カテゴリー別アーカイブ: マッチョ

“Sculpture”

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“Sculpture” (2009) Pete Jacelone
(アメリカ盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2009年製作のアメリカ映画。ボディビル・ジムのインストラクターが次々に殺されていくC級スプラッター映画。
 因みにIMDbの点数は堂々の2.9/10.0点……だけど、米アマゾンのユーザーレビューは星4つ半だったり(笑)。

 主人公は新進女性アーティスト。
 プロのボディビルダーだった父の死を切っ掛けに、長らく距離を置いていた実家に戻り、残された兄と二人で父の残したボディビル・ジムの経営を手伝うことになるのだが、子供時代の恐ろしい体験のトラウマに悩まされる。
 そんな中、アートディーラーから個展の誘いがあり、彼女はジムのインストラクターの一人にモデルを頼むのだが、それを彼女を溺愛する兄に見咎められ、それがきっかけでトラウマが暴走。やがて血まみれの惨劇が……といった内容。

 え〜、謎解きなし、サスペンスなし。ストーリーも予告編を見て「こんな話だろうな〜」って想像したそのまんまで意外性はゼロ。……だってあーた、新進アーティストがオカしくなって、ボディビルダーを次々殺していくC級スプラッターで、タイトルが『彫刻』っていったら、もうオチまで判ったでしょ?(笑)
 ところが逆に言うと、要素が殺されるマッチョを見せるという一点、およびその前戯となるセクシー場面だけに絞られていて、そういう意味ではなかなか潔い作品でした。低予算なのでスプラッター場面も大したことはありませんが、見せ物的な感覚自体は悪くないので、悪ノリも含めてグランギニョール的にはけっこう楽しめます。
 そんなこんなで、まぁこっちのスケベ心も手伝ってのことなんですが、鼻クソほじりながらも、けっこう楽しく見られちゃいました(笑)。だってなにしろ、殺されるのがボディビル・ジムのインストラクターだけで、しかも色仕掛け付きということもあって、何のかんので脱ぎっぷりもいいし(笑)。
 売り手側も、どういう層がDVDを買うかは判っているようで、映像特典にはお決まりのメイキングや予告編以外に、出演ビルダーたちが下着姿でポージングするクリップなんてのが入ってます(笑)。
 しかしヒロインの顔と体型は、もうちょい何とかならんかったのか……。

 というわけで、スプラッター好きで、半裸のマッチョが殺されるのを見るのも好きという、私と同じ趣味をお持ちの方だったら、充分お楽しみいただけるかと。
 但し、出てくるボディビルダーの体型は、フィットネス・モデルからナチュラル・ボディビルくらいまで。ステロイド・モンスター系は出てきませんので、筋量命の方だと、けっこう食い足りないかも。
 まあ、演出とか脚本とか役者の演技とかは完全にアレなんですけど(笑)、予告編見て「おっ!」と思った方なら、迷わずオススメいたします。

“Frat House Massacre”

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“Frat House Massacre” (2008) Alex Pucci
(アメリカ盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2008年制作のスラッシャー映画。
 80年代のアメリカの学生寮を舞台に、血みどろ描写やディスコ音楽といった70年代後半〜80年代初頭の映画へのオマージュ+青年の裸満載という内容。

 80年代のアメリカ、とある大学のフラタニティ(友愛会)の寮では、馬鹿学生たちがパーティーやセックスやドラッグに明け暮れていた。
 そんな中でも特に、ΔΙΕフラタニティの代表でサディストのマークは、皆を率先して新入生たちに拷問のようなイジメをし、更にその後、内輪の数人だけで、その犠牲者を殺害していた。
 メンバーの一人で、その異常さについていけなくなったショーンは、マークたちの殺人をやめさせようとするが、逆に殺されてしまう。しかしショーンが殺された瞬間、事故でずっと昏睡状態だったショーンの弟、ボビーが目を覚ます。
 目覚めたボビーは、兄のいたフラタニティの寮に入るのだが……といった内容。

 ストーリーはけっこう面白いです。
 途中で一回ツイストが入って、話が意外な方向に転がっていったかと思うと、クライマックスでもうひとひねり入れてきたりして、アイデアや意外性を楽しめる感じ。
 演出も、さほど凡庸というわけではなく、所々凝った見せ方なども交えて悪くないし、昔のスラッシャー映画のオマージュらしく、血糊がドバドバ、特殊メイクもあちこち、殺しの外連味もそこそこあるのは佳良。
 でも同じオマージュでも、ディスコダンスの場面がけっこう長かったりするのは、正直ちょいとウザい感もあり。長すぎる日常描写も、ちょっとダレる。もうちょっと刈り込んでテンポを良くすれば、だいぶ違うだろうに……ちょっと惜しい感じがします。
 そういやジャンル映画オマージュらしく、《オリジナル音楽:クラウディオ・シモネッティ》なんてクレジットもあるんですが、これは正直、いったいどの音楽を書いたのよ、って感じでした(笑)。

 でもって、学生寮の話なのに女の子のオッパイとかはチラッとしか出て来なくて、そのかわり若いイケメンのヌードはイッパイ出てくるのは、これは監督の趣味なのかしらん(笑)。
 まあ、スラッシャー映画としては、特に悪くもなし特に良くもなしですけど、皆の前でパンツ一丁で縛られて辱められた後、パンツ降ろされて尻をパドリングとか、裸で猿轡されてベッドに縛られて、胸板をダーツの的にされるとか、そんなシーンはあちこちあるので、ソッチ系目当てなら、けっこう楽しめるかと。
 そこそこ身体もいい男の子たちが、次々と裸で拷問めいたイジメにあい、そしてそのまま惨殺……てなコンボが多いのは、私的には変態アンテナに反応するものがあって、けっこうお得感がありました。
 そーゆーのが好きな方だったら、一見の価値アリかも。

『闇を生きる男 (Rundskop / Bullhead) 』

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『闇を生きる男』(2011)ミヒャエル・ロスカム
“Rundskop” (2011) Michael R. Roskam
(米盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com

 2011年制作のベルギー映画。原題”Rundskop”、英題”Bullhead”。
 2011年大阪ヨーロッパ映画祭で『闇を生きる男』の邦題で上映。また、2012年7月28日(土)から銀座テアトルシネマで二週間限定のレイトショー公開あり。
 ベルギーのフラマン語(オランダ語)圏であるフランデレン地域の、食肉牛の畜産業主を主人公にした、クライム・ドラマ風味の重厚な人間悲劇。アカデミー外国語映画賞ノミネート作品。

