部分だと思うんですが、これは実にセンシュアルで素晴らしい出来映え。
 ただ残念ながら、その部分の尺は合計しても10分程度しかなく、後は延々、映画のメイキングのようなインタビュー映像とか、主演男優の心の揺れを追ったドキュメンタリーのようなものが続き、そしてそっちが決定的に面白くない。

 というわけで、個人的にはコンセプト倒れの失敗作という印象ですが、コンセプトそのものを楽しむコンテンポラリー・アート的な視点で見れば、ひょっとしたら楽しめる方もいらっしゃるかも知れません。私の口には合わなかったけど。
 でも、もしコンセプトが全て取っ払われて、想像再現部分だけの短編だったら、私は絶賛していたと思います。そのくらい、セックス場面は魅力的。描写が赤裸々なために、残念ながら予告編の中ではその部分は殆ど出てきませんけど……。

“Hawaii” (2013) Marco Berger

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“Hawaii” (2013) Marco Berger
(アメリカ盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2013年のアルゼンチン製ゲイ映画。
 再会した幼なじみが互いに惹かれつつも、相手の気持ちが掴めないために一歩を踏み出せないという一夏の光景を、穏やかなムードで詩情豊かに描いた作品。

 身寄りをなくした青年マルティンは、子供の頃に暮らしたアルゼンチンの田舎町にやってくるが、そこでも知己は既におらず、野宿をしながら様々な家の手伝いをして、その日の食事と現金を得ている。そんなマルティンが、ある日仕事を求めて尋ねた家は、彼が幼い頃に遊びに来た事があるエウヘニオの家だった。
 エウヘニオもそのことを思い出し、マルティンは野宿のことは隠したまま、夏の間エウヘニオの家を修理する仕事を得る。マルティンに惹かれたエウヘニオは、シャワーを勧めたり泳ぎにさそったりするが、彼の裸身を覗き見るのが精一杯で、そこから先へは踏み出せない。
 そんな中、マルティンの野宿の嘘がばれ、エウヘニオは彼を納屋に住まわせることにする。共に暮らしながら、二人は互いに自分でも忘れていた幼い日のことを思い出し、親しさを増していく。
 そしてエウヘニオ同様、マルティンもまた相手のことを意識するのだが、二人の関係は友人以上にはなかなか進展することがなく……といった内容。

 これは秀逸な一本。
 内容的には、これといったドラマ的な起伏があるわけではなく、相手のことが気になるけれど何か行動を起こすことはできず、それも友人的に良い関係性にあるから尚更……といった微細な空気感を、ディテール描写を重ねて描いていくというもの。
 クローズドなゲイ・コミュニティ以外で出会った、同性の誰かに惹かれたとき、まず相手がゲイであるかどうかが判らないが故に、気にはなるんだけれど踏み出せない気持ち。こういった感覚は、私自身も含めて、おそらく多くのゲイにとって、一度は身に覚えがあることなのでは。
 そういった、身近ですごく良く判る感覚にフォーカスを当て、それを丁寧に描き出すこと、それがゲイ映画としてのテーマになり得るという発見に、大きな拍手。
 映画としても良い出来で、空気感のある柔らかで美麗な映像、夏の気怠さを思わせるような穏やかなムード、着替えや午睡といった場面で下着越しの股間を捉えるようなセンシュアルな画面……と、全体がとても静かで、心地よい雰囲気。
 テンポは一貫してゆっくりしているものの、そこには前述したような「相手のセクシュアリティや気持ちが判らない」ことによる、軽い緊張感も同時に漂っているために、ゆったりすぎて弛緩することもない。
 全体的に少なめの会話場面も、その内容は日常的なものや想い出話であって、変にフィクショナルな心情吐露とかではない、そんなリアリズムも佳良。
 最初に思った、「アルゼンチン映画で、この内容で、何故タイトルが『ハワイ』?」という謎も、ラストにそれが軽い仕掛けとなって、ドラマの収束に作用するので納得。予定調和的な部分はありますが、それも雰囲気の良さで自然に乗せてくれる感じ。
 ガツンとくるフックには欠ける作品ですが、エンドクレジットにKickstarterのロゴがあったので、おそらくクラウドファンディングで作られたインディーズ映画なのでしょう。それでこの出来映えなら、これは充分以上に見事。

