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10月21日に新宿で「田亀源五郎祝賀パーティ」開催、前売り発売中


 10月21日(日)に、私が長らくゲイエロマンガを連載させていただいている「バディ」誌の版元テラ出版と、拙ゲイエロマンガ単行本10冊以上&拙編纂画集『日本のゲイ・エロティック・アート』シリーズの版元ポット出版の共同開催で、ここのところ続いている『弟の夫』の受賞祝いを開いていただけることになりました。

 会場は新宿二丁目の、かつてフレディ・マーキュリーが訪れたことでも知られる老舗ゲイバー九州男(くすお)。
 イベントでは司会のエスムラルダさんを始め、ゆかりのあるトークゲスト陣も充実。一緒に「ジーメン」を立ち上げた戦友であるピンクベア長谷川さん、『弟の夫』の二代目担当編集で現在も一緒に『僕らの色彩』を作り上げている双葉社の南部さん、もう30年以上も前からの親友であるゴールドフィンガーのチガちゃん、私をポット出版に紹介してくれて『日本のゲイ・エロティック・アート』シリーズ出版実現の鍵となってくれた松沢呉一さん、同世代のオープンリーゲイとしてそれぞれ違うフィールドで走ってきた伏見憲明さん、一回り年下で若い世代のLGBTアクティビズムのキーパーソンであり「『弟の夫』の世界展」でもお世話になった松永権ちゃんなど、ちょっと他では見られない面子だと思います。

 お祝いの会というと、私は真ん中でニコニコ笑っていれば良いような気もしますが(笑)、ご来場の皆さまと楽しい時間をご一緒できればと思っております。
 9月21日から前売り券の販売も始まっておりますので(詳しくは下記リンクから)、老若男女・性的志向を問わず、お気軽にご参加ください。
バディ:チケット販売開始!田亀源五郎祝賀パーティ開催!
ポット出版イベントスケジュール:田亀源五郎さんの受賞を祝う会

「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門・優秀賞に始まり、「NHK BSプレミア」での実写化、
手塚治虫さんや藤子不二雄さんも受賞した「日本漫画家協会賞」での優秀賞受賞
アメリカで最も権威ある漫画家賞「アイズナー賞」で最優秀アジア作品を受賞するなど
国内外で次々と漫画賞を受賞しとどまる所を知らない田亀権五郎さん。

その功績を讃え、田亀作品を愛してきた読者の皆さんと田亀さんと深く交流のあるゲスト達を迎え、
田亀さんを祝う会を10月21日(日)新宿二丁目「九州男」で開催いたします。

主催はこれまで田亀作品を連載してきたバディ編集部と、
数々の田亀作品を単行本として発行するポット出版が共催。

司会・進行には田亀氏と多くの対談をこなしてきたエスムラルダさんを迎え、
日本を代表するゲイ雑誌・バディとG-menを創刊した長谷川博史さん
「弟の夫」の世界展でモデレーターをつとめた松中権さん
田亀氏と親交も深い小川チガさんや伏見憲明さん松沢呉一さん
「弟の夫(双葉社)」二代目編集担当の南部さんも迎えるなど、
豪華メンバーが集結します。

当日は田亀氏御本人をお迎えし、田亀作品とそれぞれのゲストが今までどのように関わったのか…
様々な視点から田亀氏にまつわる貴重なお話を聞くことができます。

来場者には32ページに及ぶ「銀の華」の未収録図画集をポット出版からプレゼント!

さらに田亀氏が過去に発表したカラー作品の中からオリジナルポストカード5枚セットをバディ編集部から先着でプレゼント致します。
当日は双葉社さんのご協力により「弟の夫」を購入できる物販販売も行います。

またネットから購入することができる前売り券は200円安い1800円でお買い求めいただけます。
席に限りがありますのでお早めにお求めください。

非常に貴重な機会をぜひお見逃しなく!