 主人公ジャッキーは30過ぎの格闘家のような肉体を持つ頑強な独身男で、食肉牛の飼育を生業としている。彼の牛は違法ホルモンを使って育てられており、彼の肉体もまたホルモン注射の産物だった。
 そんな彼のところに、とある食肉業者との取引の話が持ち上がる。彼はこの話に何か危険な臭いを感じるが、実際、違法ホルモンを調査していた警察官が殺害されるという事件が起きる。
 また、ジャッキーは少年の頃、睾丸を潰されるという過去を背負っており、彼のホルモン注射も、そもそもは喪われた男性ホルモンを補うために始まったことだった。そして壮年になった彼は、まるで喪われた男性性を取り戻そうとするかのように、ホルモン注射にのめり込んでいき、同時に感情を抑えられず凶暴化していく。
 やがて警察の捜査網は、ジャッキーの幼なじみや初恋の相手も巻き込みながら、徐々に食肉マフィアおよびジャッキーへと迫っていくのだが……という内容。

 いや、これは面白かった!
 主人公の設定がかなり特異ですが、それと彼の育てる食肉牛の姿を重ね合わせ、そんなどうしようもない運命の残酷さを、ずっしりとした重厚なドラマとして見せてくれます。
 ストーリー的にはクライム劇の要素はあるものの、主眼はそれではなく、まるでギリシャ悲劇を思わせる運命劇的な人間ドラマ。自分が背負わされてしまった軛から、逃れようとしても逃れられない男の悲痛さが、何とも胸に迫ります。
 彩度を抑えた色調や、シンメトリーや構図の美しさが印象的な画面も、大いに魅力的。演出は全体的に静かなタイプですが、その緊張感やシャープさや、そして全体に漂う重厚な雰囲気に魅せられます。
 そして何と言っても、主人公ジャッキー役の男優さん(マティアス・スーナールツ)の魅力。雄牛を思わせる見事な肉体と、クールな強面と悩めるナイーブさが同居した表情……う〜ん、惚れた。
 そしてこのキャラクター……私で良かったら、ギュッと抱きしめてあげたい……って余計なお世話(笑)。
 加えて、ちょっとしたオマケという感じですが、ゲイ要素があったのも良かった。まぁ、そのゲイキャラは、ルックス的には全くタイプではなかったですし、その出し方もさりげない感じなんですが、変に付加価値を背負わせることない、さらっとした描き方が、却って見ていて「判る判る!」という感じの好印象に。

 まぁ、はっきり言ってとても辛くて悲しい話なので、悲劇=バッドエンドと感じられる方には全く向かないとは思いますが、屈強な男が背負った運命的な悲劇、それもある意味で過度な男性性を巡るドラマだということもあって、個人的にはモロにツボを突かれてしまった感じです。
 好き嫌いや後味の良し悪しはともかく、とになく見応えタップリな一本なので、レイトショー公開ではありますが、興味のある方はぜひご覧あれ。

『闇を生きる男』、主人公の肉体性&雰囲気重視のアメリカ版予告編。

 ストーリー全体のアウトライン重視のインターナショナル版予告編。

 で、主演男優マティアス・スーナールツで検索してたら、こんなものが。”De rouille et d’os (Rust & Bone)” (2012)、予告編。

 やだ、これもすごく見たい……。監督が、先日見て面白かった『預言者』のジャック・オーディアールってのもポイント高し。

預言者 [DVD] 預言者 [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2012-07-06

 しっかし、これが
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これになっちゃうんだから、
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俳優さんってホントすごい……ってか、おっそろしいわ(笑)。

【追記】『闇を生きる男』めでたく日本盤DVD発売です。

闇を生きる男 [DVD] 闇を生きる男 [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2013-02-22

【追記】”De rouille et d’os (Rust & Bone)”も『君と歩く世界』という邦題で、目出度く日本公開&ソフト発売。


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『ウォーリアー (Warrior)』(2011)ギャヴィン・オコナー

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“Warrior” (2011) Gavin O’Connor
(アメリカ盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com

 総合格闘技の世界に身を投じた兄弟とその父親を通じて、闘い、確執と許し、そして再生を描く、エモーショナルなヒューマン感動作。
 2011年制作のアメリカ映画。ギャヴィン・オコナー監督、出演トム・ハーディ、ジョエル・エドガートン、ニック・ノルティ。

 元海兵隊員のトミーが、長く離れていた故郷に戻り父親を訪ねる。
 アルコール依存から立ち直ろうとしている父親ポップは、息子との再会を喜ぶが、過去の確執と母親の死のせいでトミーは冷たく当たる。
 トミーは格闘技のジムに行き、そこののスター選手の練習相手として自分を売り込み、あっという間に相手を倒してしまう。実はトミーは幼い頃から、父ポップからレスリングの英才教育を受けた元選手だったのだ。
 一方、トミーの兄でありながら彼とは長く疎遠であり、父のポップとも彼のアルコール依存が原因で絶縁しているブレンダンは、これまた元は総合格闘技の選手だったが、今は引退して高校の物理の教師をしている。妻と二人の娘もいて幸せだったが、娘の心臓手術の費用を工面するために、家を失う危機に直面していた。
 ブレンダンは収入を増やすために、ストリップクラブの駐車場で開催されているアマチュアの格闘技大会に参戦して賞金を得るが、それが学校で問題となり停職処分になってしまう。
 そんな中《スパルタ》という名の総合格闘技大会の開催が決まる。世界中から強豪が集まり、優勝賞金は5百万ドル。トミーはそれに出場するために父にコーチを頼む。しかしそれはあくまでも選手とコーチというビジネスライクな関係であり、父と子の絆とは無縁のものだった。
 一方のブレンダンも、手術費用のために《スパルタ》に参戦し、兄弟は久々に再会するが、トミーは過去の確執から兄のことも父のことも、肉親の絆は冷酷なまでに拒否し続け……という内容。

 いや、これは感動的でした。
 全体的にとても丁寧な作りで、最初はちょっと「う〜ん、丁寧なのはいいけど、ちょっと勿体ぶりすぎじゃない?」って感はしたんですが、もう中盤以降の吸引力がスゴいのなんのって……。
 様々な愛憎が交錯する人間ドラマ部分もエモーショナルならば、迫力タップリの試合シーンもエモーショナル。そして、そんな二つのエモーションが、並行して徐々に進行しながら、クライマックスで一つに重なるもんだから、もう熱いのなんのって……目頭熱くなります。
 ストーリー的にはけっこう多層的な構造で、現代アメリカの抱える様々な問題を盛り込みながら、家族の崩壊と再生を描き、それをド迫力な格闘技モノという要素に重ねつつ、更にメルヴィル『白鯨』の引用や、トミーの《贖罪》がキリストにダブるようなイメージもあって、娯楽なんだけれど文学的でもあるような味わい。

