個展〜2014年ボローニャ(&サイン会、NipPopゲスト参加)」カテゴリーアーカイブ

イタリア紀行(4)

6月6日
 昼頃の電車でフィレンツェからボローニャへ。アドリアーノが仕事で留守だというので、ニーノが部屋の鍵を持ってお出迎え。

 今日の予定は、17時から明日のNipPopワークショップについて市口さんとイゴール書店で打ち合わせ、引き続きイゴール書店で18時半から出版発表会&サイン会、夜にNipPop関係者たちと夕食、その後23時からボローニャで月一開催のベアパーティFeed The Bearsでのサイン会……という、けっこう盛り沢山のスケジュール。
 ところが出迎えに来たニーノから、更に15時にミラノから来るゲイ雑誌Prideのインタビュー、インタビュー終了から市口さんとの打ち合わせの間に、アドリアーノが撮る私のドキュメンタリーの撮影というスケジュールが加わったと聞かされる。ひぃ(笑)。

 ともあれ、いったんニーノと別れて、数時間後に再びボローニャ中央駅で待ち合わせ。少し遅れてPrideの編集者も到着。連れだって駅前のカフェに行き、テラス席で取材を受けることに。
 編集氏、「うちの雑誌の見本を持って来ました。お土産です」と、Pride誌のバックナンバーをずらりとテーブルに並べる。それが、これ。
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 これらを剥きだしで渡されたので、カバンの中に大きめのエコバッグ(スーパーとかで買い物をしたり、不意に大きめのお土産を買ったとき用などに、常に持ち歩いている)を入れておいて良かったとホッとする(笑)。
 インタビューは小一時間で終了。編集氏、長年の拙作のファンで、だいぶ前に日本への渡航経験もありということで、年期の入った『柔術教師』の単行本にサインも頼まれる。

 そこにアドリアーノ到着。ニーノおよび編集氏と別れて、映像収録スタート。
 インタビューは後日収録するということで、今日はその合間に挟むイメージショット的なもの(……だと思う)を撮影したい等のコンセプトを聞かされる。
 まずは初日に行った市庁舎へ。回廊を歩いたり、あちこち見物している風のショットをゲリラ撮影。地下のローマ遺跡にも、このとき初めて入った。
 それから街中、アルキジンナージオ宮など、場所を移動しながらあちらこちらで撮影。アドリアーノに「これでいい?」と訊くと、「OK、グッド・アクター」と言われたので、「じゃ、ソフィア・ローレンみたいに撮ってね!」と言ったら、「いや、マルチェロ・マストロヤンニみたいに撮る」との答え(笑)。
 この撮影の一貫で、パゾリーニの家の前にも行く。感激。
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 しかし映像がイマイチだったとのこで、後日再撮する羽目に(笑)。

 そうこうしている間に、市口さんとの待ち合わせ時間が迫ってきたので、急いでイゴール書店へ向かう。それでもだいぶ遅れてしまい、お待たせしてしまった。申し訳ない。

 市口さんと近くのカフェに移動して、明日のワークショップの打ち合わせ。先日、オノ・アルテ・ギャラリーでの打ち合わせや、お渡しした資料を元に、きっちりレジュメを作ってきてくださった。感謝。
 打ち合わせついでに、あれこれ雑談。私からすると、主にヨーロッパで作品発表をしている日本人マンガ家のお仕事というのは、何から何まで初めて聞くことばかりなので、とても面白い。
 そうこうしていたらニーノが迎えに来たので、再びイゴール書店に戻ってイベント開始。

 出版発表会はトークショー形式。私とニーノ、そして、通訳担当のジュゼッペが遅れるとのことだったので、代打で市口さんという面子でスタート。
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 この出版発表会に関しては、ローマから取材に来てくれた、日本のマンガやアニメの情報サイトAnime Clickが、動画クリップなどを含めて記事をアップしてくれたので、興味のある方はどうぞ。こちら
 トークの中身は、例によって私にとってのイタリア文化の影響であるとか、日本におけるゲイ文化とBL文化の関係などについてが多かった。個人的には、もうちょっと私自身の作品についての話などがしたかった感じ。
 というのも、一般論的なことを訊かれても、答えられるのはあくまでも私の私見でしかないからです。しかし今回のイタリアでは、その手の質問の答えを求められるケースが多く、その結果、そこから《私見》という要素が抜け落ちてしまい、あたかも一般論であるかのように拡散してしまう可能性と、そのリスクについて、ちょっと慎重になりたい気分にさせられた感あり。

 トーク・イベントが終わると、皆は外に用意された飲み物や軽食などで懇談。しかし私は本にサインをしなければならないので、そっちにはほとんど混じれず(笑)。
 例によって、コレクション的な大量の各国語版を持参してくれたファンもいて、いつもながら感激。今回の彼は、冊数が多くて迷惑になると気遣ってくれたのか、他の皆のサインが終わるまで待っていてくれた。優しい。
 来場者へのサインを済ませた後は、今度はイゴール書店に、あらかじめ注文があった通販分にサイン。もちろん注文者のお名入れもする。それが終わると、今度は書店の在庫分にサイン。私個人の単行本のみならず、作品が収録されているゲイ・アート・ブックにもサイン。
 全部合わせると結構な量で、ようやく全てのサインが終わって外に出たときには、もう飲み物はなくなっていた(笑)。
 それから、また記念撮影に応じたり。私の隣にいるのが、Anime Clickのダリオ。
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 書店イベントが一段落ついたところで、ニーノ、市口さん、ジュゼッペ他、NipPop関係者たちと一緒にレストランへ移動。

 NipPopのディナー。
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 左から、私、アメリカの大学教授だというイアン、市口さん、アニメ『聖闘士星矢』イタリア語版の声優さん、ジュゼッペ、ニーノ。
 NipPopは日本文化のイベントだけあって(何でも東日本大震災の応援イベントとしてスタートしたものだそう)、日本語話者も多く会話が楽。海外渡航中にこれだけ日本語を良く喋ったのは、私の経験ではちょっと珍しい例。
 料理の中で印象深かったのは、素揚げして膨らんで中が空洞になったパスタ生地(元はラザニア生地のようなもので、それがシュークリームの皮みたいな塩梅になっている)に、ハムやらサラミやらチーズやらを詰めて食べるというもの。シンプルだけど美味しくて、ついつい手が伸びる。