田亀源五郎祝賀パーティ
ーTAGAME GENGOROH CELEBRATIONー

日程/2018年10月21日(日)
時間/開場15:00 開始15:30~17:00
会場/九州男(東京都新宿区新宿2-17-1 サンフラワービル3F)
入場料/(前売り)1800円 ワンドリンク付き、(当日)2000円
主催/テラ出版、ポット出版
協力/双葉社
ゲスト/田亀源五郎、エスムラルダ(司会進行)、小川チガ、南部恵理香、長谷川博史、伏見憲明、松沢呉一、松中権

★★★テラ出版から来場者特典
田亀源五郎特製ポストカード5枚セットプレゼント。(先着順)

★★★ポット出版から来場者特典
「『銀の華』未収録図画集」(32ページ/1C印刷/中綴じ)プレゼント。
田亀源五郎直筆の『銀の華』プレ段階の未発表アイデアスケッチ、イラストをはじめ、単行本未収録の貴重な図画を一挙収録。

★★★双葉社さん「弟の夫」1〜4巻販売ブース設置

12/19(火)『ゲイ・カルチャーの未来へ』刊行記念トーク番組@DOMMUNEに出演


 来週火曜日(12/19)の19:00~21:00、インターネットTVチャンネルDOMMUNEで行われる、『ゲイ・カルチャーの未来へ』刊行記念トーク番組に出演します。
 出演は私、『ゲイ・カルチャーの未来へ』担当編集の木津毅さん、『弟の夫』担当編集の南部恵理香さん、雑誌「ele-king」編集長で音楽評論家の野田努さん。

ele-king TV presents 『ゲイ・カルチャーの未来へ』刊行記念番組──田亀源五郎、トーク・ショウ@DOMMUNE

 番組はネット上でストリーミング配信されます。またスタジオに来場しての観賞も可能。
 それぞれの方法など、詳しいことはこちらのページでご確認ください。
 スタジオ観覧予約はこちらからどうぞ。

 それでは、ご来場/ご鑑賞お待ちしております!

ele-king TV presents 『ゲイ・カルチャーの未来へ』刊行記念番組──田亀源五郎、トーク・ショウ@DOMMUNE

昨日大阪でのイベントの開催をお知らせしたばかりですが、田亀源五郎ニュース、第2弾です。『ゲイ・カルチャーの未来へ』刊行記念イベント、東京でも開催いたします! 12月19日(火)、なんとDOMMUNEに田亀先生ご本人が登場! 『ゲイ・カルチャーの未来へ』担当編集の木津毅に加え、『弟の夫』担当編集の南部恵里香さんも出演、『弟の夫』の制作秘話が聞けちゃうかも? ele-king編集長の野田努も喋ります。木津セレクトによる音楽もいっぱいかかる予定ですので、きっとフランキー・ナックルズとボン・イヴェールが交錯する素敵な一夜を体験することができるでしょう。当日はぜひ会場まで足をお運びください!

ele-king TV presents 『ゲイ・カルチャーの未来へ』刊行記念番組
田亀源五郎、トーク・ショウ

出演:
田亀源五郎、木津毅、南部恵里香(『漫画アクション』編集)、野田努、小林拓音

日時・場所:
12月19日(火)@DOMMUNE
19:00~21:00

映画『ムーンライト』DVD/Blu-ray(9/15発売)早期購入特典にイラスト寄稿しました


 9月15日発売、映画『ムーンライト』のDVD/Blu-rayの早期購入特典、アナザージャケット3種セットに、カラーイラストを1点寄稿しました。
 何と言っても他ならぬ『ムーンライト』、私にとって現時点で今年見た映画の中でBest 1の作品なので、もう魂込めて描かせていただきました。
 既にご覧になっていて映画のファンだという方、また、ソフト化を機会に見てみようかなとお考えの方、是非この機会に、アナザージャケット3種セット版をお求めください!

『ムーンライト』鑑賞後の拙ツイートが、こちら。

 アナザージャケット3種セット版に関する、『ムーンライト』公式さんのツイートがこちら。

 それにしても今年は、この『ムーンライト』に、『この世界の片隅に』『つぐもも』……と、トリビュート系のお仕事が多い珍しい年。
 こんな感じで、自分が面白いと思ったことを、今後もどんどんやっていけるといいな♪
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バディ誌に『弟の夫』完結記念インタビュー掲載&アニメ『つぐもも』担当エンドカード収録DVD&Blu-ray


 8月21日発売の「バディ」10月号に、『弟の夫』完結記念インタビューが掲載されています。
 マンガはお休みの月ですが、よろしかったら是非お読みくださいませ。
[amazonjs asin=”B0721V9GQ3″ locale=”JP” title=”BAdi(バディ) 2017年 10 月号 雑誌”]