 それぞれのキャラも良ければ、役者も良し。
 トミー役のトム・ハーディ(私の目当ての一つ)も良いんですが、それ以上にブレンダン役のジョエル・エドガートンが素晴らしい。息子たちから愛を拒否されるニック・ノルティの哀れさも良し、ブレンダンの妻やコーチ、その他のちょっとしたキャラも全て良し。
 しかしやっぱり、何と言ってもトム・ハーディとジョエル・エドガートン。二人とも、とても役者とは思えない……ってか総合格闘技の選手にしか見えない。試合相手は本職の格闘家さんたちらしいんですが、肉体的にも存在感的にも、彼らと並んで全くひけをとらない役作り。もう驚嘆の一言。
 マーク・アイシャムのスコアも良ければ、クライマックスで流れるThe Nationalというバンドの”About Today”という歌も、ちょいとベタな感じはしますが、それでも特に後半、ポストロック風の展開部分と映像のマッチングによる高揚感なんか、もうたまらないです。
 ポスターもムチャクチャかっこいい。

  というわけで、格闘技映画としても面白く、感動的なヒューマンドラマとしても面白いので、見てるこっちも思わず拳を握りしめてしまうといった具合。
 男の映画&熱い映画&感動的な映画が好きな方だったら、文句なしのオススメ作。いや〜、えがった!
 これは何とかして日本公開、それが無理ならせめて国内盤でのソフト化を望みたいところ。

 で、前述したようにこの映画、主演二人の肉体作りがすさまじいんですが、その二人および映画に出演している本物の格闘家たちの肉体を捉えた、”The Men of Warrior”という写真集も出ています。
book_TheMenOfWarrior_cover
 これまたなかなか良い写真集で、内容のサンプルはこちら(水色帯のBEGIN SLIDESHOWをクリック)。他にも、こんな感じや
book_TheMenOfWarrior_1
こんな感じの、
book_TheMenOfWarrior_2
バイオレントでスタイリッシュな写真もあり。
 カメラマンはティム・パレンという人。
 本のサイズも大判ですし、映画から離れた単独写真集としても見応えありなので(実は私、この写真集の方を先に購入していました)、「おっ」と思った方にはオススメです。

The Men of Warrior The Men of Warrior
価格:¥ 2,488(税込)
発売日:2011-08-09

 マーク・アイシャムのサントラも、もちろん購入。

Warrior Warrior
価格:¥ 1,574(税込)
発売日:2011-09-13

 マーク・アイシャムによる”Warrior”サントラ、スライドショー付きのオフィシャル・サンプル・クリップ。

【追記】めでたく日本盤ソフト発売されました。劇場での限定公開も。
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「映画秘宝」とか『スパルタカス』とか

 現在発売中の「映画秘宝」7月号で、小特集「海外ドラマ夏の陣! 今、本当に面白い最新ドラマはこれだ!」に、私、連続TVドラマ版『スパルタカス』について、文章を書かせていただいております。あと、巻末の近況欄にもちびっと。
 よろしかったら是非お買い求めくださいませ。

映画秘宝 2012年 07月号 [雑誌] 映画秘宝 2012年 07月号 [雑誌]
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2012-05-21

 このTVドラマ版『スパルタカス』、記事にも書いたようにエログロ度がハンパないんですが、ゲイ目線でもうちょい追補しておきませう。
 まずとにかく、メインの登場人物が奴隷剣闘士なので、基本的にマッチョばっか、加えて常に半裸。更に全裸シーンもふんだんにあり、逞しいケツはおろかナニも丸出しに。
 同性愛要素&描写もしっかりあり、男同士のラブはもちろん、ガンガン肛門性交するシーンまで登場。
 責め場も盛り沢山で、鎖で繋がれたり鞭で打たれたりといった基本はもちろん、宴会で見せ物的に女とセックスさせられる羞恥系とか、アレをちょん切られて晒し者といった無残系も。
 古代ローマのグラディエーターネタなので、マッチョが惨殺される場面にも事欠かず、しかもかなりのゴア描写。
 そんなこんなで、残酷度とエロ度は過去の類作を遙かに凌駕する充実っぷりなので、普通に見ても充分に面白いんですが、下心で見てもタップリ堪能できるかと。

スパルタカス ブルーレイBOX [Blu-ray] スパルタカス ブルーレイBOX [Blu-ray]
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発売日:2012-05-11
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発売日:2012-05-11


 内容的にはプリクエルに当たるシリーズ番外編も来月リリース。

スパルタカス序章 ゴッド・オブ・アリーナ ブルーレイBOX [Blu-ray] スパルタカス序章 ゴッド・オブ・アリーナ ブルーレイBOX [Blu-ray]
価格:¥ 6,300(税込)
発売日:2012-06-22
スパルタカス序章 ゴッド・オブ・アリーナ DVDコレクターズBOX スパルタカス序章 ゴッド・オブ・アリーナ DVDコレクターズBOX
価格:¥ 5,040(税込)
発売日:2012-06-22

<6月29日追記>
『スパルタカス序章 ゴッド・オブ・アリーナ』の方も全話鑑賞したので、感想を簡単に。
 あのキャラの過去はどんなものだったのか、とか、こいつがどんなきっかけで正編に見られるような態度へと変わるのか、とか、正編に続く仕掛けが様々施されたプリクエルとしての面白さもさることながら、独立した一作品として見ても良く出来ていて、正直期待以上の内容。
 表現面の《容赦ない人体破壊描写+隙あらばエロ》のコンボは相変わらず健在ですが、ストーリー自体が全6話とコンパクトなこともあって枝葉も少なく、ラニスタとグラディエイターそれぞれの上昇志向を、闘技場の建設&こけら落としの大会開催と重ね合わせて見せる構成が、実に巧み。ラストの処理も上手く、後味も上々。
 個々のエピソードも、ぶっちゃけ正編を見ていると「こいつは死なない」というのが判ってしまうんですが、それを「じゃあどうやってここを切り抜けるのか」みたいな見せ方を上手く組んでいます。逆に「こいつは正編に出てこないから、きっと途中で死ぬか消えるかするだろう」というキャラにもいるんですが、こちらはいつものようにハラハラしながら見ていればいいし、更にこちらの予測を良い意味で裏切ったりもしてくれるので、やはり実に面白い。
 ゲイ目線のお楽しみどころとしては、相変わらず半裸のマッチョだらけ&ケツやチンコ丸見え場面多々ありなのに加えて、正編で登場したゲイ・カップルが、いわば《マッチョ&お稚児》的な関係だったの対して、こちらの序章では剣闘士同士、つまり《マッチョ&マッチョ》のカップルなのが大いに嬉しい。こいつらがいかにも、野郎臭く荒々しく互いを求め合うラブシーンは、描写自体はさほど過激ではないんですが(キス、ハグ、そしてフェラチオの暗喩表現くらい)、それでも見ていてなかなかグッときます。
 SM目線としては、第1話からして早速、道端で全裸で鞭打たれているシーンあり。剣闘士が仲間に騙されて、ローマ人にケツを掘られてしまう……なんてエピソードもあり、これもなかなかグッときたんですが、残念ながら実際の行為場面は描かれず。……ケチ(笑)。