 ディナーの後は、ニーノと一緒にベア・パーティFeed The Bearsの会場へ移動。現地でファビオも合流。
 会場は、かつては塩の倉庫だった古い建物を、そのまま中はクラブ、敷地内の外には、オープンエアーのバーや、野外コンサート会場などがあるというエリア。いわゆるトレンディ(古い)なスポットらしく、後日「あ〜、そこ一度行ってみたいの!」という現地住まいの方の声あり。
 私のサイン会は、オープンエアのスペースの方。一段高くなったところに、テーブルと椅子と本(そしてレインボー・フラッグ)がセッティングされ、同じテーブルにはイゴール書店の出店も。
 ちょうどコンサート会場の方では、何かのライブの真っ最中。お客も完全にミックスで男女半々、ストレートも多い感じで、最初は「え、ここでサイン会するの?」と、ちょっとビックリしたんですが、時間が遅くなるにつれてゲイ比率(ベア・パーティなので主にヒゲ男)がどんどん上昇、深夜を回った頃には、ほぼゲイ男性ばっかという状態に。
 そんな中で、サイン会スタート。
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 とはいえ、サインを求めて列が出来るというわけではなく、たまに求められるとサインに応じるといった具合の、まったり営業。そんな感じで、もっぱら周囲とお喋りしていると、パリ在住の友人と共通の知り合いがいたりして、世界の狭さ(特にゲイ世界の)を感じたり。
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 あと、前にここでも書いたように、イタリアのアーティスト、アンドレアと「一緒の本に載ったね〜」と、一緒に記念撮影。
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 ニーノたちと一緒の写真では、アンドレアに「自作で一番のお気に入りのページを開いて!」とリクエスト。

 少し遅れて、ディナーで一緒だったイアンが、ジュゼッペに連れられて到着。イアンはノンケの妻帯者だけれど、クラブ大好き(何でも自分でDJもするらしい)なので、ベア・パーティーに興味を覚えたとのことで、「中年で腹が出ている自分でも、ここならアウェーじゃない!」と、かなりはじけていた模様(笑)。イタリア人のジュゼッペも、「こんなに大量のゲイ・ベアーを見たのは初めて!」と驚いていたくらい、盛況なパーティでした。
 何でもイタリアでは、都市によってゲイ・シーンの状況はかなり異なっており、田舎の方にいくほど保守的でLGBTに対して厳しい状況になるのはどこも同じなれど、このボローニャは古くから大学都市として栄えたという歴史もあり、排外的な気風がなく、イタリアの中でも特にリベラルな都市なんだそうな。到着初日に、ニーノが冗談めかして「イタリアのほとんどのゲイはボローニャにいるよ!」と言っていたけれど、それもあながち冗談じゃないよ的なことは、複数の人から聞きました。

 建物の中では、クラブ営業が行われていたけれど、本のテーブルを離れてはいられないので、残念ながらそっちには殆ど顔を出せず。後になって、VJで私の絵が投影されていたと知り、ちょっと見たかったと惜しい気持ちに。
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 そうこうしているうちに深夜もだいぶ過ぎ、イベントのハイライトであるケーキカットが行われるというので、クラブのステージ上に呼ばれる。
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 ここでちょっと補足しておくと、何でもこのFeed The Bearsというイベントは、いかにもイタリアらしく《食》が重要なテーマであり、食文化を通じてゲイ文化を広め、ゲイ・コミュニティーも繋げていく等の主旨だそうで。そんなわけで毎月のイベントでは、それぞれ季節やテーマに合った料理が供され、今回は周年パーティということでケーキだったそうな。
 そんな中で、私もケーキをいただく。スポンジの間にアイスが挟まっていて、クラブの熱気の中では特に美味しいケーキでした。

 そして、アドリアーノと一緒に彼の車で帰宅。
 ベッドに入ったのは午前3時過ぎ。明日のワークショップのために、朝8時には起床しなければならないので、寝不足がちと心配(笑)。

6月7日
 朝、アドリアーノと一緒に朝食を取り、彼の車でNipPopのワークショップ会場へ。途中でニーノも合流。
 車で移動したので正確な場所が良く判らないんだけれど、会場は図書館っぽいところ。敷地内には既に、NipPop関連の露天だかブースだかが並んでいる。

 会議室のようなところで、ワークショップがスタート。パネラーは、私、市口さん、そして通訳のジュゼッペ。
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 あらかじめ市口さんと打ち合わせをしたところ、イタリアのコミックスは基本的にストーリーと絵が分業制で、日本のマンガのように、一人の作家が話も作れば絵も描くというのが、習慣的にないそうです。更に、いわゆるグラフィック・ノヴェルの波もまだ来ていないそうなので、そういう意味で目新しいであろう、《アイデアを出す/プロットを立てる》ということについて主に解説していくことに。
 私と市口さんが交互に、用意したアイデア・メモや実際のネームの画像などを、プロジェクターでスクリーンに投影しながら、それぞれのやり方や考え方などを説明。市口さんはイタリア語がペラペラなので問題ないけれど、私は完全にジュゼッペにおんぶに抱っこ(笑)。
 参加者からの質問は随時受け付けて、最後は会場参加型ということで、三題噺を皆で作ってみることに。参加者からランダムにお題を求めたところ、《マンガ/指輪/パニーニ》になりました。
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 それを元に、まず私と市口さんが即興で作ったプロットを披露、続いて参加者にも、それぞれプロットを発表してもらうといった内容。
 そんなこんなで、ワークショップは無事終了。

  その後、ニーノが働いているボローニャで一番大きなコミックショップを案内して貰う。
 とても広いお店で、陳列も細かく分類されていて、日本で言うところの昔の大手輸入レコード屋(移転前の渋谷のタワレコとか)みたいな感じ。倉庫も含めると、びっくりするくらいの床面積で、これは探すのも買うのも楽しそう。
 また、私とニーノの『冬の番屋』イタリア語版の記事が、ボローニャの新聞に掲載されたとのことで、その掲載紙を貰う。嬉しい。
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 それからカフェでお茶などした後、昨夜の寝不足もあったので、この日は早々に帰宿。夕飯も、アドリアーノと二人で家で。

6月8日
 今日はインタビューのビデオ収録。アドリアーノの友人宅で行うとのことで、彼は朝から手土産のティラミス作り。
 出来上がったティラミスと撮影機材を持って、いざ友人宅へ。
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 左から、昨夜のベア・パーティでも会った友人氏、私、アドリアーノ。

 アドリアーノが機材を準備している間、友人氏に音楽の好みを訊かれる。
「いろいろ聴くけど、特に良く聴くのは現代音楽と民族音楽」と答えると、一枚のレコード(CDじゃなくてアナログLP)をかけてくれた。あれ、どっかで聞き覚えが……と思ったら、ファブリツィオ・デ・アンドレの『雲』だった。あ〜、持ってる持ってる、これ。名盤だよね〜。

 少し遅れて、通訳をしてくれるジュゼッペが到着。
 面子が揃ったところで、インタビュー収録スタート。休憩をはさみながらも、けっこう長い撮影だったような。
 インタビューが終わった後は、皆でティラミスをいただく。美味しかった。