 もう一つ、ご縁あって今年の5月に、TVアニメ『つぐもも』第6話のエンドカードを描かせていただき、オンエアされたんですが↓


その回が収録されたDVDとBlu-ray(vol.3)が、8月9日に発売されました。
 件のエンドカード用イラストも、初回封入特典のブックレットに収録されておりますので、よろしかったらこちらも是非。
[amazonjs asin=”B06XWZY1J7″ locale=”JP” title=”つぐもも VOL.3 Blu-ray”][amazonjs asin=”B06XX79MJN” locale=”JP” title=”つぐもも VOL.3 DVD”][amazonjs asin=”B06XRWBKMX” locale=”JP” title=”【Amazon.co.jp限定】つぐもも VOL.3(全巻購入特典:描き下ろし全巻収納BOX引換シリアルコード付) Blu-ray”]

「映画秘宝」3月号発売、ベスト&トホホ参加


 1月21日発売の雑誌「映画秘宝」3月号で、恒例の「2016年度ベスト&トホホ10」に参加しております。ベスト10、ベスト男優、ベスト女優、ベストシーン、トホホ3を、それぞれコメント付きで選ばせていただいております。
 それと「輝く!! ドラマ OF THE YEAR 2016」にも、ちょびっと参加。『ロンドン・スパイ』(映画ドラマ含めて、去年のマイベスト一位!)と『RIVER リバー』について、簡単にコメント。

 因みに、「これは日本公開は難しいかもな〜」などと思って、輸入ソフトなどで観賞した結果、前年度以前にベストに選んだ作品は、ダブりを避けるために選択肢から外すようにしています。というわけで今回は、2015年度にベスト3と4に選んでいた、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』と『人生は小説よりも奇なり』を、泣く泣く除外しました。
 ここのところ、「これは日本公開されないだろうな〜」と予測していた作品が、まさかの公開やDVDスルーということがけっこうあって、これは嬉しい傾向。

 海外ドラマの方は、去年自分が見た中では前述の『ロンドン・スパイ』『RIVER リバー』、そしてもう一つ『ベルサイユ』が自分的なスリートップ、続けて『ピーキー・ブラインダーズ』という感じ。この『ベルサイユ』もコメントを書いたのですが、誌面では未掲載。ついでに以下にアップしておきます。

『ベルサイユ』
ルイ14世の王宮ドラマを、主要人物にロックスターのような美青年たちを配し、豪華絢爛な美術や衣装で描くスタイルは、まるでリアル少女マンガの世界。同性愛要素がゲイの目から見てもちゃんと楽しめるのも良い。

 その他のコメント内容や順位などは、誌面でお確かめを。というわけで、是非一冊お買い上げください。
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謹賀新年

 あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。

【昨年の締めくくり】
 紅白歌合戦を後半だけ見て、「あ、KABA.ちゃんが出てる」と思ったら吉田沙保里で、「あ、ミッツ・マングローブ」と思ったら椎名林檎でした。

【今年の始まり】
 初詣に行っておみくじひいたら末吉でした。なんか三年連続で末吉なような。

 そして本年早々には、ポット出版プラスからゲイエロマンガの久々の単行本、『奴隷調教合宿』が発売予定です!

 発売予定日やサイン本情報などは、また確定次第アップしますので、お見逃しなきように!

『弟の夫』が第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞しました

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 第19回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で、『弟の夫』が優秀賞を受賞しました。
 応援してくださった皆様、機会をくださった皆様、その他諸々の皆様、どうもありがとうございます!
 マンガ家の松田洋子先生が寄せてくださった贈賞理由コメントも、実に素敵で読んで思わずジーンと……いつかそういう世の中になって欲しいです。

 やれ、嬉しや♡
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 2巻は来年の1月12日発売ですので、引き続き応援よろしくお願いいたします!