『ターザン三つの挑戦 (Tarzan’s Three Challenges)』

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『ターザン三つの挑戦』(1963)ロバート・デイ
“Tarzan’s Three Challenges” (1963) Robert Day
(米盤DVD-Rで鑑賞→amazon.com

 東南アジアを舞台にした変わり種ターザン映画。お珍しやタイで全面ロケしており、アジアの小国、霊的指導者の跡継ぎ争いが持ち上がり、そこにターザンが登場し、正当な後継者の護衛として大活躍という話。
 ターザン役者は、13代目のジョック・マホニー。

 東南アジアのとある国。国の指導者かつ宗教的指導者(つまりダライ・ラマみたいな設定)は死にかけており、跡継ぎは既に選ばれて寺院で養育されているのだが、現指導者の弟は、自分の息子をその地位につかせるために、正当後継者の即位を妨害しようとしている。
 そこで護衛としてアフリカからターザンが呼ばれるのだが、寺院に向かう途中で敵に襲われ、迎えの僧侶は殺されてしまう。何とか寺院に辿りついたターザンだったが、本物だという証拠がなく、身の証しを立てるために、技力・体力・知力の三つのテストを受けることになる。
 テストをクリアしたターザンは、次期指導者の少年を護衛して、無事に都まで送り届ける使命を受ける。途中、山火事に巻き込まれたり、敵の襲撃を受けたり、迷子の子象を拾ったりと色々ありつつ、犠牲者も出しながらも、一行は何とか都に辿りつく。
 旅の途中で先代指導者は既に亡くなっており、都についた後継者の少年のために、さっそく即位の儀が執り行われる。歌舞などが盛大に行われた後、真の後継者かどうかを試すために、少年に3つのテストが課されるが、それも無事にクリア。こうして一件落着かと思いきや、件の敵が第4のテストを申し出る。
 それは平和の中で長く廃れていた習わしだったが、後継者に異議がある者は挑戦者として挑むことができ、後継者の守護者はそれと生死を賭して闘わなければいけないのだ。こうして地位を狙う例の敵と、守護者に指名されたターザンの、生死を賭けた一騎打ちが始まる……という内容。

 これはなかなか面白かった。
 まず、ターザンがエキゾチックなアジアの国に来るという設定が、まあキワモノ的な発想ではあるんですが、タイの観光局が全面協力しているだけあって、出てくる寺院とかはバリバリ本物だし、祭りのシーンも質量共に本格的と、全てにかなりのスケール感があるのが良い。
 展開は、一難去ってまた一難が串団子になっている系なんですが、これまた個々のアイデアが面白かったり、演出自体もスピーディでキレがあったりと、弛緩したり飽きたりする隙を与えない感じ。フッテージを上手く使った山火事のシーンなんて、けっこう迫力があって驚かされました。
 アイデアの方は、例えば最初のターザンに課されるテストの内容は、揺れる的を弓で射る、両腕を左右から牛に引っ張られる(DVDのジャケにもなっている、ソード&サンダルでお馴染みのアレ)、頓智クイズといった具合。
 挑戦者との戦いも、都から離れたところを開始点として、腕を紐で繋がれた状態でランニングスタート。で、ゴールまで相手を傷つけないよう、弓を構えた兵士たちが見張る中、野山や岩場を走り、断崖を吊り橋ならぬ一本のロープにぶら下がって渡り、吊された剣をとってロープを切り、谷川の橋からバンジージャンプをし、そこから川に飛び込みスイミング…といった具合で、次から次へとなかなか面白い。
 そしていざゴールでは、煮えたぎる釜の上に貼られた目の粗いネットの上で、剣を片手に真剣勝負。これらをそこそこ〜かなりのスケールで見せてくれるもんだから、これで贅沢言ったらバチが当たります(笑)。因みに主演のマホニーは、この撮影で体重が40ポンド(約18キロ)減ったそうな……。

 ただ惜しむらくは、そのターザン役者のジョック・マホニーで、残念ながら顔も身体も魅力ゼロ……歴代のターザン役者の中でも、私的にはかな〜りポイント低め。ただし敵役が「スパルタカス」でカーク・ダグラスと闘った黒人剣闘士役のウディ・ストロードで、肉体美はそっちで堪能できます(笑)。
 ストーリーに花を添える後継者の乳母役で、Tsu Kobayashi(小林鶴子)という日系らしき女優さんも出ています。流石にアフリカからチータは連れてきませんでしたが、そういうお子様向けマスコット役には、かわいい子象のハングリーといった布陣。お父さん向けには、祭礼シーンで女性群舞をご用意。

 そんなこんなで、ターザン映画のパターンをちょっと崩し、かつ本格ロケで安いキワモノにもならず、作劇や構成もクリシェを上手く使って上々、ターザンの存在も、ストーリー的には脇ながら、見せ場では上手くメインに持ってくる……と、マホニーの容姿以外(笑)は文句なしの出来映えかと。

 この予告編だと、ナレーターが「ラドヤード・キップリングの世界」とか言っているので、制作者としては東南アジアではなく、南アジアのつもりだったのかも?

“Pehlivan”

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“Pehlivan” (1985) Zeki Ökten
(トルコ盤DVDで鑑賞、米アマゾンで入手可能→amazon.com

 1985年製作のトルコ映画。監督はユルマズ・ギュネイと組んで『敵』『群れ』(どちらも未見)などを撮ったゼキ・オクテン。主演は『群れ』と同じくタルク・アカンで、この”Pehlivan”では第35回ベルリン国際映画祭名誉賞を受賞。
 タイトルの意味は「レスラー」で、文字通りトルコの国技であるオイルレスリング(ヤールギュレシ)を扱った内容。

 老いた父親と妻と三人の子供と共に暮らす主人公は、全国的な不況によって失業中。望む職が見つからないまま、仕方なくリビアに出稼ぎに行くことを考えつつ、近在の村で祭りがあると、そこで開催されるオイルレスリング大会に参加して、僅かばかりの現金や賞品の家畜を手に入れている。
 しかし家計は苦しくなる一方で、更に長いことドイツに住んでいた親戚が、当地のトルコ人排斥運動のあおりで帰国し、主人公の家に同居し始める。主人公は、友人であるレスリングの口入れ屋や、往年の名レスラーだった大工と組み、一攫千金を目指して大きな大会での優勝を目指すのだが……という内容。