 友人宅を出た後は、例のパゾリーニの家での再撮を含む、路上撮影アゲイン。
 その合間に、私が街中にある男性裸像彫刻を見つけては、ちょくちょく写真を撮りに走るもんだから、アドリアーノに「ゲンゴローにはレーダーでもついているんじゃないか」と笑われる。
 でもさ、こーゆーのがあちこちにあるって、日本では考えられないし、何しろステキじゃない(笑)。
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 この日は会場に顔を出せなかったけれど、NipPopも無事に全スケジュールを終えたらしく、夕飯は再びその関係者たちとディナー。
 日本語話者が多いテーブルだったせいもあり、すごくいっぱい喋って、すごく楽しかった。
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 左から、私、市口さん、ジュゼッペ、NipPopの立役者であるパオラ。

 夜遅くに寄宿すると、ニーノから頼まれたサイン用の伊語単行本の山が。「急がなくていいから」とは言うものの、明日は一日ヴェネツィア観光に行く予定なので、さっさと片付けることにする。

6月9日
 丸一日、完全なオフなので、アドリアーノがヴェネツィアへ連れて行ってくれるという。現地で同地在住のジュゼッペと合流予定。

 午前中の列車で、昼前にヴェネツィアに到着。
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 駅を降り、サン・ジェレミア教会などを覗きながら、大量の観光客と一緒にリアルト橋方向へ。
 こちら、サン・ジェレミア教会に安置されている、サンタ・ルチアの亡骸。
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 セルフィーでアドリアーノと一緒に記念撮影なんかしながら、リアルト橋近くまできたところで、アドリアーノのスマホにジュゼッペからメッセージ。橋のところで落ち合うことに。
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 ジュゼッペの案内で、ヴェネツィア観光開始。
 コンタリーニ・デル・ボーヴォロ階段。
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 サン・マルコ広場。
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 サン・ザッカリア教会。
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 お昼ご飯はジュゼッペお薦めの、小さなサンドイッチ風盛り合わせの出てくるお店で。
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 あちこち見物しながら、ジュゼッペがしてくれる解説が、とても面白くて楽しい。
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 そして私は、また男性裸像を撮りに走ったり(笑)。
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 ジュゼッペのお家にもお邪魔しつつ、炎天下の中をひたすら歩いていたら、ちょいと私はグロッキー。それを二人が気遣って、帰りの列車を少し遅らせて途中休憩などを入れてくれたところ、いざ駅についたら列車自体も40分の遅延。

 それでも日暮れにはボローニャに戻り、再びサウロのレストランに行って夕食。
 そこにニーノが、またもやサイン用の本の山を抱えて登場(笑)。
 そんなこんなで、けっこう遅くなってから帰宿。

 明日の飛行機で帰るので、荷造りしつつも、実はもう一仕事あり。アドリアーノのアイデアで、私がイタリア語で喋っているのを、音声だけ収録したいとのこと。
 インタビューでの私の発言を元に、彼が用意したイタリア語の原稿を、発音を教えて貰いながら、私が片言で喋るのを、ダイニングにセットされたマイクに向かって数回録音。
 当然完璧にはできなかったけど、後はアドリアーノが、上手くいった部分をツギハギしてくれるとのこと(笑)。

6月10日
 昼過ぎにミラノ発の飛行機に乗るので、そんな早過ぎもしない時間にボローニャを出発。
 駅までアドリアーノが車で送ってくれて、そこにニーノとファビオも合流して、三人でホームで見送ってくれました。
 市口さんやパオラに、お別れの挨拶をするタイミングを逸してしまったので、車内でメールを打って送信。

 ミラノで電車を乗り換え、マルペンサ空港へ。
 そして再び、香港経由で成田へ向かったのだが、やっぱり行きと同様に、帰りもボローニャ駅から成田空港まで、ほぼ24時間かかって、翌11日の昼過ぎに到着。

 イタリア紀行、これにて終了です。

イタリア紀行(3)

6月2日
 フィレンツェ観光スタート。
 まず予定通り、最初にサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のツーリスト・インフォメーションへ行き、フィレンツェ・カードを購入。美術館や名所旧跡が予約不要で72時間フリーパス(ただし一ヶ所につき一回のみ)、バスやトラムが無料、市内数カ所にあるフリーWi-Fiスポットの利用も可能になるカード。72ユーロ。
 さっそく買ったその場でアクティベートしてもらい、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のミュージアムへ。
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 続いて堂内も観光。
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 教会前の広場に出て、Wi-Fiが繋がるかどうか実験。
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 前日にホテルで、スマホにフィレンツェ・カードのアプリをインストールして、各名所の営業時間や休館日などを調べて、今日回る場所の目星を付けていたので、まずはサン・マルコ美術館にフラ・アンジェリコを見に行くことにする。
 移動途中にメディチ家礼拝堂があったが、今日は休館日なので場所だけ確認してスルー。

 サン・マルコ美術館でフラ・アンジェリコを堪能。美しい。
 残念ながら室内は撮影禁止なので、売店で全フレスコ画が収録されているっぽい画集を購入。
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 別室展示のテンペラ画も堪能。こちらは以前、凝った編集の大判輸入画集を購入しているので、ようやく現物が見られたと感激。

 次はバルジェッロ国立博物館へ。ミケランジェロやドナテッロの彫刻を堪能しつつも、こちらも室内撮影禁止。
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 なので、オープンスペースにあった、オケアノスのセクシー彫刻(ジャンボローニャ作)をパチリ。
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 バルジェッロでは、バッチョ・バンディネッリの企画展も開催。彫刻と油彩、どちらも男体表現に奇妙な艶めかしさがあって、不思議と惹かれる。
 売店で売っていたバンディネッリの画集が欲しかったけれど、あまりの大きさと厚さと重さに断念。昔だったら無理してでも買っていたところだけれど、最近は「ま、いいか、帰国してからネットで探そう」とか、つい思ってしまう。

 シニョリーア広場へ移動。セクシーなネプチューンの噴水(バルトロメオ・アンマナーティ作)にご挨拶。
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 そしてヴェッキオ宮殿へ。
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 まずは入り口脇にある、これまたセクシーなヘラクレスとカークスの彫刻(さっき企画展を見たバンディネッリ作)をパチリ。
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 ヴェッキオ宮殿は前に来たときに見ているので、時間がなければスルーしようかとも思っていたけれど、やはり大広間にある、若かりし頃の自分が見て大ショックを受けた《あの彫刻》を再見したかったので入ることにした。
 それがこれ、ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ作、ヘラクレスとディオメデス。
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 やっぱ良いわ〜。帰国してから作者の伊ウィキペディアを見たら、この彫刻について、”permeata di una forte connotazione erotica omosessuale (imbued with a strong erotic homosexual)”と書いてあった。
 この大広間には、他にもステキ彫刻いっぱい。
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 ミケランジェロの「勝利」が色あせて見えるくらい……ってのは、単に私の目がヨコシマなだけだろうが(笑)。
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 その後は、宮殿内部をじっくり堪能。ヘラクレスの間とかがあると、つい歩みも遅く。
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 しかし改めて、壁やら天井やらにヒゲのオッサンのヌードが、至る所に溢れているというのは、つくづく不思議な感じがします。
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 また、ブロンツィーノが壁画を手掛けた部屋にも感心。有名な「愛のアレゴリー」がどうにも好きになれず、自分的にはずっとイマイチな人だったんですが、昨年ニューヨークで、フリック・コレクション収蔵作を見て感心して以来、最近お株が急上昇。
 結果、売店で売っていた画集まで買っちゃったりして(笑)。
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 売店では、こんな絵本も衝動買い。タイトルを訳すと『トスカーナのいたずらっ子』か『茶目っ気のトスカーナ』?
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 シエナにあるフレスコ画に描かれている、この豚(チンタ君)が、同フレスコ画に描かれている当時の生活風俗様々を、豚の視点で面白く解説してくれるというもの。
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 また、ヴェッキオ宮殿ではちょうど、ジャクソン・ポロックの企画展が開催中。場所と作品のミスマッチぶりが興味深い。ポロックがミケランジェロの絵などを模写したデッサンなども展示。この人の描いた具象画って初めて見たかも。