“Çanakkale 1915” (2012) Yesim Sezgin

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“Çanakkale 1915” (2012) Yesim Sezgin
(トルコ盤DVDで鑑賞、米アマゾンで入手可能→amazon.com

 2012年のトルコ映画。第一次大戦時、イギリス他の連合国軍対オスマン・トルコ軍の、ダーダネルス海峡とガリポリの戦いを、トルコ側の視点で描いた戦争大作映画。

 ストーリー的には戦記物に徹していて、1914〜15年にかけてのダーダネルス海峡周辺で起きた戦闘を、日時を明記しながら時系列に沿って、軍の上層部と現場の兵士たち双方の視点を交えながら描いたもので、戦場およびその周辺以外のドラマはほぼ皆無という作り。
 兵卒側の視点は、愛国心に燃えてアナトリア地方の村から入隊してきた青年たちのドラマがメインとなり、司令部側では優れた軍人で人徳にも篤い青年将校ムスタファ・ケマル(後のアタチュルク)が、次第に頭角を現していくのが描かれます。
 それらを通じて、祖国を守るために人々がいかに闘ったか、銃後の人々もしかにそれをサポートしたか、戦場ではどんな悲劇や感動的なドラマがあったか、ちょっと難ありのオスマン・トルコ上層部に対して、アタチュルクはどれだけ優れていたか……といった要素が愛国心を鼓舞しながら繰り広げられる。

 イスラム色も濃厚で、いわゆる英霊的な描写も多く、映画全体も、故国を守るために戦死した英雄たちに捧ぐ頌歌のような作り。海戦場面などはCG大会になっちゃいますが、それでもスケール感や物量感といった大作の味わいはタップリ。
 ドラマ的には、登場人物が皆似たような口ヒゲを生やしているせいもあって、ちょいと見分けが付きづらく、また、戦場以外のエピソードはほぼないので、感情移入もし辛い面はあるんですが、それでもいかにもエモーショナルなエピソードが次から次へと出てくるので、けっこうグイグイ見られます。
 例えば、砲台に弾を運ぶ装置か何かが壊れてしまい、一人の力自慢の兵士が何百キロもある砲弾を背中に乗せて、何往復もして運ぶとか、部下を庇って撃たれた上官をおぶって野戦病院まで運び、すぐまた戦場に戻るとか、そういった《戦争美談》みたいのがいっぱい。
 銃後の描写でも、過去の戦争で夫も息子も亡くした老農婦が、彼らの帰りを待っている間に編んでいた靴下を、兵隊さんのために役立ててくれと供出し、担当の兵士に敬礼して挨拶するとか、昔の日本の国策映画を連想するようなシーンも幾つか。

 トルコの映画ならではといった味わいも多く、例えば、塹壕で兵士が皆、生き埋めになり死んでしまった……と思いきや、ジャラ〜ンというトルコの伝統音楽の調べと共に、土中からムクムク這いだしてきたり、将校が独断で兵を出すことを決断し、進軍するシーンにオスマントルコ軍楽が流れたり。
 戦死した兵士のポケットから自作の詩が出てきたかと思うと、次のシーンでは塹壕の中でサズの弾き語りでそれを歌い、更に次にはその歌が兵士の間で流行していたりするあたりも、いかにもトルコ映画的な感じで面白かったです。
 敗れた軍服を麻袋を切って繕うといった、戦線における日常を描いたディテールもあれば、鳥瞰で捉えたトルコ歩兵対連合軍歩兵の衝突が、そのままイスラムの赤い三日月にオーバーラップしたりなんていう、叙事詩みたいな場面もあり、そんな表現の幅広さも面白く見られたポイントの一つ。

 というわけで、とにかく愛国心と信仰心をベースにした戦争美談スペクタクル映画なので、そういう意味では潔いほどブレがない一本。
 そういったもの自体に抵抗を感じる方には、これは全くオススメしませんが、戦記物がお好きな方だったら、2時間強、もうタップリ楽しめること請け合いです。

“Rajapattai”

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“Rajapattai” (2011) Suseenthiran
(インド盤DVDで鑑賞)
 2011年制作のインド/タミル映画。ご贔屓ヴィクラムの新作。監督は“Naan Mahaan Alla”のスセーンティラン(?)。
 一山いくらで仕事を得ているような、映画の悪役俳優を主人公にした、コメディタッチのアクション映画。