 演出は極めてリアリズム志向。
 作劇にフィクション的な過剰さや虚飾がなく、家族や友人の心の動きを描く日常的な光景や、社会情勢を反映したエピソードなどが、淡々と、しかし力強く、まるでドキュメンタリー映画のように綴られていく。素晴らしく見応えあり。
 音の使い方も見事。エモーショナルな劇伴音楽ではなく、実際のオイルレスリングの試合や村祭りで奏でられる音楽がメインで、それがドラマの素朴な力強さをより引き立てる効果に。
 加えて自然音の使い方や、クライマックスの無音効果などは、もうお見事の一言。
 役者陣も、主人公とその老いた老父を筆頭に、いずれも素晴らしい存在感と説得力。
 そんな主人公の肉体的な存在感をメインに、繰り広げられる数々のレスリングシーンも見所の一つなのだが、村祭りの試合から師匠との練習、そしてクライマックスの延々と続く大会の模様など、その充実度にも大満足。
 更に主人公の《逞しい肉体》という要素が、きちんとエロティシズムにも繋がっているのが良い。
 夫の身体をオイルマッサージしながら、夫婦が次第に欲情していくシーンがあるのだが、オイルに濡れた手で分厚い胸板を撫で回す様や、屈んだ妻の襟元から覗く乳房のたわみといった具合に、抑えた描写ながらもエロティシズムもばっちり。
 というわけで、元々オイルレスリング好きの私としては、もう文句なしに楽しめました。
 ただし結末は見る人を選ぶと思います。予定調和的な快感を保証する娯楽作ではなく、そのアンチ・クライマックス的な幕の引き方には、賛否両論ありそう。
 個人的には、このエンディングは高評価。ドラマが一瞬にしてブツンと途切れて、映画の世界から現実に放り出されてしまうような感じなんですが、全体がリアリズム準拠なので、その効果も大。「ああ、現実ってこういうものだよな……」などと、しみじみ思いました。

 私が最近見たアンチ・クライマックス系のトルコ映画(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作品や、セミフ・カプランオール監督『蜂蜜』『』、東京国際映画祭で見た『ホーム』『われらの大いなる諦め』など)と比較すると、まだまだ娯楽寄りの要素はありますし、日常的な表現のデリケートさも、あそこまで徹底してはいませんが、それでも題材に興味がある方なら、まず見て損はないと思います。

“Badrinath”

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“Badrinath” (2011) V. V. Vinayak
(インド盤Blu-rayで鑑賞、私が利用した購入先はここ

 2011年制作のインド/テルグ映画。
 寺院の守護者となるべく育てられた無双の武芸者と、神を信じない娘とのロマンスを、ブッ飛び級のスケールで描いたアクション大作。

 古来からインドの寺院は、その知識を狙う外敵や、植民地支配を目論む帝国主義者、そして現代はテロリストなどに狙われてきた。
 そんな寺院の守護者を育てるべく、ヒマラヤ奥地の秘寺バルディナースに子供たちが集められ、腕の1振りで百人の敵を倒す古武道が教えられる。中でも抜きんでいたのは、元々は修行者ではないものの「門前の小僧が経を詠む」的にスカウトされた、武芸に秀で信仰にも篤いバードゥリという若者だった。
 ある日バードゥリは、老人が孫娘を連れて寺院にお参りに来る途中、発作を起こして倒れたのを救う。老人は一命をとりとめるが、美しい孫娘のアラカナンダは、幼い頃に眼前で両親が寺院の聖火の事故によって焼死していたため、神を信じることができず、逆に憎んでいた。
 アラカナンダは初めバードゥリと反発しあうが、彼女の心は次第に彼の信仰心によってほぐされていき、やがて彼を愛するようになる。そして結婚を夢見るようになった彼女を、バードゥリの両親も未来の嫁候補として歓迎するのだが、そんな折り、バードゥリのグルである寺院の老師が、彼を自分の後継者にすると決める。
 しかしそれは即ち、バードゥリは妻帯が許されなるということも意味していた。アラカナンダの気持ちを知っているバードゥリの両親はそれを嘆くが、人並みの人間の幸せを越えたグルになるという名誉もあり、その申し出を受諾する。老師は、このことはバードゥリには教えるなと命令し、その結果アラカナンダも、自分の恋心を彼に伝えるきっかけを失ってしまう。
 しかしアラカナンダは、この寺院が冬の間は雪に閉ざされ、寺院の扉も封印されるのだが、その封印時に祭壇に供えられた灯明が、再び扉が開けられる半年後にまだ燃えていたら、灯明に供え物をした願掛けが成就するという話を聞き、そこに望みを託すことにする。彼女はバードゥリに、好きな相手と結婚できるよう願掛けしたいと、その相手がバードゥリ自身であることは伏せたまま、彼の助力を得て寺院に備える秘境に咲く花を取りに行く。
 その一方で、地方の悪辣な有力者と結婚しているアラカナンダの叔母が、悪党と結婚したことで親族から縁を切られ、また、以前公衆の面前でアラカナンダに侮辱されたことを根に持って、彼女を自分の息子の嫁にすることで、屈服させ跪かせようと企んでいた。密かに紛れ込んでいたスパイによって、アラカナンダがバードゥリに恋をしていると知った叔母一家は、彼を殺して彼女を強奪するよう、息子に命令する。
 更にもう一方、寺院の僧侶たちの中にも、バードゥリがアラカナンダを愛しており、彼らの仕える神を裏切って娘を選んだのではないかと疑いを持っており、その話はバードゥリの老師の耳にも届いてしまう。
 果たして二人の運命はいかに……? ってな内容です。