 ヴェッキオ宮殿を出たあと、まだ時間がちょっとありそうだったので、サンタ・クローチェ聖堂へ行くことに。
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 堂内のフレスコ画が美しいけれど、やはり暗い&遠くて良く見えないのが残念。オペラグラスを持ってくるべきだった……と、再び後悔。
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 でも、ミケランジェロのお墓参りはできました。
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 付属ミュージアムでは、再びブロンツィーノに感心。
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 中庭では、Benedetto Robazzaというコンテンポラリー作家の、ダンテ『神曲』をモチーフにした大きなレリーフ連作も展示されていて、これもなかなかの見応え。
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 というところでタイムアップ。
 一日目の観光終了。

6月3日
 まずは、昨日前を通ったメディチ家礼拝堂へ。入り口には既に列ができていたけれど、フィレンツェ・カードを見せると並ぶことなく入場できた。
 内部は一部補修中で足場が組まれている。大理石モザイクの剥落エトセトラを解説しているビデオをちょい見した後、お目当てのミケランジェロの彫刻へ。
 ためすすがめつ眺めつつ、あ〜この角度からの写真を撮りたいけど撮影禁止……と、ちと恨めしい思いに。

 そしてウフィツィ美術館へ移動。
 入り口には長蛇の列。しかしフィレンツェ・カードのおかげで、またもや二分も待たずにするりと入場。
 実は30年前にフィレンツェに来たとき、それは美大主催のヨーロッパの美術館巡りのツアーだったんですが、なんとフィレンツェ滞在がウフィツィ美術館の休館日と重なっており、わざわざ来たのに見られなかったという恨みが。というわけで、私にとっては30年越しのリベンジとなるわけです。
 そんなこんなで、丸一日かけてもいいくらいのペースで、ゆっくりじっくり美術鑑賞。昼食も美術館内のカフェでとりました。
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 でもここも撮影禁止なので、「おっ」と思った作品があっても記録に残せず。残念だな〜と思いつつ、オープンスペースにあった二体のマルシュアス像だけは、どうにも我慢できずにスマホでパシャリ。
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 4〜5時間かけて美術館を堪能した後、ミュージアム・ショップを覗いたら、売られているグッズ類の余りのセンスの酷さに眩暈がする。鉛筆やらハンカチやらTシャツやら、ありとあらゆるものにボッティチェリのビーナスが印刷されていて、いや、こんな世界に誇れるコンテンツを持ちながら、ミュージアム・グッズは安い路上の土産物と大差ないって、ちょっと……と、ウムムな気持ちに。

 ウフィッツィの後は、ヴェッキオ橋を渡ってラ・スペコラへ。Twitterで「フィレンツェだったら、自分はラ・スペコラが好きです」というメンションをいただき、初めて「あ、あれフィレンツェにあるのか、じゃ見に行かなきゃ!」となった次第。
 お目当ては、ここの人体解剖蝋人形なのだが、基本が自然科学博物館なので、蝋人形に辿りつくまでには、とにかく剥製の山、山、山。
 最初のうちは虫の標本だったけれど、やがて世界のありとあらゆる鳥獣の剥製が、陳列ケースにあふれかえった小部屋が、行けども行けども続く。オマケに人はほとんどいない。剥製が嫌いな私には、もう怖すぎ(笑)。
 その最後に、件の蝋人形の展示。学問と芸術と悪趣味の狭間にあるような、なんとも奇っ怪な美。
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 堪能しつつも、いささか毒気に当てられた感じで、ラ・スペコラ退場。

 開館時間中に、もう一ヶ所どっか間に合うかな……と調べたら、ストロッツィ宮殿で開催中の、ポントルモとロッソ・フィオレンティーノの企画展が、遅くまでやっていることが判ったので、それを見に行くことにする。
 二人の師匠でもあるアンドレア・デル・サルトの作品も含め、かたや大胆な作風で好評を博し、メディチ家お抱え絵師としてフィレンツェで名を馳せたポントルモと、かたやサヴォナローラに傾倒して作風も保守的、フィレンツェでは仕事がなく後にフランスで名声を得たロッソという、二人の作品と人生を比較対象させながら展示した内容。
 そういったキュレーション自体は面白く、解説が全て英文併記であったり、子供向けに質問形式で「……ということについて考えてみましょう」といったコーナーが各室にあったりと、展示手法自体は興味深かったんですが、残念ながら作品そのものが、私にはあまりピンと来ず。
 とはいえ何となく、マニエリスムの再評価が今でも進行中なのかな……と思ったり、それと自分の中でのブロンツィーノのお株上昇も重なって、印象深い企画展ではありました。

6月4日
 まずはアカデミア美術館へ。これまた入り口は長蛇の列なれど、フィレンツェ・カードですんなり入場。
 ミケランジェロのダヴィデ像は、展示スペースの効果もあって、流石の神々しさ。当たり前だけど、シニョリーア広場にあるレプリカとは違う。
 また、手前に配置されている「奴隷」の未完成作品群も印象深い。未完というけれど、ひょっとしてこれでOKと思って手を止めたのではないか、などと想像したくなる、モダンな美しさが。これとか、これとか。また、「おそらくミケランジェロ作」のパレストリーナのピエタの、力強い美しさにも感動。
 周囲の絵画、奥の彫刻、上階の中世絵画なども堪能して、美術館を後に。

 お次は考古学博物館へ。
 有名なキメラのブロンズ像は素晴らしかったけれど、他はさほど印象に残らず。また解説文が全て伊語のみなので、墳墓らしきもののレプリカとか、そこからの出土品とかが、どういう背景のものなのかが判らないので、そこいらへんも辛い。

 前二日間ちょっと頑張って回りすぎた疲労と、美術品を見すぎて頭が飽和状態になってきた感もあったので、フィレンツェ観光はこれで早めに切り上げて、後はゆっくりと過ごすことにする。
 明日はピサへ日帰り観光に行きたいので、体力も温存したいし(笑)。