 主人公ムルガンは映画のやられ役俳優。同じやられ役の仲間たちや、使いっ走りの助監督と共に暮らし、お呼びがかかると撮影現場に行くが、いつかはポスターにドーンと顔が出るような、大物悪役俳優になることを夢見ている。
 そんな彼は、ある日街で誘拐されそうになっている老人を助ける。実はこの一帯では、マフィアと組んだ悪徳女性政治家が再開発を目論み、土地を奪い取ったり反対者を暗殺したりしていた。そして老人が所有していて、しかも妻の形見でもある孤児院の土地も狙われており、更に、政治家を夢見る老人の息子が、父を裏切り悪徳政治家の手先となっていた。
 事情を知ったムルガンたちは、老人を自分のところに匿うことにする。同居の助監督は、最初は老人を快く思わず《新入り》扱いしていじめるのだが、ムルガンから彼は金持ちだと聞かされ、自分の撮りたい映画のスポンサーになってくれるのではないかとチヤホヤするようになる。
 一方で老人は、こうみえても実は若い頃は、インド独立以前に英国人の娘を引っかけるくらいのプレイボーイだった。女に縁のない悪役商会の連中に、老人はナンパの仕方を手ほどきし、おかげでムルガンも、以前から気になっていた娘と接近することができた。
 その間にも老人の息子は、ボスである悪徳女政治家からせっつかれ、父を騙して孤児院の土地の権利書にサインさせるために、改心した風を装って老人に再接近する。しかも折悪しく、助監督の下らない讒言のせいで、老人は、ムルガンが自分を助けてくれるのは金目当てだと誤解してしまう。
 息子の元に戻ってしまった老人を、その裏を知るムルガンたちは取り戻そうとし、やがて老人の誤解も解けるのだが、時既に遅く、老人は息子に騙されて書類にサインした後だった。しかも悪徳政治家にとっては、老人の息子も捨て駒にしか過ぎず、あっさりと裏切って彼を捨てる。
 孤児院は重機で取り壊されてしまうが、ムルガンたちは何とか土地の権利を取り戻そうと、悪徳政治家の手先であるギャングの親玉に対して、自分たちの俳優という職業を活かした、とある計画を練るのだが……といった内容。

 ストーリーの大筋としては、特にこれといった新味はないですが、全体をテンポが早いコメディータッチでまとめているのと、主人公がやられ役の悪役俳優というのを活かして、インド映画のクリシェのパロディを、あちこち織り込んでいるのが目新しいところ。
 このパロディはけっこう可笑しくて、例えば、主人公とヒロインが街で目が合うと、さっそく舞台が風光明媚な海辺に変わり、いざミュージカル・シーンが始まり……そうな所に、何故か仲間の悪役たちが出てきて「何でお前らがいるんだ!」「俺たちも踊りたい!」となって、結局ミュージカルにならなかったり(笑)。で、それから後、再度主人公とヒロインが接近すると、今度は邪魔も入らず、さっきと同じ場面設定の海辺で、お約束のミュージカルに突入する……なんて仕掛けがあります。
 アクション・シーンも同様で、主人公がワイヤーワークで空中に静止すると、悪役が「あんな空中で止まるカンフーなんかできない!」とか言い出したり(笑)。他にも、主人公が悪役をブチのめしていると、通行人の子供が怖がって泣き出してしまい(おそらくタミル映画は暴力的だというイメージのパロディ)、主人公は慌てて「これはダンスなんだよ!」と、ダンス風の動きを装ってアクション・シーンを続けたとか、ちょっとしんみりしたムードになって、回想シーンが始まりそうになると「ちょっと待て、フラッシュバックはお断りだ!」と水をさすとか(笑)。
 こんな感じで、全体のテンポの早さと相まって、そういった小ネタはけっこう楽しめるんですが、まぁ全体的には他愛のない内容。善玉が映画俳優たちというネタは、小ネタレベルでは機能しているんですが、正直なところ、上手く活かせばもっと面白くなるだろうに……という感じで、ちと勿体ない。

 ただしヴィクラムのファンにとっては、逞しい肉体を活かしたカッコいいアクションあり、コメディあり、変装による一人何役もあり……と、お楽しみ要素はタップリ。ヴィクラム自身も肩の力が抜けた感じで、役を軽やかに楽しそうに演じているので、見ていてなかなか心地良いです。
 映画の結末も、収まる所に収まる予定調和で、ご都合主義はあれども極端な破綻はなく、全体のライトな味わいもまずまず。ただし、そのライトさを特徴と感じるか薄味と感じるかによって、印象の是非が別れそうな感じはしました。
 ヴィクラムと小ネタ以外はさほど印象に残りませんが、個人的には軽い娯楽作として、そこそこ楽しめました。

 予告編。

 ヴィクラムの変装(某ジョーカーだの某パイレーツだの)が楽しめるミュージカル場面。