 いや、これは面白かった!
 特に今あらすじを説明した前半までは絶好調。スペクタクル、アクション、ロマンス、歌と踊りが、ジェットコースター・ムービーばりのテンポで次々と展開していき、息をもつかせぬ面白さ。
 まぁストーリーとしては、比較的シンプルな予定調和もので、もうちょっと大きな仕掛けがあってもいいかな……とは思うんですけど、それでもストーリー的な「この後どうなる?」要素が、ヒーローとヒロインのロマンス、それによる信仰と世俗愛の相克、ヒーローと老師の間の信頼や誤解、ヒロインと悪い近親者の間の因縁……などなど、上手い具合に複数要素を絡て引っ張っていくので、全体の牽引力や「目が離せない!」感は上々。
 そこに加えて、暴れ出す象だの、秘境に咲く花だの、善人だけが打たれることの出来る滝だの、閉ざされた寺院の中で点され続ける灯明だの、神の力が宿った土塊だのといった、細かなガジェットやエピソードを色々入れてくるので、それらがテンポの早さとも相まって、なかなかの効果に。
 ただ、後半はちょっとテンポが悪くなり、クライマックスも尻すぼみ感があるのが惜しい。
 前半では比較的控えめだったお笑い場面が、後半の、よりによって事態が逼迫してきた状況下で、しょっちゅう挿入されるもんだから、どうしても見ていてイライラするし、インド映画的には問題なくても、やはりそれがテンポを殺してしまっていることは否めない感じ。ふんだんに入る歌と踊りも、ちょっと後半は多すぎるかなという気も。
 とはいえクライマックスは、ヒーローとヒロインとヒーローの老師という3者の関係を、ヒロインの恋情と共に揺れ動く、信仰心の喪失/復活/再喪失といったモチーフに絡めながら、エモーショナルにグイグイ盛り上げてくれるので、展開自体は上々。前述した尻すぼみ感というのは、悪役が最後を迎えるシーンに映像的な外連味や盛り上がりが乏しいのと(まぁそれ以前が色々スゴ過ぎたので、それらと比べるとどうしても見劣りしてしまう……という要因もありますが)、ハッピーエンド後の余韻が乏し過ぎるので、あくまでも「気分的な盛り上がりが物足りない」という話であって、ストーリーの決着や、それに持っていく作劇自体は、充分以上に佳良だと思います。

 映像的な見応えとしては、まずスペクタクル面で、ヒマラヤの秘寺の大セット。色鮮やかな美術、いかにもインド映画らしいモブと小道具大道具の物量作戦、自然の雄大さ、プラスCG合成による「ないわ〜w」ってな光景……などなど、スケール感と目の御馳走感がバッチリ。
 アクションは、ワイヤー系のアクロバティックなものですが、寺院を占拠したテロリスト軍団やら、恋敵の差し向ける刺客軍団などを相手に、マッチョな肉体美ヒーローが独り剣を片手に、バッタバッタとなぎ倒していくという塩梅なので、これまた文句なしにカッコいい。
 血飛沫は派手に飛び散り、腕や首が飛んだりもするんですが、後者に関しては、一瞬見せてホワイトアウトというパターン。最初は効果のうちかと思ったんですが、後に白いマスクで画面の半分が隠される場面もあったので、どうも検閲とかそっち系の要因らしいですな。
 歌と踊りは、寺院のセットを使った大群舞あり、MTV系のカッコいい(……多分)セットを使ったヒップホップ系あり、ヒーローとヒロインがいきなりスイスだかどっかの雪山や古城にワープして歌い踊るとゆーお約束もあり、テルグ映画っぽいテンポの早い泥臭い系もあり……と、どれも楽しく、これまた大満足。
 音楽自体も上々です。

 主人公バードゥリ役のアル・アルジュンという男優は、私は今回が初見ですが(オープニング・クレジットでは『スタイリッシュ・スター』というキャッチコピーがw)、なかなかのハンサム君で肉体も見事、アクションと踊りもバッチリ(ただし踊りに関しては、動きの速いコレオグラフィーが連続すると、ちょっと息切れ感が見える部分もあり)で、こういう映画のヒーローとして文句なしの百点満点。
 特に肉体美はかなりのもので、しかもテロリスト相手の大殺陣の見せ場では、何故か上半身裸にハードゲイ風のレザーのハーネスなんか着けてたりして、かなりのお得感が(笑)。一緒に見ていた相棒も、横で大喜び(笑)。
 アラカナンダ役のタマンナ・バディア(?)は、個人的に高評価のタミル映画”Paiyaa“などでヒロイン役をやっていた女優さんで、私はこの人、美人だし、気品もキュートさもあるし、大好きです。老けメイクで老師役を演じているプラカシュ・ラジも、タミル映画の親分役や悪党役でよく見るお顔。

 というわけで、前半=文句なしの面白さ、後半=ちょい弛緩あり、ってな感じで、前述したように締めがもう一つ惜しい感もあるんですが、それでも、とにかく見所は盛りだくさんだし、インド映画に馴染みがあってもなくても、たっぷり楽しめる快作だと思います。

予告編。

“Omkareshwari”〜寺院のセットや絢爛たる色彩美による、冒頭の群舞シーン。こーゆーのって見てるだけでも嬉しくなっちゃう(笑)。

“Nath Nath”〜いかにもテルグ映画っぽい、テンポの速い楽しい系。歌詞がテーマソング的で、エンド・クレジットもこの曲でした。

“Nacchavuraa”〜ロマンティック&セクシー系のミュージカル・シーン。う〜ん、いい曲。大好き。映像的には、ずぶ濡れになったり、見晴らしのいい場所や外国にワープはお約束だけど、雪山系はいつ見ても、風邪ひきやしないか心配になりますな(笑)。

“Karzan, Jungle Lord (Karzan, il favoloso uomo della jungla)”

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“Karzan, Jungle Lord” (1972) Demofilo Fidani
(”The Italian Jungle Collection”と題された2 in 1米盤DVDで鑑賞→amazon.com、併録作は女ターザンものの”Luana”)

 1972年制作のイタリア製ターザン……ならぬカーザン映画。どう見てもお馴染みのキャラクターなのに、権利の関係でちょびっとだけ名前が変わってます……ってな系統の良くあるパターン(笑)。伊語原題”Karzan, il favoloso uomo della jungla”。
 主演のカーザン役は、ジョニー・キスミューラー・Jr……って、誰(笑)。いちおうIMDbによるとアルマンド・ボッティンという役者さんで、この映画でのみ、このキスミューラー・Jrを名乗っている模様。
 なお監督のデモフィロ・フィダーニという人は、ツイッターでフォロワーさんに教えていただいたんですが、「マカロニ・ウェスタンファンの間ではクズ映画ばっかり撮ることで名高い監督」なんだそうです(笑)。

 アフリカ奥地、ジャングルの蔦を使ってサーカスのように移動する、謎の半裸白人男性の映像が撮影される。
 探検家のフォックスは、おそらく十数年前に同地で消息を絶った飛行機と関係があるのではと推測し、富豪のカーター卿に探検のスポンサーになってくれと頼む。野人を捕らえ、再度文明化することができるかということに、学術的興味を感じたカーター卿は、スポンサーを引き受け、恋人のモニカと共に探検に同行するとにする。
 アフリカに渡ったカーター卿一行は、現地で曰くありげな男《クレイジー》やポーターを雇い、毒蜘蛛や毒蛇に襲われながらも、野人の住むタブーの台地へと近づいていく。しかし、そこで原住民の襲撃を受け、隊員の一人が死に、荷担ぎ人足は逃げ帰り、残りの者は捕まってしまう。
 探検隊は柱に縛られ、あわや危機一髪…というときに、崖の上に件の野人カーザンが姿を現すが、その横には革ビキニを着たブロンドの女野人シーランの姿もあった!(えっ)
 シーランは原住民のアフロヘアーの女とキャットファイトを始め(ええっ)、そしてカーザンはモニカ一人を助け出し、自分の第二夫人にするために樹上の住居に連れ帰り(えええっ)、モニカはシーランに言葉を教えるが、シーランとカーザンはモニカを尻目に泉で水泳を始め(はあ?)、ムーディなラウンジ風オルガン音楽にのせて、腰布&革ビキニの男女のスローモーションが延々延々延々と続き……(誰か助けて…)。
 しかしモニカの協力で、カーザンとシーランは探検隊に捕まってしまい、縄で縛り上げられて連行されてしまう。そこにチンパンジーのチータが、二人を救いにくるのだが、カーザンだけは助かったものの、シーランは囚われの身のまま。
 カーザンはシーランを助けだそうと、隊の後を尾けるのだが、そこにワニが襲いかかったりゴリラの着ぐるみが襲いかかったり…ってな内容。