6月5日
 サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から電車に乗ってピサへ。
 ピサ駅に着いたら、こんな看板広告があった(笑)。
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 表示に従ってツーリスト・インフォメーションへ行き、ピサの地図をゲット。散策を兼ねて、歩いて奇跡の広場まで行くことにする。

 途中で立ち寄った、河畔に立つサンタ・マリア・デッラ・スピーナ教会。とっても小さいけど綺麗。なんか宝石箱みたい。
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 ぶらぶら歩いていくと、屋根の向こうに有名な斜塔が見えてきて、「おっ」と思う。
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 更に進むと視界が開けてドゥオモが見え、「おおっ!」と思う。この瞬間は、ちょっとした感動。
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 そして奇跡の広場に到着。
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 チケットオフィスに行くと、斜塔は別料金でちと高く、それ以外に個別の券と、ドゥオモと洗礼堂、カンポサント、シノピエ美術館、博物館(ただしここだけ閉鎖中)の共通券があったので、共通券だけを買うことにする。斜塔に登るのは大変そうだし(笑)。

 で、私のお目当ては、何と言ってもこの洗礼堂。
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 昔はピサって斜塔しか知らなかったんだけれど、父がピサで撮ってきた写真でこれを見て、「うわスゴい、行きたい!」と思っていたので。
 この洗礼堂の二階から見るドゥオモも、とっても綺麗。
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 ドゥオモと洗礼堂の内外を見た後、カンポサントへ。
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 しかし妙に既視感が……ひょっとしてパゾリーニの『王女メディア』って、一部ここでロケしてた???
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 帰国してから『王女メディア』を再見したら、やっぱそうでした。コリントス王宮の中庭が、ピサの奇跡の広場でロケ。
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 奇跡の広場は観光客で大賑わいだったけれど、カンポサントの中はうって変わって静謐な雰囲気。
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 彫刻に彩られた墓石や剥落したフレスコ画などを眺めながら、暫しの時間旅行気分。
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 シノピエ美術館は、フレスコ画の下絵だけを収めた美術館。ちょうどコンテンポラリー作家の天使をモチーフとした作品とのコラボレーション展示中でした。
 同じ作家の作品で、建物の外に置かれていたものが、こちら。
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 奇跡の広場を後にして、再び街歩きをしながら、騎士団の広場へ。
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 ヴァザーリが手掛けたという、カヴァリエーリ宮殿。
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 快晴で気温もぐんぐん上がり(確か30度超え)、湿気がないから日陰にいる分には過ごしやすいんだけれど、日向を歩くと消耗が激しい感じになってきたので、極力日陰を選びつつ(笑)ぶらぶら散策。
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 夕方の列車でフィレンツェに戻り、明日は再びボローニャへ移動。

イタリア紀行(2)

5月30日
 昼前に電車でボローニャからラヴェンナへ移動。これから約一週間のフリータイムとなるので、あれこれ悩んだあげくラヴェンナとフィレンツェをじっくり楽しむことに。
 普通列車に乗り、一時間ほどでラヴェンナに到着。駅を出て、さて予約したホテルはどこじゃらほいとGoogle Mapを立ち上げ、「スマホ便利ね〜」なんて思っていたら、駅前広場から既にホテルの看板が見えていた(笑)。

 ホテルにチェックインして、昨夜は帰りが遅くてあまり寝ていなかったので、しばし仮眠。
 と、そこにアドリアーノからSMS。個人旅行中に不要な荷物(貰った本とか自分のワークショップ用資料とか)を、彼の家に預かって貰っていたのだが、何とベッドの上にイタリアのガイドブックを忘れているとのこと。あじゃぱ(古い)。まぁ何とでもなるから心配しないでねと返信。
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 夕刻ちょっと前に起きて、街の散策に出掛ける。ホテルのフロントで簡単な地図を貰ったので、それを頼りに旧市街の中心部、ポポロ広場まで行ってみる。
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 こぢんまりと落ち着いた町並みで、人もあまり多すぎず、ぶらぶら散策するにはうってつけ。ちょっと歩いた後、気になる路地に入ってみたら、教会前の居心地の良さそうな広場を見つけたので、そこで一服。
 後で判ったことだが、そこはサン・フランチェスコ聖堂で、すぐ横にはダンテの墓もあり。そうこうしていたら教会の鐘が鳴りはじめ、旅情も抜群。

 それからまた、街をぶらぶら歩き始め、途中あちこち迷子になりながら、ツーリスト・インフォメーションに到着。しかし残念ながら、時間が遅くて既に閉まっていた。
 その近辺にはレストランの類が密集していたので、テキトーなところに入って夕飯をとった後、またぶらぶら歩いて宿に帰る。

5月31日
 今日は本格的にラヴェンナ観光をする予定なので、ホテルで朝食をとった後、まずツーリスト・インフォメーションへ向かう。そこで、より詳細な街の地図や、参考になりそうなパンフレット類をゲット。

 そして最初の目的地、サン・ヴィターレ聖堂へ。すると入り口で、ラヴェンナの見所5ヶ所セットになった入場券を、近くの本屋さんで買えると教えてくれた。

 券をゲットして、再びサン・ヴィターレ聖堂へ。ビザンチン建築は好きなので、入り口からしてワクワク。
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 中に入ると、圧倒的な美しさのモザイク画がお出迎え。
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 聖堂を通り抜けて裏から見たら、建物自体の美しさは、こっち側から見た方が更に良く判る。
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 続けて同じ敷地内にある、ガッラ・プラチーディア廟へ。またもや美麗モザイクがお出迎え。もう、うっとり。
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 同敷地内にある博物館は、改装中か閉じていて見られなかったけれど、ミュージアム・ショップは開いていたので、ちと覗いてみる。すると、ビザンチン・モザイク柄のいい感じのスカーフやトートバッグがあったので、お土産を兼ねて購入。
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 ぶらぶら歩きながら、次はネオニアーノ洗礼堂へ。再び美麗モザイク。
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 すぐ横にドゥオモがあるはずなので、そっちにも回ってみる。本当に気持ちのいい街で、お散歩するにはうってつけ。
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 再びネオニアーノ洗礼堂へ戻り、敷地を通り抜けて、その裏側にあるアルチヴェスコヴィーレ礼拝堂へ。ただしここも改装中。博物館だけ見学。
 博物館を出たら、そろそろお昼時で小腹が空いたので、近くのカフェに入ってサンドイッチなどを注文。