 美麗な画面と心地よい空気感で綴られる、ゲイならば誰にでも身に覚えがありそうな、ごくごく普通で当たり前の感覚。そんなリアルさを主体にしつつ、同時に詩情や甘美さも押さえ、寸止め系のさりげないエロス表現もプラス。
 テーマといい、クオリティといい、後味の良さといい、ゲイ映画好きなら、まず見て損はない一本です。

【追記】今年(2014年)の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で、上映あるそうです。
ハワイ|第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭

“Priest of Love” (1981) Christopher Miles

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“Priest of Love” (1981) Christopher Miles
(アメリカ盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com

 1981年のイギリス映画。D・H・ロレンスの後半生を、まだ40代頭のイアン・マッケランが演じる(初主演映画らしい)文芸映画。
 85年にディレクターズ・カット版が制作されており、今回鑑賞の米盤Blu-rayも同バージョン。

 コーンウォールに済むロレンスは、海で男友達と全裸で泳いでいたところを見咎められ、更に妻がドイツ人(敵国人)であるために、同地から立ち退きを命じられる。
 一方ロンドンでも、ロレンスの著書『虹』が、猥褻であるとの理由で焚書に処される。彼は妻と、女流画家ドロシー・ブレットを伴って、アーティストたちを贔屓にしているメキシコの女富豪の元に渡る。
 こうしてロレンスは、文明社会と世俗に反発を繰り返し、時に最大の理解者である妻とも衝突しながら、女富豪の元からエルパソ、再びイギリス、そしてイタリアへと居を移す。
 やがてカプリ島へ移ったロレンスは、再び妻との衝突と和解を繰り返し、絵画にも手を染めながら、いよいよ『チャタレイ夫人の恋人』の執筆に着手する。
 しかし同書の出版、絵画の個展などを控えながらも、彼の身体は次第に結核に蝕まれていき……といった内容。

 監督のクリストファー・マイルズという人は、私は初めて聞く名ですが、しっかりとした手堅い仕上がり。この題材なら、もうちょっと表現面に大胆なところがあっても良い気はしますが、危うげのない演出、世界各地のロケーションを活かした美麗な撮影、ドラマチックな音楽の良さなど、作品的な風格は充分。
 まだ若いイアン・マッケランは、流石の上手さ。いささか舞台的な演技が目立つ感はあれども、緩急を効かせた演技は説得力も見応えも充分。前述した冒頭場面では、まだ瑞々しいお肌の、フル・フロンタル・ヌードも披露。
 妻フリーダ役のジャネット・サズマンは、ある意味マッケラン以上の熱演で強印象。どこかで見た顔のような……と思ったら『ニコライとアレクサンドラ』のアレクサンドラ役の人でしたか。他にも『ニジンスキー』『英国式庭園殺人事件』なんかにも出ていたみたい。
 顔見せ的な感じで、メキシコの女富豪にエヴァ・ガードナー、ロレンスを目の敵にしているロンドン警視庁のお偉いさん(?)にジョン・ギールグッド。役者ではなく役柄としては、オルダス・ハクスリー夫妻なんかも出てきます。

 ロレンスのバイセクシャル的な側面に関しては、前述の冒頭場面の他、女富豪の夫である逞しいネイティブ・アメリカンや、『チャタレイ夫人』の森番メラーズを着想する基となった逞しいイタリア人農夫を、何か含みありげに意識している描写があれども、あくまでも何となく匂わせる止まり。
 ここいらへんは、若い頃にケン・ラッセル監督の映画『恋する女たち』(ロレンス原作)を見て、「なにこのホモセクシャルになりそうでならない寸止め感は!」と、変に悶々とした感じを思い出しました(笑)。ロレンス(およびその作品)って、そーゆーものなのかしら… …。
 ただ性愛描写自体に関しては、男女間におけるそれも同様で、ロレンス自身の扱うモチーフや、妻との間で交わされるきわどい台詞、複数の女性と情交がある関係などを、セクシャルな要素をあちらこちらに匂わせながらも、具体的な描写は何もないあたりが、ちょっと興味深かった。ベッドシーンに類する場面としては唯一ある、ロレンスが女性に夜這いをかける場面も、結局は未遂に終わってしまうし……。
 とはいえ、性愛とその表現に関する会話などには、やはり自分の職業柄もあって大いに引き込まれるものあり。ただヒアリングオンリーの鑑賞だったので、かなりの部分は拾い損ねていると思います。Blu-rayだからCC英語字幕が付いてるかな〜と期待したんだけど、残念ながら字幕は入っていませんでした。