 え〜とまぁ、何と言いますか…久 々 に ヒ ド い も の を 見 た って感じ(笑)。
 前半の延々と続く、スリルもへったくれもない探検行の段階から、早くも退屈で死にそうになるんですが(まぁ、猛獣と人間が決して同一画面にはフレームインしないなんてのは、低予算映画のお約束なので目を瞑りますけど……)、その後、いったん原住民を撃退して助かったはずなのに、次のカットで何の説明もなく、いきなり捕まって柱に縛られているあたりでは、見ていて思わず相棒と一緒に「ええっ?」と、素っ頓狂な声を上げてしまったくらい(笑)。
 後はもう、シッチャカメッチャカとしか(笑)。モニカが野人に掠われたのに、ちっとも心配したり救出に向かおうとしない他の隊員たちとか、掠われたモニカが唐突にシーランに言葉を教え始めるくだりとか、突っ込みだしたらきりがないシロモノ(笑)。
 時代の反映なのか監督の趣味なのか、ヘンにクローズアップやあおりを多用した、カットアップみたいなサイケ風味の演出の意味不明さとか、最後の「ええっ、そんなオチ???」という驚天動地のい〜かげんエンドとか、サルが砂浜に棒で《THE END》と書くエンドクレジットとか、もう勘弁して(笑)。

 まあ、どんだけヒドいかってのを、ちょっとネタバレ込みで説明するので、お嫌な方はこの段は飛ばしてください(笑)。
 まず、曰くありげな《クレイジー》というキャラ。ニヒル系な外見の白人男性で、いちおう初登場時には「こいつは口がきけないが、腕は立ち、しかも第六感があるので役に立つ」と紹介されて、それで探検隊に加わるわけです。
 さて、こいつが探検隊に加わって何をするかというと、歩いているときも野営の間も、ひたすらハーモニカを吹いているだけ。で、そのハーモニカを落っことしてしまい、それを探している間に隊から遅れてしまい、オマケに蛇に襲われる(笑)。
 原住民との交戦が始まると、草むらの中に身を伏せているときに、目の前をトカゲだかなんだかが歩いているのを見つける。で、周囲の騒動はどこ吹く風で、それを捕まえて歯で頭を食いちぎる。それだけ(笑)。
 最終的には、原住民の投げた槍から隊長を庇って殺されちゃうんですが、え〜と、第六感とゆー設定はどこに消えたのかしら……しかもちっとも役に立ってないし……これで墓標にハーモニカを添えられても、感動どころか苦笑しか浮かばないんですけど(笑)。
 もう一つ、「ええっ、そんなオチ???」という驚天動地のい〜かげんエンドについても。
 いちおうカーザンは、シーランを連れて行った探検隊に追いついて、彼女を助け出すんですが、自分は銃に撃たれて負傷し、捕まってしまう。で、フォックスは「こいつを見せ物に出して云々」と、儲け話の皮算用を始めるが、カーター卿は「自分の興味は学術的なもので、金儲けではない」と反対する。
 そしてカーター卿は、「最初は、いったん野人となった人間を、再度教育して文明化することで、科学の発展に貢献できると思っていたが、しかし今カーザンを連れ去ってしまうと、ジャングルに一人残されたシーランは、可哀想に、生き延びることができないだろう」と主張し始め、逃げたシーランが茂みの中でメソメソしているのを、猿のチータが慰めるカットなんかを挟みつつ、カーザンを解放すべきだと主張するカーター卿と、いや、このまま連れ帰って見せ物に出すと言い張るフォックスの口論が続き、カーター卿が「金が目的なら私が出そう!」とか何とか言った、次の瞬間。
 シーンは陽光まぶしく波頭きらめく浜辺(どこ???)に変わり、ムーディーなラウンジ音楽が流れる中、原初世界のアダムとイヴよろしくキャッキャウフフと戯れあうカーザンとシーランの映像になり、チータが棒きれで砂に《THE END》の文字を書いて、はいおしまい。見ているこっちは、あまりの唐突さに、ただただポカ〜ン(笑)。

 という具合で、特にヒドかった二つをピックアップしましたが、ぶっちゃけ全編こんな感じなので、ホント突っ込みだしたらキリがないです(笑)。
 こういう《偽ターザン映画》は、インド版とかトルコ版とかエジプト版とか(日本版とかポルノ版とかも……)見ましたが、その中でもこのイタリア版は、かなりヒドいシロモノなので、ネタとして楽しみたいという方以外には、決してオススメいたしません(笑)。
 ”Karzan, Jungle Lord”から、シーランを追うカーザンが、唐突にゴリラ(の着ぐるみ)に襲われるシーンのクリップ。これまた余りの唐突さに加えて、着ぐるみとか吠え声とかいろいろヒドさに、飲んでたコーヒー吹きそうになりました(笑)。

“Yamada: Way of the Samurai (ซามูไร อโยธยา)”

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“Yamada: Way of the Samurai” (2010) Nopporn Watin
(イギリス盤DVDで鑑賞→amazon.co.uk、”Muay Thai Warrior”のタイトルで米盤DVD&Blu-rayあり→amazon.com

 2010年制作のタイ映画。山田長政を主人公にしたフィクショナルな時代アクション映画。
 主演はタイで活躍する日本人男優、大関正義。タイ語原題”ซามูไร อโยธยา”、別題”Yamada: The Samurai of Ayothaya”等。