 腹ごしらえ&休憩が終わったところで、今度はサンタ・ポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂へ。
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 中に入ると、またモザイク。荘厳ではあるけれど、後のキリスト教美術のような威圧的な感じはせず、どこか清々しさのようなものが感じられるあたりが、私がビザンチン美術に惹かれる由縁。
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 横の中庭に出てみると、ここがまた気持ちの良い空間だった。
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 お次は、またてくてく歩いて、アリアーニ洗礼堂へ。もう、モザイク三昧。
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 次は、ちょっと離れたところにある、テオドリコ廟へ行ってみることにする。今までは、ラヴェンナの旧市街の中をぐるぐる歩くという感じだったけれど、テオドリコ廟へ行くには駅の反対側に行かなければならない。
 人通りも少なく、昼過ぎのせいか眠ったような静かな町並みを、てくてくと歩いていく。
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 するとその路上に、なんか気になる石垣が。どうやら史跡らしいので、中に入ってみる。
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 中に入ると、気持ちの良い公園。立て看板の説明文を読み、ここがブランカレオーネ城塞という、15世紀の砦跡だと知る。
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 そしてまた歩いて、テオドリコ廟に到着。入場券を買おうとしたら、また他の場所とのセット券もあると聞かされたけれど、そのもう1つの方は、まただいぶ離れたところにあるらしいので、そっちはパスしてここだけの券を買う。
 ただまぁ、てくてく歩いてきたわりには、さほど面白い史跡ではなかった。歴史の知識があれば、また色々と感慨が違うのだろうけれど。
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 さて、テオドリコ廟を見終わったところで、時間がなかったらパスしようかとも思っていた、郊外にあるサンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ聖堂に、まだ余裕がありそうなので、行ってみることにする。
 そのためには駅まで戻らなければならないのだが、歩き疲れたのと日差しのきつさに、ちょっとげんなりしてきたところだったので、Googleさんにバスで駅まで行くルートを訊いてみる。すると、バスでも徒歩でも変わらず15分程度だったので、だったら歩いていくことに。

 バスの券を買うために、駅前のバス営業所に行ってみると、券は駅構内で販売とのこと。言われて駅に行くと、確かに奥まったところにバスの窓口が。
 そこでサンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ聖堂行きの往復バス券を買い、乗り場と乗るバスの番号も教えてもらう。

 ローカルバスに15分くらい揺られて、無事にサンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ聖堂に到着。
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 中に入ると、またモザイクがお出迎え。しかしここのモザイクは、グリーンが目立つのと動物が多いせいか、何とも愛らしい感じ。
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 遠目に見ると、モザイクとフレスコが混交しているのかと思ったけれど、聖堂内設置の解説モニターを見ると、フレスコに見えていた部分もモザイク。それだけ精緻ということか。

 聖堂前の草地には、コンテンポラリー・アート作品らしき牛の群像が。これまた良きかな。
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 再びバスに乗って、ラヴェンナの街へ戻る。
 時刻は夕刻だけれど、日が暮れるのは夜の八時過ぎなので、まだぜんぜん明るい。
 暗くなるまでホテルで休んで、それから再び夕飯を食べに旧市街へ。

6月1日
 今日はフィレンツェへ移動する日。
 昨日、ボローニャ乗り換えでフィレンツェ行きの、ラヴェンナを正午に出発する列車の券を買っていたので、ホテルをチェックアウトした後、しばらく荷物を預かって貰い、午前中にまた昨日見逃した観光をすることにする。

 まず、ドムス・デイ・タッペーティ・ディ・ピエトラへ。
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 ここのモザイクは建物の内装ではなく、その地下にある。渡り廊下の上から回って見られるようになっており、聖堂のモザイクのような壮麗さはないものの、シンプルな愛らしさがなかなか。
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 続いて、初日に行ったサン・フランチェスコ聖堂の、今度は中を見てみようと向かったが、日曜日のせいかミサか何かをやっており、門外漢が入るのは憚られる。
 そこで、お隣にあるダンテの墓を見学。ちょうど団体ツアーさんとかちあって、大賑わい(笑)。
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 墓の隣の中庭的なスペースが、なかなか良い雰囲気。
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 そうこうしている間にミサも終わった様子なので、サン・フランチェスコ聖堂の中をさっと覗いて、ホテルに戻って荷物をピックアップして、駅へ。

 来たときと同じ普通列車に乗って、ラヴェンナからボローニャへ戻り、そこでイタリア新幹線でフィレンツェへ。乗り継ぎ時間を含めても、全部で二時間程度だったかな?

 約30年ぶりのフィレンツェに到着。
 まず最初に、美術館などがフリーパスになり、しかも予約いらずにもなるという、72時間有効のフィレンツェ・カードなるものを買おうと、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅のツーリスト・インフォメーションへ行こうと思ったが、そこは閉鎖中。
 そこで、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のツーリスト・インフォメーションに向かうが、一足遅く営業時間が終了。明日の朝になるまで開かないというので、今日のところはカードは諦め、予約しておいた宿に向かう。
 Booking.comとGoogle Mapのおかげで、宿の場所はあっさり見つかり(いやはやまったく便利な世の中になったものだ……)、チェックインして暫し休憩。

 その後、散歩がてらドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂)へ行くことにする。
 30年前の記憶だと、フィレンツェというのはローマとは違い、どこか長閑な雰囲気であったような気がしていたのだが、その頃とはうって変わって、人、人、人。カフェやジェラート屋が至る所に立ち並び、路上には観光客用のお土産や偽ブランド品を売る露天商が。
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 そうは言っても、ドゥオモは記憶に違わぬ美しさ。人が多くないベンチを選んで、そこに座って建物の美しさを堪能。残念ながら洗礼堂は、改装中か何かで丸ごと工事シートに覆われていたけれど。
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 そして、土地勘を掴むために近辺を歩き回った後、適当な店で夕食。
 本格的な観光は明日、まずフィレンツェ・カードをゲットしてから。

イタリア紀行(1)

5月26日
 日本出発。成田から香港乗り継ぎで、翌日ミラノに到着予定。

5月27日
 ミラノ・マルペンサ国際空港に到着。今回参加する、ボローニャのNipPopが手配してくれた女性が出迎えてくれる。
「電車までまだちょっと時間があるので、何かご希望は?」と訊かれたので、とりあえずタバコを吸いたしと返答。すると電車のホームで吸えた。イマドキ珍しい寛容さ。
 マルペンサ・エクスプレスという電車でミラノ中央駅へ。ここでイタリア鉄道AV(アルタヴェロチタ。新幹線みたいなやつ)に乗り換えてボローニャへ行くのだが、またちょっと時間が。
 出迎えてくれた彼女が、「ミラノ中央駅のビュッフェは素敵」と言うので、一緒にそこで軽食をとることに。せっかくイタリアに来たので、カプチーノとパニーニ…にしようと思ったけれど、お腹はあまり空いていなかったのでクロワッサンに変更。
 彼女とは、ボローニャへ向かう電車に乗ったところでバイバイ。