 もう一つ、個人的にとても興味深かったのが、ロレンスの絵画展の件。警察の指示のもと、猥褻とされた絵画が撤去押収されてしまうんですが、その中に、画廊が一緒に飾っていた別の作品、それもウィリアム・ブレイクの絵画が含まれていたという、皮肉の効いた描写に思わずニンマリ(笑)。
 具体的には(ちょっとネタバレかも知れないので白文字で)、まず、ジョン・ギールグッド扮する警察の偉い人が、客を装って画廊を訪れ、展示されている絵画の中から《猥褻》に相当するものをリストアップする。そして後日、警察隊がやってきて、リストの作品を一斉に撤去し始める。するとその中に、ロレンスの絵ではなく、画廊が独自に飾っていたブレイクの絵画が混じっている。
 で、画廊の主が「それはロレンスの絵じゃない、もう大昔に亡くなっているブレイクの絵だ」と抗議すると、警官たちは「あっ、そ。もう死んだ奴の絵なんだってさ!」と、その絵は撤去せずに画廊に残していく……という展開です。
 そんな感じで、
官警による《猥褻》の判断と規制を、その滑稽さも交えて小気味よく皮肉っており、これは今の日本でも全く同じ問題が現存しているわけで、そこがかなり個人的にポイント高し。

 というわけで、映画として突出した+αには欠けますが、クオリティは申し分なく、見応えも充分。
 イアン・マッケラン、D・H・ロレンス、性愛表現のタブーに挑戦し続けた作家、表現規制……そういった要素に興味のある方だったら、まず見て損はない一本。

Mascular Magazineに作品提供

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 ゲイ・アート系のウェブジンMascular Magazineの第8号(フェティッシュ特集号)に、作品を数点提供しました。
 同誌のサイトからPDFを無料でダウンロードできます。
http://www.mascularmagazine.com/
 同号には、世界中から総勢30名ほどのアーティストが参加しており、それぞれ数点ずつ作品を提供。総計260ページ以上、約60MBというヴォリュームなので、お使いの回線状況によって異なりますが、ダウンロードにちょっと時間がかかるかも知れません。
 また、収録作品には外性器の露出やボンデージ、SMなどのアダルト・マテリアルも含まれますので、ダウンロード&閲覧は自己責任でよろしくお願いいたします。

 拙収録作に関しては、自分のフェティシズムが反映された作品を数点セレクト、そこに先方の依頼で、自作品解説を日本語と英語で併記。
 で、この日本語の解説ですが、最初に英文で書いた後、それを再度日本語で書き直すという方法をとったところ(先に日本語で書いちゃうと、それを英訳するのが厄介なので……『あ〜こーゆーの英語で何て言えばいいんだ???』ってことになっちゃうので、最初から英語で考えた方が、自分のボキャブラリのキャパに合った説明だけで留められるから楽w)、そしたらなんか脳味噌の接続が上手くいかずに、直訳調みたいな変に固い日本語になっちゃいました。お前ホントにネイティブかって感じの(笑)。
 まぁ、そこいらへんはご愛敬ってことで、ご寛恕。
 提供作品は基本的に、旧作の中からのセレクトですが、以前企画展用に描いたオリジナル作品(つまりその企画展意外では未発表)を、更にこのMasculine Magazine用に新規着色・デジタル仕上げにしたものが入っています。今のところ、ここ以外では見られない作品なので、宜しかったら是非ご覧あれ。

 前述したように、他の収録アーティストは世界中から総勢約30名と、国籍も作風もバラエティに富んだセレクトとなっています。
 大体が写真作品がメインで、絵画系は私も含めて数人程度。レザーあり縛りあり女装ありコンセプチュアルありと、作品のレンジは色々ですが、野郎系好き&フェティッシュ好きの方なら、かなり面白いラインナップで楽しめるかと思います。

【収録作品例】
Gengoroh Tagame
mascular8tagamec

Aurelio Monge
aureliomongec

Ron Amato
ronamatoc

Olivier Flandrois
olivierflandroisc

Inked Kenny
inkedkennyc

Wim Beullens
wimbeullensc

 もちろん各収録作家のプロフィールやサイトリンク等の情報付き。
 前述したようにダウンロード・フリーでもあるので、お時間のあるときにでも是非どうぞ。