 ナレスワン大王治世下のアユタヤ王朝。未だ敵国ホンサワディー(ビルマ)の脅威衰えぬ中、アユタヤ日本人町の侍、山田長政は、アユタヤで敵国の手先となって暗躍する者の中に日本人がいるらしく、その頭目を突き止めろとの命を受ける。
 しかしその直後、忍者たちの襲撃を受けた長政一行は、その黒幕が身内の日本人重臣だと知る。仲間は皆殺されるが、長政は一人、通りがかったタイ人の衛兵たちに救われ、彼らの元で治療を受ける。
 命を救われた恩義もあり、長政は次第に彼らに親しみを覚えるようになる。しかし自分の正体を知られた黒幕は、唯一の生き証人である長政に刺客を差し向ける。長政はそれを撃退るが、タイ人衛兵たちは、彼が同じ日本人から命を狙われていると知り、不信感を覚える。しかし、衛兵たちの師である僧侶は、「人には他人に言えない秘密もあるものだ」と、彼らの猜疑心を諫める。
 一方で長政は、自分の日本古武道でタイ人衛兵たちに試合を挑むが、彼らのムエタイに手もなく打ちのめされてしまう。長政は、件の僧侶にムエタイの伝授を頼み、最初はそれを拒んだ僧侶も、長政の「自分は日本生まれだが、アユタヤで死にたい」という決意を聞き、彼にムエタイを教えることにする。
 やがて長政のムエタイは上達し、タイ人衛兵の一人とも親友になり、ついにはナレスワン大王の近衛兵を選抜するトーナメントにも出るようになる。しかしその一方で、ホンサワディー軍はアユタヤ侵攻を計画しており、また、依然自由の身のままの例の黒幕も、長政の命を狙い続けていて……といった内容。

 え〜、ぶっちゃけ、山田長政とナレスワン大王が同時代に出てくるという点から言っても、史実的には全く則しておらず、完全なフィクション作品です。
 映画全体のテイストも、いわゆる史劇ではなく完全に娯楽アクション映画。昔のソード&サンダル映画のノリに近いです。
 で、私はこれ、好きです。
 何でも衛兵たちは本物のムエタイ選手たちだそうで、訓練にしろ戦闘にしろ、アクションシーンの見応えはバッチリで、話も、愛国心とか友情とかコッテコテのオトコノコ系で、同時に日タイ友好に関する目配せもしっかりあって、しかも基本的に、全編半裸のアジアン・マッチョしか出てこない(笑)。
 200人の敵を10人で迎え撃つなんて燃え系展開もあれば、宴会なんかで歌舞シーンが入ったり、キレイどころとの仄かなロマンスがあったり、おませな少女キャラによる箸休めがあったり……と、内容的には往年のソード&サンダル系娯楽映画を彷彿させるサービス具合。エピソード構成なんかも、古式ゆかしき大衆娯楽活劇映画のクリシェに則ったという感じで、基本的にそういうのが好きな私なんかは、ちょっと嬉しくなっちゃうくらい。一方、それが古くさいと感じてしまう方もおられそうではありますけど。

 アクションの演出も、血飛沫こそCGですけど、基本はエフェクトで誤魔化したりしない正当派。その肉体をフルに使った立ち回りだけでも、なかなかの充実感&見応えでした。無双の戦士たちが返り血で真っ赤になって、スゴい形相で相手をバッタバッタ斃していく様は、カッコいいと同時に、何だか戦いというより「Massacre!」って感じもして、見ていて敵が気の毒になってくるくらい(笑)。
 日タイ友好という点でも、例えば僧侶が長政にムエタイを伝授するくだりで、「ムエタイの真髄は、手・肘・足・膝といったものを武器として用いる《攻め》にあるが、日本古武道の真髄は、相手の力を受けつつ、それを利用して攻撃に転ずるところにある。よって、もしそれらの異なる二つを共に習得し、それを合体させれば、そなたは無双の武術を身につけることになる」と説いたり、また、長政が友となったタイ人衛兵に、日本刀の柄をアユタヤの木工細工に変えた得物を送り、それをイコール、彼らの理想とする生き様に重ねて見せるなどといった形で描いていて、これもクリシェ通りながらも上手く表現しているなという感じ。
 また、生まれや国は違っても、どこの土地に骨を埋めるか、何を愛して何を守るか、それさえ同じならば同士であるといった部分も、男泣き系の燃え要素としては、けっこうグッとくる部分。
 で、ちょっと面白かったのが、《見かけや出自が違っても同じ人間》ということを表現する場合、我々の感覚だと《肌の色は違えども血の色は同じ》というのがあると思うんですが、タイだとどうもそうではないらしいということ。映画の中で長政は、タイの少女から「白い顔」などと呼ばれ、日焼けによる肌の色の違いという意識があるようなんですが、更に《血の色は違っていても》という言葉が頻繁に出てくる。まぁ、英語字幕の翻訳に因るのかもしれませんが、この《出自の違い=血の色が違う》というのは、ちょっと日本人にはない感覚ではないか……なんて思ったり。

 主演の大関正義氏は、顔はちょっと冴えないかな〜という気もしますが(すいません)身体は立派。あとナレスワン大王役が、個人的にご贔屓のウィナイ・クライブットだったのが嬉しいサプライズ。まぁ、特別出演的な感じで、さほど登場シーンもありませんでしたが……。
 因みに師となる僧侶役も、『ナレスワン大王(ザ・キング 序章・アユタヤの若き英雄、アユタヤの勝利と栄光)』や『マッハ!弐』の僧侶(後者は未見ですが)や、『ランカスカ海戦 パイレーツ・ウォー』のお師匠さん役とか、『ビューティフル・ボーイ』や『スリヨータイ』にも出ていた、ホントしょっちゅうお見かけする(そしていつもお師匠様的ポジションの)のソラポン・チャトリ。

 正直スケール感はあまり……というか全くない映画なんですが(基本的にアクションがメインで、大規模な合戦シーンなどは皆無)、全体のテイストが完全にコスチューム・アクション映画に統一されているので、それがさほどマイナス要素にはなっていない。ただ、ウチの相棒は「ちょっと安っぽくてイマイチ」と評価。
 個人的な好みとしては、もうちょっとキャラクターを掘り下げるための生活描写などのディテールが欲しかった気はしますが、これはDVD特典の未公開シーンを見たところ、実は長政とヒロイン、おしゃまな少女、子供たちなどによる、ユーモラスかつハートウォーミングなシーンあれこれが、撮影はされていたのに最終的にはカットされてしまったんですな。おそらくテンポ重視で中だるみを避けたんだと思いますが。
 結果、尺も全部で1時間半弱とスピーディな展開ですし、気楽に見られるアクション映画としては充分佳良だと思います。

 まぁ、ぶっちゃけた話、内容的には山田長政である必要は全くなく(What if的な楽しみ方は全くできず)、むしろタイに骨を埋めた無名のサムライの話にした方が、全体の収まりは良くなるのではないかとは思うんですけれど、コスチューム・アクション好きな方なら、お楽しみどころもいろいろありだと思います。
 どっか買い付けて、DVDスルーでいいから日本盤出してくれないかしら……。