 ボローニャ中央駅に到着。
 出版社Ren Booksのニーノ・ジョルダーノが迎えに来ると言っていたので、ホームに降りてきょろきょろしたけれど見つからず。じゃあ上の階(到着したのは地下のプラットホーム)にいるのかとエスカレーターを上がっていったら、いつの間にか出口に、それもどう見てもメインゲートではない裏口っぽいところに出てしまった。
 はて困ったと思っているところに、ニーノから「今ホームにいるんだけど、もう着いた?」とSMS。こちらも「ごめん、見当たらなかったから上に行ったら、変な出口に出ちゃった」と、そこの写真を添付して返信。スマホ便利(笑)。
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 程なくしてニーノと、彼の友人で今回私が家に泊めて貰うことになっている、映像作家のアドリアーノ・シラヌスがやってくる。ニーノとは「久しぶり〜!」、アドリアーノとは「初めまして、よろしくお願いします!」と、ハグして挨拶。

 アドリアーノの車で彼の家へ。後から判ったことだけれど、駅からはバスで停留所2つ分。歩いても15分かからないくらい。
 アドリアーノの家は、アパートの、あちらで言うところの4階、こちらで言うところの5階にあり、エレベーターなし。ちょっと青くなる(笑)。しかしスーツケースは彼らが運んでくれ、私も喜んでそのサービスをお受けする。
 アドリアーノの家は、整理整頓がきっちりされていて、シンプルだけどものすごく綺麗。長年の私の作品のファンだということで、壁には透明アクリル額に入った、私の作品画像をトレーシングペーパーにプリントしたものが飾られていて、それもとてもおしゃれ。
 夕飯はそこで内輪の食事会で、それまで予定はなしということなので、シャワーを浴びて一眠りさせて貰うことに。
 成田で飛行機に乗ってから、ボローニャ中央駅に到着するまで、乗り継ぎ時間なども含めて、ほぼ24時間が経過。その間ずっと靴を履きっぱなしだったせいもあり、脱いだ靴下がすごく臭い(笑)。

 夕刻。目がさめるとお客さんが。アドリアーノの元彼で、以前は一緒にここに住んでいたという、ボローニャの斜塔近くでレストランをやっているサウロと、そのお母さん。
 しばらくするとお母さんが帰り、入れ替わりにニーノと、そのパートナーで同じくRen Booksスタッフのファビオが到着。面子が揃ったので、ディナー開始。
 まずサウロが調理してくれたパスタを食べ、続いて山盛りの生ハム類とチーズが出てきて、これをピアディーナという薄い円形の、見た目はインドのチャパティに似た焼いた生地に挟んで食べる。
 流石に食の国イタリア、シンプルながらも美味し。
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 幸い皆そこそこ英語を喋るので、あれこれ雑談しながら食事。
 しかしその最中、ニーノから、今回の渡伊に合わせて出版予定だった、イタリア語版『冬の番屋』の単行本が、まだ刷り上がっておらず、印刷屋とも連絡がとれないという話が。だ……大丈夫か?
 食後は定番、エスプレッソ。様々な色のネスプレッソのカプセルを山ほど見せられ、あれこれテイストだかフレーバーだかを説明されるけれど、ナニガナンダカサッパリワカラズなので、テキトーに「一番スタンダードなやつプリーズ」で選んでもらう。

5月28日
 アドリアーノと朝ご飯を食べた後、一緒にバスでマッジョーレ広場へ行き、ニーノと待ち合わせ。
 広場にあるネプチューンの噴水、素敵。制作はジャンボローニャ。
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 ニーノとアドリアーノの案内で、観光開始。
 まず、外壁にパルチザンの遺影が飾られた市庁舎へ。中には図書館やカフェ、展示スペースなどもあり、中央ホールの床がガラス張りになっていて、その下にローマ遺跡があるのが見える。後日、中にも入った。
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 続いて、サン・ペトロニオ聖堂。地獄絵を見ながらアドリアーノが、「あそこに描かれているのが、爆破予告騒ぎを引き起こしたムハンマドの絵だよ」などと教えてくれる。
 ちょっとだけ歩いて、アルキジンナージオ宮(旧ボローニャ大学)へ。世界初の人体解剖が行われたという美しい木造の階段教室や、ロッシーニ『スターバト・マーテル』初演が行われた紋章だらけのホールなどを見学。
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 お次は、サンタ・マリア・デッラ・ヴィータ教会。キリストの死を嘆くテラコッタ群像があるのだが、その表現は15世紀の作品とは思えない驚愕のモダンさ。
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 とは言えゲイ3人組らしく、私「ティルダ・スウィントンに似てない?」、ニーノ「いや、メリル・ストリープに見える」などという戯れ言も飛び出す(笑)。

 そこに、サウロが合流。
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 左から、サウロ、ニーノ、私、アドリアーノ。
 市場らしきところを通り、古い建物の中をモダンな本屋や食品店に改装したオシャレな店などを見つつ、サウロのレストランへ行き昼食。
 せっかくボローニャへ来たので、ボロネーゼ・ソースのパスタ(多分フィトチーネ)を食べる。美味し。
 デザートに頼んだプディングの、カラメル・ソースのあまりの美味しさに、お皿を舐めたくなる衝動をぐっと堪えて、6月6日に出版発表会&サイン会をする予定の、LGBT書店イゴールへ移動。

 店内に入ると、小型犬がもの凄い勢いで吠えまくられる。この犬の名前がイゴール。後で気がついたけど、店の扉には歯を剥き出して吠える彼の写真と一緒に「イゴールは吠えるけど噛みません」という貼り紙があった(笑)。
 じきにイゴールも静かになった店内は、とても綺麗。自分の本や、他の日本人作家の本も陳列。ニーノが店主と打ち合わせをしているのを尻目に、店内をあれこれ物色していたら、アニメ版『風と木の詩』のイタリア版DVDも発見。
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 アドリアーノはここで仕事へ。

 イゴール書店を後にして、今度は明日から拙個展が始まるギャラリー、オノ・アルテへ。
 古い物静かな路地に突然現れる、オシャレなエントランス。複数の展示スペース、バーカウンター、レコード屋などが合わさった施設。
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 私の個展は、地下にあるちょっと洞窟っぽいスペースで。覗いてみたら、展示の準備中。良い雰囲気で、いい感じ。
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 6月7日にNipPopのワークショップを一緒にやる予定の、在ボローニャの日本人マンガ家、市口桂子さんとも、このギャラリーで発対面。ワークショップ用の軽い打ち合わせや、準備伝達事項などをあれこれ。

 オノ・アルテの後は、ニーノの家の前まで行き、そこでファビオに挨拶してから、同じ建物に住んでいるニーノの友人二人(ゲイ男性一人、ヘテロ女性一人)と合流して、どこかの広場に面したレストランのテラス席で4人で夕食。仕事があったファビオは来られず。
 ニーノたちが私のために、イタリア語のメニューを悪戦苦闘して英訳してくれていると(どのくらい悪戦苦闘かというと、野菜は全部『ベジタブル』とまでしか訳してくれず、『いやどんなベジタブルなのさ(笑)』と訊くと、Googleでイメージ検索を始め……といった具合)、店の人があっさり英語のメニューを出してくれて拍子抜け(笑)。
 昨夜はパスタだったので、今度はピザを注文。予想はしていたけれど、デカい。美味しいけど、日本だったら3人前くらいありそう。でも頑張って完食。

 夕食の後は、友人宅でちょっと一服。TVに映っていたラファエラ・カラという女性を、「彼女はイタリアのゲイ・アイコンなんだ」と説明されて、YouTubeで若い頃の映像を見せられる。

 そこで私も、山本リンダ『狙いうち』で対抗(笑)。

 ひとしきり歓談した後、アドリアーノの仕事先へ。例のサウロのレストランを手伝っている。
 仕事が終わるのを待って、アドリアーノ一緒にバスに乗って帰る。

5月29日
 朝。アドリアーノと一緒に朝食をとった後、彼はジムへ。私は昼までフリータイムなので、バスに乗って再びマッジョーレ広場へ。
 広場からそぞろ歩きを兼ねて、まず斜塔へ。いかにも古いわ、けっこうしっかり傾いているわで、けっこう怖い(笑)。
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 斜塔の近くには、先日サウロが教えてくれた、普段は覆われているけれどこの時期だけ公開されているという、聖母子像があるバルコニーなどが。
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 それから、サン・ジャコモ・マッジョーレ教会へ。ボローニャで最も美術品に彩られた13世紀の教会とのことで、確かに内部は絵だらけなのだが、いかんせん暗いわ、絵は高いところにあるので近づいて見られないわで、美術鑑賞をするには不向きな環境。もっともこれは、この教会に限ったことではないけれど。オペラグラスでも持ってくれば良かったな……と、ちと後悔。
 続いてお隣の、サンタ・チェチェリア祈祷堂へ。ここは天井も低くこぢんまりとしたスケールで、堂内も照明で明るいので、三方の壁に描かれた聖チェチェーリアの生涯のフレスコ画を、じっくり堪能できた。BGM的に流れているクラシック声楽も良い雰囲気。撮影は禁止だったので、堂内で売られていた薄いパンフレットを購入。
 祈祷堂から出て、通りとは反対側にちょっと奥に入ると、気持ちの良い中庭が。天気も雰囲気も良く、しばしそこで寛ぐ。
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 通りに戻ると、すぐそこがまた広場。壁の表示を見るとジュゼッペ・ヴェルディ広場とあり、大学が近いのか若者で溢れている。斜め前にはボローニャ歌劇場も。
 ベンチに座って寛いでいると、ニーノからSMS。お昼を一緒に食べようというので、またマッジョーレ広場に引き返し、噴水で待ち合わせ。そこに向かう途中で、高校生くらいの女子集団に「マクドナルドはどこですか?」と道を訊かれる。ゴメン、おじさんはツーリストなんで判らない(笑)。

 ニーノと合流して、近所の店でお昼ご飯。彼と同じ、叩いて平べったく伸ばしたチキンカツ的なものと、チーズのフライを食べてみる。美味しい。
 ここでグッドニュース。先日懸念していた『冬の番屋』イタリア語版、無事に刷り上がってニーノのところに見本が届いたとのこと。サイン会に間に合って良かった(笑)。さっそく一冊貰う。
 ランチが終わったところで、ニーノとはいったんバイバイ。わざわざこのためだけに時間を作ってくれたのかな、ちょっと申し訳ない。
 個展オープニングは、この日の18:00からなので、17:30に直接ギャラリーで待ち合わせることにして、私は観光を続行。さっきの歌劇場のちょっと先に、国立絵画館があるはずなので、また同じ道を引き返してそこへ向かう。
 絵画館はそんな大きくはないけれど、中世からルネッサンス、バロックあたりまでの、なかなか良い作品が揃っているし、人もあまりいないので、ゆっくり美術鑑賞を楽しめた。

 中世絵画。かわいい(笑)。
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 フレスコ画。描きかけなのか、下絵が残っているのが新鮮(……と思っていたら、後日ピサでフレスコ画の下絵だけの美術館に行くわけだが)。
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 このティツァーノの磔刑画は良かった。しばし目が釘付けに。
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 グイド・レーニが充実。
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 グエルチーノも幾つか良い作品があって、いろいろと目の保養に。
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 オノ・アルテ・ギャラリーで、個展のオープニング。
 まずはトークショー的なもの。
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 左から、ラジオ番組のホスト女性、ニーノ、私、通訳の方、NipPopのパオラ。
 話題は色々出たけれど、どちらかというと私個人の作品についてよりも、日本のゲイ文化やゲイマンガ全般に関する質問が多かった。これはこのトークショーに限らず、後日行われたイゴール書店でのトークでも同様。
 事前にメールで質問されていた、イタリア文化からの影響という話で、私がカラヴァッジオやパゾリーニ、グイド・クレパックスなどの名前を挙げていたせいもあって、それ絡みの話題も。パゾリーニの『ソドムの市』をマンガ化しようとは思わないか、なんて質問もあって、同様のことはボローニャ滞在中に何度か訊かれた。
 トークショーが終わると、飲み物が用意されて上階でパーティ。私はサインやら記念撮影に応じていたため、なかなかそっちには参加できず。
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 一段落ついたところで、タバコを吸いに外に出ると、ゲストは路上にも溢れていて、実に賑やか。

 現地のアーティストさんとか、他にも色々な人に紹介されるけれど、いかんせん外国の名前は一発では覚えられない(笑)。

 パーティがひけた後は、ニーノとファビオ他、十人くらいで連れ立って食事に。
 ニーノの説明によると、スペインの居酒屋的な店だそうで、大皿に盛られた料理がドーンと出てきて、それを好きにつまみながらお酒を飲む感じ。ただし私は飲めないので、水ばっか。ここで出てきたブルスケッタが、これまた美味しくて感激。ボウルに山盛りのカルボナーラもすごかった(笑)。
 私のテーブルには、近くにニーノとファビオ、そして日本のマンガとアニメ好きで、去年日本旅行もしたという、レズビアン・カップルが一緒に。英語が堪能でパワフルなヴァレンティーナと、ちょっとシャイなゴリツィア。
 そういう面子なもんだから、自然と話題は日本のアニメとかになり、『セーラームーン』とか『まどマギ』について、熱く語り合う(といっても私は『セーラームーン』には疎いんだけど)という結果に。変な方向で濃い(笑)。

 食事がひけたときには、もう遅い時間。
 バスは動いていないというけれど、ヴァレンティーナが車で送ってくれると。5人で車に乗り込み、まずアドリアーノの家まで行き、先に私だけ降ろしてもらう。
 明日からはしばらくボローニャを離れるので、ニーノたちと「また一週間後にね」とハグしてバイバイ。
 合い鍵を使って家に入ったら、アドリアーノがまだ起きていて、良く眠れるというハーブティーを淹れてくれた。